松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-238-239【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問238-239
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 106-238-239
Q. 46歳女性。職場の検診で乳がんを疑われ、精密検査を受けるため大学病院を受診した。病変部の組織診(針生検)を行い、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)及びHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)のタンパク質発現を病理学的検査により調べた。また、リンパ節や全身への転移の有無をCT検査にて確認し、StageⅡBの乳がんと確定診断された。その結果に基づき、術前化学療法としてEC療法※、次にパクリタキセル療法を実施した。その後、乳房温存術を施行、内分泌療法は行わず経過観察としていたが、翌年再発が判明したため、遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)をし、その結果、オラパリブを投与することとなった。
※EC療法:エピルビシン+シクロホスファミド併用
(処方)
オラパリブ錠150mg|1回2錠(1日4錠)|1日2回|朝夕食後|7日分|
衛生
問 106-238|衛生
Q. 検査の対象となったHER2タンパク質及びBRCA遺伝子に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 乳がんではHER2タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。
2. HER2タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。
3. BRCA遺伝子は、GTP結合タンパク質をコードしている。
4. BRCA遺伝子は、DNA修復に関わるタンパク質をコードしている。
5. 遺伝性乳がんでは、高頻度でBRCA遺伝子に変異がみられる。
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実務
問 106-239|実務
Q. この患者の病理学的検査結果及び遺伝学的検査結果の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
病理学的検査:ER及びPgR、HER2
遺伝学的検査:BRCA遺伝子変異
選択肢(陽性または陰性)
|ER及びPgR|HER2|BRCA遺伝子変異|
■選択肢
1. 陽性|陽性|陽性
2. 陽性|陰性|陽性
3. 陰性|陰性|陽性
4. 陽性|陽性|陰性
5. 陰性|陰性|陰性

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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【物理・化学・生物、衛生/実務】 の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問238-239、論点:乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異を徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
matsunoya_note|note https://note.com/matsunoya_note
Here; https://note.com/matsunoya_note/n/n8cab07a6cc7c
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-238-239【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異|matsunoya
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このコンテンツの制作者|
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa
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設問へのアプローチ|
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の①を取り上げています。
厚生労働省|過去の試験問題👇
第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第106回薬剤師国家試験 問238-239(問106-238-239)では、乳がんに関する知識を衛生および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問106-238-239を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。

問106-238は、HER2タンパク質及びBRCA遺伝子に関する知識を問う問題なので、冒頭の症例、所見を読む必要はないです。
問106-239は、乳がんの診断と病態と薬物治療に関する記述の正誤を問う問題です。
症例から、薬物治療はがんの化学療法のみで、HER2ターゲット療法および内分泌療法が行われなかったことが、冒頭文から読み取るべき内容です。
オラパリブが日本で承認されたのは、2018年4月です。
第106回薬剤師国家試験が実施されたのは2021年2月ですから、国家試験の実施時点で、販売開始後、3年経過していないです。
それで、薬学部ではコアカリキュラムの範囲内で、この抗悪性腫瘍剤/
ポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤について教えるのでしょうか?
優先順位に関して疑問に思いますが、重要な医薬品なので、効能・効果は一読しておいてもよいかもしれません。
乳がんに関しては、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性であるという制限があります。
これを知っていないと、問106-239の正答は確定できないです。
効能又は効果
白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法
BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法
相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法
がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法
BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌
BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法
ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体癌におけるデュルバルマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法後の維持療法
出典: PMDA 医療用医薬品添付文書等 オラパリブ
製造販売元/アストラゼネカ株式会社
プロモーション提携/MSD株式会社 リムパーザ錠100mg/リムパーザ錠150mg
🫛豆知識
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科学的な論述に関しては、若干校正が必要ですが、少なくとも薬剤師国家試験で医師国家試験と重なる一部の出題範囲(例:病態と治療)について、大筋は間違ったことは言わない様子です。
