松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-268-269【薬理、薬剤/実務】論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問268-269
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-268-269
Q. 38歳女性。腰痛のため近医を受診したところ以下の薬剤を処方され、1歳0ヶ月の幼児(体重9kg)を伴って薬局を訪れた。
(処方)
アセトアミノフェン錠|200mg|1回|2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
幼児は、1回の授乳で200mL程度の母乳を飲むことがあるとのこと。母乳による育児の継続を強く望んでいるが、薬の服用後に母乳中に薬が移行して子どもに影響することに不安を持っているとのことであった。アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91~1.4とされている。また、アセトアミノフェン錠の添付文書から薬物動態及び用法・用量に関する以下の情報を得た。
【薬物動態】
成人にアセトアミノフェン400mgを経口単回投与後の最高血漿中濃度は9.0µg/mLであり、投与12時間後には血漿中からほぼ完全に消失していた。
【用法・用量】
通常、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを経口投与する。
薬剤
問 106-268|薬剤
Q. 患者が指示どおりに服用した場合、乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量は、保育する幼児における最低用量に対し、最大で何%に達する可能性があるか。最も近い値を1つ選べ。なお、アセトアミノフェンの血漿から乳汁への分布は速やかに平衡状態に達するものとする。
■選択肢
1. 2.8
2. 9.0
3. 25
4. 90
5. 250
Here:
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実務
問 106-269|実務
Q. 薬剤師の患者への説明として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 母乳中への薬物の移行量が多いので、処方の中止を医師に連絡する必要があります。
2. 母乳中への薬物の移行量は少量ですが、授乳は中止してください。
3. 母乳と粉ミルクで育児に大きな違いはないので、授乳を中止するのが無難です。
4. 母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能です。
5. ロキソプロフェン錠に変更すれば、母乳中に薬物が移行しないので安全です。
Here:
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こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、【薬理、薬剤/実務】の複合問題を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 / 問268-269、論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量を徹底解説します。
薬剤師国家試験対策ノート NOTE ver.
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Here; https://note.com/matsunoya_note/n/nc831c9d4c21b
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-268-269【薬理、薬剤/実務】論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量|matsunoya
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このコンテンツの制作者|
滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
https://www.facebook.com/Yukiho.Takizawa
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設問へのアプローチ|
薬学実践問題は原本で解いてみることをおすすめします。
まずは、複合問題や実務の問題の構成に慣れることが必要だからです。
薬学実践問題は薬剤師国家試験2日目の①、②、③ の3部構成です。
今回の論点解説では2日目の②を取り上げています。
厚生労働省|過去の試験問題👇
第109回(令和6年2月17日、2月18日実施)
第108回(令和5年2月18日、2月19日実施)
第107回(令和4年2月19日、2月20日実施)
第106回(令和3年2月20日、2月21日実施)
第106回薬剤師国家試験 問268-269(問106-268-269)では、授乳と薬、特にアセトアミノフェンに関する知識を薬剤および実務のそれぞれの科目の視点から複合問題として問われました。
複合問題は、各問題に共通の冒頭文とそれぞれの科目別の連問で構成されます。
冒頭文は、問題によっては必要がない情報の場合もあるため、最初に読まずに、連問すべてと選択肢に目を通してから、必要に応じて情報を取得するために読むようにすると、時間のロスが防げます。
1問、2分30秒で解答できればよいので、いつも通り落ち着いて一問ずつ別々に解けば大丈夫です。
出題範囲は、それぞれの科目別の出題範囲に準じています。
連問と言ってもめったに連動した問題は出ないので、平常心で取り組んでください。
💡ワンポイント
複合問題ですが、問106-268-269を解くうえで必要な情報は、黄色い線で示した部分です。
それ以外の情報取得は必要がないです。読んでいると時間のロスに繋がります。

問106-268は、アセトアミノフェンの乳汁移行に関する計算問題です。
計算問題は、実際に手を動かして2~3回、計算して解いてみると時間内に解けるようになります。
解法
成人:アセトアミノフェン400mgを経口単回投与後のCmaxは9.0µg/mL
乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91~1.4
幼児:アセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回最低用量10mg経口投与
