備蓄不要論者たちは馬鹿である。
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ホルムズ海峡の事実上の封鎖が始まって5週間以上が経過した。トランプ大統領がイランに突きつけた「4月6日(現地時間)の最終通牒」まで、あと1日を切った。停戦交渉はすべて決裂し、イランのIRGC軍事評議会は一切の妥協を拒否している。パキスタンの仲介は崩壊し、カタールも手を引いた。ポリマーケットの予測市場では、4月7日までの停戦確率はほぼゼロ、4月末までですら48%に過ぎない(ただトランプのことなのでまたTACOる可能性は否定できない)。
この状況下で、X(旧Twitter)では奇妙な光景が広がっている。「備蓄必要派」と「備蓄不要派」の論争である。GROKによる調査だと、Xにおいては備蓄必要派が多数を占めているという。これは当然の結果である。数字を直視すれば、備蓄が不要などという結論に到達することは、論理的に不可能だからである。
だが不要派は声が無駄にでかい。そして彼らの言説は、一見するともっともらしく聞こえるため、情報を十分に精査していない人間が騙される危険がある。本稿では、備蓄不要派の主張を一つ一つ解体し、なぜ彼らの言説が危険なデマゴギーであるかを明らかにする。
備蓄不要派が繰り返す「5つの呪文」
備蓄不要派の主張は、突き詰めると以下の5つに集約される。
第一の呪文:「政府の石油備蓄は254日分ある」
第二の呪文:「LNGの中東依存度は低いから電力は大丈夫」
第三の呪文:「代替ルートが確保されている」
第四の呪文:「経産省がナフサ調達を8割まで回復させた」
第五の呪文:「パニック買いこそが品不足を起こす。冷静でいるべきだ」
呪文と呼ぶのは、これらが事実の検証に基づく分析ではなく、政府発表を無批判に復唱しているだけだからである。一つずつ検証する。
第一の呪文を斬る:「254日分の備蓄」の嘘
備蓄不要派が最も頼りにするのが、この「254日分」という数字である。彼らはこの数字を水戸黄門の印籠のごとく掲げ、「8か月以上持つのだから心配は無用」と胸を張る。
だが、この数字の内実を理解しているのだろうか。
まず、254日分は帳簿上の数字であり、すべてが即座に市場に放出できるわけではない。国家備蓄の放出にはIEAとの協調や閣議決定が必要であり、手続きに時間がかかる。すでに3月からIEA協調放出が始まり、日本は約800万バレルを拠出した。これは米国に次ぐ第2位の規模である。
次に、民間備蓄の実態である。民間備蓄義務は当初70日分だったが、すでに55日分に緩和されている。つまり15日分がすでに取り崩されたのである。しかも民間備蓄の相当部分は、製油所やタンクの運転に不可欠な「稼働在庫」であり、帳簿上の数字がそのまま「取り出せる量」を意味しない。ガソリンスタンドの地下タンクに入っている燃料も統計上は「備蓄」に含まれるが、それを抜いたらスタンドは営業できない。
更に前回の記事からのほぼ引用になるがこういう事情もある。254日分の石油は額面から受ける印象ほど量は多くない。日本の石油備蓄量は実消費ベースではなく、国外からの流入ベースで計算されているからだ。さらにデッドストックという、原油タンクやパイプの中にはあるんだけれどもすでに原油以外の何者かに変化してしまっていたりしてすでに意味のない(原油として使えない)ものが10%程度ある。また国などが備蓄している原油は全量が民生用に使えるわけではなく安全保障(自衛隊)や治安の維持(警察・海上保安庁)などに割り当てられる部分が決まっており、私達民間が使えるのはせいぜい4ヶ月分前後という話もある(もっと少ないとする話も耳に挟んだことがある)。さらにその4ヶ月前後の原油も、物流など無いと困る分野に優勢的に配分される可能性が高い。
その上に決定的な問題がある。備蓄は「減っていく一方」だということである。封鎖が続く限り、中東からの新規供給はほぼゼロである。代替ルートからの供給は通常の一部にとどまる。つまり備蓄は毎日確実に減少しており、254日という数字は刻一刻と小さくなっている。それは砂時計の砂であり、上から足されることのない有限の資源である。
