松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-100【物理】論点:キャピラリー電気泳動法
第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問100
Q. キャピラリー電気泳動は、微量の試料の分析に極めて有用であり、臨床検査における血清タンパク質の分析にも用いられている。溶融シリカ毛細管を用いたキャピラリー電気泳動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢|
pH7の緩衝液を用いると、電気浸透流は陰極から陽極の方向に向かう。
キャピラリーゾーン電気泳動ではpH7の緩衝液を用いると、陽イオン性物質と中性物質は同時に泳動される。
キャピラリーゲル電気泳動でタンパク質を分離すると、分子サイズの大きい順に検出される。
キャピラリー等電点電気泳動では、緩衝液に両性電解質(ポリアミノカルボン酸など)を溶解して分離を行う。
ミセル動電クロマトグラフィーでは、中性物質の相互分離が可能である。
こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【物理】 を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問100、論点:キャピラリー電気泳動法を徹底解説します。
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-100【物理】
論点:キャピラリー電気泳動法
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はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【物理】からキャピラリー電気泳動法を論点とした問題です。
設問へのアプローチ|
第107回薬剤師国家試験の問100(問107-100)は、選択肢の記述に、様々なキャピラリー電気泳動法の論点がちりばめられています。
でも、ここで焦ってはいけません。まず、論点を確認しましょう。
論点は以下の通りです。
1. 電気浸透流とは
2. キャピラリーゾーン電気泳動とは
3. キャピラリーゲル電気泳動とは
4. キャピラリー等電点電気泳動とは
5. ミセル動電クロマトグラフィーとは
この問題では、キャピラリー電気泳動法の基礎理論と概念の理解を問われています。ですから、キャピラリー電気泳動の基礎理論と概念に関する総説(レビュー)の総合的な理解からアプローチして、実力をつけるのが近道です。
この分野は、テキストだけよりも、図と式から理解すると実効性が高いと思います。今回は図と式を多用して論点を解説します。
今回は、2つの論文から総説(レビュー)を引用して、スライド(20枚)にまとめたもので解説します。
これらのポイントを身につければ、問題の解法は自ずとわかってくるはずです。下記に引用した参考文献を示しました。
より理解を深めるには、直接、論文を読んでみるのもいいでしょう。
薬剤師国家試験対策ノート
「キャピラリー電気泳動の基礎理論」論点解説
参考文献:
本水 昌二, 高柳 俊夫, 高性能キャピラリー電気泳動法とその海水分析への応用, 日本海水学会誌, 1999, 53 巻, 3 号, p. 166-179 https://doi.org/10.11457/swsj1965.53.166
志村 清仁, pH勾配のin situ検出がもたらしたキャピラリー等電点電気泳動法の進化, 電気泳動, 2020, 64 巻, 1 号, p. 31-34 https://doi.org/10.2198/electroph.64.31
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解説しています。 matsunoya_note #note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。 今回は、第107回薬剤師国家試験 一般問題のうちの薬学理論問題【物理】問100...
Posted by 滝沢幸穂 on Tuesday, June 11, 2024
Fig. 1 (a) Reuss の実験

🎯 Point
Reuss(1807)が観察した電気泳動と電気浸透の原型となる実験です
粘土粒子(負に帯電したコロイド)が陽極側へ移動する現象が電気泳動です
一方、溶媒(水)が陰極側へ移動する現象が電気浸透です
🧭 論点解説
① 実験装置(粘土・ガラス管・砂層)
この実験では、湿った粘土の塊に二本のガラス管を差し込み、底に砂を敷いて水を満たした構造が使われています。 粘土は負に帯電した微細なコロイド粒子を含んでおり、電場をかけるとその挙動が観察できます。
② 電場を印加(ボルタ電池)
Reuss はルーブル銀貨と錫板を積み重ねたボルタ電池を用いて電場を印加しました。 電場がかかると、溶液中の荷電粒子はそれぞれの極に向かって移動を始めます。
③ 陽極側の変化:粘土粒子の移動 → 乳濁
陽極側では、負に帯電した粘土粒子が砂層を通過して水層に侵入し、水が白く濁ります。 これは 電気泳動(electrophoresis) の典型例で、粒子そのものが電場によって移動する現象です。
④ 陰極側の変化:水層の体積増加 → 電気浸透
一方、陰極側では乳濁は見られず、水層の体積が増加します。 これは 電気浸透(electroosmosis) によるもので、電場によって溶媒(水)が電極方向へ移動した結果です。

🧩 国家試験の視点
電気泳動=粒子が動く、電気浸透=溶媒が動くという区別ができましたか。
Reuss の実験は両者を同時に示す古典的例として理解しておきましょう。
Fig. 1 (b) 電気泳動と電気浸透

