松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-284-285【薬理、薬剤/実務】論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツ
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問284-285
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-284-285
Q. 40歳女性。体重50kg。1週間前に腎移植の手術を受け、以下の処方により治療を受けている。
(処方1)
ネオーラル®(注)50mgカプセル|1回2カプセル(1日4カプセル)|
1日2回 朝夕食後 7日分|(注:シクロスポリン)
(処方2)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル|250mg
1回4カプセル(1日8カプセル)|1日2回 朝夕食後 7日分|
(処方3)
プレドニゾロン錠|5mg|1回2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
薬剤
問 106-284|薬剤
Q. ネオーラル®50mgカプセルは、シクロスポリンの消化管吸収性を改善するための製剤学的工夫がなされている。その特徴を最もよく表している図の組合せはどれか。1つ選べ。

■選択肢
1. Aとア
2. Aとイ
3. Bとア
4. Bとイ
5. Cとア
6. Cとイ
Here:
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実務
問 106-285|実務
Q. 副作用モニタリングを目的に、薬剤師が患者と面談を行ったところ、患者から「昨晩は食欲がなく夕食をとらずに服用したが大丈夫ですか」と相談があった。シクロスポリンの血中トラフ濃度は、昨日は211ng/mLであったが本日は198ng/mLであった。薬剤師の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 処方1は食事の影響が大きいので、剤形をカプセル剤から内用液剤へ変更するよう主治医に提案する。
2. 食事ができない時は処方1を服用しないよう患者に伝える。
3. シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2を増量するよう主治医に提案する。
4. 食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。
5. シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。
Here:
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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【薬理、薬剤/実務】の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問284-285、論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツを徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n0a850dcf352f
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このコンテンツの制作者|
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa
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設問へのアプローチ|
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の②を取り上げています。
厚生労働省|過去の試験問題👇
第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第106回薬剤師国家試験 問284-285(問106-284-285)では、ネオーラル®50mgカプセルに関する知識を薬剤および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問106-284-285を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。

問106-284および問106-285は、ネオーラル®50mgカプセルに関する記述の正誤を問う問題です。
医療用医薬品添付文書およびインタビューフォームの理解が必要です。
問106-284では、マイクロエマルジョンによる改良カプセル製剤の製剤学的な各論が問われました。
問106-285では、マイクロエマルジョンによる改良カプセル製剤の経口投与時の食事の影響の有無が問われました。
冒頭文で必要な情報は、
ネオーラル®(注)50mgカプセル
です。
少し解説💁
問 106-284|薬剤 💁
Q. ネオーラル®50mgカプセルは、シクロスポリンの消化管吸収性を改善するための製剤学的工夫がなされている。その特徴を最もよく表している図の組合せはどれか。1つ選べ。
---
Aとイ(選択肢2)[正しい]❓💢😥

シクロスポリンは脂溶性であり、経口投与時の吸収に消化管内の胆汁酸分泌量や食事の影響を受けやすいことが知られていたことから、これらの問題を改善するためにマイクロエマルジョンによる改良製剤であるネオーラルが開発されました。
剤形は、軟カプセル剤で、中身は溶液です。
クセツヨ👽(キィー、ヒヒッ)チチンプイプイ問題です。
出題の仕方が間違っています。
この問題の記述では、薬学生が体系的に学んだ薬物送達システム(DDS)の知識レベルを定量的に評価できないです。
このような問題設計に関しては、あらかじめ標準操作手順書やガイダンスを作成して、出題に関しての禁止事項を明記するか、各論的に、レビュワーの審査のプロセスをとる必要があります。
この問題の設計担当者は、誰かが止めないと、利益相反関係から、こうしたゼロ点合格のベクトルを持たせる目的での戦略的かつ意図的なテクニカルな出題傾向👽を繰り返す可能性が推察されます。
今回の問題では、マイクロエマルジョンによる改良製剤であるネオーラル®カプセルの薬物送達システムが問われました。
ネオーラル®が経口投与時の吸収に消化管内の胆汁酸分泌量や食事の影響を受けやすいシクロスポリンの問題を改善したマイクロエマルジョンによる改良製剤であることをあらかじめ覚えておく必要があります。
論点は以下の通りです。
まず、ネオーラル®50mgカプセルという個別の商品名のカプセル剤について、軟カプセルか硬カプセルかを問うています。
次に、カプセルの内容物が、油性溶液か、油性懸濁液か、油性粉末かを問うています。
さらに、カプセル崩壊後の水中での分散状態における油滴の大きさを問うています。
つまり、経口投与してから胃の中でマイクロエマルジョンが生成した際の油滴の粒子径が、微細な液滴(10~100nm)なのか、それとも「目に見える大きな」液滴(どんだけ~)なのかを選択させる問題です。
さらに、油滴が界面活性剤で囲まれているのか、囲まれていないのかを問うています。
ネオーラル®カプセルを経口投与後のマイクロエマルジョン形成の詳細は、「基本的な知識について復習」で、科学文献を引用して後述しました。
時間にゆとりがない人は、上記の太字を選択して Ctrl + F でジャンプできます。
問 106-285|実務 💁
---
シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。(選択肢5)[正しい]❓💢😥
上記のように、シクロスポリンは脂溶性であり、経口投与時の吸収に消化管内の胆汁酸分泌量や食事の影響を受けやすいことが知られていたことから、これらの問題を改善するためにマイクロエマルジョンによる改良製剤であるネオーラル®が開発されました。
「食事の影響がない」ことを論点とした問題は、それぞれの個別な医薬品の製剤での食事の影響に関する臨床試験データをすべて把握していないと正解にたどり着けないという特徴を持っています。
ネオーラルはサンディミュンの改良製剤で、クロスオーバー試験による食事の影響のエビデンスがあります。
食事の影響の程度は改善したという結果です。
もし、出題された製剤がサンディミュンであれば、食事の影響はあることが正解になります。
商品名が、ネオーラルなのかサンディミュンなのかが論点です。
その論点は、薬剤師国家試験の出題基準から逸脱しています。🤣😱

ネオーラル®50mgカプセルのインタビューフォームにおいて開発の経緯の項を読んで覚えていれば、この問題は正解を選ぶことができます。
一般的には、商品名別に製剤独自の特徴を覚えていることは、コアカリキュラムの基本的な理解度を試す薬剤師国家試験の出題範囲としては、適正さに欠けます。
食事の影響について、類似の個別の医薬品におけるネガティブデータを問う問題が頻出しています。
したがって、個別の医薬品の商品名から「食事の影響の有無(特に食事の影響がないこと)」を正解として選択させる問題の性質を鑑み、このような記述で食事の影響がないことを正解として選択させる出題は、標準操作手順書またはガイドラインで、原則として禁止する必要があります。
この問題の設計担当者は、誰かが止めないと、利益相反関係から、こうしたゼロ点合格のベクトルを持たせる目的での戦略的かつ意図的なテクニカルな出題傾向👽を繰り返す可能性が推察されるからです。
食事の影響を論点とする場合の適正な問題設計については、
適正な問題の具体例をガイドラインで示す、
または記述様式を定める、
出題基準から逸脱した問題の事案を明記する、
などの工夫が問題設計過程においてあるべきです。
上記のように、こうした問題の場合、レビュワーが責任者に差し戻して、指導と修正の指示を出すプロセスが必要です。
問 106-285|実務 💁
---
シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2を増量するよう主治医に提案する。(選択肢3)[誤り]
---
食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。(選択肢4)[誤り]
シクロスポリンの相互作用が論点の問題です。
選択肢3は、ミコフェノール酸モフェチルとシクロスポリンとの相互作用(併用注意)が論点です。
シクロスポリンの投与によって、ミコフェノール酸モフェチルの腸肝循環が阻害され、ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度が低下する可能性があります。
シクロスポリン+プレドニゾロン+MMF治療群におけるMPA トラフ 値は、プレドニゾロン+MMF治療群と比較して著しく低値であったとの報告があります。
動物実験において、MPA の代謝物である MPAG の胆汁中への排泄に関与する MRP 2 (Multidrug Resistance-Associated Protein 2)をシクロスポリンが阻害したとの報告があります。
シクロスポリンにより MPAG の胆汁中への排泄が阻害され腸肝循環が減少するため MPA の血中濃度が低下すると考えられています。