これは仕事を首になってメインの収入のあてが亡くなっているのを、なんとかして貯蓄を切り崩すことでしのいでいるようなものである。備蓄不要派は戦争が終わり、ホルムズ海峡が正常に航行可能になり、日本に油が入ってくるようになるまで「備蓄は減り続ける」という単純な事実を、なぜか理解しない。あるいは理解したくないのだろう。
第二の呪文を斬る:「LNG依存度が低い」という的外れ
「LNGのホルムズ海峡経由は約6.3%にすぎず、主要供給元はオーストラリア(39.7%)やマレーシア(14.8%)だから問題ない」――備蓄不要派はこの数字を持ち出して安心感を演出する。
確かに、LNGの直接的なホルムズ依存度は低い。だが問題はそこではない。
第一に、オーストラリアは2026年3月に輸出規制を強化した。世界的なLNG争奪戦が始まっており、日本が従来通りの量を確保できる保証はない。
第二に、カタールのラスラファンLNGコンプレックスがミサイル攻撃で甚大な被害を受け、世界のLNG輸出能力の17%が長期にわたって喪失した。IEAによれば修復には3〜5年かかる。これは「ホルムズが開けば元通り」という話ではない。物理的に施設が壊れているのである。
第三に、LNG価格の高騰が電気料金に直結する。封鎖前と比較して、エネルギーコスト全体が上昇しており、日本の電力の約7割を占める火力発電のコスト増は、すべての産業と家庭に波及する。スポット価格でのガスの調達は今までより相当高くなっていることだろう。
LNG依存度が低いことは、危機が存在しないことを意味しない。備蓄不要派は、問題の一部分だけを切り取って全体を語る、典型的な詭弁を弄しているのである。
第三の呪文を斬る:「代替ルート」の限界
サウジアラビアの紅海側ヤンブー港、UAEのフジャイラ港からの代替タンカーが到着しているのは事実である。サウジは天然ガスパイプラインを原油輸送用に転用し、紅海側への輸送能力を日量最大700万バレルに拡大した。
だが、これで十分なのか。
ホルムズ海峡を通過していた原油は日量約2,000万バレルである。代替ルートで賄えるのはその一部に過ぎず、しかも輸送コストと日数が大幅に増加する。通常約20日の航路がさらに数日から1週間以上延び、タンカー傭船料と保険料は跳ね上がっている。
さらに深刻なのは、代替ルートの拠点自体がイランの攻撃を受けていることである。出口付近のサウジアラビアにはすでに約750発のイランのミサイルとドローンが着弾している。ヤンブーやフジャイラが次の標的にならない保証はどこにもない。さらにいうなら紅海の南側出口「バブ・エル・マンデブ海峡」には「フーシ派」というイランと同盟を結んでる武装勢力が船の通行を妨害している。これのどこが安全な代替ルートなのか。
代替ルートは「あるにはある」が、通常の供給量には遠く及ばず、しかもいつ途絶えてもおかしくない綱渡りの状態なのである。これを根拠に「大丈夫」と言える人間の楽観主義は、もはや信仰と呼ぶべきだろう。
第四の呪文を斬る:「ナフサ8割回復」のトリック
経済産業省は4月2日と3日のXポストで、中東以外からのナフサ調達を45万kl/月から90万kl/月に倍増させ、通常の8割まで回復したと発表した。備蓄不要派はこれを「政府の対応力の証拠」として喧伝する。
だが、この数字には巧妙なトリックがある。
日本のナフサ供給構造は、国内製造が約4割、中東からの輸入が約4割、その他地域からの輸入が約2割である。中東輸入がゼロになれば供給は6割に落ちる。そこで「その他」を2割から4割に倍増させて8割にした、というのが経産省の説明である。
ここで見落とされているのは、国内製造4割の原料である原油の約95%が中東産だという事実である。現在は備蓄原油を使って国内製造を維持しているが、備蓄の取り崩しが進めば、国内製造分も縮小する。つまり「8割回復」は備蓄を食いつぶすことで成り立っている一時的な数字であり、持続可能なものではない。
