突然アイスランド語サバイバル 1日目─氷語で水を欲しがる
5月のある木曜日。アイスランド語が「次に学ぶ言語」に急浮上した。
2週間後の金曜日に行われる「アイスランドの映画と音楽の夕べ」なるイベントに参加することになったからだ。
日本の作り手のみなさん、アイスランドで作品を作りませんかとプレゼンする大使館主催のイベントらしく、ジャパン・フィルムコミッション経由でわが日本シナリオ作家協会に案内があった。
「行きたいです!」
と名乗りを上げた時点では地球儀のイングランドの上あたりにある国を思い浮かべていた。
それはアイスランドやない。アイルランドや。
アイスランドとアイルランドが混ざってた
アイルランドよりさらに北にある国、アイスランド。
調べてみると、人口は40万人弱。都道府県別で一番人口が少ない鳥取県、50万人強と近い規模感。
面積は103,000 km²。北海道(83,460 km²)と青森(9,606 km²)と秋田(11,610 km²)を合わせると104,676km²。それだけの広さに40万人弱。
北海道(約504万3千人)と青森(120万5578人)と秋田(約113万529人)の人口を合わせると、737万9107人。鳥取県は3,507km²で52万9943人。
公用語は「氷語」。
アイスランドは氷国。英国の言葉が英語であるように、アイスランドの言葉は氷語なのだった。
よし、氷語を学ぼう。
どんな言語も水を欲しがる
シナリオ作家協会の理事になって、間もなく丸2年。降って湧いた人事だったが、勉強になることも多い。必要に迫られて勉強するものもあるし、これを機会にというものもある。
4月にはスペインから著作権管理団体の方がはるばる訪問してくださると聞き、急遽duolingoでスペイン語をかじった。
duolingoでは英語で学ぶ設定にしている。そのほうが選べる言語が多いし、文法が英語と近いものは日本語で学ぶより理解が早い。スペイン語のときも、そうだった。
わたしは水を飲みます。
I drink water.
Yo bebo agua.
英語とスペイン語のほうが距離が近い。単語の置き換えだけでどんどん手持ちのフレーズを増やせる。
打ち合わせ当日、ペットボトルの水が出された。
ペットボトルを持ち上げ、"Yo bebo agua." と口にすると、場が和んだ。
“Make your characters want something right away even if it's only a glass of water. ”(すべての登場人物には、たとえコップ一杯の水でも、何かを欲しがらせること)というアメリカの作家カート・ヴォネガットの名言がある。
"Characters paralyzed by the meaninglessness of modern life still have to drink water from time to time."(登場人物たちは現代生活の無意味さに麻痺しつつも、時々水を飲まなくてはならない)と続くらしいが、圧倒的に名言な前半が創作界隈で語り継がれている。
duolingoでいろんな言葉をかじっていると、どの言語でも「水」を表す単語やそれにまつわる表現が真っ先に出てくる。
世界中どこでも、誰でも、水を求めている。
アイスランド語で「私は水を飲みます」を言えるようになりたい。
duolingoに氷語はなかった
アイスランド語もduolingoでやろう。と思ったら、なかった。
ズールー語はあるのに。
と調べたら、ズールー語の話者は約1300万人。一方、アイスランド語の話者数は約30万人。アイスランドの人口より少ない統計。メジャー度はズールー語の圧勝だった。
アイスランド語の教材はないものか。検索したところ、ICELANDIC ONLINEというサイトを見つけた。
SURVIVAL COURSE
A course for beginners
とトップページにある。初心者コースがサバイバル!?
íslandi(アイスランド) íslensku(アイスランド語) ís(氷)
アカウント登録し、早速中を見てみると、なるほどサバイバルだった。いきなり会話が出てくるが、解説が一切ない。言葉のわからない国に放り込まれ、「こういうことを話しているのでは?」と推察する状態。
役所のようなところで列に並んで男女が会話している。何度再生しても、単語一つも聞き取れないが、「水」の話ではないらしい。
水はまだ出てこないが、氷(ice)はís。
Iceland(アイスランド)はíslandiでIslandic(アイスランド語)はíslensku。
Þetta er sími (これは電話です) penni(ペン) klukka(時計) bók(本)
幼児が母国語を習得するときのように、身近にあるものの写真と単語をマッチングさせるコーナーでは、例としてスマホの写真に Þetta er sími と添えられている。Þetta er はThis is 、símiは電話らしいと察しをつける。
その隣にペンの写真があり、Þetta er に続けて三択。
penni
klukka
bók
penni は pen
klukka は clock
bók は book
結構英語に似てる!と思ったが、「特に英語に似ている3兄弟」と言っても良いのがこの3つ(と後で知った)。初心者向けにハードルを下げて親しみを醸しているのかもしれない。
dogarnir (曜日)
続いては、左に7、6、1、4、3、2、1と数字があり、右にある7つの単語とマッチングさせる問題。図の上にあるdogarnirは曜日を意味するらしい。
Sunnudagur はSundayと似ているので日曜日だなと察しがつく。中国語で 星期一 は月曜日だが、アイスランド語では1の曜日は日曜日らしい。
Miðvikudagurはドイツ語の水曜日(MIttwoch)に似ているので、水曜日ではないだろうか。となると、もう一つのMで始まる Mánudagur は月曜日っぽい。
FimmtudagurとFöstudagurはどちらかがFridayだと思われる。fimmはアイスランド語で「5」らしいので、日月火水木の5日目、木曜日がFimmtudagur。ということはFöstudagurが金曜日。
残るはLaugardagurとPriöjudagur。正解になるまで繰り返し、曜日7つが埋まった。
全体的に曜日の単語が長いアイスランド語。見たことない文字もある。手強い。

ein-einn-eitt (1-1-1)
ピクトグラムで「男性」「女性」「中性」がわかりやすく表示されているが、なんと数字が「男性」「女性」「中性」で活用するらしい。1から10までを覚えるのに、単語を30個覚えることになる。
アイスランド語、難易度と分量もサバイバルでは!?

サバイバルコース、面白いけど手強い。duolingoのとっつきやすさが早くも懐かしい。
アイスランド語と似ていると言われるスウェーデン語やノルウェー語をduolingoでやってお近づきになるのはどうだろう。
再びduolingoを開く。時計(klukka)はてっぺんを回り、アイスランド1日目の木曜日(Fimmtudagur)が終わって、金曜日(Föstudagur)になっていた。
「アイスランドの映画と音楽の夕べ」(5月30日開催)まで、あと2週間。
2日目に続く。
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