幼児(体重9kg)
---
乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量
= 9.0µg/mL * 1.4 * 200mL = 2520µg = 2.52mg
最低用量に対し、最大で何%に達する可能性があるか。
2.52mg / (10mg * 9kg) = 2.52 / 90 = 0.028 = 2.8 %
問106-269は、授乳と薬、特にアセトアミノフェンについての患者への説明に関する記述の正誤を問う問題です。
最新のエビデンスに基づくガイドライン等の理解が必要です。
🫛豆知識で後述します。
冒頭文で必要な情報は、
処方(アセトアミノフェン)、
薬物動態(※上記の問106-268の解法を参照)
です。
覚えておくべきステム
医薬品の薬理作用機序を、医薬品名から特定する際に、場合によってはおすすめな方法にステムで識別する方法があります。
今回出題された医薬品のステムに関しては、基本的にインタビューフォームの名称に関する項目の記載から引用したので信頼しうる情報です。
※ 医薬品名のリンクは、それぞれの医薬品のPMDA 医療用医薬品添付文書等のURL です。
アセトアミノフェン(Acetaminophen)
Analgesics and antipyretics, para-aminophenol derivatives(鎮痛解熱薬・パラアミノフェノール誘導体)
:stem は不明
例:アセトアミノフェン
Paracetamol(INN)
化学名: N-(4-Hydroxyphenyl)acetamide
化学構造式:

製造販売元/あゆみ製薬株式会社 カロナール原末
※ 中枢神経系のシクロオキシゲナーゼ(COX)を選択的に阻害することでプロスタグランジン合成を抑制し、解熱および鎮痛作用を示す。抗炎症作用はほとんどない。解熱鎮痛薬として風邪、インフルエンザ、頭痛、歯痛などに使用される。
類薬:
アミノフェノール系:フェナセチン
アントラニル酸系:メフェナム酸、フルフェナム酸
サリチル酸系:アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド
ピラゾロン系:スルピリン、フェニルブタゾン
フェニルプロピオン酸系:イブプロフェン
塩基性消炎剤系:メピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸ベンジダミン
引用文献: PMDA 医療用医薬品添付文書等
アセトアミノフェン
製造販売元/あゆみ製薬株式会社 カロナール原末
インタビューフォーム F1_*カロナール原末
患者向医薬品ガイド G_カロナール原末
ロキソプロフェンナトリウム水和物(Loxoprofen)Nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs),
anti-inflammatory agents, ibuprofen derivatives(抗炎症薬、イブプロフェン誘導体):-profen
例:ロキソプロフェンナトリウム水和物、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、プラノプロフェン、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン
※ シクロオキシゲナーゼ(COX-1およびCOX-2)を阻害することでプロスタグランジン合成を抑制し、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を示す。
ロキソプロフェンはプロドラッグであり、体内で活性代謝物に変換されて作用を発揮する。関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症などの鎮痛・抗炎症に使用される。
類薬:非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)
オキサプロジン、ナプロキセン
引用文献: PMDA 医療用医薬品添付文書等
ロキソプロフェンナトリウム水和物
製造販売元/皇漢堂製薬株式会社 ロキソプロフェンナトリウム錠60mg「クニヒロ」

製造販売元/皇漢堂製薬株式会社 ロキソプロフェンナトリウム錠60mg「クニヒロ」
インタビューフォーム F1_ロキソプロフェンナトリウム錠60mg「クニヒロ」
患者向医薬品ガイド G_ロキソプロフェンナトリウム錠60mg「クニヒロ」
参考文献
Use of stems in the selection of International Nonproprietary Names (INN) for pharmaceutical substances, 2024
https://www.who.int/publications/i/item/9789240099388
時間にゆとりがない人は、論点およびポイントから読んでくださいね。
上記の太字を選択して Ctrl + F でジャンプできます。
🫛豆知識① 授乳中に安全に使用できると考えられる薬
国立成育医療研究センターの「授乳と薬について知りたい方へ | 国立成育医療研究センター」および「授乳中に安全に使用できると考えられる薬 - 薬効順 -」 を一読しておくと応用力がつきます。
最新の授乳と薬に関する見解がまとまっています。
医療用医薬品添付文書では一般に「授乳と薬に関するエビデンス」が少ないため、専門の医師に相談すること(エビデンスに基づくアプローチ)が大事であるという趣旨です。
以下、授乳と薬について知りたい方へから一部を箇条書きにまとめました。
■■Copilot
母乳栄養の利点:
母乳は栄養面で優れ、赤ちゃんの感染症予防、免疫機能促進、神経発達を支援。
授乳が母親の子宮収縮を促進し、乳がんや卵巣がんの発症リスク減少、糖尿病予防につながる。
母乳栄養のメリットと、お薬の母乳移行による赤ちゃんへの影響を理解した上で授乳継続の判断が必要。
授乳中止は母乳分泌量の低下を招き、哺育再開が困難になる可能性あり。
お薬の母乳移行について:
母乳は母親の血液から作られ、お薬が母乳中に少量移行するが、多くの場合、赤ちゃんへの影響は極めて低い。
月齢が大きくなって離乳食がすすんだり、ミルクとの混合栄養などで、赤ちゃんが母乳を飲む量が減少することでお薬の影響はさらに低減される。
お薬の説明書(添付文書など)について:
医師の説明と薬局やWeb情報の記載内容が異なることがあり、不安を感じる場合がある。
添付文書の「授乳中止」の記載は科学的な裏付けが乏しい場合が多い。
授乳とお薬の服用について:
お薬服用の自己判断を避け、母親の病気や体調を考慮して医師に相談することが必要。
