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🎭 ZAI劇場:不思議なパン屋さん🥐第5話『憧れのこっぺぱん』

🎭 ZAI劇場:
不思議なパン屋さん🥐
第5話『憧れのこっぺはん』


小学生の私は、
こっぺぱん屋の前を通っては、
立ち止まって眺めるのが日課だった。

私の一日のお小遣いは、百円。

でも、ガラス越しに見える値札は、
千円を超えるものばかりで、
とても手が届く気がしなかった。

こっぺぱんには、
色とりどりのフルーツが挟まれていて、
さくらんぼが顔を出しているものや、
雲みたいにふわふわのクリームで
いっぱいのものもあった。

中には、
空から星が降ってきたみたいに、
きらきら光るものまであって、
私はいつも、このお店の前で
味を想像していた。

どんな匂いがするんだろう。
どんな甘さなんだろう。

そうしているうちに、
いつの間にか私は、
貯金を始めていた。

大好きな駄菓子屋で、
ひとつ我慢する日があったり、
何も買わずに帰る日もあった。

それでも、
ガラス越しのこっぺぱんを思い浮かべると、
胸の奥が、少しだけあたたかくなった。

どれくらいの時間が経っただろう。
季節は、梅雨に入る少し前だった。

私は、はじめて
その店の中に足を踏み入れた。

扉を押す指に、
少しだけ力が入らなくて、
そーっと、恐る恐る。

すると店主は、
アニメに出てくる
ジャムおじさんみたいな顔で、
やさしく迎えてくれた。

「いらっしゃい」

「何をお探しですか?」

突然声をかけられて、
私はびくっとして、
その場に固まってしまった。

言葉が出ない私を見て、
店主は何も言わず、
カウンターの下から
ひとつのこっぺぱんを取り出し、
そっと差し出した。

青いゼリーの中に、
小さな星がいくつも
浮かんでいる。

まるで、
星空を閉じ込めたみたいな——
そんなこっぺぱんだった。


「おいくらですか?」

ポケットの中には、
千円と、少しだけ。

胸がどきどきした。
だって、
千円以下の値札を
一度も見たことがなかったから。

「千五円です」

……あ。

その言葉に、
私は思わず胸をなで下ろした。

ずっと握っていて
熱くなっていた小銭で
お会計を済ませたあとは、

たぶん、
逃げるように家へ帰ったと思う。

早く食べたかった。
ずっと、そう思っていたはずなのに、
どうしても、手が止まった。

――食べてしまって、いいのかしら。

恋焦がれていたものが
やっと手に入ったというのに、
不思議と、
少しだけ距離があった。

それでも、
えい、とかじってみる。

……あれ?

なんだか、
これじゃないかも。

でも、
想像していた味は、
もう、思い出せなくなっていた。



🥐本日のこっぺぱんの食材は🥐

『月明かりを浴びたゼリーと、金平糖』

透き通った青いゼリーの中に、
キラキラと輝く金平糖のように見えるが、
実は熟成された「氷砂糖の結晶」を
散りばめている。

口に含むと、まずはラムネやのような甘さが広がり、次に少しだけジャリッとした、砂糖菓子の切ない感触が訪れます。

不思議なことに、食べ進めるうちに「あの時、欲しかったのはこれじゃなかったかもしれない」という、穏やかな違和感が鼻を抜けていくはずです。

【販売価格】1,005円

1,005円内訳の理由:
1,000円は、あの日どうしても手が届かなかった、店のガラス越しに眺めていた「10分間の憧れ代」。残りの5円は、たまに思い出すための保証料です。

水に濡れた輝きは、乾いてしまうからこそ、また欲しくなるのでしょう。


おしまい



この物語は
ふらつき母ちゃん 〜今日も全力空回り!〜さんの
子どもの頃、我慢ばかりしていた人へ。私が大人買いで報われた話、と言う記事から
着想を得て創作しました。

気になった方のところに、
届きますように😊



また、自分にあった、
こっぺぱんが欲しいよー‼️
と言う方はこちらの記事を
ご覧ください😆

簡単に作れます😊




#創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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