さらに「8割」とは「恒常的に2割不足している」という意味である。毎月2割ずつ在庫が削られれば、川下在庫2か月分は数か月で枯渇する。経産省が「4か月分を維持」と言っているのは、現時点でのスナップショットに過ぎず、不足が累積していく将来を描写していない。
加えて、代替調達先の90万kl/月が5月以降も継続できるかは不透明である。米国やアルジェリア、ペルーにも自国需要があり、世界中がナフサの代替調達に走る中で、日本だけが安定的に確保し続けられる保証はない。東洋経済が報じたように、ナフサの中東依存度は実質的に80%を超えるという見方もある。
経産省のポストは嘘ではないが、真実のすべてでもない。都合の良い数字だけを切り出して安心感を与える、典型的な「大本営発表」の手法である。
第五の呪文を斬る:「冷静さ」の正体
「パニック買いをするな」「冷静に行動しろ」「備蓄を煽るのは社会不安を助長する」――備蓄不要派はこのように説教する。自分たちこそが理性的で冷静な判断のできる人間であり、備蓄を進める人間はパニックに踊らされた愚民だと言わんばかりである。
彼らは自分のことを、何事にも動じない肝の据わった人間だと思っている。周囲が慌てる中で泰然自若としている自分に酔っている。「俺は流されない」「私は冷静だ」と。
だが実態はどうか。
彼らは自分で数字を検証したのか。IEA協調放出の実態を調べたのか。カタールのLNG施設が物理的に破壊され、修復に3〜5年かかることを知っているのか。QAFCOの尿素プラント停止が世界の肥料市場に何を意味するか理解しているのか。硫黄トラップによるリン酸肥料の連鎖的供給崩壊を認識しているのか。東京大学の鈴木教授が食料自給率の数%への低下を警告していることを知っているのか。FAOのチーフエコノミストが国連安保理で「3か月以内の行動が必要」と発言したことを把握しているのか。
答えは明白である。彼らは何も調べていない。政府が「大丈夫」と言ったからそれを信じているだけである。それは冷静さではない。思考の放棄である。自分の頭で考えることを放棄し、政府発表に依存しているだけの人間を「冷静」とは呼ばない。それは単なる正常性バイアスの奴隷である。
正常性バイアスとは、異常事態に直面した際に「まだ大丈夫」「自分だけは大丈夫」と思い込む心理的傾向のことである。災害心理学では、このバイアスが避難の遅れや被害の拡大を引き起こすことが繰り返し実証されてきた。東日本大震災でも、津波警報を聞いても避難しなかった人々がいた。彼らは「冷静」だったのではない。正常性バイアスに囚われていたのである。
備蓄不要派は、まさにこれと同じ心理状態にある。そして厄介なことに、彼らは自分がバイアスの中にいることに気づいていない。それどころか、バイアスの外にいると信じ込んでいる。これが正常性バイアスの最も危険な特徴である。
……いや、もしかしたらそんな大層なものではないのかもしれない。本当は彼らも備蓄品の買い込みをしたかったのだが、お金がなくてできないので酸っぱい葡萄効果で備蓄している人間を口汚く罵ったり喧嘩を仕掛ける、という方法で己のストレスを発散させているだけの悲しき貧者なのかもしれない。
今回の危機は「過去のオイルショック」とは根本的に違う
備蓄不要派がもう一つ依拠するのは、過去の経験則である。「1973年のオイルショックでも日本は乗り越えた」「あの時もトイレットペーパーの買い占めがあったが、結局は大丈夫だった」と。
だが、2026年の危機は1973年とは本質的に異なる。
1973年のオイルショックは、OAPECによる政治的な禁輸措置であった。産油国の施設は無傷であり、政治的合意さえ成立すれば供給は即座に回復した。実際、禁輸は約5か月で解除され、供給は正常化した。
2026年の危機は違う。湾岸地域の少なくとも40の主要エネルギー施設が物理的に破壊されている。IEAは日量1,000万バレル以上の原油生産能力が削減され、300万バレル/日以上の精製能力が完全に停止したと報告している。カタールのラスラファンLNGコンプレックスはミサイルの直撃を受け、復旧に3〜5年を要する。QAFCOメサイード工場の年産560万トンの尿素プラントは完全に停止している。