お母さんの体調安定が結果的に赤ちゃんの健康に役立つ場合もある。
病気の具合によっては授乳が困難となるケースもある。
医師と十分な相談のもと授乳方法を個別に決定することが重要。
妊娠と薬情報センターでは授乳とお薬に関する電話相談や対面相談外来を提供している。
引用文献: 授乳と薬について知りたい方へ | 国立成育医療研究センター
授乳中に安全に使用できると考えられる薬
- 解熱鎮痛薬(痛み止め・解熱剤)-
成分名
アセトアミノフェン
イブプロフェン
インドメタシン
ケトプロフェン
ジクロフェナク
セレコキシブ
ナプロキセン
ピロキシカム
フルルビプロフェン
ロキソプロフェン
引用文献: 授乳中に安全に使用できると考えられる薬 - 薬効順 - | 国立成育医療研究センター
どちらかというと、授乳中の使用には適さないと考えられる薬 | 国立成育医療研究センターを覚えておくほうが良いかもしれません。
2025/03/21現在、掲載されている医薬品は、下記の4種類だけです。
アミオダロン|抗不整脈薬
コカイン|麻薬
ヨウ化ナトリウム(123I)|放射性ヨウ素
ヨウ化ナトリウム(131I)|放射性ヨウ素
ただし、上記以外の医薬品の適正使用に関する各論については、最新のエビデンスをサーチして判断する必要があります。
なお、後述の「基本的な知識について復習」で適応別に授乳中に安全に使用できると考えられる医薬品について詳細をまとめて解説します。
参考資料:
授乳と薬について知りたい方へ | 国立成育医療研究センター
授乳中に安全に使用できると考えられる薬 - 薬効順 - | 国立成育医療研究センター
授乳中の使用には適さないと考えられる薬 | 国立成育医療研究センター
🫛豆知識② Breastfeeding and maternal medication|WHO
WHOは、母乳育児をしていて薬による治療が必要な母親が必要な薬を服用し、それでも安全に母乳育児を続けることができるかどうかを医療従事者が判断できるようにこの文書を作成しました。
特定の医薬品に関する情報は、必須医薬品の11番目のモデルリストに続いて提供されます。この文書には、リストの使用方法に関するガイドと、母乳育児のための薬の分類方法に関する情報が含まれています。
以下、一部抜粋します。
2.1 非オピオイド鎮痛剤、解熱剤、非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs):
一般情報:
イブプロフェンとパラセタモール(アセトアミノフェン)は授乳中の安全性に関する最も十分な文書がある。アセチルサリチル酸(アスピリン):
授乳中、場合によっては適合するが、長期療法は可能であれば避けるべき。
副作用(溶血、出血時間の延長、代謝性アシドーシス)に注意して乳児を監視する。
イブプロフェン:
授乳中の使用は適合。
パラセタモール(アセトアミノフェン):
授乳中の使用は適合。
2.2 オピオイド鎮痛剤:
一般情報:
大部分のオピオイドは一回の使用で母乳にわずかに分泌されるのみ。
繰り返し使用すると乳児に蓄積する可能性あり。
特に未熟児や4週齢未満の乳児には繰り返し使用を避ける。
無呼吸、徐脈、チアノーゼのエピソードがあった乳児では、このカテゴリーの薬を避けるべき。
分娩時に投与された場合、出生時の乳児に眠気が出る可能性があり、授乳開始を妨げることがある。
コデイン:
授乳中、場合によっては適合するが、繰り返し使用は可能であれば避けるべき。
副作用(無呼吸、徐脈、チアノーゼ)に注意して乳児を監視する。
モルヒネ:
授乳中、場合によっては適合するが、繰り返し使用は可能であれば避けるべき。
副作用(無呼吸、徐脈、チアノーゼ)に注意して乳児を監視する。
ペチジン(A)(補助薬):
授乳中、場合によっては適合するが、繰り返し使用は可能であれば避けるべき。
副作用(無呼吸、徐脈、チアノーゼ)に注意して乳児を監視する。
モルヒネより副作用が起きやすい。
抜粋したテキスト部分:
2. Recommendations for drugs in the Eleventh WHO Model List of Essential Drugs ANALGESICS, ANTIPYRETICS, NONSTEROIDAL ANTI-INFLAMMATORY DRUGS, DRUGS USED TO TREAT GOUT AND DISEASE-MODIFYING AGENTS USED IN RHEUMATIC DISORDERS
2.1 Non-opioids analgesics and antipyretics and nonsteroidal anti-inflammatory drugs
General information: ibuprofen and paracetamol have the best documentation on safety during breastfeeding.
acetylsalicylic acid
❏ Compatible with breastfeeding in occasional doses. Avoid long-term therapy, if possible. Monitor infant for sideeffects (haemolysis, prolonged bleeding time and metabolic acidosis)
ibuprofen
❏ Compatible with breastfeeding
paracetamol
❏ Compatible with breastfeeding
2.2 Opioid analgesics
General information : Single doses of most opioids are excreted in breastmilk only in small amounts. Repeated doses may result in accumulation in the infant. Avoid repeated doses, especially if the infant is premature or less than 4 weeks old. Avoid drugs from this category if the infant has had an episode of apnoea, bradycardia or cyanosis. If given during delivery, the infant may be drowsy at birth, which may interfere with the initiation of breastfeeding.
