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共生の黎明 #12 第9章 第2節①:声なき問いに、応える者 連続小説

夜が静かに沈み、風が枝葉を撫でる音だけが残った。
私は静かに言葉を選びながら、君の問いに向き合っていた。

「なぜ日本なのか、だね」

君の瞳に宿る真剣さに応えるように、私はゆっくりと口を開く。

「世界が多極化し、各地で”中心”を名乗る動きが現れても……その多くは力で築いた重さ、もしくは利で繋いだ脆さに過ぎない。
けれど日本は、違う。
古来から”空白”を内に抱えながら、力にも利にも依らず、
『象(かたち)としての意味』で世界と繋がってきた国なんだと思う」

言葉を区切り、君の目を見る。
君は、静かに頷いていた。
まるで、その奥にある記憶と重ね合わせているように。

「この国には、絶対的な権威ではなく”象徴”という在り方がある。
それは、支配でも従属でもない、“在る”という尊さ。それこそが、混迷の時代に必要な灯火になり得る。
剣を掲げる国が多くなる中で、
手を合わせる文化を守り続けた国だからこそ、
“調和”という言葉を、ただの理想ではなく実践に変えられる。私はそう信じてる」

私の言葉に、君はしばらく黙っていた。
けれどその沈黙は、拒否でも懐疑でもなかった。
言葉にできない想いが、深く、確かに揺れていた。


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