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病理学的検査(ER、PgR、HER2)
概説
1. エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)の重要性
乳がんは、ホルモン受容体の発現状態によって大きく治療方針が変わります。
乳がん細胞の表面に存在するエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)は、それぞれエストロゲンやプロゲステロンと結びつくことで、がん細胞の増殖を促進するシグナルを引き起こします。
したがって、これらの受容体が陽性である乳がんは、ホルモン(エストロゲンまたはプロゲステロン)によって増殖が促されるタイプのがんといえます。
ER陽性の乳がんは、エストロゲンがの影響を受けて増殖が進むタイプのがんです。
PgR陽性の乳がんは、プロゲステロンの影響を受けて増殖が進むタイプのがんです。
2. ERおよびPgR陽性乳がんの治療法
ERおよびPgRが陽性の場合、乳がんはホルモン療法に対して良好な反応を示すことが多いです。
ホルモン療法は、がん細胞へのホルモンの作用を抑制することを目的とし、主に次の方法があります:
アロマターゼ阻害薬
(例:アナストロゾール、レトロゾールなど):
エストロゲンの生成を抑制する薬剤で、特に閉経後の女性に効果的です。選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)
(例:タモキシフェン):
エストロゲン受容体を遮断することにより、エストロゲンの作用を抑える薬剤です。エストロゲン合成酵素阻害薬
(例:フェミストンなど):
エストロゲンの合成そのものを抑制します。
これらの治療法により、ホルモン受容体陽性乳がんの再発リスクを大幅に減少させることができます。
3. ホルモン受容体陽性乳がんと予後
ERおよびPgRが陽性の乳がんは、通常、予後が良好とされています。
これらの受容体が陽性であることで、ホルモン療法が効果的に働き、再発のリスクが低くなります。
そのため、治療の際にはこれらの受容体の状態を評価することが非常に重要です。
4. この症例におけるERおよびPgR陽性の可能性
この症例では、内分泌療法が行われていないことが指摘されています。
内分泌療法が選択されなかった理由として、以下のような可能性が考えられます:
ERおよびPgR陰性:
もしこの症例の乳がんがERおよびPgR両方とも陰性であれば、ホルモン療法は効果が期待できません。
そのため、内分泌療法は実施されず、別の治療法(化学療法やHER2ターゲット療法など)が優先されることになります。ホルモン受容体陽性でも薬剤の選択:
ホルモン受容体が陽性であっても、患者の状態やがんのステージによっては、化学療法や他の治療法が優先される場合もあります。
この症例では、再発後の治療として、BRCA遺伝子検査結果に基づき、オラパリブ(PARP阻害剤)が選択されたため、内分泌療法の選択肢が省かれた可能性があります。
5. ホルモン受容体陰性乳がんの治療
もしも、乳がんがERおよびPgR陰性である場合、内分泌療法は基本的に無効です。
その場合、治療は化学療法や、HER2陽性であればHER2ターゲット療法に依存することが多くなります。
この症例では、術前にEC療法(エピルビシン + シクロホスファミド)という化学療法が選択されています。
6. 再発後の治療と内分泌療法の選択
再発が判明した際、内分泌療法が行われなかった理由として、以下の要因が考えられます:
BRCA遺伝子変異陽性:
BRCA遺伝子変異が確認されたことにより、PARP阻害剤(オラパリブ)の投与が決定されました。
PARP阻害剤は、特にBRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するがん細胞に有効であり、ホルモン療法よりも効果的な場合があります。
このため、内分泌療法が省略され、PARP阻害剤が選ばれた可能性があります。
結論
この症例における病理学的検査結果(ER、PgR)は、乳がんの治療において非常に重要です。もしERおよびPgRが陰性であった場合、ホルモン療法は選択されず、化学療法が優先されます。
再発後、BRCA遺伝子変異陽性の結果を受けて、オラパリブ(PARP阻害剤)が選択されることにより、治療方針がさらに個別化されています。
引用文献:
Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group (EBCTCG). "Tamoxifen for early breast cancer: an overview of the randomised trials." Lancet 1998; 351(9114): 1451-1467.
Foulkes WD, Smith IE, Reis-Filho JS. "Triple-negative breast cancer." New England Journal of Medicine 2010; 363(20): 1938-1948.
Tutt A, Robson M, Garber JE, et al. "Oral poly(ADP-ribose) polymerase inhibitor olaparib in patients with BRCA1 or BRCA2 mutations and advanced breast cancer: a proof-of-concept trial." Lancet 2010; 376(9737): 235-244.
HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)
概説
1. HER2の役割と乳がんにおける重要性
HER2(Human Epidermal growth factor Receptor 2)は、上皮増殖因子受容体の一種で、細胞表面に存在する受容体です。
正常な細胞では、HER2受容体は細胞の成長や分裂を調節する役割を担っていますが、乳がんにおいては、HER2の過剰発現ががんの増殖を助長することがあります。
HER2陽性乳がんは、HER2受容体が過剰に発現している乳がんを指し、これにより細胞の増殖が異常に促進されます。
具体的には、HER2受容体が過剰に存在すると、下記のプロセスが活性化されます:
HER2受容体が過剰発現することで、細胞内の増殖因子が強化され、細胞分裂が加速します。
HER2受容体の活性化により、PI3K/Akt経路およびRAS/MAPK経路が活性化され、細胞生存、増殖、運命決定に関与します。
このシグナルが異常に強化されることで、がん細胞が無制限に増殖することとなります。
2. HER2陽性乳がんの治療方針
HER2陽性乳がんの治療では、化学療法に加え、HER2ターゲット治療が非常に重要な役割を果たします。HER2陽性乳がんは、化学療法単独では再発しやすいため、HER2受容体をターゲットにした治療薬が効果的です。
2.1 HER2ターゲット治療
HER2陽性乳がんに対する代表的な治療薬として、トラスツズマブ(Herceptin)があります。
トラスツズマブは、HER2受容体に特異的に結合し、その受容体の活性化を阻害するモノクローナル抗体です。
これにより、HER2受容体の過剰発現を抑え、がん細胞の増殖を抑制します。また、トラスツズマブは、免疫系を活性化させてがん細胞に対する免疫応答を高める作用もあります。
化学療法とHER2ターゲット療法の併用:
HER2陽性乳がんでは、化学療法と併用することにより、より効果的に治療が進められます。
化学療法ががん細胞の迅速な増殖を抑える一方で、HER2ターゲット療法がHER2受容体を阻害することによって、両者の相乗効果が期待されます。
2.2 他のHER2ターゲット治療薬
ペルツズマブ(Perjeta):
これは、HER2受容体に結合してその活性を抑えるモノクローナル抗体で、トラスツズマブと併用して使用されることが多いです。
ペルツズマブは、HER2受容体の二量体化を防ぐことによって、HER2シグナルの伝達を抑制します。ラパチニブ(Tykerb):