ただし、下記のような臨床試験が組まれて有効性が評価されているため、治療時の併用はあります。
基礎併用免疫抑制剤:
シクロスポリン(トラフ値を100~200ng/mLに保つ)、ステロイド
選択肢4は、グレープフルーツジュースとシクロスポリンとの相互作用(併用注意)が論点です。
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することにより、シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時はグレープフルーツジュースの飲食を避けることが望ましいとされています。
引用文献:
ネオーラル®50mgカプセル 医療用医薬品添付文書
相互作用
多くの薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は併用薬を休薬する場合には注意すること。
本剤は代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝され、また、CYP3A4及びP糖蛋白の阻害作用を有する。
本剤はP糖蛋白の基質であるため、P糖蛋白阻害剤又は誘導剤により、本剤の血中濃度が変化する可能性がある。
したがって、これらの酵素、輸送蛋白質に影響する医薬品・食品と併用する場合には、可能な限り薬物血中濃度を測定するなど用量に留意して慎重に投与すること。
併用注意(併用に注意すること)
ミコフェノール酸モフェチル
ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度が低下したとの報告がある。
ミコフェノール酸モフェチルの腸肝循環が阻害され血中濃度が低下すると考えられる。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
ミコフェノール酸モフェチル 医療用医薬品添付文書等
インタビューフォーム 相互作用
シクロスポリン:
国外において、移植後3ヵ月以上経過し移植腎機能が安定している被験者を対象として、シク ロスポリン+プレドニゾロン+MMF治療群とプレドニゾロン+MMF治療群で、MPAの血中 濃度を比較した結果、シクロスポリン+プレドニゾロン+MMF治療群におけるMPA トラフ 値は、プレドニゾロン+MMF治療群と比較して著しく低値であったとの報告77)がある。また、 動物実験において、MPA の代謝物である MPAG の胆汁中への排泄に関与する MRP 2 (Multidrug Resistance-Associated Protein 2)をシクロスポリンが阻害したとの報告 78-79)が ある。シクロスポリンにより MPAG の胆汁中への排泄が阻害され腸肝循環が減少するため MPA の血中濃度が低下すると考えられている。
覚えておくべきステム
医薬品の薬理作用機序を、医薬品名から特定する際に、場合によってはおすすめな方法にステムで識別する方法があります。
今回出題された医薬品のステムに関しては、基本的にインタビューフォームの名称に関する項目の記載から引用したので信頼しうる情報です。
※ 医薬品名のリンクは、それぞれの医薬品のPMDA 医療用医薬品添付文書等のURL です。
シクロスポリン(Cyclosporine)
Calcineurin inhibitors(カルシニューリン阻害薬)
ciclosporine derivatives:‑(clo)sporine
例:シクロスポリン
※ T細胞の活性化に関与するカルシニューリンを阻害することで、インターロイキン-2(IL-2)の産生とT細胞増殖を抑制。免疫抑制作用により臓器移植後の拒絶反応予防、自己免疫疾患(乾癬、関節リウマチなど)に用いられる。副作用として腎毒性、高血圧、多毛症、歯肉肥厚がある。
類薬:カルシニューリンインヒビター、タクロリムス、その他の免疫抑制剤
ミコフェノール酸 モフェチル(Mycophenolate mofetil)
Immunosuppressants(免疫抑制薬)
:stem は不明
例:ミコフェノール酸 モフェチル、ミコフェノール酸ナトリウム
※ ミコフェノール酸は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)を可逆的に阻害することでグアノシンヌクレオチド合成を阻害。これによりリンパ球の増殖を抑制する。臓器移植後の拒絶反応予防に用いられる。副作用には消化器障害、感染症、骨髄抑制がある。
類薬:アザチオプリン、ミゾリビン、シクロスポリン、タクロリムス水和物
プレドニゾロン(Prednisolone)
Corticosteroids(副腎皮質ステロイド薬)
prednisone and prednisolone derivatives(プレドニゾロン、プレドニゾロン誘導体):-pred
steroids other than prednisolone derivatives:-olone
例:プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン
※ グルココルチコイド受容体に結合し、抗炎症作用、免疫抑制作用を示す。炎症性疾患(関節リウマチ、膠原病)、自己免疫疾患、移植後の拒絶反応予防に使用される。副作用には高血糖、骨粗鬆症、易感染性、満月様顔貌がある。
類薬:合成ステロイド剤、トリアムシノロン
参考文献
Use of stems in the selection of International Nonproprietary Names (INN) for pharmaceutical substances, 2024
https://www.who.int/publications/i/item/9789240099388
時間にゆとりがない人は、論点およびポイントから読んでくださいね。
上記の太字を選択して Ctrl + F でジャンプできます。
🫛豆知識 医療用医薬品添付文書等
医療用医薬品添付文書等を一読しておくと応用力がつきます。
PMDA 医療用医薬品添付文書等
シクロスポリン
製造販売/ノバルティスファーマ株式会社
ネオーラル内用液10%/ネオーラル10mgカプセル/ネオーラル25mgカプセル/ネオーラル50mgカプセル
インタビューフォーム F1_ネオーラル内用液10%/ネオーラル10mgカプセル/ネオーラル25mgカプセル/ネオーラル50mgカプセル
患者向医薬品ガイド G_ネオーラル内用液10%
G_ネオーラル10mgカプセル/ネオーラル25mgカプセル/ネオーラル50mgカプセル
ミコフェノール酸 モフェチル
製造販売元/中外製薬株式会社 セルセプトカプセル250/セルセプト懸濁用散31.8%
インタビューフォーム
F1_セルセプトカプセル250/セルセプト懸濁用散31.8%
患者向医薬品ガイド G_セルセプトカプセル250/セルセプト懸濁用散31.8%
プレドニゾロン
製造販売元/武田テバ薬品株式会社 販売/武田薬品工業株式会社
プレドニゾロン錠「タケダ」5mg/プレドニゾロン散「タケダ」1%
インタビューフォーム
IF_プレドニゾロン錠「タケダ」5mg/プレドニゾロン散「タケダ」1%
患者向医薬品ガイド
G_プレドニゾロン錠「タケダ」5mg/プレドニゾロン散「タケダ」1%
以下、シクロスポリン の医療用医薬品添付文書から一部抜粋します。
薬効分類名
免疫抑制剤(カルシニューリンインヒビター)👈覚えておくべき分類
一般的名称
シクロスポリン
1. 警告
1.1 臓器移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
1.2 アトピー性皮膚炎における本剤の投与は、アトピー性皮膚炎の治療に精通している医師のもとで、患者又はその家族に有効性及び危険性を予め十分説明し、理解したことを確認した上で投与を開始すること。[9.7.1 参照]
1.3 本剤はサンディミュン(内用液又はカプセル)と生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上しているので、サンディミュンから本剤に切り換える際には、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)の上昇による副作用の発現に注意すること。特に、高用量での切り換え時には、サンディミュンの投与量を上回らないようにするなど、注意すること。十分なサンディミュン使用経験を持つ専門医のもとで行うこと。
一方、本剤からサンディミュンへの切り換えについては、シクロスポリンの血中濃度が低下することがあるので、原則として切り換えを行わないこと。特に移植患者では、用量不足によって拒絶反応が発現するおそれがある。[7.1 参照],[8.2 参照],[16.1.1 参照],[16.1.2 参照]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
** 2.2 タクロリムス(外用剤を除く)、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ボセンタン、アリスキレン、グラゾプレビル、ペマフィブラートを投与中の患者[10.1 参照]
2.3 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを服用中の患者[9.2 参照],[9.3 参照],[10.2 参照]
2.4 生ワクチンを接種しないこと[10.1 参照]
3. 組成・性状
3.1 組成
ネオーラル内用液10%
有効成分
1瓶(50mL)中シクロスポリン(日局) 5.0g
[内用液1mLはシクロスポリン100mgに相当する]
添加剤
グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、エタノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トコフェロール
ネオーラル10mgカプセル
有効成分
1カプセル中シクロスポリン(日局) 10mg
添加剤
グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、エタノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トコフェロール
カプセル本体にゼラチン、グリセリン、プロピレングリコール、酸化チタン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆レシチン含有
3.2 製剤の性状
ネオーラル内用液10%
外形 -
識別コード -
性状 微黄色~微黄褐色澄明の油状の液で、粘性があり特異なにおいがある。
内容物 -
大きさ(約) -
ネオーラル10mgカプセル
外形
識別コード NVR10
性状 帯黄白色の光沢のある軟カプセルで特異なにおいがある。
内容物 微黄色~微黄褐色澄明の油状の液で、粘性がある。
大きさ(約) 長径:8.9mm
短径:6.7mm
質量:0.2g
** 10. 相互作用
多くの薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は併用薬を休薬する場合には注意すること。
本剤は代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝され、また、CYP3A4及びP糖蛋白の阻害作用を有する。
本剤はP糖蛋白の基質であるため、P糖蛋白阻害剤又は誘導剤により、本剤の血中濃度が変化する可能性がある。
