見出し画像

【新人船員向け】怒られない立ち回り7選、現場で差がつく行動メモ

新人三等機関士の頃は、本当によく怒られていました。

今振り返ると、知識や技術が足りなかったのもありますが、それ以上に大きかったのは、「新人としての立ち回り方」がわかっていなかったことだと思います。

特に印象に残っているのが、先輩と一緒に整備作業に入った時のことです。
当時の自分は、「先輩と一緒に作業するのだから、当日に手順を教えてもらいながら進めればいい」と思っていました。
ところが作業前に先輩から、
「で、今日はどんな流れで進めるの?」
と聞かれて、自分は何も答えられませんでした。

当然、その場で怒られました。

その時はかなりきつかったですが、今思えば怒られて当然だったとも思います。
一緒に作業する側からすれば、何も準備せずに来た新人より、不完全でもいいから少しでも流れを把握してきた新人の方が、圧倒的にやりやすいからです。

現場では、最初から完璧に作業できる新人はほとんどいません。
でも、
「この新人は一緒に作業しやすいか」
「任せた時に危なっかしくないか」
は、かなり見られています。

つまり新人のうちは、作業の上手さそのものより、先回り、安全、確認、片付け、こういう基本動作の方が大事だったりします。

今回は、そんな自分が怒られながら覚えた、現場で怒られにくくなる立ち回りを7つに整理してみます。

新人三等機関士の頃の自分は、正直かなり遠回りしました。
でも今振り返ると、最初に知っておきたかったことは意外とシンプルです。

この記事を読めば、少なくとも昔の自分よりは“強くてニューゲーム”に近い状態で、しんどい新人機関士期間のスタートダッシュを切れるはずです。

※内容は船の機関室を前提に書いていますが、「準備の仕方」「報告のタイミング」「確認してから動く習慣」は、工場の整備や保全の現場でも共通するはずです。



1、一緒に整備するときは、先輩が次に何をしたいかを想像しながら動く

新人のうちは、先輩機関士のサポート役として一緒に作業する場面が多いと思います。
だからこそ大事なのが、先輩が今何を考えているか、次に何をしたいかを想像しながら仕事することです。

たとえば、次に使いそうな工具を準備しておく。
外した部品の置き場を空けておく。
ウエスやパーツ皿をすぐ渡せるようにしておく。
次の動作の邪魔になりそうな物を先にどけておく。
こういう小さな動きです。

新人の頃は、自分のことで精一杯になりがちです。
でも、ただ言われたことだけをやるより、「この後たぶんこれをしたいんだろうな」と考えて動ける方が、現場ではかなり助かります。

もちろん、最初から全部読める必要はありません。
でも、先輩の手元、視線、作業の流れを見ながら、次を想像する癖がつくだけでも立ち回りはかなり変わります。

呼ばれてから動くより、半歩先に動けるだけで印象はかなり違います。
技術が未熟でも、「この新人は周りを見ながら動こうとしているな」というのは、ちゃんと伝わります。

新人のうちは、自分が何をしたいかより、先輩が次に何をしたいかを考える方がうまくいきやすいです。




2、手持ち無沙汰になったら、まずライト係になる

新人の頃は、何をしたらいいかわからず、その場で止まってしまうことがよくあります。
そんな時に使いやすいのが、ライト係です。

作業者の手元を照らすだけでも、十分に役に立ちます。
狭い場所、暗い場所、奥まった場所では特にそうです。

ライト係の良いところは、余計なことをして邪魔になりにくく、しかもその場の流れに参加できることです。
何もせずに突っ立っているより、「とりあえずライトを持つ」の方がずっといいです。

新人のうちは、こういう補助の動きをすぐ出せるだけでかなり違います。
自分も、何をしていいか迷った時は、まず手元を照らすことを意識していました。




3、怪我しないことも、新人の大事な仕事

新人の頃は、早く役に立ちたいと思って無理をしがちです。
でも現場では、無理をして怪我をするのが一番まずいです。

自分が学生時代、実習船の船長にこんなことを言われたのを今でも覚えています。

「君たちが社会人として初めて乗る船で唯一出来る事はなんだ?」
「見回りか。正常か異常かの判断が出来るのか。違う。」
「それは、怪我をしないように注意して行動する事だ。」

