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100本の映画より、1本を100回観ることの学び ― 横に広げるか、縦に掘るか

物事極めるアプローチの仕方っていろいろ。

でも突き詰めると、
”縦に学ぶ”か”横に学ぶ”かに絞られるんじゃないかな。

例えば、私の体験談で言うと、
ある大御所の映画監督から、
「良い映画監督になりたいなら、映画を観まくれ」とアドバイスをもらったことがある。
365日、毎日2、3本観まくれ、と。

そして生意気だった私はこう返した。
「私は好きな映画を何百回観ます」
と。

好きな映画を何度も観る時、なぜか毎回、新しい発見があったりする。
「このシーン、ここまで作り込まれてたんだ」
「光がこのタイミングで目に当たるように狙ったんだろうな」
「このカットだけ、敢えて短くしたのかな」
とか。

そして、何回目かには、
その映画のどこが好きなのか、なんで好きなのか、を構造的に、脚本的に、役者の演技的に、セリフがどうとか、照明や色やロケーション、編集の間、すべてにおいて考えが巡っていく。
そうしていくうちに、好きな映画のリズムや匂い、呼吸が、自分の中に、根っこの部分に染み込むように血肉となっていく気がするのだ。


そしてその生意気さは今も変わらない、生意気なままだから。


スポーツでも、語学でも、反復練習が、頭でなく体が覚えてスキルアップになっていくと思うし、画家もピアニストも、そうして上手くなっていくと思うから。
高校の演劇部は、放課後校庭に向かっていつも「あいうえおあい…」と発声していたっけ。


もちろん、多くの作品を観るメリットはある。
最新のトレンドを、テクニックを、人気の俳優をチェックできるし、そうした知識は少しは必要だから。

毎日映画を観たら、きっとクエンティン・タランティーノになれる。
映画評論家にもなれるだろう。

世界中のクールな音楽を聴きまくれば、DJのプレイの幅は広がるだろうし、
いろんなダンスのステップを学べば、どんな舞台にも立てるかも知れない。
広告祭で世界のクリエイティブを見まくったら、アイディアがポンポン出せるクリエイティブディレクターになれるかも知れないし、
世界中の言語で自己紹介できたら、いろんな国籍の友達が出来まくるかも知れない。

でも正直、そこに興味がなかったし、知識は増えるだろうけど、”借りてきた鎧”、身体には残っていかない、”自分の求める自分”に辿り着かない気がする。

縦に、深く、深ーく、自分を掘り進めていった先に、
”どんな作品を生み出せる自分になれるのか”、
そこに興味があった。


そうしてそんな自分に出会えた時初めて、
横の世界に出ていって、自分の中に自然に吸収できるようになるのではないかなと思う。


なので、私の予定を言うと──
”縦に行ってから横”。

今日もまた、同じ映画を観ちゃうかも知れません。



このプロジェクトは、Flower* Inc. によって制作されています。
私の活動が気になった方がいらっしゃったら、こちらの連載もぜひチェックしてみてください。
Open Script Labo『ある映画作りの記録』
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