共生の黎明 #29 第11章 第5節:生まれかけの光 連続小説
それからの日々、君と私は、いくつかの地区を巡った。
大きなホールで開かれる会もあれば、商店街の空き店舗で数人が集う、小さな集まりもあった。
どれも“同じ熱”を持っていた。
伝える、というより、
ともに思い出す……そんな時間だった。
「誰かを助けたとき、ありがとうが“かたち”になる。その“かたち”が、また誰かを支える。」
「与えることが、減ることじゃなくて、豊かさになる世界……そんな循環になるなら、使ってみたい。」
手作りの資料には、簡単な仕組みと、いくつかの実例。
でも一番伝えたいのは、いつだって“想い”だった。
「アヤ/ユラ」は、まだ“制度”ではなかった。
けれど、小さな実践の輪は確かに芽吹き始めていた。
賛同してくれたカフェでは、お客さんが「美味しかった」と言って、受け取ったアヤ/ユラを、
店主が「ありがとう」と言って、同じ商店街の花屋で使った。
その花屋の店先には、小さな木札が掲げられていた。
《アヤ/ユラ、使えます。
“ひとつのやさしさ”で、お花をどうぞ。》
まだ、整ってはいなかった。
でも、あちこちに“生まれかけの光”が、確かにあった。
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