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#134:【投資初心者】「1000円の嘘」──日経最高値更新の熱狂に乗ってはいけない理由

「また上がっている」

気づいたのは、ニュースではなかった。朝、いつもどおり証券口座を開いたとき、画面の数字が昨日より何千円も跳ね上がっていた。

報道もない。アナウンサーも触れない。それでも市場は、誰にも断らず、誰にも告げず、静かに最高値を塗り替え続けている。

長年、投資をしてきた。だがこれほどの相場は、見たことがない。

かつて日経平均が1日100円動けば「大きな値動きだ」と言われた時代があった。今は、1日1000円が普通になっている。

上がり幅が10倍になったということは、下がり幅も同じだけ激しくなったということだ。あなたは、その事実をちゃんと体に刻んでいますか?

熱狂の中に、必ず「終わり」が潜んでいる

金相場を思い出してほしい。

「金はまだ上がる」と断言する評論家が、画面を賑わせていたあの頃。いつもニコニコしながら、根拠とチャートを示して、確信に満ちた声で語り続けていた。だが暴落が来た瞬間、その声はかき消えた。今、金の話をする評論家を、あなたは見かけますか?

今はAI相場だ。構造は、あの頃と同じだと思っている。

アメリカが金利を引き上げれば、資金は逃げる。「AIは意外と儲からない」という現実が可視化されれば、期待は剥がれ落ちる。

データセンター建設が頓挫すれば、成長の前提そのものが崩れる。そのうちのひとつが重なれば、相場は一気に傾く。そして誰も、「今日がその日だ」と教えてはくれない。

20年前の自分へ、あの失敗を告白する

今からちょうど20年前、似たような相場があった。

「小型株ブーム」だった。IT企業と名がつけば、どんな銘柄でも何倍にも跳ね上がった。

1年で10倍になる銘柄が次々と生まれ、億り人と呼ばれる人間が続出した。誰もが強気で、誰もが「もっと上がる」と信じていた。

私も、その熱狂の中にいた。

コツコツ積み上げた資産は、気づけば2000万円に膨らんでいた。画面の数字が増えていくのを眺めるのが、心から楽しかった。

あの頃の自分は、「損をするとは思っていなかった」のではない。「損のことを、考えていなかった」のだ。その違いは、取り返しのつかない差だった。

熱狂は終わった。静かに、しかし確実に。

残ったのは200万円だった。1000万円かけて積み上げた資産から、800万円が消えた。数字が消えたというより、時間が消えた感覚だった。

あの喪失感は、今でも胸の奥に沈んでいる。あなたも今、似たような高揚の中にいませんか?

プロは「あなたが買う前」から、すでに仕込んでいる

投資初心者が、見落としてはならないことがある。

YouTubeに溢れる「まだ上がる」という動画。掲示板に並ぶ「乗り遅れるな」という書き込み。

その情報が広まっている頃、プロはとっくに仕込み終わっている。個人が熱狂して買い向かう局面で、プロが静かに売り抜けている。その構造は、20年前から変わっていない。

アルゴリズムもある。個人の熱狂を検知して、売りを誘発する仕組みが機械的に動いている。コツコツ勝って、最後にドカンと負ける。個人投資家がババを引く構図は、今も昔も同じだ。

それはもはや投資ではない、ギャンブルだ。

「コツコツ」だけが、時間を味方にできる

もしもう一度、投資初心者に戻れるなら。

私はこう言う。オルカンかS&P500を、毎月黙って積み立てなさい、と。

上がっても下がっても続ける。評論家の声は聞かない。掲示板は見ない。それだけでいい。派手な銘柄を追う必要はない。

熱狂に乗る必要もない。10年後、20年後に振り返ったとき、その地味な積み重ねだけが、本物の資産として残っている。

投資には責任が伴う。大負けしないこと。それが、すべての出発点だ。

あなたは今、熱狂の中にいますか?
それとも、静かに積み立て続けていますか?

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