HER2受容体と共にEGFR(上皮成長因子受容体)もターゲットにするチロシンキナーゼ阻害剤で、化学療法に加えて使用されることがあります。
3. この症例におけるHER2ターゲット治療の可能性
HER2陽性乳がんに対しては、術前化学療法と併用してHER2ターゲット治療(例えば、トラスツズマブ)が行われることが一般的です。
EC療法(エピルビシン + シクロホスファミド)後に、HER2ターゲット療法としてトラスツズマブを投与することは、効果的な治療法とされています。
これは、化学療法による初期のがん細胞の縮小を促進し、その後HER2ターゲット療法によって再発リスクを低減させる目的です。
ただし、この症例に関しては、HER2ターゲット療法が実施されたかどうかの情報がないので、詳細は不明です。
HER2陽性の可能性を考慮すると、術前の治療においてHER2ターゲット治療が選択された可能性は高いです。
4. HER2陽性乳がんの予後と治療の重要性
HER2陽性乳がんは、悪性度が高いとされていますが、HER2ターゲット療法の導入により、予後が大きく改善しています。
治療においては、HER2ターゲット療法が非常に効果的であり、これにより再発率が減少し、生存期間が延長することが多くの臨床試験で示されています。
5. HER2ターゲット療法の副作用
HER2ターゲット療法には、いくつかの副作用が報告されていますが、主なものは以下の通りです:
心血管系の影響:
トラスツズマブやペルツズマブは、心機能に影響を与えることがあり、特に心不全のリスクがあります。治療中は心機能の監視が必要です。注射部位反応:
モノクローナル抗体であるトラスツズマブは、注射部位の反応(発赤、腫れなど)が見られることがあります。下痢:
ペルツズマブなど、他のHER2ターゲット療法では、下痢が副作用として現れることがあります。
結論
HER2陽性乳がんでは、化学療法と併用したHER2ターゲット療法(例:トラスツズマブ)が重要な治療法です。
この症例においても、HER2陽性乳がんの可能性を考慮すると、術前化学療法に加えて、HER2ターゲット療法が行われた可能性が高いです。
HER2ターゲット療法は、がん細胞の増殖を抑制し、再発リスクを低減させるため、予後の改善に寄与します。
引用文献:
Slamon DJ, Godolphin W, Jones LA, et al. "Studies of the HER-2/neu proto-oncogene in human breast and ovarian cancer." Science 1989; 244(4905): 707-712.
Burstein HJ, Lieberman G, Borden EC, et al. "Targeted therapy for HER2-positive breast cancer." Journal of Clinical Oncology 2007; 25(19): 3099-3106.
Piccart-Gebhart MJ, Procter M, Leyland-Jones B, et al. "Trastuzumab after adjuvant chemotherapy in HER2-positive breast cancer." New England Journal of Medicine 2005; 353(16): 1659-1672.
BRCA遺伝子とは
1. BRCA遺伝子の基本的な役割
BRCA遺伝子(Breast Cancer gene)は、乳がんおよびその他のがん(特に卵巣がん)の発症に関連する重要な遺伝子群です。
BRCA遺伝子にはBRCA1およびBRCA2の2種類があり、両者ともにDNA修復機能に関与しています。これらの遺伝子は、正常な細胞がDNA損傷を修復し、がん細胞の形成を防ぐために非常に重要です。
BRCA1:
BRCA1遺伝子は、DNA二本鎖切断修復を行ううえで、重要な役割を果たします。
BRCA1タンパク質は、細胞の核内でDNA修復に関与し、細胞周期の監視を行います。
BRCA1遺伝子の変異は、修復機能を損なわせ、突然変異を蓄積させ、がん細胞が増殖しやすくなる原因となります。BRCA2:
BRCA2遺伝子も同様に、DNA修復に関与するタンパク質をコードしており、二本鎖DNA切断修復を行ううえで、重要な役割を果たします。
BRCA2遺伝子の変異も、がんのリスクを高める原因となります。
これらの遺伝子は、特に乳がんおよび卵巣がんの遺伝的素因に密接に関連しており、変異が存在する場合、これらのがんの発症リスクが大幅に増加します。
2. BRCA遺伝子変異と乳がんリスク
BRCA遺伝子に変異があると、がん抑制遺伝子としての機能が失われ、DNA損傷の修復能力が低下します。
その結果、がんが発生しやすくなるため、BRCA遺伝子の変異が乳がんや卵巣がんのリスクを著しく高めます。
BRCA1の変異:
BRCA1の変異は、乳がんおよび卵巣がんの発症リスクを大きく高めることが知られています。
BRCA1の変異がある女性は、乳がんの発症率が約55~65%で、卵巣がんの発症率が約39%とされています。
BRCA1変異は、乳がんの中でも特に三陰性乳がん(ホルモン受容体陰性、HER2陰性)と呼ばれるタイプのがんと強く関連しています。BRCA2の変異:
BRCA2の変異も乳がんおよび卵巣がんのリスクを高めますが、BRCA1と比較すると卵巣がんのリスクはやや低く、乳がんの発症率は約45~55%程度とされています。
BRCA2の変異があると、男性乳がんのリスクも高まることがあり、膵臓がんや前立腺がんなど、他の種類のがんにも関連しています。
3. BRCA遺伝子の検査と遺伝学的カウンセリング
BRCA遺伝子変異は、家族歴や乳がん、卵巣がんの早期発症が認められる場合に特に疑われます。
遺伝学的検査によって、BRCA1およびBRCA2の変異を確認することができます。
この検査は、がんの早期発見、予防、治療の方針を決定するために非常に有用です。
遺伝学的カウンセリング:
BRCA遺伝子検査を行う前には、遺伝学的カウンセリングを受けることが重要です。
カウンセリングでは、検査の目的、結果の解釈、発症リスクなどについて説明を受け、患者やその家族が理解し納得した上で検査を受けることが求められます。
4. BRCA遺伝子変異に対する治療戦略
BRCA遺伝子に変異があることが判明した場合、乳がんの治療にはいくつかの戦略が考慮されます。
4.1 予防的乳房切除術
BRCA遺伝子に変異が確認された場合、乳がんの発症リスクを減少させるために、予防的乳房切除術が検討されることがあります。これは、乳がんのリスクを大幅に低下させる手段の1つです。
4.2 オラパリブ(PARP阻害剤)の使用
BRCA1またはBRCA2変異がある患者に対しては、オラパリブ(PARP阻害剤)の使用が推奨される場合があります。
オラパリブは、DNA修復を担うPARP酵素を阻害することにより、BRCA変異細胞の修復機能をさらに損なわせ、がん細胞の死滅を促進します。
BRCA変異を有するがん患者に対する有効性が証明されています。
4.3 化学療法とターゲット療法
BRCA変異がある乳がん患者には、化学療法の他に、HER2ターゲット療法や、免疫チェックポイント阻害剤など、進行がんに対する他の治療戦略が併用されることがあります。
これらの治療法は、がん細胞の増殖を抑えるとともに、再発リスクを低減させる効果が期待されています。
5. BRCA遺伝子と発がんメカニズム
BRCA遺伝子は、正常な細胞においてはDNA修復機能に重要な役割を果たしています。
特に、BRCA1とBRCA2は、二本鎖DNA切断修復に関与しており、これらの遺伝子が損傷を受けると、DNA修復がうまく行えなくなり、突然変異の蓄積が進行します。
この蓄積が細胞のがん化を促進し、がん発症のリスクを高める原因となります。
引用文献:
Miki Y, Swensen J, Shattuck-Eidens D, et al. "A strong candidate for the breast and ovarian cancer susceptibility gene BRCA1." Science 1994; 266(5182): 66-71.
