奈々の学園事件簿#10 赤と黒の枚数(解答編)
「それ、必ず同じになるよ。」
奈々と理美が、同時に永野を見る。
「……え?」
「占い、じゃないの?」
理美は一瞬だけ口を尖らせた。
「あーあ、もうちょっと引っ張りたかったんだけど。」
永野は気にせず、机の上のトランプに視線を落とす。
*
「52枚を26枚ずつに分けてるでしょ。」
カードを指で軽く示しながら、淡々と続ける。
「例えばさ。片方に黒が1枚しかなかったら、もう片方は?」
「25枚、そんなの?え?」
「そんなのあたりまえ」と言いかけた奈々は、はっと息をのんだ。
「つまり、こっちの山の赤の枚数は黒が1枚だから……26-1で25って……理美ぃ!これ、どうやってもなるじゃない!」
奈々は手をぐるぐる振り回しながら、理美を問い詰める。
「なーんだ。あっさりね。」
奈々をあっさりと受け流すと理美は肩をすくめた。
「分かってたけどさ。奈々が信じる顔、ちょっと見たかったんだよね。」
「ちょ、理美!」
奈々は抗議しかけて、言葉を止めた。
理屈は分かった。
占いは、ただの仕掛け。
それなのに。
頬の熱は、まだ引いていなかった。
永野は、奈々の顔を一瞬だけ見て、視線を外す。
「……まあ。仕組みは、そういうこと。」
そう言って、鞄を肩にかける。
放課後の教室に残ったのは、
種明かしの終わったトランプと、
答えの出ない気持ちだけだった。
(おわり)
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