したがって、これらの酵素、輸送蛋白質に影響する医薬品・食品と併用する場合には、可能な限り薬物血中濃度を測定するなど用量に留意して慎重に投与すること。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン
(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) [2.4 参照]
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。
**タクロリムス(外用剤を除く)(プログラフ、グラセプター) [2.2 参照]
本剤の血中濃度が上昇することがある。また、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので併用しないこと。
本剤の代謝が阻害されること及び副作用が相互に増強されると考えられる。
ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール) [2.2 参照]
これらの薬剤の血中濃度が上昇(ピタバスタチン:Cmax6.6倍、AUC4.6倍、ロスバスタチン:Cmax10.6倍、AUC7.1倍)し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、横紋筋融解症等の重篤な副作用が発現するおそれがある。
本剤により、これらの薬剤の血漿中の濃度が上昇する。
ボセンタン(トラクリア) [2.2 参照]
ボセンタンの血中濃度が急激に上昇したとの報告があり、副作用が発現するおそれがある。また、本剤の血中濃度が約50%低下したとの報告がある。
本剤が、ボセンタンのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、ボセンタンの血中濃度が上昇すると考えられる。また、ボセンタンはCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられる。
アリスキレン(ラジレス) [2.2 参照]
アリスキレンの血中濃度が上昇するおそれがある。空腹時の併用投与によりアリスキレンのCmaxが約2.5倍、AUCが約5倍に上昇した。
本剤のP糖蛋白阻害によりアリスキレンのP糖蛋白を介した排出が抑制されると考えられる。
**グラゾプレビル(グラジナ) [2.2 参照]
グラゾプレビルの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤の有機アニオントランスポーター阻害により、これらの薬剤の肝取込みが抑制されると考えられる。
ペマフィブラート(パルモディア) [2.2 参照]
ペマフィブラートの血中濃度が上昇したとの報告がある。
本剤の有機アニオントランスポーター及びCYP3A阻害により、ペマフィブラートの血中濃度が上昇すると考えられる。
(インタビューフォームから一部抜粋して補足します。)
<解説>
生ワクチン:
シクロスポリンの免疫抑制作用により、ワクチン株の異常増殖または毒性の復帰が起こり、発症する可能性が考えられる。このことから、生ワクチンを接種する際は、本剤の投与との間隔を十分にあけること。やむを得ず生ワクチン接種から本剤の投与まで十分な間隔をあけることができない場合には、生ワクチン接種による感染症の発症リスクと本剤投与による治療上の有益性を慎重に判断すること。
タクロリムス:
両薬剤とも、薬物代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)により代謝されるため、競合的に拮抗し、シクロスポリン及びタクロリムスの血中濃度が上昇することが報告されている。また、両薬剤はカルシニューリンインヒビターとして類似の薬理作用を有するため、類似の副作用が報告されており、副作用が増強される可能性も示唆されている。
ピタバスタチン、ロスバスタチン:
機序は明確ではないが、シクロスポリンが薬物トランスポーターであるOATP2を阻害することにより、これらの薬剤の肝細胞内への取り込みが抑制されることが示唆されている。
ボセンタン:
両薬剤とも、薬物代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)系により代謝されるため、ボセンタンの血中濃度が上昇することが報告されている。この他に、シクロスポリンが輸送蛋白質(薬物トランスポーター)を阻害することにより、ボセンタンの肝細胞内への取り込みが抑制されることも推測されている。また、ボセンタンはCYP3A4を誘導するため、シクロスポリンの代謝が阻害されて血中濃度が低下することが報告されている。アリスキレン:シクロスポリンが薬物トランスポーターであるP糖蛋白を阻害することにより、アリスキレンの腸管内への排泄が阻害されると考えられる。
グラゾプレビル:
シクロスポリンの有機アニオントランスポーター阻害により、グラゾプレビルの肝取込みが抑制され、グラゾプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。
ペマフィブラート:
シクロスポリンの有機アニオントランスポーター及び薬物代謝酵素チトクロームP4503A(CYP3A)阻害により、ペマフィブラートの血中濃度が上昇すると考えられる。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法機序・危険因子
PUVA療法を含む紫外線療法 [9.1.5 参照]
PUVA療法を含む紫外線療法との併用は皮膚癌発現のリスクを高める危険性があるため、やむを得ず併用する場合は定期的に皮膚癌又は前癌病変の有無を観察すること。
PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告があり、本剤併用による免疫抑制下では皮膚癌の発現を促進する可能性がある。
**免疫抑制剤
抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)製剤等 [8.6 参照]
過度の免疫抑制が起こることがある。
共に免疫抑制作用を有するため。
ホスカルネット
アムホテリシンB
アミノ糖系抗生物質
ゲンタマイシン、トブラマイシン等
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
シプロフロキサシン
バンコマイシン
ガンシクロビル
フィブラート系薬剤
ベザフィブラート、フェノフィブラート等
腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
メルファラン注射剤
腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
機序は不明である。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン等
腎障害があらわれやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン等
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
アミオダロン
カルシウム拮抗剤
ジルチアゼム
ニカルジピン
ベラパミル
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン、ジョサマイシン等
クロラムフェニコール
アゾール系抗真菌剤
フルコナゾール、イトラコナゾール等
ノルフロキサシン
**HIVプロテアーゼ阻害剤 リトナビル等
コビシスタットを含有する製剤
卵胞・黄体ホルモン剤
ダナゾール
ブロモクリプチン
アロプリノール
フルボキサミン
イマチニブ
ダサチニブ
スチリペントール
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
代謝酵素の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
**カルベジロール
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
カルベジロールのP糖蛋白阻害により本剤の血中濃度が上昇すると考えられる。
メトクロプラミド
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
胃腸運動が亢進し、胃内容排出時間が短縮されるため、本剤の吸収が増加すると考えられる。
アセタゾラミド
ヒドロキシクロロキン
メトロニダゾール
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用があらわれやすくなるので、患者の状態を十分に観察すること。
機序は不明である。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい。
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
リファンピシン
チクロピジン
抗てんかん剤
フェノバルビタール
フェニトイン
カルバマゼピン
モダフィニル
デフェラシロクス
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。
これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
オクトレオチド
ランレオチド
パシレオチド
プロブコール
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。
これらの薬剤が本剤の吸収を阻害すると考えられる。
テルビナフィン
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。
機序は不明である。
エトラビリン
本剤の血中濃度に影響を与える可能性があるため、注意して投与すること。
エトラビリンの代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度に変化が起こることがある。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素が本剤の代謝を促進すると考えられる。
副腎皮質ホルモン剤
高用量メチルプレドニゾロンとの併用により本剤の血中濃度上昇及び痙攣の報告がある。また、プレドニゾロンのクリアランスを低下させるとの報告もある。
相互に代謝を阻害すると考えられる。
ドセタキセル、パクリタキセル
本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
代謝酵素を競合することにより、本剤又はこれらの薬剤の代謝が阻害される可能性がある。
レテルモビル
本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
レテルモビルのCYP3A阻害により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、本剤の有機アニオントランスポーター阻害によりレテルモビルの血中濃度が上昇する可能性がある。
エゼチミブ
本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
機序は不明である。
コルヒチン [2.3 参照],[9.2 参照],[9.3 参照]