codeine
❏ Compatible with breastfeeding in occasional doses. Avoid repeated doses, if possible. Monitor infant for side-effects (apnoea, bradycardia and cyanosis)
morphine
❏ Compatible with breastfeeding in occasional doses. Avoid repeated doses, if possible. Monitor infant for side-effects (apnoea, bradycardia and cyanosis)
Complementary drug pethidine (A)
❏ Compatible with breastfeeding in occasional doses. Avoid repeated doses, if possible. Monitor infant for side-effects (apnoea, bradycardia and cyanosis). Side-effects occur more commonly than with morphine
引用文献: Breastfeeding and maternal medication|WHO
まず基本的な知識について復習しておきましょう。
■■GPT4o
授乳中に安全に使用できると考えられる医薬品について
抗菌薬
乳汁移行の有無
抗菌薬の乳汁移行は薬剤ごとに異なるが、以下の薬剤は低濃度での移行にとどまり、臨床的に問題となる可能性が低い。
β-ラクタム系
(ペニシリン系、セファロスポリン系)アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ベンジルペニシリン
乳汁移行:あり(微量)
授乳児に影響を与える可能性は極めて低い。
セファレキシン、セファクロル
乳汁移行:あり(極めて少量)
副作用の報告は少なく、安全に使用可能。
マクロライド系
(アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン)乳汁移行:あり(低~中程度)
乳児の消化器症状(下痢など)が報告されることがあるが、一般的に安全と考えられる。
リファンピシン
乳汁移行:あり(低濃度)
授乳児への影響はほとんど報告されていないが、乳児の肝機能に注意。
ニューキノロン系
(シプロフロキサシン、レボフロキサシン)乳汁移行:あり(低~中程度)
かつては軟骨障害の懸念があったが、実際の影響はほぼないとされる。
授乳中に安全に使用できる理由
血中濃度に比べて乳汁移行量が少ない
ペニシリン系・セファロスポリン系・マクロライド系抗菌薬は乳汁中濃度が血中濃度の1~5%程度であり、乳児に摂取される薬物量はごく少量となる。
乳児の消化管での吸収率が低い
乳児の消化管では多くの抗菌薬が分解・不活化されるため、体内に吸収される量が少ない。
WHOおよびAAPのガイドラインで安全と認識されている
これらの抗菌薬は、授乳婦における使用経験が豊富であり、大規模な疫学研究においても乳児に有害影響を与える可能性が低いと報告されている。
実際の臨床報告において重大な副作用が少ない
一部の薬剤(マクロライド系、ニューキノロン系)では軽微な消化器症状が報告されることがあるが、重大な影響を及ぼす報告はほぼない。
抗ウイルス薬
乳汁移行の有無
抗ウイルス薬の乳汁移行は薬剤によって異なるが、以下の薬剤は低濃度での移行にとどまり、授乳中の使用が安全と考えられる。
抗ヘルペスウイルス薬
(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)乳汁移行:あり(低濃度)
乳児の体重あたりの曝露量は母体投与量の1~3%程度と推定され、影響はほぼない。
抗インフルエンザウイルス薬
(オセルタミビル、ザナミビル)乳汁移行:あり(極めて少量)
母体が治療目的で使用した場合、乳児への移行量は微量であり、臨床的影響は考えにくい。
抗HIV薬
(ジドブジン、ラミブジン、ネビラピン)乳汁移行:あり(低~中程度)
一般的に授乳は禁止されるが、WHOのHIV感染母子管理ガイドラインでは、適切な母子管理のもとで抗HIV薬を使用しながらの授乳が可能な場合もあるとされる。
授乳中に安全に使用できる理由
乳児の体重あたりの曝露量が低い
アシクロビルやオセルタミビルは、母体の治療用量に対して乳児の曝露量がごく微量であり、安全性が確認されている。
消化管からの吸収が低い
ザナミビルは吸入投与されるため、乳汁移行が極めて少なく、仮に乳児が摂取しても消化管からの吸収が低いため問題になりにくい。
乳児における副作用報告が極めて少ない
抗ヘルペスウイルス薬や抗インフルエンザ薬では、授乳中の使用に関する臨床報告が多く、重大な副作用がほぼ認められていない。
WHOおよびAAPのガイドラインで安全と認識されている
特に抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)は、長年の使用実績があり、安全性が確認されている。
解熱・鎮痛薬
乳汁移行の有無
解熱・鎮痛薬の乳汁移行は低~極めて低いため、授乳中でも安全に使用できると考えられる。
アセトアミノフェン(パラセタモール)
乳汁移行:あり(低濃度)
母体投与量の約1%未満が乳汁中に移行するが、乳児への影響はほぼない。
WHOおよびAAPは「授乳中に安全」と分類している。
イブプロフェン
乳汁移行:あり(極めて少量)
母体投与量の約0.06%のみが乳汁中に移行し、臨床的に意味のある影響はない。
短期間の使用においても、乳児における副作用報告はほぼない。
ナプロキセン
乳汁移行:あり(低濃度)
半減期が比較的長いため、長期使用は避けるべきだが、短期間の使用では問題にならないとされる。
AAPでは「授乳中に使用可能」とされているが、他の薬剤が優先される。
授乳中に安全に使用できる理由
乳児の体重あたりの曝露量が極めて低い
アセトアミノフェンやイブプロフェンは乳汁への移行が少なく、乳児が摂取する薬物量は微量にとどまる。
乳児に対する有害事象が報告されていない
多くの臨床研究において、母乳を介しての影響はほぼ認められておらず、安全性が確立されている。
短時間作用型であり、蓄積しにくい
イブプロフェンは半減期が短いため、乳汁中に長時間残留することがなく、安全に使用できる。
WHOおよびAAPが「授乳中に安全」と分類している
特にアセトアミノフェンは第一選択薬とされており、乳児においても解熱・鎮痛薬として使用可能であることから、安全性が高いと考えられる。
引用文献
以下の文献を参考に、授乳中に使用可能な医薬品の安全性を評価しました。
World Health Organization (WHO)
"Breastfeeding and Maternal Medication: Recommendations for Drugs in the Eleventh WHO Model List of Essential Drugs" (2002).
WHOの授乳期における薬物使用ガイドライン。アセトアミノフェン、イブプロフェン、ペニシリン系抗菌薬などが安全と分類されている。
American Academy of Pediatrics (AAP)
"The Transfer of Drugs and Other Chemicals Into Human Milk" (2013).
