共生の黎明 #24 第10章:灯がともる頃 連続小説
それは、何かが始まったという実感ではなかった。
けれど、何かが静かに動き出したという「肌感覚」だけは、確かにあった。
日々の営みの隙間に、小さな違和感や、ふとした驚きが交じるようになった。
あの「章句」を読んだ人々の間で、まだ言葉にはなっていないが、確かに共有されている何か。
それは、かすかな熱を帯びた沈黙のようでもあり、目には見えぬが確かに在る“波紋”のようでもあった。
「これは、誰かのためになるのかもしれない」
「自分にも、何かできるかもしれない」
そうした微細な感覚が、人々の心の奥に静かに沈んでいく。
君と私が見つめるその光景は、まだ目立つものではない。
けれど、確かに「希望」と呼ぶに値する“兆し”だった。
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