🎯 Point
キャピラリー内で起こる電気泳動と電気浸透の基本的な向きを示す図です
電気泳動は荷電粒子の移動、電気浸透は溶媒のバルクフローです
キャピラリー電気泳動では、この2つの流れの合成が観察されます
🧭 論点解説
① チャンネル(キャピラリー)内の模式図
キャピラリー内壁は一般に負に帯電しており、溶液中には対イオンの層(電気二重層)が形成されます。 この構造が、電気浸透流(EOF)の発生源となります。
② 電場印加 → 粒子の移動(電気泳動)
電場をかけると、陽イオンは陰極へ、陰イオンは陽極へ向かって移動します。 これが 電気泳動(electrophoresis) であり、粒子の電荷と電場方向によって移動速度が決まります。
③ 電場印加 → 溶媒の移動(電気浸透)
同時に、キャピラリー内壁の電荷により形成された電気二重層が電場の影響を受け、溶媒全体が一方向に流れます(電気浸透流:EOF)。 キャピラリー電気泳動では、この EOF が分離の方向性を左右します。
④ 電気泳動速度と電気浸透流の合成
観測される移動速度は、
粒子自身の電気泳動速度
溶媒の電気浸透流速度 の 合成ベクトル となります。 これがキャピラリー電気泳動の分離挙動の基礎となります。

🧩 国家試験の視点
EOF の向きはキャピラリー内壁の電荷と電場方向で決まることが理解できましたか。
電気泳動と電気浸透の“合成速度”という概念は CE の本質であり、出題されやすいです。
粒子が逆方向に泳動しても EOF によって検出器側に流れてくるなど、CE 特有の現象を理解する基礎になります。
Fig. 5 キャピラリー電気泳動装置とイオン移動度の測定

🎯 Point
HPCE(高性能キャピラリー電気泳動)の装置概念図の一例です
内径 50~100 μm のキャピラリー内で泳動を行います
注入試料量は数 nL~数 10 nL と極めて少量です
数 nL を精度良く注入できるオートサンプラーを用います
検出はオンキャピラリー方式で、特殊な高感度検出器を使用します
イオン移動度 μep を測定する際、キャピラリー全長 L と検出器までの距離 LD は通常異なります
🧭 論点解説
① HPCE 装置の基本構造と極性
図5は HPCE(高性能キャピラリー電気泳動)の装置概念図を示しています。
電極の極性は分析目的に応じて変更することができ、陽極室と陰極室の間にキャピラリーが接続されています。
このキャピラリー内で試料が泳動し、検出器によって成分が検出されます。
② キャピラリー内での泳動と試料注入量の制約
泳動は内径 50~100 μm の細いキャピラリー内で行われるため、注入できる試料量は数 nL~数 10 nL と極めて少量です。
このため、HPLC や FIA のような μL オーダーの試料注入バルブは使用できません。
精度良く数 nL を注入するために、専用のオートサンプラーが必要となります。
③ オンキャピラリー検出と高感度検出器
キャピラリー内で直接検出を行うオンキャピラリー検出が用いられます。
HPLC のような大きなフローセルは使用できないため、HPCE では特殊な高感度検出器が搭載されます。
これにより、微量試料でも十分な感度で検出が可能になります。
④ イオン移動度 μep の測定と L・LD の関係
イオン移動度 μep を測定する際、キャピラリーの全長 L と検出器までの泳動距離 LD は通常異なります。
図5では、キャピラリー全長 L の途中に検出器が配置されており、LD は L より短い距離として扱われます。
この LD を用いて、後続スライド(式16–19)で示される移動度の計算が行われます。

🧩 国家試験の視点
HPCE の特徴である極めて少量の試料注入とオンキャピラリー検出を覚えよう。
また、イオン移動度 μep を求める際に L と LD が異なる という点は理解できましたか。
キャピラリー電気泳動では、検出器位置が移動度計算に直接関わるため、この構造を正しく把握しておくことが重要です。
イオン移動度測定の前提となる装置構成を解説しました。
Here we go.





















では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問100
Q. キャピラリー電気泳動は、微量の試料の分析に極めて有用であり、臨床検査における血清タンパク質の分析にも用いられている。溶融シリカ毛細管を用いたキャピラリー電気泳動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢|
pH7の緩衝液を用いると、電気浸透流は陰極から陽極の方向に向かう。
キャピラリーゾーン電気泳動ではpH7の緩衝液を用いると、陽イオン性物質と中性物質は同時に泳動される。
キャピラリーゲル電気泳動でタンパク質を分離すると、分子サイズの大きい順に検出される。
キャピラリー等電点電気泳動では、緩衝液に両性電解質(ポリアミノカルボン酸など)を溶解して分離を行う。
ミセル動電クロマトグラフィーでは、中性物質の相互分離が可能である。
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