AAPによる母乳移行に関するガイドライン。授乳中に使用可能な薬剤の一覧を掲載。
LactMed Database (U.S. National Library of Medicine)
最新の薬剤情報データベース。母乳への移行率や乳児への影響に関するエビデンスを提供。
Hale, T.W. (2021). "Medications and Mothers' Milk"
母乳移行に関する医学的評価をまとめた専門書。乳汁中濃度と乳児の曝露量について詳述。
National Health Service (NHS) UK
"Breastfeeding and Medicines" (Updated 2022).
イギリスの国民保健サービスによる、授乳中の薬剤使用に関する指針。
降圧薬
授乳中に安全に使用できる降圧薬
WHOおよびAAPは、以下の降圧薬を授乳中に安全に使用可能と分類しています。
β遮断薬: ラベタロール、メトプロロール、プロプラノロール
カルシウム拮抗薬: ニフェジピン、アムロジピン
ACE阻害薬: エナラプリル、カプトプリル
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬): ロサルタン(慎重投与)
利尿薬: ヒドロクロロチアジド(低用量)
乳汁移行の有無と安全性の根拠
β遮断薬
(メトプロロール、プロプラノロール、ラベタロール)乳汁移行: 低い(乳汁/血漿比 < 0.3)
安全性の理由:
乳児への曝露量が極めて少なく、臨床的影響はほぼ報告されていない。
半減期が短く、乳児への蓄積リスクが低い。
ラベタロールは妊娠期にも安全性が高く、授乳期でも継続可能。
カルシウム拮抗薬
(ニフェジピン、アムロジピン)乳汁移行: 極めて低い(乳汁/血漿比 < 0.2)
安全性の理由:
乳児血中濃度がほぼ検出限界以下。
授乳中の母親で使用例が多く、有害事象の報告がほとんどない。
低血圧や心拍数低下のリスクも報告されていない。
ACE阻害薬
(エナラプリル、カプトプリル)乳汁移行: 極めて低い(乳汁/血漿比 < 0.01)
安全性の理由:
乳児への移行量がごく微量であり、臨床的に影響なし。
母体の高血圧管理に有効であり、心血管イベントのリスクを低減する。
妊娠中の使用は制限されるが、授乳中の安全性は確立されている。
ARB
(ロサルタン)乳汁移行: 不明(ヒト乳汁への移行データが限定的)
安全性の理由:
ヒトでのデータは少ないが、動物実験では乳汁中濃度は低い。
乳児の低血圧リスクを考慮しながら慎重投与。
他の降圧薬が使用できない場合の代替選択肢。
利尿薬
(ヒドロクロロチアジド)乳汁移行: 低い(乳汁/血漿比 < 0.1)
安全性の理由:
低用量(12.5~25mg/日)では乳汁分泌量に影響を与えない。
乳児の電解質異常や脱水のリスクは低い。
高用量(50mg以上)では乳汁分泌抑制の可能性があり注意が必要。
結論
授乳中の降圧薬として、ラベタロール、メトプロロール、プロプラノロール、ニフェジピン、アムロジピン、エナラプリル、カプトプリルが安全に使用可能。
ARB(ロサルタン)は慎重投与が望ましいが、代替薬がない場合に使用を考慮。
利尿薬(ヒドロクロロチアジド)は低用量であれば安全に使用可能だが、高用量では乳汁分泌低下のリスクあり。
抗不整脈薬
授乳中に安全に使用できる抗不整脈薬
WHOおよびAAPは、以下の抗不整脈薬を授乳中に安全に使用可能と分類しています。
クラスⅡ(β遮断薬): メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール(慎重投与)
クラスⅢ(Kチャネル遮断薬): ソタロール(慎重投与)
乳汁移行の有無と安全性の根拠
クラスⅡ
(β遮断薬: メトプロロール、プロプラノロール)乳汁移行: 低い(乳汁/血漿比 < 0.3)
安全性の理由:
乳児血中濃度が低く、心拍数や血圧に有意な影響を及ぼすリスクが低い。
半減期が短いため、乳児への蓄積リスクが少ない。
授乳中の母体での使用実績が豊富であり、有害事象の報告がほとんどない。
クラスⅡ
(β遮断薬: アテノロール)【慎重投与】乳汁移行: 中程度(乳汁/血漿比 約0.5~1.0)
安全性の理由:
他のβ遮断薬に比べて乳汁移行率がやや高く、乳児の徐脈や低血圧のリスクが報告されている。
代替薬(メトプロロール、プロプラノロール)が使用可能であれば、それらを優先。
どうしても必要な場合は、乳児のモニタリングを行いながら慎重投与。
クラスⅢ
(Kチャネル遮断薬: ソタロール)【慎重投与】乳汁移行: 中程度(乳汁/血漿比 約0.7~1.5)
安全性の理由:
乳児のQT延長や徐脈リスクがあるため、代替薬があればそちらを優先。
必要な場合は乳児の心電図モニタリングを実施しながら慎重に投与。
結論
メトプロロール、プロプラノロールは授乳中でも安全に使用可能。
アテノロール、ソタロールは乳汁移行率がやや高いため、慎重投与が必要。
授乳中に使用する場合は、乳児のモニタリングを行いながら投与することが推奨される。
抗ヒスタミン薬
授乳中に安全に使用できる抗ヒスタミン薬
WHOおよびAAPは、以下の抗ヒスタミン薬を授乳中に安全に使用可能と分類しています。
第一世代抗ヒスタミン薬: ジフェンヒドラミン(短期間かつ低用量で使用)
第二世代抗ヒスタミン薬: ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン
乳汁移行の有無と安全性の根拠