当時は少し極端にも聞こえましたが、今振り返ると本当にその通りだと思います。

新人のうちは、見回りをしても正常か異常かを正確に判断できないことも多いし、整備作業でも、まだ一人で戦力になるのは難しいです。
でも、危ないことを避ける、無理をしない、わからないまま手を出さない、これは新人でも今日からできます。

たとえば、危ない姿勢で手を出さない。
重い物を無理に持たない。
わからないのに触らない。
焦って狭い隙間に手を入れない。
危なそうなら一度止まって確認する。
こういうことです。

新人のうちは、「戦力になること」より前に、「事故要員にならないこと」が優先されます。

怪我をしない。
危ないことをしない。
危なそうなら確認する。
これは地味ですが、周りから見るとかなり大きな信頼材料になります。

「まだ作業は任せにくいけど、危ないことはしない新人だな」と思ってもらえるだけでも、十分前進です。




4、「明日やる作業は?」に備えて、常にストックを持っておく

上司や先輩から、
「明日何やる予定?」
「手が空いたら次何する?」
と聞かれて、何も出てこないと、受け身な印象になりやすいです。

新人のうちは大きな作業を自分で組み立てるのは難しくても、小さい作業のストックを持っておくことはできます。

たとえば、担当機器周辺の清掃。
担当機器の予備品在庫チェック。
工具整理。
消耗品確認。
前回作業の続き確認。
こういうものです。

特に、担当機器の周辺清掃や予備品の在庫チェックは、新人でも動きやすく、しかも機器への理解にもつながるので、ストックとして持っておきやすいと思います。

完璧な答えでなくていいので、
「手が空いたら、担当機器周辺の清掃をしようと思っています。」
「予備品の在庫を見ておこうと思っています。」
と一つ言えるだけでも違います。

何も考えていない人に見えるか、少しでも次を考えている人に見えるか、この差は意外と大きいです。

新人のうちは、大きい仕事を作るより、すぐ動ける小さい仕事をいくつ持っているかの方が大事だったりします。




5、翌日の作業は、その日のうちに調べて、必要なら手順書を印刷しておく

新人三等機関士の頃に痛感したのは、作業は当日に教えてもらいながら覚えるもの、という受け身の姿勢では通用しないことでした。

船では、その日の終業時に1/Eが翌日の作業をホワイトボードに書いたり、書かないまでも各機関士に確認したりすることがあります。
だから新人のうちは、そこで出た作業内容をその日のうちに確認して、夜のうちに少しでも調べておくのが大事だと思います。

自分は、翌日の作業内容がわかったら、要領書や手順を見られる範囲で見て、必要ならUSBに入れて制御室のパソコンでサッと印刷していました。
要するに、翌日の作業に向けた“カンニング帳”を先に作っておく感じです。

この表現を嫌う人もいるかもしれませんが、個人的には、新人で作業手順があやふやな状態で仕事されるより、手順書を見ながらでも着実に進める方がずっと安心できます。

記憶力で勝負するより、先に資料を持っておいてミスを減らす方を優先していました。

もちろん、このあたりは職場のルールや情報管理の考え方、上司のスタンスにも左右されるので注意は必要です。
ただ本質は、「わからないなら、先に見ておく」「必要ならその場で確認できる状態を作っておく」という姿勢だと思います。

実際、自分が最初に怒られたのも、まさにここでした。
「先輩と一緒だから、当日教えてもらえばいい」と思っていた頃の自分と、「前日に少しでも見ておこう」と思うようになった後の自分では、翌日の現場での見え方がかなり変わりました。

タイミングがあれば、その日のうちに先輩へ軽く質問しておくのもかなり有効です。
前日に少し聞いておくだけで、翌日の理解度は全然違います。



6、「もし次に一人でやるなら」と思いながら作業を見る

新人のうちは、どうしても「手伝って終わり」になりがちです。
でも、ただその場をこなすだけでは、いつまでも一人でできるようになりません。

おすすめなのは、作業中ずっと、「これ、次に自分が一人でやることになったらどうするか」を意識することです。

どの順番で外しているか。
どこで苦戦しているか。
何を先に準備していたか。
どこが危ないか。
何を見落としやすいか。
その目線で見ると、ただ見学するより何倍も頭に残ります。