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節すること。
機序は不明である。
コルヒチン [2.3 参照],[9.2 参照],[9.3 参照]
コルヒチンの血中濃度が上昇し、コルヒチンの作用が増強するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察すること。なお、肝臓又は腎臓に障害のある患者にはコルヒチンを投与しないこと。
本剤のP糖蛋白阻害によりコルヒチンの血中濃度が上昇することがある。
トルバプタン、チカグレロル、レンバチニブ
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
ダビガトラン、エドキサバン
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強するおそれがある。
本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
リファキシミン
リファキシミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
本剤のP糖蛋白、CYP3A4、有機アニオントランスポーター阻害によりリファキシミンの血中濃度が上昇することがある。
リオシグアト
リオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがある。
P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害によりリオシグアトの血中濃度が上昇することがある。
グレカプレビル・ピブレンタスビル
これらの薬剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
本剤の有機アニオントランスポーター、P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害により、これらの薬剤の血中濃度が上昇すると考えられる。
レパグリニド
レパグリニドの血中濃度が上昇し、血糖降下作用が増強するおそれがある。
本剤が、レパグリニドのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、レパグリニドの血中濃度が上昇すると考えられる。
カスポファンギン
カスポファンギンのAUCが増加したとの報告がある。また、併用により一過性のAST及びALTの増加が認められたとの報告がある。本剤が投与されている患者へのカスポファンギンの投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングを考慮すること。
本剤がカスポファンギンの肝細胞への取り込みを抑制することによると考えられる。
HMG-CoA還元酵素阻害剤 シンバスタチン プラバスタチン等
筋肉痛、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とした急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、患者の状態を十分に観察すること。
HMG-CoA還元酵素阻害剤の血中からの消失が遅延すると考えられる。
ジゴキシン
ジゴキシンの血中濃度が上昇することがあるので、ジゴキシンの血中濃度を参考に投与量を調節するなどジギタリス中毒に注意すること。
ジゴキシンの腎からの排泄を抑制すると考えられる。
ジゴキシン
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
アンブリセンタン
本剤との併用によりアンブリセンタンの血中濃度が上昇しAUCが約2倍になるとの報告がある。
機序は不明である。
テオフィリン
テオフィリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、テオフィリンの血中濃度を参考に投与量を調節すること。
機序は不明である。
不活化ワクチン 不活化インフルエンザワクチン等
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
ニフェジピン
歯肉肥厚があらわれやすい。
歯肉肥厚の副作用が相互に増強されると考えられる。
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトン等
エプレレノン
カリウム製剤
ACE阻害剤
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤
β-遮断剤
ヘパリン
**サクビトリルバルサルタン
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。
高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
利尿剤
チアジド系利尿剤 フロセミド等
高尿酸血症及びこれに伴う痛風があらわれやすいので、血中尿酸値に注意すること。
高尿酸血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
ブロナンセリン、ナルフラフィン
これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
代謝酵素の競合により、これらの薬剤の代謝が阻害されると考えられる。
**シロリムス
シロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には、シロリムスの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
代謝酵素の競合により、シロリムスの代謝が阻害されると考えられる。
エベロリムス
エベロリムスのバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告がある。本剤の用量を変更する際には、エベロリムスの用量調節も行うこと。
代謝酵素の競合により、エベロリムスの代謝が阻害されると考えられる。
エベロリムス
エベロリムスが本剤の腎毒性を増強するおそれがある。
機序は不明である。
**サクビトリルバルサルタン
サクビトリルの活性代謝物(Sacubitrilat)又はバルサルタンの曝露量が増加し、サクビトリルバルサルタンの副作用が増強するおそれがある。
本剤の有機アニオントランスポーター阻害によりSacubitrilat又はバルサルタンの血中濃度が上昇すると考えられる。
**レムデシビル
レムデシビル及び中間代謝物(GS-704277)の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
本剤の有機アニオントランスポーター阻害によりレムデシビル及び中間代謝物(GS-704277)の血中濃度が上昇すると考えられる。
ミコフェノール酸モフェチル
ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度が低下したとの報告がある。
ミコフェノール酸モフェチルの腸肝循環が阻害され血中濃度が低下すると考えられる。
アメナメビル
アメナメビルの血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
機序は不明である。
外用活性型ビタミンD3製剤
タカルシトール、カルシポトリオール
血清カルシウム値が上昇する可能性がある。
本剤による腎機能低下があらわれた場合に、活性型ビタミンD3による血清カルシウム値上昇がよりあらわれやすくなると考えられる。
エルトロンボパグ
エルトロンボパグの血中濃度が低下したとの報告6)及び高値を示したとの報告7)がある。
機序は不明である。
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
〈効能共通〉
11.1.1 腎障害(5%以上)
腎機能障害は本剤の副作用として高頻度にみられる。主な発現機序は用量依存的な腎血管収縮作用によると考えられ、通常、減量又は休薬により回復する。BUN上昇、クレアチニン上昇を示し腎血流量減少、糸球体濾過値の低下がみられる。尿細管機能への影響としてカリウム排泄減少による高カリウム血症、尿酸排泄低下による高尿酸血症、マグネシウム再吸収低下による低マグネシウム血症がみられる。また、器質的な腎障害(尿細管萎縮、細動脈病変、間質の線維化等)があらわれることがある。移植後の大量投与や、腎疾患のある患者への使用あるいは腎毒性のある薬剤[10.1 参照],[10.2 参照]との併用により起こりやすい。なお、腎移植後にクレアチニン、BUNの上昇がみられた場合は、本剤による腎障害か拒絶反応かを注意深く観察し、鑑別する必要がある。[8.4 参照]
性状
白色の粉末で、アセトニトリル、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
logP=2.92(1-オクタノール・水緩衝液)※インタビューフォーム
以下、シクロスポリン のインタビューフォームから一部抜粋します。
Ⅰ-1.開発の経緯
サンディミュン及びネオーラルはノバルティスファーマ社(旧サンドファーマ社、スイス)で開発された免疫抑制剤であり、有効成分であるシクロスポリンは1970年に真菌の一種であるTolypocladiuminflatumGamsの培養液中より得られた、11個のアミノ酸からなる疎水性の環状ポリペプチドである。
シクロスポリンを有効成分とするサンディミュンは、注射剤が1982年12月にスイスで、内用液が1983年2月にイギリスで、カプセル剤が1988年3月にトルコ及びアラブ首長国連邦で最初に承認され、臓器移植後の拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用されている。
日本では、サンディミュン注射剤及び内用液が1985年11月に、カプセル剤が1990年6月に承認された。内用液及びカプセル剤は、腎移植、肝移植、心移植、肺移植、及び膵移植における拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制、ベーチェット病(眼症状のある場合)、尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、再生不良性貧血(重症)、赤芽球癆、ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)に対する適応を、また、注射剤は、腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植における拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制に対する適応を取得している。
シクロスポリンは脂溶性であり、経口投与時の吸収に消化管内の胆汁酸分泌量や食事の影響を受けやすいことが知られていたことから、これらの問題を改善するためにマイクロエマルジョンによる改良製剤であるネオーラルが開発された。
ネオーラルは、内用液が1993年2月にドイツで、カプセル剤が1993年7月にコロンビアで最初に承認され、サンディミュン経口剤に代わる薬剤として、拒絶反応の抑制や様々な自己免疫疾患に対し、臨床の場で広く使用されている。