Wooster R, Bignell G, Lancaster J, et al. "Identification of the breast cancer susceptibility gene BRCA2." Nature 1995; 378(6559): 789-792.
National Cancer Institute. "BRCA1 and BRCA2: Cancer Risk and Genetic Testing." https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/genetics/brca-fact-sheet (Accessed January 2025).
Tutt A, Robson M, Garber JE, et al. "Oral poly(ADP-ribose) polymerase inhibitor olaparib for metastatic breast cancer in patients with a germline BRCA mutation." New England Journal of Medicine 2015; 373(18): 1704-1713.
オラパリブ(PARP阻害剤)
適用および薬効・薬理

製造販売元/アストラゼネカ株式会社 プロモーション提携/MSD株式会社 オラパリブ
1. オラパリブの適用
1-1. 適応症
オラパリブは、PARP阻害剤であり、主に遺伝性乳がんおよび卵巣がんに対して適応されます。
具体的には、BRCA1およびBRCA2の遺伝子変異を有する患者において、腫瘍の治療に使用されます。
オラパリブは、DNA修復を促進する役割を持つBRCA遺伝子変異を有するがん細胞に対して有効です。
乳がん
BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異を持つ乳がん患者において、オラパリブは術後補助療法として使用されることがあります。
また、進行した乳がんにおいても効果が認められています。卵巣がん
オラパリブは、BRCA遺伝子変異を有する進行卵巣がんの治療に使用され、再発卵巣がんにおいてPARP阻害剤が有効であることが臨床試験により示されています。その他の適応
さらに、遺伝子変異に関わらず、PARP阻害が腫瘍の遺伝的背景により有効である可能性があり、臨床試験においては進行がん、特に膵臓がんや前立腺がんに利用されています。
1-2. 使用方法
オラパリブは通常、経口薬として服用され、1日2回、決められた用量を継続的に服用します。
乳がんおよび卵巣がんに対する標準的な投与量は150mgの錠剤を1回2錠、1日4錠とされています。
2. オラパリブの薬効および薬理
2-1. 機序:PARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)阻害
オラパリブは、DNA修復酵素であるPARPを阻害します。PARPは、DNA損傷に応答して働く重要な酵素で、特にDNA単鎖切断(SSBs)の修復に関与します。PARPが働かないと、DNA損傷が修復されず、細胞は致命的な二本鎖切断(DSBs)を蓄積します。
BRCA1/2変異細胞への影響
BRCA1またはBRCA2の機能が欠損しているがん細胞では、通常の相同組換え修復(HRR)経路が機能しないため、PARPによるDNA修復が頼りです。
オラパリブはこの修復経路をさらに阻害し、細胞死を誘導します。このようながん細胞は「合成致死」状態となり、オラパリブが有効に作用します。がん細胞における選択的効果
一方で、正常細胞においては、PARP阻害の影響が比較的軽微であり、選択的にがん細胞を標的とする治療法としての利点があります。
2-2. 薬理学的特性
薬物動態
オラパリブは経口投与後、比較的速やかに吸収され、血中濃度は食事の影響を受けにくいことが示されています。
主に肝臓で代謝され、主な代謝物も活性を持っていますが、代謝は主にCYP3A4酵素によるため、他の薬剤との相互作用に注意が必要です。副作用
オラパリブの主な副作用としては、貧血、悪心、下痢、疲労感、食欲不振などが報告されています。
重篤な副作用としては骨髄抑制や白血球減少、肝機能異常などがあり、定期的な血液検査が重要です。
3. オラパリブの臨床試験結果
3-1. 臨床試験における有効性
オラパリブの有効性は、いくつかの重要な臨床試験によって示されています。特に、BRCA1/2変異陽性の乳がんおよび卵巣がん患者において、オラパリブは奏効率の向上が確認されています。
乳がん
乳がんにおける臨床試験では、オラパリブは標準的な化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)の延長が認められました。
さらに、再発乳がん患者においても、オラパリブは進行を遅らせる効果を示しています。卵巣がん
卵巣がんにおいては、オラパリブは治療効果が非常に高いとされ、再発卵巣がん患者における生存期間の延長が確認されています。
特にBRCA変異を有する患者においては、PARP阻害が有効であることが確立されています。
4. 結論
オラパリブは、BRCA遺伝子変異を持つ乳がんおよび卵巣がんなどに対して有効な治療薬であり、PARP阻害という独自の作用機序を通じて、がん細胞のDNA修復を阻害し、合成致死を引き起こします。
臨床試験結果から、特にBRCA変異陽性の患者において高い有効性を示し、現在も進行中の研究においてさらにその範囲を広げる可能性があります。
参考文献
Ledermann, J. A., et al. "Olaparib maintenance therapy in patients with platinum-sensitive relapsed ovarian cancer." The Lancet 387.10038 (2016): 1406-1414.