さらに大事なのが、作業中に出てきた疑問点を、その場で流さず蓄積しておくことです。

作業の手を止めるほどではない疑問でも、
「なんでここを先に外したんだろう。」
「この工具じゃなくてこっちを使う理由は何だろう。」
「この締め付け順に意味があるのかな。」
みたいに、気になったことは頭の中に置いておきます。

そして休憩のタイミングなど、少し余裕がある時に、一緒に作業していた先輩へ聞いてみる。
これがかなり大事です。

作業中は先輩も集中していることが多いので、何でもその場ですぐ聞くより、一度自分の中で疑問をためておいて、区切りの良いところで聞く方が、相手にとってもやりやすいです。

そこで聞いたことをメモに残しておけば、次に同じ作業をする時のヒント集になります。
一回の作業を、ただの手伝いで終わらせるか、次につながる教材にするかは、この差が大きいと思います。

疑問を持つ。
聞く。
残す。
の3つまでやると、作業経験が次に生きやすくなります。



7、質問に答えて終わらず、自分でも確認に動く

上司や先輩から、
「〇〇は〇〇だっけ?」
「この値、前回どうだった?」
のように聞かれることがあります。

そんな時に、
「〇〇だと思います。」
で終わるより、
「〇〇だと思いますが、確認してきます。」
と一言入れて、自分で確認に動く方が印象はかなり良いです。

ここで大事なのは、正解を知っているふりをしないことと、確認のために自分で動く姿勢を見せることです。

新人のうちは、知識量で勝負するより、「確認を雑にしない人」だと思われる方が強いです。

この癖がつくと、ミスも減りますし、信頼も積み上がります。

上司からの問いかけは単なるクイズではなく、「この人は確認まで含めて動けるか」を見られている場面でもあると思っています。



おまけ1、片付けまで終えて、やっと作業完了

作業が終わった瞬間に気が抜けてしまう新人は多いですが、現場では片付けまで含めて作業です。

工具を戻す。
周辺を整える。
ウエスや廃材を処理する。
次の人が困らない状態にして終わる。
ここまでやって初めて一区切りです。

片付けが甘いと、最後の最後で印象を落とします。
逆に、作業後の整理がきれいな人は、それだけでかなり評価されます。

作業中は目立たなくても、終わった後の周囲の状態を見ると、その人の仕事の癖がかなり出ます。



おまけ2、制御室の掃除のような“小さい仕事”を拾う

新人のうちは、大きな仕事より、誰もやらない小さい仕事を拾えるかどうかも大事です。

たとえば、制御室の掃除。
共有スペースの整理。
ちょっとした拭き掃除。
備品の整頓。
こういうことです。

一見すると地味ですが、現場はこういう小さい仕事の積み重ねで回っています。
手が空いた時に何もしない人より、小さい仕事を拾える人の方が確実に信頼されます。

こういう仕事は派手ではないですが、「この新人、ちゃんと周りを見ているな」と思ってもらいやすいです。



まとめ、怒られない立ち回りは「媚び」ではなく、現場を回す基本動作

新人が怒られにくくなるのは、仕事が速い人というより、一緒に作業しやすい人だと思います。

先回りする。
危ないことをしない。
翌日の作業を見ておく。
必要なら手順書を印刷してでも確実に進める。
自分でも確認に動く。
片付けまでやる。
小さい仕事を拾う。
こういう積み重ねが、結局は一番効きます。

自分も新人三等機関士の頃は怒られまくっていましたが、今振り返ると、怒られないために必要だったのは特別な才能ではなく、こういう基本の立ち回りでした。

怒られない立ち回りは、ご機嫌取りではありません。
安全に、作業を止めずに、周囲と連携しながら仕事を覚えていくための基本動作です。

新人のうちは、まずここを押さえるだけでもかなり変わると思います。


ディーゼル発電機のピストン抜き整備をもう少し実務寄りに整理した記事も書きました。
正直、これが実践出来れば怒られないどころか、「実務のポイントを押え過ぎている新人」として見られる事と思います!
取説だけでは埋まりにくい、準備・識別・段取り・分解時の詰まりどころを中心にまとめています。
必要な方は、こちらもどうぞ。


次に読むなら


いいなと思ったら応援しよう!