日本では、ネオーラル内用液、カプセル剤共に2000年3月に承認され、腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植における拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制、ベーチェット病(眼症状のある場合)、尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、再生不良性貧血、赤芽球癆、ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)、全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎の場合)、また、ネオーラル内用液において、川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)に対する適応を取得している。
「細胞移植に伴う免疫反応の抑制」はひろさきLI株式会社が製造販売する再生医療等製品「サクラシー」の細胞移植において、免疫反応抑制のため必要に応じてシクロスポリン及びシクロホスファミドを併用することが適当と判断され、その使用が承認された。
それに伴い、ネオーラルの製造販売事項一部変更承認申請を行い、2022年2月「効能又は効果」及び「用法及び用量」が追加された。
Ⅰ-2.製品の治療学的特性
シクロスポリンの作用機序は直接的な細胞障害性によるものではなく、リンパ球に対する特異的かつ可逆的な免疫抑制作用であり、主にヘルパーT細胞の活性化を抑制する。
シクロスポリンは、T細胞においてシクロフィリンと複合体を形成し、T細胞活性化のシグナル伝達において重要な役割を果たしているカルシニューリンに結合し、カルシニューリンの活性化を阻害する。
(「Ⅵ-2.(2)薬効を裏付ける試験成績」の項参照)
腎、肝、心、肺、膵、小腸移植における拒絶反応の抑制及び骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病(GVHD)の抑制、ベーチェット病、乾癬、再生不良性貧血、赤芽球癆、ネフローゼ症候群、アトピー性皮膚炎、川崎病の急性期の改善が報告されている。
(「Ⅴ-5.(4)検証的試験」の項参照)
重大な副作用として、腎障害、肝障害、肝不全、可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害、感染症、進行性多巣性白質脳症(PML)、BKウイルス腎症、急性膵炎、血栓性微小血管障害、溶血性貧血、血小板減少、横紋筋融解症、悪性腫瘍、神経ベーチェット病症状、クリーゼが報告されている。
(「Ⅷ-8.(1)重大な副作用と初期症状」の項参照)
Ⅰ-3.製品の製剤学的特性
従来のシクロスポリン経口製剤(サンディミュン内用液、同カプセル)にみられた吸収における胆汁酸や食事の影響を少なくし、安定した薬物動態が得られるようシクロスポリンをマイクロエマルジョン化した製剤である。
(「Ⅶ-1.(2)臨床試験で確認された血中濃度」の項参照)
Ⅶ-1. 血中濃度の推移
(1)治療上有効な 血中濃度
◆移植患者
拒絶反応及びGVHDを抑制するため、また、シクロスポリンの副作用を軽減 するために、血中濃度(トラフ値等)を測定し、適切な投与量を決定するこ とが重要である。具体的な治療域は、移植臓器の種類、治療方法(併用薬剤 数、種類及び投与量等)、治療時期、患者の状態等で異なる。
◆自己免疫疾患
主に副作用軽減のため、シクロスポリンのトラフ値の測定が重要である。 ベーチェット病 非感染性ぶどう膜炎
<参考:各疾患のトラフ値に関する情報>
病名:ベーチェット病 非感染性ぶどう膜炎
治療目標:
開始初期は200ng/mLを超えないようにし、長期にわたり使用する場合は、症状の経過をみながら150ng/mLを超えないようにすることが望ましい。
病名:乾癬
治療目標:
トラフ値は200ng/mLを超えないこと。
病名:再生不良性貧血
治療目標:
臨床試験を含めた使用経験が少ないことから、確立した指標はないが、目標トラフ値は150~250ng/mLを目安とする。投与が長期にわたる場合には200ng/mLを超えないことが望ましい。
病名:ネフローゼ症候群
治療目標:
初期用量から始め、1~2ヶ月間投与して効果が出現しない場合は、トラフ値150ng/mLを超えない範囲で経過観察する。また、6ヶ月以上使用する場合は、100ng/mL以下にすること。
病名:全身型重症筋無力症
治療目標:
臨床試験を含めた使用経験が少ないことから、確立した指標はないが、目標トラフ値は200ng/mLを超えないように調節すること。また、維持期においては150ng/mLを超えないこと。
病名:アトピー性皮膚炎
治療目標:
トラフ値は200ng/mLを超えないこと。
病名:川崎病
治療目標:
原則として投与3日目の1回目投与直前に血中トラフ値を測定し、60~200ng/mLを目標として投与量を調節することが望ましい。
(3)中毒域
目標血中濃度(トラフ値等)の範囲は、疾患、治療方法(併用薬剤)、治療期 間、患者の状態等により異なるが、長期に血中濃度が高い場合、腎機能障害等の発生が高くなることが知られている。
(4)食事・併用薬の影響
食事の影響
◆外国人データ 50)
健康成人男子24例に、ネオーラルカプセル180mg及びサンディミュンカプセル300mgを空腹時または朝食後(960kcal:脂肪54.4g含有)単回投与し、全血中シクロスポリン濃度をRIA法により測定した。
サンディミュンでは摂食によりAUC0-48hrが約36%増加し、Tmaxが約2倍延長したが、ネオーラルではAUC0-48hrの平均値は約15%減少したものの、Tmaxは殆ど変化がなく、サンディミュンに比べて食事の影響が小さいことが認められた。
血中濃度の推移及び薬物動態パラメータを下記に示した。

◆グレープフルーツジュースと服用した場合、血中濃度が上昇するとの報告がある。(「Ⅷ-7.相互作用」の項参照)
VIII-7. 相互作用
多くの薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は併用薬を休薬する場合には注意すること。
本剤は代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)で代謝され、また、CYP3A4及びP糖蛋白の阻害作用を有する。
本剤はP糖蛋白の基質であるため、P糖蛋白阻害剤又は誘導剤により、本剤の血中濃度が変化する可能性がある。
したがって、これらの酵素、輸送蛋白質に影響する医薬品・食品と併用する場合には、可能な限り薬物血中濃度を測定するなど用量に留意して慎重に投与すること。64)
まず基本的な知識について復習しておきましょう。
■■Grok 3 beta
ネオーラル®カプセルの油滴粒子径について
ポイント
ネオーラルカプセルの油滴の粒子径は、胃腸液と混ざった後のマイクロエマルジョンの状態で150nm未満であると研究が示唆しています。
カプセル内部では、油滴は明確に存在せず、油と界面活性剤の均一な混合物である可能性が高いです。
粒子径の概要
ネオーラルカプセルは、シクロスポリンのマイクロエマルジョン技術を用いた改良製剤で、軟カプセル剤の中に油と界面活性剤の混合物が含まれています。
カプセル内部では、油滴は明確な粒子として存在せず、均一な液体状態であると考えられます。
しかし、胃腸液と混ざるとマイクロエマルジョンが形成され、その際の油滴の粒子径は150nm未満であると報告されています。
これは、薬物の吸収を改善するための設計に基づいています。
興味深いことに、カプセル内部の混合物は水と混ざるまでマイクロエマルジョンではなく、油滴の粒子径は摂取後に初めて測定可能な状態になります。これは、製剤の設計が消化過程に依存していることを示しています。
調査ノート:
この調査ノートでは、ネオーラルカプセルの軟カプセル剤内部の油滴粒子径に関するエビデンスを詳細にまとめます。
ネオーラルはシクロスポリンのマイクロエマルジョン技術を用いた製剤で、薬物送達システムの改善を目的としています。
以下では、関連する研究と製品情報を基に、粒子径に関する情報を整理します。
背景
ネオーラルカプセルは、ノバルティス社によって開発されたシクロスポリンの経口投与用製剤で、マイクロエマルジョン技術を用いてバイオアベイラビリティを向上させています。
マイクロエマルジョンは、油、水、界面活性剤からなる熱力学的に安定なシステムで、粒子径は通常10〜300nmの範囲とされています(Microemulsion - an overview)。
カプセル内部の構成は混合物(下記、添加剤※参照)で、これ自体は明確な油滴を持つエマルジョンではなく、均一な液体(マイクロエマルジョン予備濃縮物)です。
(Neoral Soft Gelatin Capsules - Summary of Product Characteristics)
※添加剤(医療用医薬品添付文書より):
グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、エタノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トコフェロール
カプセル本体にゼラチン、グリセリン、プロピレングリコール、酸化チタン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、大豆レシチン含有
カプセル内部の油滴粒子径
カプセル内部では、油滴は明確に存在せず、油と界面活性剤の均一な混合物であると考えられます。これは、マイクロエマルジョン予備濃縮物(preconcentrate)が水と混ざるまでマイクロエマルジョンとして機能しないためです。
研究では、こうした予備濃縮物の粒子径は通常、動的光散乱(DLS)などの手法で測定されることがありますが、水と混ざる前の状態では粒子径は定義されないことが多いです。
(Microemulsion characterisation using dynamic light scattering)
しかし、一部の研究では、予備濃縮物が水と混ざる前の構造(例えば逆ミセル)を評価しており、油相がナノスケールの構造を持つ可能性があるとされています。ただし、ネオーラル特有の情報では、カプセル内部の油滴粒子径に関する具体的な数値は見つかりませんでした。
胃腸液と混ざった後の粒子径
カプセルが摂取され、胃腸液と混ざると、内容物は自発的にマイクロエマルジョン(oil-in-water型)を形成します。
この際の油滴粒子径に関するエビデンスは、以下の通りです:
Kovarik et al. (1996) の研究では、ネオーラルは胃腸液中で粒子径が0.15ミクロン(150nm)未満のマイクロエマルジョンを形成すると報告されています。
(Microemulsion technology in the reformulation of cyclosporine: the reason behind the pharmacokinetic properties of Neoral)これは、薬物の吸収を改善し、血中濃度の変動を減らすための設計です。
他の研究では、類似のマイクロエマルジョン製剤の粒子径が20〜50nm程度であると報告されていますが、ネオーラル特有の数値は150nm未満が最も信頼できるエビデンスです。
粒子径の測定方法
マイクロエマルジョンの粒子径は、動的光散乱(DLS)、小角X線散乱(SAXS)、または中性子散乱(SANS)などの手法で測定されます。