Tutt, A., et al. "Targeting the DNA repair defect in BRCA mutant and triple-negative breast cancer with PARP inhibitors." Nature Reviews Clinical Oncology 7.9 (2010): 508-518.
Pujade-Lauraine, E., et al. "Olaparib tablets as maintenance therapy in patients with platinum-sensitive, relapsed ovarian cancer: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial." The Lancet Oncology 19.9 (2018): 1244-1254.
Carmichael, J., et al. "Olaparib: An overview of the clinical development and regulatory status of a novel PARP inhibitor." Cancer Therapy 42 (2017): 3-13.
National Comprehensive Cancer Network (NCCN) Guidelines for Ovarian Cancer. Version 3.2024.
症例の治療方針
まとめ
1. 症例の概要
職場の検診で乳がんを疑われ、精密検査を受けて、StageⅡBの乳がんと確定診断されました。
病変部に対して組織診(針生検)を行い、病理学的にエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)の発現を調べ、また、CT検査でリンパ節や全身への転移の有無を確認しています。
術前化学療法としてEC療法(エピルビシン + シクロホスファミド)を実施し、その後乳房温存術を行いました。
内分泌療法は行わず経過観察としていました。
しかし、再発が判明し、遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)を行った結果、BRCA遺伝子に変異があることが分かり、オラパリブ(PARP阻害剤)の投与が決定されました。
2. 推定される検査結果とその理由
2.1 病理学的検査(ER、PgR、HER2)
エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR):
乳がんの治療において、ERおよびPgRの発現は非常に重要です。
これらの受容体が陽性である場合、内分泌療法(ホルモン療法)が効果的であり、がん細胞の増殖を抑えることができます。
この症例では、内分泌療法が行われなかったため、ERおよびPgRが陽性でない可能性があります。
症例においてホルモン受容体陽性のがんでないと予測され、再発後に内分泌療法は選択されなかったと推察されます。HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型):
HER2は乳がん細胞に過剰発現している場合、がん細胞の増殖を促進します。
HER2陽性のがんは、化学療法と併用してHER2ターゲット治療(例えば、トラスツズマブ)を行うことが一般的です。
この症例では、HER2陽性の乳がんと考えられた場合、術前化学療法に加えてHER2ターゲット療法を行った可能性もあります。
情報が不足しているため詳細は不明です。
2.2 CT検査
CT検査では、乳がんのリンパ節転移や遠隔転移の有無を確認することが重要です。
この症例では、転移が確認されていないため、転移の疑いが低かったことが示唆されます。
乳がんのステージは、StageⅡB(腫瘍が最大2-5cmで、転移はないか、またはリンパ節転移にとどまる場合)に分類されています。
2.3 BRCA遺伝子検査
再発後に実施されたBRCA遺伝子検査は、遺伝性乳がんや卵巣がんに関連するBRCA1およびBRCA2遺伝子変異を確認するために行われます。
BRCA1またはBRCA2の変異がある場合、PARP阻害剤(例えばオラパリブ)の使用が推奨されます。
この症例では、BRCA遺伝子変異が陽性であったため、オラパリブが投与されることになったと考えられます。
BRCA遺伝子変異を有する患者は、DNA修復経路が破壊されているため、PARP阻害剤が選択的に効果を示すとされています。
3. 治療方針
治療の流れとしては、最初に術前化学療法として、EC療法(エピルビシン + シクロホスファミド)が使用されました。
これにより、腫瘍の縮小を図り、乳房温存術が実施されたと考えられます。
術後の内分泌療法は行われなかったため、ERやPgRの発現は低かったか、別の治療法にシフトしたと思われます。
再発が確認された後、BRCA遺伝子検査が行われ、BRCA遺伝子変異が確認されたことで、オラパリブ(PARP阻害剤)の投与が決定されました。オラパリブは、BRCA1またはBRCA2の変異がある場合、DNA修復を阻害することでがん細胞に選択的に作用し、再発のリスクを低減することが期待されます。
4. 結論
この症例では、乳がんの診断と治療において、病理学的検査(ER、PgR、HER2)および遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)を行い、それに基づいて適切な治療が施されています。
再発後に実施されたBRCA遺伝子検査の結果、オラパリブが投与されることで、BRCA遺伝子変異を有するがん細胞に対して効果的な治療が進められています。
治療の進行に応じて、個別の治療方針を策定することが重要であるといえます。
論点およびポイント
■■GPT4o
問 106-238|衛生
論点|HER2タンパク質 / BRCA遺伝子 / 機能的役割 / 乳がんの分子病理
ポイント|
HER2タンパク質は受容体型チロシンキナーゼであり、乳がんで過剰発現が高頻度で見られる。
HER2過剰発現は乳がんの進行性および予後不良に関連する。
BRCA遺伝子はDNA修復に関わるタンパク質をコードしており、ゲノム安定性の維持に重要である。