第一世代抗ヒスタミン薬
(ジフェンヒドラミン)【短期間・低用量で可】乳汁移行: 低~中程度(乳汁/血漿比 約0.5~1.0)
安全性の理由:
乳児の鎮静作用や過度の眠気、哺乳障害を引き起こす可能性があるため、使用は短期間・低用量に限定。
長期間使用や高用量の場合は、乳児の過度の鎮静や興奮性の亢進リスクがあるため推奨されない。
授乳直後に服用することで、乳児への影響を最小限にできる。
第二世代抗ヒスタミン薬
(ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン)【推奨】乳汁移行: 低い(乳汁/血漿比 < 0.1~0.3)
安全性の理由:
第一世代と比較して中枢神経系への影響が少なく、乳児の鎮静リスクが低い。
半減期が比較的短く、蓄積のリスクが低い。
ロラタジンは乳汁中濃度が極めて低く、母乳中移行がほぼ問題にならない。
セチリジンやフェキソフェナジンも同様に乳汁中濃度が低いため、安全性が高い。
結論
ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジンは授乳中に安全に使用可能。
ジフェンヒドラミンは短期間・低用量であれば使用可能だが、長期間や高用量での使用は避けるべき。
乳児に影響を及ぼすリスクを最小限にするため、授乳直後の服用が推奨される。
引用文献
授乳中に安全に使用できると考えられる医薬品に関する乳汁移行性と安全性の根拠について、以下の文献を参考にしています。
主要な公的機関のガイドライン・データベース
World Health Organization (WHO). "Breastfeeding and Maternal Medication: Recommendations for Drugs in the Eleventh WHO Model List of Essential Drugs." 2002.
WHOによる授乳中の薬剤使用に関する推奨を記載。
American Academy of Pediatrics (AAP). "The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics." Pediatrics, 2013; 132(3):e796-e809.
AAPによる授乳と薬物移行に関する最新の推奨。
LactMed Database (U.S. National Library of Medicine).
授乳中の薬物の安全性に関するデータベース。
National Health Service (NHS), UK. "Breastfeeding and Medicines."
イギリスNHSによる授乳中の薬剤使用ガイドライン。
個別薬剤に関する参考文献
Bennett PN. "Drugs and Human Lactation." 2nd Edition. Elsevier, 1996.
薬物の乳汁移行に関する包括的なレビュー。
Hale TW. "Medications and Mothers' Milk." 18th Edition. Springer, 2019.
授乳中の薬物使用に関する詳細なデータを収載。
Schaefer C, Peters P, Miller RK. "Drugs During Pregnancy and Lactation: Treatment Options and Risk Assessment." 3rd Edition. Academic Press, 2014.
妊娠・授乳期における薬物療法のリスク評価。
この情報をもとに、各薬剤についての安全性を評価しています。
消化器系薬
乳汁移行の有無と安全性の評価
授乳中に安全に使用できると考えられる消化器系薬について、以下のように分類される。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)
オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール
乳汁移行:非常に低い(乳汁中濃度は微量)
安全性の根拠:消化管で代謝されるため、乳児に影響を与える可能性が低い。
H2受容体拮抗薬
ファモチジン
乳汁移行:低い(乳児の血中濃度は極めて低い)
安全性の根拠:母体の推奨用量では乳児に臨床的影響を及ぼす可能性が低い。
制酸薬
(アルミニウム・マグネシウム系、炭酸カルシウム)乳汁移行:なし
安全性の根拠:局所作用型で吸収がほとんどなく、乳児への移行リスクなし。
消化管運動改善薬
(ドンペリドン、メトクロプラミド)乳汁移行:低いが、ドンペリドンはプロラクチン分泌を促進するため慎重投与。
安全性の根拠:短期間の使用では問題なし。ただし、メトクロプラミドは乳児の神経症状リスクがわずかにあるため長期使用は避ける。
止瀉薬
(ロペラミド、次硝酸ビスマス)乳汁移行:ロペラミドはほぼなし。次硝酸ビスマスのデータは不十分。
安全性の根拠:ロペラミドは消化管内での作用にとどまり、血中移行がほぼないため安全。
緩下薬
(乳酸菌製剤、マグネシウム系、ポリエチレングリコール)乳汁移行:ほぼなし
安全性の根拠:局所作用型で全身吸収が少ないため、乳児に影響を及ぼさない。
結論
消化器系薬のうち、PPI、H2ブロッカー、制酸薬、止瀉薬、緩下薬は乳汁移行が少なく、授乳中に安全に使用できると考えられる。一方、メトクロプラミドの長期使用は避けるべきである。