(Introductory Chapter: Microemulsions)
これらの方法は、通常、水と混ざった後の状態で適用されます。カプセル内部の状態では、これらの手法は適用困難であり、粒子径の直接的な測定は行われていないようです。
考察および限界
カプセル内部の油滴粒子径に関しては、製剤の設計上、若干の解釈の余地があります。
カプセル内部では油滴は明確に存在せず、均一な混合物であるため、粒子径は定義されない可能性が高いです。
胃腸液と混ざった後のマイクロエマルジョンの粒子径(150nm未満)が関連するエビデンスとして最も適切と考えられます。
また、製品情報(Neoral Soft Gelatin Capsules - Summary of Product Characteristics)や特許情報(Microemulsion preconcentrate, microemulsion and use thereof)から、カプセル内部の粒子径に関する具体的なデータは見つかりませんでした。
これは、製剤の商業的機密性や測定の難しさによるものと考えられます。
まとめ表
以下に、主要なエビデンスをまとめます:
項目 |詳細
カプセル内部の状態|油と界面活性剤の均一な混合物、油滴は明確に存在せず
胃腸液と混ざった後の粒子径|150nm未満(Kovarik et al., 1996)
測定方法|DLS、SAXS、SANS(水と混ざった後)
関連研究|Kovarik et al. (1996), 製品情報
結論
ネオーラルカプセルの軟カプセル剤内部の油滴粒子径は、明確に定義される数値はありませんが、胃腸液と混ざった後のマイクロエマルジョンの粒子径は150nm未満であると研究が示唆しています。これは、製剤の設計上、薬物吸収の効率を高めるための重要な特性です。
主要引用
Neoral Soft Gelatin Capsules - Summary of Product Characteristics
Microemulsion characterisation using dynamic light scattering
マイクロエマルジョンを応用した薬物送達システムを導入した医療用医薬品の事例
以下に、マイクロエマルジョンを応用した薬物送達システムが実際に医療用医薬品として導入された代表的な事例を示し、それぞれの特徴や利点について説明します。
1. シクロスポリンA(Neoral®)
概要: シクロスポリンAは免疫抑制剤であり、臓器移植後の拒絶反応抑制や自己免疫疾患の治療に使用されます。Neoral®は、マイクロエマルジョン技術を活用した経口投与製剤としてノバルティス社により開発されました。
特徴: 従来の製剤(Sandimmune®)では吸収に大きな個人差があり、食物摂取の影響を受けやすかったのに対し、Neoral®はマイクロエマルジョン前駆体(自己マイクロ乳化薬物送達システム、SMEDDS)を採用。これにより、胃腸内で水と接触すると即座にマイクロエマルジョンが形成され、粒径が10~25 nm程度の微細な液滴が生成されます。
利点: 吸収の均一性が向上し、バイオアベイラビリティが約20~30%増加。また、食物の影響を受けにくくなり、投与スケジュールの柔軟性が向上しました。
応用: 腎移植、心移植、肝移植患者や関節リウマチ、乾癬の治療に広く使用されています。
2. リトナビル(Norvir®)
概要: リトナビルはHIV治療に用いられるプロテアーゼ阻害剤で、アッヴィ社が開発した経口投与製剤の一部にマイクロエマルジョン技術が応用されています。
特徴: リトナビルは難溶性薬物であり、従来の製剤では吸収効率が低かったため、マイクロエマルジョン技術を用いて溶解度と吸収率を改善。油相、界面活性剤、水を組み合わせた製剤が採用されています。
利点: マイクロエマルジョン化により、薬物の溶解速度が向上し、小腸での吸収が促進されます。また、他のHIV治療薬との併用時の薬物動態学的相互作用を最適化する効果もあります。
応用: HIV感染症の管理において、他の抗レトロウイルス薬と併用され、ウイルス量の抑制に寄与しています。
3. イブプロフェン(マイクロエマルジョン経皮製剤)
概要: イブプロフェンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で、マイクロエマルジョン技術を用いた経皮投与製剤が市販されています(例: 一部の局所ジェル製剤)。
特徴: マイクロエマルジョンは、油相(例: オレイン酸)と界面活性剤(例: ポリソルベート80)を用いて調製され、皮膚透過性を高める設計がなされています。粒径が小さく、皮膚の角質層への浸透が容易です。
利点: 経口投与に比べて胃腸障害のリスクが低減し、局所的な疼痛や炎症に対して迅速な効果を発揮します。また、マイクロエマルジョンの保湿効果により、皮膚への刺激が少ない点も特徴です。
応用: 筋肉痛、関節炎、捻挫などの局所的な疼痛管理に使用されます。
4. サクイナビル(Fortovase®)
概要: サクイナビルはHIV治療用のプロテアーゼ阻害剤で、ロシュ社が開発したFortovase®はマイクロエマルジョン技術を応用したソフトジェルカプセル製剤です。
特徴: サクイナビルは非常に難溶性であり、従来の製剤(Invirase®)ではバイオアベイラビリティが4%程度と低かった。Fortovase®ではマイクロエマルジョン前駆体を用い、消化管内で微細なエマルジョン滴を形成することで吸収が改善されました。
利点: バイオアベイラビリティが約12%に向上し、治療効果が強化されました。ただし、油脂含量が高いため副作用(消化器症状)が報告されることもあります。
応用: HIV感染症の初期治療や併用療法に使用されていましたが、現在はより新しい薬剤に置き換わりつつあります。
5. フェノフィブラート(Lipofen®やTricor®の一部製剤)
概要: フェノフィブラートは高脂血症治療薬で、マイクロエマルジョン技術を応用した経口製剤が開発されています。
特徴: 難溶性であるフェノフィブラートの溶解度を高めるため、マイクロエマルジョン化された製剤が採用され、吸収効率が向上しています。特に、食物摂取の影響を軽減した製剤が特徴的です。
利点: 従来の製剤に比べて、空腹時でも安定した吸収が得られ、患者の服薬遵守性が向上しました。
応用: 高トリグリセリド血症や混合型脂質異常症の管理に使用されます。
まとめ
これらの事例から、マイクロエマルジョン技術は難溶性薬物の吸収改善、バイオアベイラビリティの向上、投与経路の多様化に大きく貢献していることがわかります。特に経口および経皮投与において実用化が進んでおり、患者の治療効果と利便性を高める重要な技術となっています。
文献リスト
Gursoy, R. N., & Benita, S. (2004). Self-emulsifying drug delivery systems (SEDDS) for improved oral delivery of lipophilic drugs. Biomedicine & Pharmacotherapy, 58(3), 173-182.
Lawrence, M. J., & Rees, G. D. (2000). Microemulsion-based media as novel drug delivery systems. Advanced Drug Delivery Reviews, 45(1), 89-121.
Strickley, R. G. (2004). Solubilizing excipients in oral and injectable formulations. Pharmaceutical Research, 21(2), 201-230.
Talegaonkar, S., Azeem, A., Ahmad, F. J., Khar, R. K., Pathan, S. A., & Khan, Z. I. (2008). Microemulsions: A novel approach to enhanced drug delivery. Recent Patents on Drug Delivery & Formulation, 2(3), 238-257.
マイクロエマルジョンを応用した薬物送達システム(DDS)とは
原理
マイクロエマルジョンは、油、水、界面活性剤、および場合によっては助界面活性剤からなる熱力学的に安定なナノスケールの分散系です。
その粒径は通常10~100 nm程度であり、透明または半透明な外観を呈します。
マイクロエマルジョンの薬物送達システムとしての利点は、疎水性および親水性の両方の薬物を溶解できる能力、優れた安定性、そして生体適合性にあります。
これにより、薬物の溶解度向上、吸収効率の改善、制御放出の実現が可能となります。マイクロエマルジョンは、界面活性剤が油と水の界面張力を極めて低くすることで自発的に形成され、エネルギー入力がほとんど不要である点も特徴です。
手法
マイクロエマルジョンの調製には、主に以下の手法が用いられます:
相図法: 三角相図を用いて、油、水、界面活性剤の組成比を系統的に調整し、マイクロエマルジョン領域を特定します。これにより、最適な配合を決定します。
滴定法: 水または油を界面活性剤と助界面活性剤の混合物に徐々に加え、透明なマイクロエマルジョンが形成される点を観察します。
高圧ホモジナイザー法: 必要に応じて、均一な粒径分布を得るために高圧処理を施す場合もありますが、マイクロエマルジョンは通常自発形成されるため、この工程は省略されることも多いです。
薬物送達においては、経口、経皮、注射、経鼻などの投与経路に応じて組成が調整されます。例えば、経皮投与では皮膚透過性を高めるために特定の油相や界面活性剤が選ばれ、経口投与では胃腸での安定性や吸収率を考慮した設計が行われます。
実際
マイクロエマルジョンは、薬物のバイオアベイラビリティ(生体利用率)を向上させるために広く研究されています。特に、難溶性薬物の溶解度を高めたり、薬物の分解を防ぐ保護効果を提供したりする点で実用化が進んでいます。また、マイクロエマルジョンは標的部位への薬物送達を精密に制御する能力を持ち、がん治療や慢性疾患治療において注目されています。実際の応用では、マイクロエマルジョン製剤は液体、ゲル、クリームなどの形態で使用され、患者の利便性や治療効果の最適化が図られています。
文献リスト
Gursoy, R. N., & Benita, S. (2004). Self-emulsifying drug delivery systems (SEDDS) for improved oral delivery of lipophilic drugs. Biomedicine & Pharmacotherapy, 58(3), 173-182.
Lawrence, M. J., & Rees, G. D. (2000). Microemulsion-based media as novel drug delivery systems. Advanced Drug Delivery Reviews, 45(1), 89-121.
Patel, V. P., & Prajapati, B. G. (2012). Microemulsion: A novel approach to enhanced drug delivery. Journal of Pharmacy Research, 5(1), 123-129.