遺伝性乳がんの多くでBRCA遺伝子に変異がみられ、これが発症リスクを大幅に上昇させる。
BRCA遺伝子はGTP結合タンパク質をコードしていない(本問の誤答選択肢)。
問 106-239|実務
論点|ER受容体 / PgR受容体 / HER2 / BRCA遺伝子変異 / 適切な治療選択
ポイント|
病理学的検査結果で、ERおよびPgRが陰性、HER2も陰性である場合、ホルモン療法およびHER2標的療法は効果が期待できない。
BRCA遺伝子変異が陽性の場合、オラパリブ(PARP阻害剤)が有効であり、DNA修復機能不全を活用した選択的がん細胞殺傷が期待できる。
本症例では病理学的にER、PgR、HER2すべて陰性である可能性が推察され、BRCA遺伝子変異は陽性であると推定される。
HER2陰性の乳がんにおける治療戦略は、BRCA変異や他の分子マーカーによる治療選択に依存する。
適切な治療選択には、病理学的および遺伝学的検査結果を統合して判断することが重要である。
薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
問 106-238(衛生)
この問題では、乳がんに関連する分子生物学的マーカーであるHER2タンパク質およびBRCA遺伝子の機能や役割について問われています。
特に以下が論点となります:
HER2タンパク質の発現と乳がんの病態との関係。
BRCA遺伝子がコードするタンパク質の機能とその疾患関連性。
HER2タンパク質は受容体型チロシンキナーゼであり、乳がんにおける過剰発現は腫瘍の増殖や悪性度の上昇に寄与します。
一方、BRCA1/2遺伝子はDNA修復(相同組換え(homologous recombination, HR)修復)の重要な役割を担い、これらの遺伝子に変異がある場合、乳がんや卵巣がんのリスクが増加します。
選択肢の中で誤りを指摘するには、BRCA遺伝子が「GTP結合タンパク質」をコードしていないことを正確に理解する必要があります。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問106-238(衛生)
選択肢1. 乳がんではHER2タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。
論点:
HER2タンパク質の過剰発現は乳がん患者の約15~20%に認められ、進行性および予後不良の因子として知られる。アプローチ方法:
HER2過剰発現は免疫染色やFISH(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)で評価される事実を確認し、この記述が正しいことを認識。
選択肢2. HER2タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。
論点:
HER2はErbBファミリーに属し、細胞増殖と分化を促進するチロシンキナーゼ受容体として働く。アプローチ方法:
HER2の分子機構(リガンド依存性活性化を持たないがヘテロダイマー化により活性化)を理解し、この記述が正しいことを認識。
選択肢3. BRCA遺伝子は、GTP結合タンパク質をコードしている。
論点:
BRCA1/2遺伝子はGTP結合タンパク質ではなく、DNA修復に関与するタンパク質をコードしている。
この記述は誤り。アプローチ方法:
BRCA遺伝子の機能を整理し、DNA修復やゲノム安定性維持に関与する役割を理解する。
選択肢4. BRCA遺伝子は、DNA修復に関わるタンパク質をコードしている。
論点:
BRCA1/2は相同組換え(Homologous recombination; HR)修復経路において重要であり、これが正しい記述である。アプローチ方法:
BRCA1/2の役割を基に、この選択肢が正しいことを確認する。
選択肢5. 遺伝性乳がんでは、高頻度でBRCA遺伝子に変異がみられる。
論点:
遺伝性乳がんの患者ではBRCA1/2変異が約50%で検出される。アプローチ方法:
遺伝性乳がんとBRCA変異の関係性を踏まえ、この記述が正しいことを認識する。
解答:
選択肢3が誤り。
引用文献
Slamon DJ, et al. "Human breast cancer: correlation of relapse and survival with amplification of the HER-2/neu oncogene." Science. 1987;235(4785):177-182.
HER2タンパク質の過剰発現と乳がんの進行性に関する研究。
Roy R, et al. "BRCA1 and BRCA2: different roles in a common pathway of genome protection." Nat Rev Cancer. 2012;12(1):68-78.
BRCA遺伝子のDNA修復経路における役割の詳細。
Tutt AN, et al. "Exploiting the DNA repair defect in BRCA mutant cells in the clinic." Oncogene. 2010;29(24):3665-3675.
BRCA遺伝子変異と癌治療における臨床的利用。
Wolff AC, et al. "Human epidermal growth factor receptor 2 testing in breast cancer: American Society of Clinical Oncology/College of American Pathologists clinical practice guideline focused update." J Clin Oncol. 2018;36(20):2105-2122.
HER2検査と治療の実際に関するガイドライン。
Domchek SM, et al. "Association of risk-reducing surgery in BRCA1 or BRCA2 mutation carriers with cancer risk and mortality." JAMA. 2010;304(9):967-975.