これは蛇口を閉めたのではない。蛇口そのものが壊れたのである。停戦が実現しても、蛇口の修理に何年もかかる。コロンビア大学のカレン・ヤング博士は、停戦後も原油生産が通常レベルに戻るまで4〜6か月、完全正常化にはさらに時間がかかると指摘している。日経ビジネスは「数年」の長期化シナリオを報じた。
「1973年も大丈夫だった」は、今回の免罪符にはならない。状況は根本的に違うのである。この違いを理解できないまま「前も大丈夫だったから今回も大丈夫」と繰り返す人間は、歴史から何も学んでいない。2度あることは3度あるという言葉があるが、同時に3度目の正直という言葉もある。その「正直」があたってしまったらどうするのだ。
「三重の供給危機」が同時に襲う
今回の危機が特に深刻なのは、三つの供給危機が同時並行で進行していることである。
第一の危機:ナフサ枯渇による包装材消失
日本のエチレン原料の約95%はナフサに依存している。ナフサの供給が途絶えれば、プラスチックの食品トレー、ラップフィルム、PETボトル、レトルトパウチ、カップ麺の容器――これらすべてが製造不能になる。
「紙やガラスで代替できる」という反論があるかもしれない。だが、紙包装は防湿性・防菌性が低く、食品衛生法の基準を満たせない製品が多い。ガラス瓶は重量があり物流コストが跳ね上がる。そもそも製造ラインの改修には数か月以上かかり、短期的な代替は物理的に不可能である。
現代の食品流通は、プラスチック包装を前提に構築されている。食品があっても包装がなければ出荷できない。これは食品メーカーや小売業者が口を揃えて認めている事実である。
第二の危機:肥料供給の崩壊
日本の肥料原料はほぼ全量を輸入に頼っている。尿素の40%以上は中東からの輸入であり、QAFCOの停止で世界の尿素輸出の30〜35%が消失した。尿素価格は350ドル/トンから800ドル/トンへ130%上昇している。
さらに深刻なのが「硫黄トラップ」である。硫黄は石油精製の副産物であり、世界の海上硫黄貿易の44〜47%は湾岸地域から供給されている。湾岸の精油所が破壊されたことで硫黄の生産も停止し、これがリン酸肥料の原料不足に直結する。モロッコや中国のリン酸肥料供給が20〜30%減少すると予測されている。
中国は3月中旬にNPK肥料と硫酸アンモニウムの輸出を停止した。インドは自国需要を優先している。世界中で肥料の争奪戦が始まっており、日本が十分な量を確保できる見通しは立っていない。
農水省は「春作の肥料は確保済み」と説明したが、秋作以降については何も保証していない。この沈黙が意味するところを、備蓄不要派は理解しているのだろうか。
第三の危機:物流の崩壊
燃料価格の高騰は物流を直撃している。帝国データバンクの調査によれば、燃料費30%増で運輸業の利益の80%が消失し、4社に1社が赤字に転落している。4月2日には日本物流団体連合会が燃料供給危機に関する声明を発表し、荷主企業と国民に理解と協力を要請した。
軽油価格は1週間で28円上昇した。中小の運送業者は倒産の瀬戸際に立たされており、配送頻度の低下は避けられない。食品が製造されても、消費者のもとに届かなければ意味がない。
この三つの危機は独立した事象ではなく、相互に連鎖し増幅する。ナフサが不足すれば包装材がなくなり食品が出荷できない。燃料が不足すれば配送が滞る。肥料が不足すれば国内の農業生産が落ち、輸入食料の争奪戦で価格が暴騰する。三本の矢が同時に折れるのである。
医療も例外ではない
忘れてはならないのが医療への影響である。
使い捨ての医療用プラスチック製品――点滴バッグ、注射器、カテーテル、手袋、人工透析の回路――これらはすべてナフサ由来の石油化学製品である。日本には約35万人の透析患者がおり、透析は中断すれば数日で生命に関わる。
高市首相は3月30日に医療用資材の確保を指示し、ブルームバーグ、朝日新聞、時事通信がそろって報じた。逆に言えば、政府が指示を出さなければならないほど事態は逼迫しているのである。