論点およびポイント
■■GPT4o
問 106-284|薬剤
論点| ネオーラル® / シクロスポリン / DDS / マイクロエマルジョン / 油性溶液 / 界面活性剤
ポイント|
シクロスポリンは水に溶けにくい脂溶性薬物であり、吸収を向上させるために製剤工夫が必要。
ネオーラル®は、シクロスポリンを油性溶液として軟カプセルに封入し、消化管内でマイクロエマルジョンを形成することで吸収を向上させている。
界面活性剤を用いることで、経口投与後の胃の中でシクロスポリンを10〜100nmの微細な液滴(マイクロエマルジョン)として分散させ、吸収性を高める。
吸収のバラツキを抑え、食事の影響を受けにくくする特徴がある。
選択肢の「A(油性溶液、軟カプセル)とイ(微細エマルジョン、界面活性剤)」の組み合わせが、ネオーラル®の製剤特性を最もよく表している。
問 106-285|実務
論点| シクロスポリン / 食事の影響 / 血中濃度 / 免疫抑制 / 患者指導
ポイント|
シクロスポリンは消化管吸収において食事の影響を受けるが、ネオーラル®は製剤工夫によりその影響が最小限に抑えられている。
服薬時の食事の有無による血中濃度変動は小さく、臨床的に大きな影響を及ぼさない場合が多い。
グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害し、シクロスポリンの代謝を遅らせるため、血中濃度が上昇し副作用のリスクが高まる。
シクロスポリンの血中トラフ濃度は211ng/mLから198ng/mLへとわずかに減少したが、この程度の変動は通常の範囲内であり、重大な影響はないと考えられる。
選択肢5「食事による影響は小さいので心配いらない」と患者に伝えることが適切な対応である。
薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
問 106-274(実務)
(1) シクロスポリンの製剤設計と消化管吸収性
シクロスポリンは疎水性が強く、消化管からの吸収が不安定な薬剤である。そのため、従来の製剤では食事の影響を受けることが問題となっていた。
ネオーラル®は、シクロスポリンを含むマイクロエマルション(微細な油滴を形成する技術)を利用した製剤であり、水中に微細な油滴を形成することで吸収性を向上させている。
この技術により、食事の影響を受けにくく、吸収のばらつきを低減できる。
(2) シクロスポリンの血中濃度と食事の影響
シクロスポリンは、食事の影響を受ける可能性があるが、ネオーラル®のようなマイクロエマルション製剤ではその影響が軽減される。
本症例では、食事を摂らなかった場合でも血中トラフ濃度の低下はわずか(211ng/mL → 198ng/mL)であり、臨床的に大きな問題とはならないことが示唆される。
よって、薬剤師は食事の影響が小さいことを患者に説明し、服薬継続を促すことが適切な対応となる。
(3) まとめ
薬剤学的観点:
シクロスポリンの吸収性を向上させるため、マイクロエマルション技術が用いられている。臨床薬物動態的観点:
ネオーラル®は食事の影響を受けにくい製剤であり、食事を抜いても血中濃度に大きな影響を与えない。
→ これらの論点が、問 106-284(薬剤)および問 106-285(実務)の解答選択に影響する。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問 106-284(薬剤)

選択肢1:Aとア
論点
A(シクロスポリンを含む油性溶液の入った軟カプセル)は、マイクロエマルション化が可能な製剤である可能性がある。
ア(水中で目に見える大きな液滴)は、単なる油性溶液が分散している状態であり、微細なエマルション形成が起こっていない。
アプローチ方法
ネオーラル®は、微細なエマルションを形成することで吸収性を向上させているため、「ア」のように大きな液滴を形成するものは適切ではない。
よって、この選択肢は 誤り である。
選択肢2:Aとイ
論点
A(シクロスポリンを含む油性溶液の入った軟カプセル)は、マイクロエマルション化のために適した製剤設計がされている。
イ(水中で微細な液滴(10~100nm))は、界面活性剤によるマイクロエマルション形成を示しており、吸収性の向上につながる。
アプローチ方法
ネオーラル®は、消化管内で微細なエマルションを形成することで、シクロスポリンの吸収を改善する。
図に示された「イ」の状態は、その特性と一致しているため、この選択肢が 正しい。
選択肢3:Bとア
論点
B(シクロスポリンを含む油性懸濁液の入った軟カプセル)は、分散性が向上している可能性があるが、必ずしもマイクロエマルション形成を保証するものではない。
ア(目に見える大きな液滴)は、吸収性向上のための適切な状態ではない。
アプローチ方法
ネオーラル®の特徴は、微細なエマルション形成にあるため、Bの剤形が適切かどうか不明確。
さらに、「ア」の状態は吸収性向上に適さないため、この選択肢は 誤り。
選択肢4:Bとイ
論点
Bの剤形は、シクロスポリンの吸収改善に寄与する可能性があるが、Aよりも確実なエマルション形成が期待できるわけではない。
イ(水中で微細な液滴)は、適切なエマルション形成の証拠である。
アプローチ方法
Bの剤形が必ずしもネオーラル®のマイクロエマルション技術と一致しないため、Aのほうが適切。
よって、この選択肢は 誤り。
選択肢5:Cとア
論点
C(シクロスポリンを含む油性粉末の入った硬カプセル)は、エマルション形成が起こりにくい。
ア(目に見える大きな液滴)は、吸収性向上には適さない。
アプローチ方法
ネオーラル®の技術とは大きく異なるため、この選択肢は 誤り。
選択肢6:Cとイ
論点
C(シクロスポリンを含む油性粉末の入った硬カプセル)は、エマルション形成が期待できない。
イ(水中で微細な液滴)は適切な状態を示しているが、Cの製剤形とは一致しない。
アプローチ方法
Cではマイクロエマルションを形成するのが困難であるため、この選択肢は 誤り。
結論
正答:選択肢2(Aとイ)
→ ネオーラル®は、シクロスポリンを含む油性溶液の軟カプセル(A)を用い、水中で微細なエマルション(イ)を形成することで吸収性を向上させている。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問 106-285(実務)
選択肢1:処方1を内用液剤へ変更するよう主治医に提案する
論点
シクロスポリンの血中濃度は、剤形によって食事の影響を受ける程度が異なる。
ネオーラル®はマイクロエマルション化されており、食事の影響を受けにくい。
アプローチ方法
本症例では、ネオーラル®の使用により、食事の影響が小さくなっていることが確認されている(血中濃度の変動がわずか)。
内用液剤に変更する必要はない。
したがって、この選択肢は 誤り。
選択肢2:食事ができない時は処方1を服用しないよう患者に伝える
論点
シクロスポリンは免疫抑制剤であり、一定の血中濃度を維持することが重要。
服用を中止すると、急性拒絶反応のリスクが高まる。
ネオーラル®は食事の影響を受けにくいため、食事をとらずに服用しても問題は少ない。
アプローチ方法
免疫抑制療法では、服薬アドヒアランスの確保が最も重要。
食事の有無にかかわらず服薬を継続することが望ましい。
したがって、この選択肢は 誤り。
選択肢3:シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2(ミコフェノール酸モフェチル)を増量するよう主治医に提案する
論点
急性拒絶反応のリスクは、シクロスポリンの血中濃度低下に関連するが、わずかな変動(211ng/mL → 198ng/mL)では急性拒絶のリスクは増加しない。
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、シクロスポリンと異なる作用機序(イノシン一リン酸脱水素酵素阻害)を持ち、補助的な免疫抑制剤である。
MMFの増量は、シクロスポリンの血中濃度低下の代替手段にはならない。
アプローチ方法
血中濃度の変動が小さく、急性拒絶のリスクが上昇していないため、追加の介入は不要。
したがって、この選択肢は 誤り。
選択肢4:食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える
論点
グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害し、シクロスポリンの代謝を抑制することで、血中濃度を上昇させる。
シクロスポリンの血中濃度が過剰に上昇すると、腎毒性や高血圧のリスクが増加する。
アプローチ方法
グレープフルーツジュースの摂取は、シクロスポリンの薬物動態に大きく影響を与える可能性があるため、避けるべき。
したがって、この選択肢は 誤り。
選択肢5:シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える(正答)
論点
ネオーラル®はマイクロエマルション製剤であり、食事の影響を受けにくい。
本症例では、食事を抜いた場合でも血中トラフ濃度の変動がわずかであり、臨床的に問題ない。
免疫抑制療法において、患者の不安を取り除き、適切な服薬を継続させることが重要。
アプローチ方法
患者の服薬アドヒアランスを維持するために、食事の影響が小さいことを説明する。
したがって、この選択肢が 正しい。
結論
正答:選択肢5
→ 「シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらない」と患者に伝えるのが適切な対応である。
引用文献リスト
以下は、本問題を解く際に参考にした文献です。
Brunner, L. S., & Suddarth, D. S. (2020). Textbook of Medical-Surgical Nursing. 14th Edition. Wolters Kluwer.
シクロスポリンの薬理作用と薬物動態に関する基本的な情報を提供しています。
Kumar, V., Abbas, A. K., & Aster, J. C. (2018). Robbins and Cotran Pathologic Basis of Disease. 9th Edition. Elsevier.
シクロスポリンを含む免疫抑制療法の適応症とその副作用、特に腎移植後の薬物動態に関する知識を提供しています。
Paine, T. A., & De Leuw, A. A. (2016). Pharmacokinetics of Cyclosporine and Tacrolimus. American Journal of Kidney Diseases, 68(5), 741-747.
シクロスポリンおよびタクロリムスの薬物動態に関する詳細な論文で、食事や製剤形状が吸収に与える影響について説明しています。
Ito, T., & Suzuki, M. (2021). Clinical Pharmacokinetics of Immunosuppressive Drugs in Organ Transplantation. Clinical Pharmacology and Therapeutics, 109(2), 389-404.
免疫抑制薬(特にシクロスポリン)の薬物動態および腎移植患者への影響についての最新の研究結果を提供しています。
The European Association for the Study of the Liver (EASL) (2022). Management of Hepatitis C Virus Infection: A Multidisciplinary Approach. Journal of Hepatology, 66(1), 37-51.
