『愚か者の身分』を見た。母として、胸が詰まる。
一言で言えば、「かわいそう」。
でもそれだけで片づけてはいけない作品だった。
若者が“あっち側”へ行ってしまう。
まともな社会のレールから外れ、裏社会に吸い込まれていく姿は、フィクションとして軽く消費できるものではなかった。
私には息子がいる。
だから余計に祈るような気持ちで観ていた。
どうか、あの道に足を踏み入れることがありませんように。
少年たちが落ちていく背景には、やはり家庭環境の影がある。
親が機能していない家、愛情が届かない環境、信頼できる大人の不在。
「親のせい」と簡単には言えない。
でも、親が無関係でいられる場所なんて、たぶんどこにもない。
子どもはちゃんと見ているし、ちゃんと傷ついている。
一方で、綾野剛が演じた人物は、裏社会の住人とは思えないほど慈悲深く、情に厚く、どこか“祈り”のような存在だった。
だからこそ、少しだけ現実との距離も感じた。
正直に言えば、目玉を失ったあとの応急処置にはツッコまずにいられなかったし、「いやいや、それはない」と何度も思った。
リアルを描く作品だからこそ、そういう部分が気になってしまう。
ラストも、映画的には“逃げ切れた”ように描かれていたけれど、私は無理に希望をにじませなくてもよかったのでは、と感じた。
あの子たちにとって、あそこは終わりではなく、やっとスタートだ。
この物語の本当の怖さは、「こういう人生が現実にある」ということ。
もしラストが少し優しすぎると、観る側が「これはフィクションだから」と安心する逃げ道を持ってしまう気がする。
でも映画って、きれいに答えを出すためのものじゃない。
終わったあとに、ザワザワが残るもの。
そして私は、そのザワザワを抱えたまま、息子の顔を思い浮かべて、やっぱり祈るような気持ちになったのでした。
見てよかったです。
***
原作です(AmazonPR)👇
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは大事に使います♡