ジェネリック医薬品の原材料もナフサに依存しており、製薬業界への影響も避けられない。備蓄不要派は「命に関わる物資は政府が優先配分する」と言うかもしれないが、それは裏を返せば「命に関わらない物資は後回しになる」ということであり、一般市民の日常生活が犠牲になることを意味する。
デマゴーグたちの正体
ここまでの事実を提示してもなお、「備蓄は不要」と言い張る人間がいる。彼らは何者なのか。
一つ目の類型は、純粋な正常性バイアスの持ち主である。本当に「大丈夫」だと信じている。過去の成功体験と政府への信頼が強固で、目の前の異常事態を認知できない。災害心理学が警告する、最も典型的な危険人物である。彼らは悪意があるわけではないが、その無自覚な楽観主義が周囲を巻き込む点で有害である。
二つ目の類型は、自己陶酔型の逆張り論者である。「みんなが右を向いている時に左を向く俺はカッコいい」という心理で、備蓄を進める多数派に対して反論することで知的優越感を得ている。彼らにとって重要なのは事実ではなく、「自分は群衆とは違う」というアイデンティティである。だが実際にやっていることは、政府発表を鵜呑みにしているだけであり、独自の分析は何一つない。逆張りに見えて、実は最も従順な権威追従者なのである。
三つ目の類型については、上の方で少し指摘したが、経済的事情で備蓄ができない人間である。彼らは備蓄が不要だから備蓄しないのではなく、備蓄したくてもする余裕がないのである。そして、備蓄を進める周囲の人間を見ると、自分の経済的困窮を突きつけられるように感じる。その心理的防衛として「備蓄は不要」という言説に飛びつき、自分の状況を正当化しようとする。もしそうであるなら、その苦しさには同情する。だが、自分が備蓄できないことと、備蓄が不要であることは、まったく別の命題である。前者の事情を後者の根拠にすり替えてはならない。
いずれの類型であれ、備蓄不要派のデマゴーグたちに共通しているのは、自分の主張に対して責任を取らないという点である。彼らは匿名のアカウントから「備蓄は不要」「パニック買いをやめろ」と叫ぶ。だが夏に包装材が消え、秋に物流が止まり、冬に食料が不足した時、彼らはあなたの家族を養ってくれるのか。あなたの医薬品を届けてくれるのか。答えは明白である。届けない。責任を取らない。それどころか、アカウントを消して雲隠れするか、「あの時点ではあの判断が合理的だった」と卑しい自己弁護に終始するだけである。
備蓄は合理的な自己防衛であり、義務である
繰り返す。備蓄はパニックではない。数字と事実に基づいた、合理的な自己防衛である。
食料(米・乾麺・缶詰・レトルト・冷凍食品)、日用品(洗剤・シャンプー・トイレットペーパー・ラップ・ゴミ袋)、医薬品(常備薬・処方薬の予備)、衛生用品(マスク・消毒液・生理用品)――これらを可能な範囲で、今日から備蓄すべきである。最低でも3か月分、可能であればそれ以上の静的備蓄を推奨する。
ローリングストック(日常消費しながら補充する方式)は平時には優れた方法だが、供給そのものが途絶えた場合には機能しない。「使った分を買い足す」ことができないからである。したがって、ローリングストックに加えて、一定量の「開けない備蓄」を持っておくことが重要になる。
最後に
この記事を読んで、「大げさだ」「煽りだ」と感じる人もいるだろう。そう感じること自体が正常性バイアスの症状であるとまでは言わない。だが、本稿で引用した数字はすべて公開情報であり、IEA、FAO、経産省、帝国データバンク、東京大学、コロンビア大学、ポリマーケットなど、信頼性の高いソースに基づいている。大げさに書いたつもりはない。事実を並べただけである。
「大丈夫だろう」は分析ではない。祈りである。
祈りで家族は守れない。行動だけが家族を守る。
備蓄不要派のデマゴーグに惑わされてはならない。彼らの「冷静さ」は、あなたの安全を保証しない。自分の頭で考え、自分の手で備え、自分の判断で家族を守る。それが今、すべての日本人に求められていることである。
デマゴーグのポストは悪魔のささやきであると心得よ。