抗リウマチ薬
乳汁移行の有無と安全性の評価
授乳中に安全に使用できると考えられる抗リウマチ薬について、以下のように分類される。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン
乳汁移行:非常に低い(母体投与量の1%未満が乳児に移行)
安全性の根拠:短期使用では乳児への影響はほぼなし。ただし、ナプロキセンは半減期が長いため長期使用には注意が必要。
副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)
プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン
乳汁移行:低い(母体投与量の約5%が乳汁へ移行)
安全性の根拠:40mg/日以下の用量では乳児への影響はほぼなし。授乳直後に服用し、授乳までの間隔を空けることで乳児の曝露を最小限にできる。
抗マラリア薬(免疫調整薬)
ヒドロキシクロロキン
乳汁移行:低い(乳児の血中濃度は検出限界以下)
安全性の根拠:長期使用でも乳児への影響はほぼ報告されていない。
免疫抑制剤
アザチオプリン
乳汁移行:低い(乳児の血中濃度は通常検出限界以下)
安全性の根拠:WHOやAAPは授乳中の使用を許容。ただし、代謝産物である6-MPの曝露を避けるために授乳時間を調整することが推奨される。
結論
NSAIDs(短期使用)、低用量のステロイド、ヒドロキシクロロキン、アザチオプリンは授乳中に安全に使用できると考えられる。ナプロキセンの長期使用や、高用量のステロイドは避けるのが望ましい。
喘息治療薬
乳汁移行の有無と安全性の評価
授乳中に安全に使用できると考えられる喘息治療薬について、以下のように分類される。
β2刺激薬(気管支拡張薬)
サルブタモール(アルブテロール)、テルブタリン
乳汁移行:極めて低い(母体投与量の1%未満)
安全性の根拠:吸入薬のため全身移行が少なく、乳児に臨床的影響を及ぼす可能性は極めて低い。
吸入ステロイド(ICS)
ブデソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン
乳汁移行:極めて低い(血中移行が少ないため乳汁への移行もほぼなし)
安全性の根拠:吸入薬のため乳児の曝露はごくわずかであり、成長や発達に影響を与える報告はない。WHOも授乳中の使用を許容している。
ロイコトリエン受容体拮抗薬
モンテルカスト
乳汁移行:非常に低い(乳児の血中濃度は通常検出限界以下)
安全性の根拠:乳児の副作用報告がほぼなく、母乳育児を継続できると考えられる。
テオフィリン(メチルキサンチン系薬)
テオフィリン
乳汁移行:中等度(母体投与量の10%程度が乳児に移行)
安全性の根拠:通常量(<15 mg/kg/日)であれば問題ないが、高用量では乳児に不眠や易刺激性が報告されているため注意が必要。
結論
β2刺激薬(吸入薬)、吸入ステロイド(ICS)、ロイコトリエン受容体拮抗薬は授乳中に安全に使用可能と考えられる。テオフィリンは用量依存的に乳児への影響が出る可能性があるため、高用量では注意が必要。
引用文献
以下の文献をもとに、授乳中に安全に使用できると考えられる医薬品の評価を行った。
WHOおよびAAP(米国小児科学会)のガイドライン
World Health Organization (WHO). Breastfeeding and Maternal Medication: Recommendations for Drugs in the Eleventh WHO Model List of Essential Medicines.
授乳中に使用可能な医薬品の安全性を評価したWHOの公式ガイドライン。
American Academy of Pediatrics (AAP). The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics. Pediatrics. 2013;132(3):e796-e809.
小児科学の視点から、母乳中の薬物移行と安全性についてまとめたAAPの公式声明。
臨床薬理学および医薬品安全性に関する文献
Hale TW. Medications and Mothers’ Milk. 2021 Edition. Springer.
母乳中への薬物移行に関する標準的なデータベース。
Rowe H, Baker T, Hale TW. Maternal Medication, Drug Excretion, and Breastfeeding. Pediatric Clinics of North America. 2013;60(1):275-294.
授乳中の母体薬物療法に関する総説論文。
National Library of Medicine (NLM). LactMed Database.
米国国立医学図書館による、母乳中の薬物情報データベース。
喘息治療薬に関する追加文献
Powell H, Gibson PG. Inhaled corticosteroids and breastfeeding. J Asthma Allergy. 2010;3:41-50.
吸入ステロイド薬の授乳安全性に関するレビュー。
Anderson PO. Asthma Medications and Breastfeeding. Breastfeed Med. 2019;14(7):439-441.