遺伝性乳がんとBRCA遺伝子変異の関連性。
問 106-239(実務)
この問題では、病理学的および遺伝学的検査結果が患者の治療選択にどのように影響するかを問われています。
ER、PgR、HER2の陽性/陰性結果の臨床的意義
ERおよびPgR陽性はホルモン依存性乳がんを示し、内分泌療法が有効である可能性を示唆する。
陰性の場合、ホルモン療法は効果が期待できない。HER2陽性はHER2標的治療(例:トラスツズマブ)が有効である可能性を示唆する。
陰性の場合、この治療は適応外。
BRCA遺伝子変異の有無と治療選択
BRCA変異陽性の場合、オラパリブなどのPARP阻害剤が適応される可能性が高い。
これにより、がん細胞がDNA修復不全に陥り、選択的に殺傷される。
本症例での重要なポイント:
病理学的検査ではERおよびPgRが陰性であり、ホルモン依存性がない。
HER2も陰性であり、HER2標的治療の適応外。
再発後の遺伝学的検査においてBRCA遺伝子変異が検出され、オラパリブ投与が選択された。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法

問106-239(実務)
選択肢1. 陽性|陽性|陽性
論点:
ER、PgR、HER2がすべて陽性の場合、ホルモン療法およびHER2標的治療の両方が適応される可能性が高い。
これは、本症例の結果と一致しない。アプローチ方法:
ERおよびHER2陰性である可能性を考慮し、この選択肢を除外。
選択肢2. 陽性|陰性|陽性
論点: ER陽性である場合、ホルモン療法が治療選択肢となる可能性が高い。
これは、本症例の結果と一致しない。アプローチ方法:
ERが陰性である可能性を考慮し、この選択肢を除外。
選択肢3. 陰性|陰性|陽性
論点:
ERおよびHER2陰性、BRCA変異陽性は本症例の結果と一致する。
また、BRCA陽性に基づき、オラパリブの投与が適切である。アプローチ方法:
治療選択と合致するため、この選択肢を選ぶ。
選択肢4. 陽性|陽性|陰性
論点:
BRCA変異陰性は本症例と一致しない。
また、HER2陽性も結果と一致しない。アプローチ方法:
ERおよびHER2陰性である可能性を考慮し、この選択肢を除外。
選択肢5. 陰性|陰性|陰性
論点:
BRCA変異が陰性である場合、PARP阻害剤(オラパリブ)の投与は適応外となる。本症例と一致しない。アプローチ方法:
BRCA陽性である可能性を考慮し、この選択肢を除外。
解答:
選択肢3が正しい。
引用文献
Foulkes WD, et al. "BRCA1 and BRCA2: Chemosensitivity, treatment outcomes and prognosis." Fam Cancer. 2014;13(4):497-503.
BRCA変異と治療選択(特にPARP阻害剤)との関係。
Baselga J, et al. "HER2-targeted therapies in breast cancer: an evolving paradigm." Clin Cancer Res. 2006;12(21):6314-6320.
HER2陽性乳がんにおける治療戦略。
Roy R, et al. "BRCA1 and BRCA2: different roles in a common pathway of genome protection." Nat Rev Cancer. 2012;12(1):68-78.
BRCA遺伝子のDNA修復経路における役割。
Wolff AC, et al. "Human epidermal growth factor receptor 2 testing in breast cancer: American Society of Clinical Oncology/College of American Pathologists clinical practice guideline focused update." J Clin Oncol. 2018;36(20):2105-2122.
HER2検査と治療に関するガイドライン。
Tutt AN, et al. "Exploiting the DNA repair defect in BRCA mutant cells in the clinic." Oncogene. 2010;29(24):3665-3675.
BRCA変異とがん治療の臨床的応用。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】から乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問238-239
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 106-238-239
Q. 46歳女性。職場の検診で乳がんを疑われ、精密検査を受けるため大学病院を受診した。病変部の組織診(針生検)を行い、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)及びHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)のタンパク質発現を病理学的検査により調べた。また、リンパ節や全身への転移の有無をCT検査にて確認し、StageⅡBの乳がんと確定診断された。その結果に基づき、術前化学療法としてEC療法※、次にパクリタキセル療法を実施した。その後、乳房温存術を施行、内分泌療法は行わず経過観察としていたが、翌年再発が判明したため、遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)をし、その結果、オラパリブを投与することとなった。
※EC療法:エピルビシン+シクロホスファミド併用
(処方)
オラパリブ錠150mg|1回2錠(1日4錠)|1日2回|朝夕食後|7日分|
衛生
問 106-238|衛生
Q. 検査の対象となったHER2タンパク質及びBRCA遺伝子に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 乳がんではHER2タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。
2. HER2タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。
3. BRCA遺伝子は、GTP結合タンパク質をコードしている。
4. BRCA遺伝子は、DNA修復に関わるタンパク質をコードしている。
5. 遺伝性乳がんでは、高頻度でBRCA遺伝子に変異がみられる。
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-238-239【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異|matsunoya
実務
問 106-239|実務
Q. この患者の病理学的検査結果及び遺伝学的検査結果の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
病理学的検査:ER及びPgR、HER2
遺伝学的検査:BRCA遺伝子変異
選択肢(陽性または陰性)
|ER及びPgR|HER2|BRCA遺伝子変異|
■選択肢
1. 陽性|陽性|陽性
2. 陽性|陰性|陽性
3. 陰性|陰性|陽性
4. 陽性|陽性|陰性
5. 陰性|陰性|陰性

Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-238-239【物理・化学・生物、衛生/実務】論点:乳がん / エストロゲン受容体(ER) / プロゲステロン受容体(PgR) / HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型) / BRCA遺伝子変異|matsunoya