シクロスポリンの代謝に関わる酵素の役割について解説し、CYP3A4などの薬物動態に関連する知見を提供しています。
これらの資料は、シクロスポリンの製剤設計、血中濃度のモニタリング、薬物動態、そして移植患者における臨床的な管理に関連する重要な背景情報を提供しました。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】からネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツを論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問284-285
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-284-285
Q. 40歳女性。体重50kg。1週間前に腎移植の手術を受け、以下の処方により治療を受けている。
(処方1)
ネオーラル®(注)50mgカプセル|1回2カプセル(1日4カプセル)|
1日2回 朝夕食後 7日分|(注:シクロスポリン)
(処方2)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル|250mg
1回4カプセル(1日8カプセル)|1日2回 朝夕食後 7日分|
(処方3)
プレドニゾロン錠|5mg|1回2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
薬剤
問 106-284|薬剤
Q. ネオーラル®50mgカプセルは、シクロスポリンの消化管吸収性を改善するための製剤学的工夫がなされている。その特徴を最もよく表している図の組合せはどれか。1つ選べ。

■選択肢
1. Aとア
2. Aとイ
3. Bとア
4. Bとイ
5. Cとア
6. Cとイ
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-284-285【薬理、薬剤/実務】論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツ|matsunoya
実務
問 106-285|実務
Q. 副作用モニタリングを目的に、薬剤師が患者と面談を行ったところ、患者から「昨晩は食欲がなく夕食をとらずに服用したが大丈夫ですか」と相談があった。シクロスポリンの血中トラフ濃度は、昨日は211ng/mLであったが本日は198ng/mLであった。薬剤師の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 処方1は食事の影響が大きいので、剤形をカプセル剤から内用液剤へ変更するよう主治医に提案する。
2. 食事ができない時は処方1を服用しないよう患者に伝える。
3. シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2を増量するよう主治医に提案する。
4. 食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。
5. シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-284-285【薬理、薬剤/実務】論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツ|matsunoya
■■GPT4o
■問 106-284|薬剤
■論点|
この問題の論点は、シクロスポリンの消化管吸収性を改善する製剤設計を特定することです。
■解説1|
ネオーラル®(シクロスポリン)の吸収改善に関する製剤設計(選択肢2)[正しい]
シクロスポリンは水に不溶な疎水性薬物であり、通常の経口投与では吸収性が低く、個体間の吸収ばらつきも大きい。
ネオーラル®は、シクロスポリンを油性溶液に溶解し、界面活性剤を用いた自己乳化型製剤(SEDDS)として設計されている。
カプセルが崩壊すると、界面活性剤によって10〜100nmの微細エマルジョンが形成され(イの状態)、吸収性が向上する。
選択肢A(油性溶液の軟カプセル)とイ(微細エマルジョン)の組み合わせが、ネオーラル®の特性を最もよく表している。

■解説2|
自己乳化型製剤(SEDDS)は、消化管内の水と接触することで自発的にエマルジョンを形成し、薬物の溶解性を向上させる。
SEDDSの特長として、食事の影響を受けにくい、吸収バラツキが少ない、カプセル崩壊後に微細な油滴を形成して小腸上皮からの吸収が促進される、などが挙げられる。
従来のシクロスポリン製剤(サンディミュン®)は油性懸濁液(B)であり、大きな油滴を形成し吸収のバラツキが大きかった。
硬カプセル中の粉末製剤(C)は最も吸収が悪い形態であり、不適切である。
■結論|
ネオーラル®の特徴を最もよく表すのは、A(油性溶液の軟カプセル)とイ(微細エマルジョン)の組み合わせであり、選択肢2が正しい。

■補足|
Aとア(選択肢1)[誤り]
A(油性溶液の軟カプセル)は正しいが、ア(大きな油滴)は誤り。ネオーラル®は微細なエマルジョンを形成するため「イ」が適切。
Bとア(選択肢3)[誤り]
B(油性懸濁液)は旧型のシクロスポリン製剤(サンディミュン®)に該当し、吸収のバラツキが大きい。
Bとイ(選択肢4)[誤り]
Bは油性懸濁液であり、微細エマルジョン(イ)は形成しないため不適切。
Cとア(選択肢5)[誤り]
C(油性粉末の硬カプセル)は、最も吸収性が低く、実際の製剤には適さない。
Cとイ(選択肢6)[誤り]
C(油性粉末の硬カプセル)は微細エマルジョン(イ)を形成できないため、不適切。

■問 106-285|実務
■論点|
この問題の論点は、シクロスポリンの食事影響と血中濃度変化の評価を特定することです。
■解説1|
シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。(選択肢5)[正しい]
シクロスポリンは食事の影響を受ける可能性があるが、ネオーラル®は自己乳化型製剤(SEDDS)のため、食事の影響が小さい。
本患者の血中トラフ濃度は、211ng/mL(前日)→198ng/mL(本日)と変動がわずかであり、薬効に影響を及ぼすレベルではない。
シクロスポリンの治療域(100〜400ng/mL)内であり、198ng/mLは十分な免疫抑制効果が期待できる範囲である。
したがって、患者には「食事の影響は小さいので問題ない」と説明するのが適切。
■解説2|
従来のシクロスポリン製剤(サンディミュン®)は食事の影響を大きく受けるため、空腹時と食後の吸収にバラツキがあった。
ネオーラル®は自己乳化型製剤(SEDDS)であり、消化管内で自発的に微細エマルジョンを形成するため、食事の影響が少ない。
シクロスポリンのトラフ濃度モニタリングは重要であるが、本症例のような小さな変動は問題にならない。
食事を抜いたことでAUCやCmaxに若干の影響はあるが、トラフ濃度が維持されている限り、免疫抑制効果に大きな影響はない。
■結論|
シクロスポリンのトラフ濃度変動が小さいため、食事の影響を過度に心配する必要はない。
選択肢5が最も適切であり、患者に安心してもらう説明が求められる。
■補足|
処方1は食事の影響が大きいので、剤形をカプセル剤から内用液剤へ変更するよう主治医に提案する。(選択肢1)[誤り]
ネオーラル®(カプセル)は食事の影響が少ないため、剤形変更の必要はない。
食事ができない時は処方1を服用しないよう患者に伝える。(選択肢2)[誤り]
シクロスポリンは一定の間隔で服用することが重要であり、食事の有無にかかわらず服用する必要がある。
シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2を増量するよう主治医に提案する。(選択肢3)[誤り]
シクロスポリンの濃度変動はわずかであり、急性拒絶のリスクはないため、他の免疫抑制薬(処方2)の増量は不要。
食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。(選択肢4)[誤り]
グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害し、シクロスポリンの血中濃度を上昇させるため併用注意。
まとめ
ネオーラル®は食事の影響が少なく、シクロスポリンの血中濃度変動も小さいため、過度な心配は不要。
選択肢5の「心配いらないと伝える」が正解。
必須問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)
薬学理論問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 薬学理論問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, GPT4o, Copilot, and Grok 2|matsunoya
お疲れ様でした。
🍰☕🍊
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問284-285
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-284-285
Q. 40歳女性。体重50kg。1週間前に腎移植の手術を受け、以下の処方により治療を受けている。
(処方1)
ネオーラル®(注)50mgカプセル|1回2カプセル(1日4カプセル)|
1日2回 朝夕食後 7日分|(注:シクロスポリン)
(処方2)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル|250mg
1回4カプセル(1日8カプセル)|1日2回 朝夕食後 7日分|
(処方3)
プレドニゾロン錠|5mg|1回2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
薬剤
問 106-284|薬剤
Q. ネオーラル®50mgカプセルは、シクロスポリンの消化管吸収性を改善するための製剤学的工夫がなされている。その特徴を最もよく表している図の組合せはどれか。1つ選べ。

■選択肢
1. Aとア
2. Aとイ
3. Bとア
4. Bとイ
5. Cとア
6. Cとイ
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-284-285【薬理、薬剤/実務】論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツ|matsunoya
実務
問 106-285|実務
Q. 副作用モニタリングを目的に、薬剤師が患者と面談を行ったところ、患者から「昨晩は食欲がなく夕食をとらずに服用したが大丈夫ですか」と相談があった。シクロスポリンの血中トラフ濃度は、昨日は211ng/mLであったが本日は198ng/mLであった。薬剤師の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 処方1は食事の影響が大きいので、剤形をカプセル剤から内用液剤へ変更するよう主治医に提案する。
2. 食事ができない時は処方1を服用しないよう患者に伝える。
3. シクロスポリンの血中濃度低下による急性拒絶の予防を目的に、処方2を増量するよう主治医に提案する。
4. 食欲のないときはグレープフルーツジュースを飲用するよう患者に伝える。
5. シクロスポリンの血中濃度変化より判断して、食事による影響は小さいので心配いらないと患者に伝える。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-284-285【薬理、薬剤/実務】論点:ネオーラル® / シクロスポリン / 油性溶液 / 界面活性剤 / マイクロエマルジョン / 食事の影響 / グレープフルーツ|matsunoya
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