【美術展2025#105】埼玉古墳群@埼玉県立さきたま史跡の博物館
県名発祥の地、行田市埼玉に特別史跡「埼玉古墳群」があります。ここは、延喜式内社前玉神社のほか、天正18年の忍城水攻めの遺構である石田堤、忍藩主松平家の菩提寺の天祥寺などがあり、豊かな史跡に恵まれています。
埼玉県では、この古墳群を中心に、広い区域を確保し、その環境を整備して古墳群のよりよい保存と一層の活用を図るため「さきたま風土記の丘」を建設しました。その建設の一環として「さきたま資料館」を昭和44年に設置しました。
平成18年4月、県立博物館施設の再編整備計画に基づき、史跡に関する資料及びその他の考古資料の収集、保管及び調査研究を行うとともに、その活用を図ることにより、教育、学術及び文化の発展に寄与するため、新たに「さきたま史跡の博物館」として再出発しました。
純粋?な美術展ではないが、今までも考古学的な展覧会や埴輪の展覧会などを「人間の美的感覚が表出した造形物の展覧会」≒「美術展」としてカウントしてきたので、今回もその解釈で「美術展」としてナンバリングしてみる。
過去のnote↓
さきたま史跡の博物館は、埼玉県行田市のさきたま古墳公園内にある。
というか、さきたま古墳群から出土したものを展示するために区域内にスペースを確保して博物館が建てられた。

ここは日本古代史を解き明かしていく上で超重要な国宝《稲荷山古墳出土金錯銘鉄剣》が出土した場所だ。
現存する最古の日本語文とも言われる文章が刻まれているあの鉄剣。
教科書にも必ず登場するので知らない人はいないはず。
博物館に向かう前にまずは出土された現場に行ってみる。

稲荷山古墳はいわゆる前方後円墳形状。
「前方」部分は後世の復元だが往年の雰囲気を伝えるに十分な佇まい。

「後円」部分に登るとなかなかの大きさ。

ここから日本史上の超重要な品が出土したのだと思うと感慨深い。

周りの古墳も見渡せる。

隣の将軍山古墳には埴輪が並べられている。


その将軍山古墳の内部には展示室が作られている。


内部には復元された石室や出土品(レプリカ)が並ぶ。


本物の出土品は博物館の国宝展示室に展示されているというのでいざ博物館へ。


大きく感じた稲荷山古墳も近畿地方の巨大ニキたちに比べれば、
「クックックッ…やつは前方後円墳界隈の中でも最弱」状態。

だが、そんな「最弱(比喩)」から日本史上の超重要な国宝が爆誕しているのだから、ラスボス仁徳天皇陵(大仙陵古墳)なんて本格的に調査したらどんな激ヤバ品が出土するのだろう。
宮内庁の言い分もわかるがここはぜひ日本史の解像度を高めるために本格的な調査をしていただきたい。
国宝展示室中央に鎮座する鉄剣(ただし展示ケース入れ替えのため令和6年よりレプリカが展示されている)。



出土品のうち、金錯銘鉄剣【きんさくめいてつけん】は、わが国古墳出土品中の白眉である。百十五字からなる銘文は、五世紀のわが国の古代社会が大きく変容をとげている時期のきわめて数少ない同時代史料で、現存最古の日本の文章といえる。その内容は、古代氏族の在り方を伝え、『古事記』、『日本書紀』に伝えられた日本古代国家の歴史を一層明らかにするもので、古代史研究上特に価値が高い。同時に伴出品も鉄剣銘との関連において、古墳時代遺物の編年研究上貴重な資料であり、その学術的価値はきわめて高いものがある。
ということで、鉄剣とともに出土した品々も全て国宝。








ただ残念なことに鉄剣以外の展示ケースがなかなかの旧型で、置き方も平置きなのでガラスの反射と重なりとても見づらかったのでぜひとも改善していただきたい。
その他、さまざまな形状の埴輪が並ぶ。


パネルも掛けられているがちょっとおざなりな感じは否めない。

貴重な写真なのだからもう少しだけ美的センスを発揮して気を遣った展示をすれば見違えるほど見栄え良くなるはず。
設置された頃から一度も変えてなさそうなパネル。

のどかな風景。

そして現在。

普段、美術館巡りをしていて思うのだが、どんなに展示品や建物が素晴らしくても、運用する美術館(博物館)側の悪手によってそのポテンシャルが活かしきれていない(もしくは足を引っ張ってしまっている)状況がちょいちょい見受けられるのが残念だ。
具体的には、過多の注意事項や気の利かない張り紙などが散見したり、色褪せたり劣化したポスターなどがいつまでも貼ってあったり、せっかくのスペースに変な棚が置かれていたり、作品の間隔や配置に緊張感がなかったり、妙なフォントや時代遅れのデザインを用いた解説やキャプションをいつまでも使っていたり、安っぽい椅子や什器が採用されていたり、見えるところに業務用ダンボールなどが積まれていたり…と、ひとつずつ挙げていけばキリがない。
いつの時代も若者は「ナウい ~ イケてる ~ ヤバい」みたいな直感的感覚を行動原理のひとつとしてきたし、SNS全盛の現代では写真映えするかしないかで集客も大きく変化するのでは。
大規模なリニューアル・リノベーションの予算を調達するのはなかなか難しいかもしれないが、職員側の美意識の持ち様ですぐにでも改善できることは多々あるはず。
なんだかんだ言っても美術館や博物館を定期的に巡る人なんて人口比からしたら圧倒的に少数派だろうから、きっかけはミーハーだったとしても美術館や博物館に行く人が増えれば日本人の知的好奇心や美的感覚のボトムアップにつながるはず。
中にはせっかく重い腰を上げて足を運んでも、やっぱりわからないとなってもう行かなくなってしまう人もいるかもしれないが、それを鑑賞者だけの責任にしてはいけないと思う。
わかる人だけわかればいいというスタンスではやっていけない時代、いかに興味を惹きつけ次へ繋げるかということを美術館・博物館側も問われている。
美術館・博物館に行くことが日常的になることは文化力の向上・維持・継承とつながるはず。
願わくば、私のnoteも誰かのきっかけの一助になればと思う。
【美術展2025】まとめマガジン↓
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