【美術展2025#32】美術館建築 アートと建築が包み合うとき@茅ヶ崎市美術館
会期:2025年4月1日(火)〜6月8日(日)
地域に根ざした建築設計で知られる山口 洋一郎の「茅ヶ崎市美術館」は、鳥が翼を広げたような屋根が特徴的です。この湘南の軽やかな空気をまとう当館を舞台に、場の特性を活かす“サイト・スペシフィックな芸術”として、5つの珠玉の「美術館建築」を取り上げます。
石見地方特産の石州瓦で建物全体を覆い、釉薬の違いにより玉虫色の建築を創り上げた内藤 廣「島根県芸術文化センター」。広島の造船技術を活用した可動展示室を中心に、所蔵作品から着想を得たエミール・ガレの庭、10棟のヴィラ、レストランからなる海辺にたたずむ坂 茂「下瀬美術館」。瀬戸内の島につくられた銅製錬所の遺構を活用し、周囲の丹念なリサーチのもと、風・水・太陽を“動く素材”として扱い、自然エネルギーによる循環型建築を創り出した三分一 博志「犬島精錬所美術館」。環境・アート・建築が一体となり、上部に大きく開けた穴からうつろう自然を採り込む唯一無二の空間で知られる西沢 立衛「豊島美術館」。加えて、国内の建築資料のアーカイブを行う文化庁国立近現代建築資料館が所蔵する3つの美術館、坂倉 準三「神奈川県立近代美術館」、ル・コルビュジエ「国立西洋美術館」、高橋 靗一※+第一工房「群馬県立館林美術館」のオリジナル図面も公開します。
本展では、模型や設計図面に加え、初期アイデアスケッチ、建築素材、実験過程がわかる資料を通じ、建築家の思考を辿るとともに、その場所にその美術館がある意味を探っていきます。
ジオ・ポンティ展、リビング・モダニティ展と建築系展覧会の記事が続いたので、その流れでさらにハシゴする。
今回の舞台は茅ヶ崎市美術館。
公園内の小高い丘の上に建つ湘南の隠れ家のような美術館だ。
リビング・モダニティ展は住宅建築の展覧会だったが、こちらは美術館建築に焦点を当てている。

・茅ヶ崎市美術館




各所で光の取り入れ方にこだわっている。
地下と1階を繋ぐメイン階段には特に強いこだわりを感じる。




解説パネルの中でも話題に出た昨年開催された「フランシス真悟展」↓
・島根県芸術文化センター


壁面も瓦という斬新なアイデア。
破損した場合は部分だけ交換できるというのは面白い。
焼き色の濃淡の仕上がり具合が微妙に違うため、深みや奥行きを感じる。

瓦モックアップ
垂直壁面に取り付ける瓦は、桟瓦の形状を基本としながら特注の金型で製作。高い精度管理のもと、壁瓦で16万枚、屋根瓦で12万枚を焼き上げた。RCの駆体からの留め付け方は、鋼製下地を介したオープンジョイントにしているが、瓦端部の形状と重ね合わせ方を工夫したことで雨水は瓦の裏側には回らず、万が一損傷した場合でも1枚ずつ交換が可能となっている。
・下瀬美術館

2024年ベルサイユ賞を受賞した「世界で最も美しい美術館」。
ユニットを移動して会場構成を変える事ができる。
ただ建築物で可動式だったり交換式だったりしても実際には大掛かり過ぎて頻繁には行われない気もする。
それこそ黒川紀章の中銀カプセルタワービルは結局カプセルの交換は行われなかったらしいが、果たしてここは計画通り運用されるだろうか。


・旧神奈川県立近代美術館


コルビュジエの愛弟子である坂倉準三の代表作のひとつ。
この面から見ると師匠コルビュジエの影響をモロに受けているのがわかる。




神奈川県立近代美術館は1951年竣工なので、美術館建築としては師匠コルビュジエの国立西洋美術館よりも先だった。
ここは先日訪れたばかりで記憶に新しい。↓
・国立西洋美術館

そしてコルビュジエ。



ところで、会場で展示されていた前庭も含んだ真上からの設計図を見てふと思った。

建物の対角線上の中心から《考える人》まで直線を引くとほぼ同一線上に《カレーの市民》も含まれる。
そしてその角度は本館屋上に備え付けられている三角屋根の半分の角度と同じだ。
真上から見て初めて気付いたが、やっぱり計算されているなあ。
…と思ったのだが、なんか違和感。

《カレーの市民》のズレが嫌だな。
起点を変えてみよう。

一直線上に揃った。
だけど角度の根拠は?
中央の三角屋根をスライドさせてみる。

外枠にぶつかったポイントを用いるとラインが揃った。
だが《考える人》の位置の根拠が謎…。
こんなのはどうだろう。

一応揃ったが無理やり感があるかな?
三角を拡大して本館対角線の中心と《考える人》に角を合わせてみる。

正門からのスロープの終点と本館から外に出る(使われていない)階段の下部分も線上に揃った。
ついでに最初に当てはめた半分の三角屋根もぴったりはまった。
大きい三角のもう一つの角の場所には何かあったっけ?
まだモヤモヤする。
引き続き考えてみよう。
今回の展覧会はアイデアスケッチや設計図、各種資料などは写真撮影不可のものも多かったが、新しい視点で美術館建築そのものと、その土地に建つ意味や意義を考えることができた。
展示されているものが全て国内の建築物で、訪れたことのある場所も多かったので具体的なイメージが浮かび、より親近感が湧いたのも良かった。
レジ前のグッズ販売コーナーでは出展建築家のサイン本が売られていた。

私はサインものに弱い。
もちろん買った。

我が家のサイン本コレクションの一部。

松山智一 大竹伸朗

三沢厚彦 菅木志雄
直接目の前でサインを入れていただいたもの、展覧会会場限定や初回限定のもの、古本で手に入れたもの、来歴は様々だが、中でもお気に入りのものやドローイングが描かれているものなどは額に入れて飾っている。



ちょっとしたサインでも直筆だからこそ作家の息吹を少なからず感じられるため、これはもう小さな作品と言っても良いのでは。
ついついコレクター魂に火がついて増えていってしまうのだ。
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