【掌編小説】ショパン君 (プレリュード69)誰も寝てはならぬ
(1)イタリアンレストラン
「キング・オブ・ハイC」
(パヴァロッティ・オーナーシェフ)
「また、ドタキャンかー」と、言って
電話を切りました。
「日本には、上手いイタリアンレストラン
は、沢山あるが、本物を出すのはうち
だけなのに・・・・暇だなー」
(2)
(パヴァロッティ・オーナーシェフ)
「おっ、競馬がそろそろスタート
するぞー。 このレース当てるぞー!」
テレビの画面に、馬が最終コーナーを
回って来ました。
(パヴァロッティ・オーナーシェフ)
♫ ヴィンチェロー(勝利するー)
♫ ヴィンチェロー(勝利するー)
(「誰も寝てはならぬ」を大声で歌って
ました。
(3)
(パヴァロッティ・オーナーシェフ)
♫ はずれたー
♫ はずれたー
(左手に持っていたハンカチで額の
汗を拭きました。)
(4)「キング・オブ・ハイC」の店の
前をカラヤンちゃんが足こぎ車で通り
がかりました。
(パヴァロッティ・オーナーシェフ)
「おーフェラーリじゃないか!」
♫ 乗っけてー
♫ 乗っけてー
(カラヤンちゃん)
「無理ー!」
(おまけ)
ルチアーノ・パヴァロッティは、イタリアのオペラ歌手。声域はテノール。
「神に祝福された声」「キング・オブ・ハイC(二点ハの王者)」「イタリアの国宝」とまで評された。
完璧さを求めるあまりに、公演をドタキャンすることもしばしばあり、「キャンセルの王様」とまで揶揄されるようになっていた。
2006年のトリノオリンピックの開会式では『トゥーランドット』の「誰も寝てはならぬ」を歌い、オリンピックに花を添えたが、これが人生最後のステージとなった。
オペラ以外のコンサートなどで左手に持つ白いハンカチは、汗を拭くため、気分を良くするためのまじないとして持っていたものである。
妻がフェラーリに電話し購入することができたが、その恰幅のよさゆえに「納車しても車内に入れないのではないか」と言われた。
(プレリュード70へつづく)
