共生の黎明 #123 章間⑦:駄菓子屋に灯るはじまりの光 連続小説
夕暮れ時の道を歩いていると、ふと耳に届く笑い声に足を止めてみる。
その声は、古びた木の柱に支えられた、小さな駄菓子屋から漏れている。
子どもたちが集い、思い思いにお菓子を選ぶその姿は、まるで時の流れからひととき外れたようだ。
店主は多くを語らない。
けれど、目の端で子どもたちをやわらかく見守り、困ったときには自然に手を差し出す。
誰も意識してはいないが、ここには確かに、互いに支え合う呼吸がある。
この店の前には、未来の形がまだ名前を持たないまま揺れている。
それは制度でも理念でもなく、人々の間にただ漂う“あたりまえのやさしさ”だ。
やがて、子どもたちは歩みだすだろう。
まだ見ぬ明日へ。
まだ形を持たない時代へ。
けれど、覚えていてほしい。
黎明の光というものは、大きな出来事から始まるのではない。
こうした何気ない夕暮れの中で、そっと芽生えているものなのだ。
⬇️続き