■■GPT4o
■問 106-238|衛生
■論点|
この問題の論点は、HER2タンパク質およびBRCA遺伝子の機能的役割と乳がん発症における関連性を正確に理解することです。
■解説1|
BRCA遺伝子は、GTP結合タンパク質をコードしている。(選択肢3)[誤り]
BRCA1およびBRCA2は、DNA損傷修復に関与するタンパク質をコードしており、相同組換え修復(HRR)経路を通じてDNA二本鎖切断を修復する。
BRCA遺伝子変異によるHRR機能障害は、ゲノムの不安定性を引き起こし、がんの発症リスクを増加させる。
一方、GTP結合タンパク質はシグナル伝達や細胞内輸送に関与するが、BRCA遺伝子のコード領域はこれらと無関係である。
■解説2|
BRCA1およびBRCA2は、腫瘍抑制遺伝子として機能し、変異が存在すると乳がんや卵巣がんの発症率が大幅に上昇する。
遺伝子変異が確認された場合、予防的切除やPARP阻害薬(オラパリブなど)を含む治療が有効である。
■結論|
選択肢3は誤りです。
BRCA遺伝子はGTP結合タンパク質ではなく、DNA修復に関わるタンパク質をコードしています。
■補足|
乳がんではHER2タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。(選択肢1)[正しい]
HER2タンパク質は、乳がんの約20~30%で過剰発現しており、これが腫瘍の進行および転移に寄与する。
HER2タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。(選択肢2)[正しい]
HER2は細胞膜上の受容体型チロシンキナーゼであり、リガンド非依存的に活性化し、シグナル伝達経路を促進する。
BRCA遺伝子は、DNA修復に関わるタンパク質をコードしている。(選択肢4)[正しい]
BRCA1およびBRCA2はDNA二重鎖修復における中心的な役割を果たす。
遺伝性乳がんでは、高頻度でBRCA遺伝子に変異がみられる。(選択肢5)[正しい]
遺伝性乳がん症候群の多くはBRCA1またはBRCA2遺伝子の変異が原因である。
■問 106-239|実務
■論点|
この問題の論点は、乳がん患者における病理学的検査(ER、PgR、HER2)および遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)の結果とその組み合わせを正確に解釈することです。

■解説1|
陰性|陰性|陽性(選択肢3)[正しい]
ERおよびPgR:陰性
エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)は、ホルモン療法の適応を判断するための指標となる。
陰性である場合、ホルモン依存性が低いことを意味する。
HER2:陰性
HER2タンパク質の過剰発現が確認されない場合、HER2阻害薬(トラスツズマブなど)の適応外である。
BRCA遺伝子変異:陽性
BRCA遺伝子変異は、遺伝性乳がんの重要なマーカーであり、PARP阻害薬(オラパリブなど)が治療選択肢として有効である。
■解説2|
ERおよびPgRが陰性である場合:
化学療法または分子標的薬治療が主な治療方針となる。HER2陰性である場合:
HER2阻害薬の適応はなく、HER2過剰発現がない腫瘍に対する治療が必要となる。BRCA遺伝子変異が陽性である場合:
DNA修復機能が損なわれており、PARP阻害薬の使用によって腫瘍細胞を選択的に死滅させることができる。
■結論|
選択肢3は正しいです。この患者はERおよびPgR陰性、HER2陰性、BRCA遺伝子変異陽性である可能性が高いと推察され、この組み合わせは臨床的に正確です。
■補足|
陽性|陽性|陽性(選択肢1)[誤り]
HER2陽性の場合:
HER2阻害薬(例:トラスツズマブ)が適応される可能性が高い。
これは、設問の薬物治療に一致しない。
陽性|陰性|陽性(選択肢2)[誤り]
ERおよびPgRが陽性の場合:
ホルモン療法が有効となる。
これは、設問の薬物治療に一致しない。
陽性|陽性|陰性(選択肢4)[誤り]
BRCA遺伝子変異が陰性の場合:
遺伝性乳がんの可能性が低く、PARP阻害薬の適応ではない。
陰性|陰性|陰性(選択肢5)[誤り]
BRCA遺伝子変異が陽性である場合の治療方針を反映していない。
必須問題の解説は、こちらからどうぞ。
薬剤師国家試験対策ノート|論点解説 必須問題 第106回-第109回 一覧 powered by Gemini 1.5 Pro, Google AI Studio & GPT4, Copilot|matsunoya (note.com)
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第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問238-239
一般問題(薬学実践問題)
【物理・化学・生物、衛生/実務】
■複合問題|問 106-238-239
Q. 46歳女性。職場の検診で乳がんを疑われ、精密検査を受けるため大学病院を受診した。病変部の組織診(針生検)を行い、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)及びHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)のタンパク質発現を病理学的検査により調べた。また、リンパ節や全身への転移の有無をCT検査にて確認し、StageⅡBの乳がんと確定診断された。その結果に基づき、術前化学療法としてEC療法※、次にパクリタキセル療法を実施した。その後、乳房温存術を施行、内分泌療法は行わず経過観察としていたが、翌年再発が判明したため、遺伝学的検査(BRCA遺伝子変異)をし、その結果、オラパリブを投与することとなった。
※EC療法:エピルビシン+シクロホスファミド併用
(処方)
オラパリブ錠150mg|1回2錠(1日4錠)|1日2回|朝夕食後|7日分|
衛生
問 106-238|衛生
Q. 検査の対象となったHER2タンパク質及びBRCA遺伝子に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 乳がんではHER2タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。
2. HER2タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。
3. BRCA遺伝子は、GTP結合タンパク質をコードしている。
4. BRCA遺伝子は、DNA修復に関わるタンパク質をコードしている。
5. 遺伝性乳がんでは、高頻度でBRCA遺伝子に変異がみられる。
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実務
問 106-239|実務
Q. この患者の病理学的検査結果及び遺伝学的検査結果の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
病理学的検査:ER及びPgR、HER2
遺伝学的検査:BRCA遺伝子変異
選択肢(陽性または陰性)
|ER及びPgR|HER2|BRCA遺伝子変異|
■選択肢
1. 陽性|陽性|陽性
2. 陽性|陰性|陽性
3. 陰性|陰性|陽性
4. 陽性|陽性|陰性
5. 陰性|陰性|陰性

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薬学実践問題 第106回薬剤師国家試験 全50問
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薬学実践問題 第107回薬剤師国家試験 全50問
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