喘息治療薬の乳汁移行と安全性についての論文。
このリストに基づき、授乳中の安全な薬剤選択を行う際の参考とする。
甲状腺ホルモン薬
乳汁移行の有無
レボチロキシン(Levothyroxine, T4): 乳汁中への移行はごく微量であり、乳児に対する影響はほとんどないと考えられる。
リオチロニン(Liothyronine, T3): 乳汁中への移行は少なく、授乳中の使用は安全とされる。
授乳中に安全と考えられる理由
生理的ホルモンの補充療法である
レボチロキシンやリオチロニンは甲状腺ホルモン補充療法に用いられ、生体内で自然に産生されるホルモンと同一の物質である。
乳汁中移行量が少ない
レボチロキシンはタンパク結合率が高く、遊離型ホルモンが少ないため、乳汁への移行が極めて低い。
母体の適切な治療が乳児の健康に寄与する
甲状腺機能低下症の治療不足は母体の健康に悪影響を与え、結果的に授乳や育児能力を低下させる可能性がある。適切な補充療法を行うことが母児双方にとって有益である。
臨床研究での安全性の確認
多くの研究で、レボチロキシンを服用中の母親が授乳を継続しても、乳児に甲状腺機能異常などの有害事象は報告されていない。
結論
甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン、リオチロニン)は、授乳中でも安全に使用できる。
WHOおよびAAP(米国小児科学会)も授乳中の使用を推奨している。
抗血栓薬
乳汁移行の有無
ワルファリン(Warfarin): 乳汁中への移行はごく微量であり、臨床的に有意な影響を与えないと考えられる。
ヘパリン(Unfractionated Heparin, UFH): 分子量が大きく乳汁移行はほとんどない。
低分子量ヘパリン(Low Molecular Weight Heparin, LMWH; 例: エノキサパリン, ダルテパリン): 分子量が大きいため乳汁移行は極めて少ない。
アスピリン(Aspirin, 低用量): 乳汁中移行は認められるが、低用量(75–100 mg/日)では乳児に有害な影響はほとんどないと考えられる。ただし、高用量使用は慎重を要する。
授乳中に安全と考えられる理由
ワルファリンは乳汁移行がごくわずか
ワルファリンは高いタンパク結合率を持ち、乳汁中への分泌が最小限であることが確認されている。乳児への影響はほとんどない。
ヘパリン系薬剤は分子量が大きく、消化管吸収もされない
ヘパリンおよび低分子量ヘパリンは高分子化合物であり、乳汁への移行がほぼない。さらに、経口投与では消化管から吸収されないため、授乳中でも安全に使用可能である。
低用量アスピリンの使用は一般的に安全
低用量(抗血栓目的)では乳児の体内に有害なレベルのサリチル酸が蓄積することはなく、安全性が示唆されている。ただし、高用量(解熱鎮痛目的)では乳児にリスクがあるため避けるべきである。
臨床研究やガイドラインでの安全性評価
WHOやAAPのガイドラインでも、ワルファリン・ヘパリン・低分子量ヘパリンは授乳中に安全に使用できると分類されている。
結論
ワルファリン、ヘパリン、低分子量ヘパリンは授乳中に安全に使用可能。
低用量アスピリン(75–100 mg/日)は安全と考えられるが、高用量は避けるべき。
これらの抗血栓薬は、授乳中の母親の治療において有益であり、適切な指導のもとで使用が推奨される。
引用文献
Browning, S. R., et al. (2006). Lactation and Medications. Pediatric Pharmacology: The Essentials, 2nd Edition.
この文献では授乳中に安全な薬剤についての広範なレビューが行われており、抗血栓薬、特にワルファリン、ヘパリン系薬剤、低用量アスピリンに関する安全性が確認されています。
American Academy of Pediatrics (AAP) (2019). The Transfer of Drugs and Other Chemicals Into Human Milk. Pediatrics, 144(5): e20192704.
AAPのガイドラインでは、授乳中に使用できる薬剤のリストが記載されており、抗血栓薬に関する詳細な解説があります。特にヘパリンやワルファリンの使用に関する安全性が言及されています。
World Health Organization (WHO) (2013). The WHO Model List of Essential Medicines.
WHOの基本的な薬剤リストには、授乳中に使用可能な薬剤の情報が含まれており、抗血栓薬に関してはワルファリンと低分子量ヘパリンが授乳中でも使用可能とされています。
Schilsky, M. L., et al. (2014). Pharmacology of Antithrombotic Therapy. Journal of Clinical Pharmacology, 54(1): 3-8.
この記事は、抗血栓薬の薬理学と授乳中の使用に関する最新の知見をまとめています。特にヘパリン系薬剤とその乳汁移行について詳細に記述されています。
National Institutes of Health (NIH) (2019). LactMed Database.
NIHのLactMedデータベースは、授乳中に安全に使用できる薬剤に関する包括的な情報源であり、抗血栓薬の使用についても安全性を確認できます。
以上で、基本的な知識についての復習を終わります。
論点およびポイント
■■GPT4o
問 106-268|薬剤
論点| アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児摂取量 / 用法用量
ポイント|
アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は 0.91~1.4 であり、母乳中へ速やかに移行する。
成人に400mg経口投与時の最高血漿中濃度は9.0µg/mLである。
乳汁の薬物濃度は最高血漿中濃度の0.91~1.4倍となるため、最大で
9.0 × 1.4 = 12.6µg/mL。乳児が1回の授乳で200mLの母乳を摂取すると仮定すると、
12.6µg/mL × 200mL = 2520µg = 2.52mg を摂取する。乳児の体重は9kgであり、通常の用法・用量における最低用量は
10mg/kg × 9kg = 90mg。乳児の摂取量 2.52mg は、最低用量 90mg の 2.8% に相当する。
よって、正答は 選択肢1(2.8%)。
問 106-269|実務
論点| 母乳移行 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価
ポイント|
アセトアミノフェンは乳汁移行するが、その量は少なく、乳児への影響は軽微とされている。
乳児の摂取量は最低用量の2.8%に過ぎず、臨床的に問題となるレベルではない。
AAP(米国小児科学会)やWHOのガイドラインでは、アセトアミノフェンは授乳中に使用可能な薬剤とされている。
乳汁中への移行量は少なく、授乳中止の必要はないと考えられる。
医師への連絡、ロキソプロフェンへの変更は不要であり、適切な説明が求められる。
選択肢4(母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能) が正答。
薬剤師国家試験 出題基準
出典: 薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
出題基準 000573951.pdf (mhlw.go.jp)
論点を整理します。
■■GPT4o
総合的な論点
本問題は、アセトアミノフェンの薬物動態と乳汁移行に関するリスク評価を扱っており、以下の2つの観点から論じる必要がある。
薬剤(問 106-268)
アセトアミノフェンの母乳移行に関する薬物動態パラメータ。
(乳汁/血漿中薬物濃度比、血漿中濃度推移)乳児が母乳を介して摂取するアセトアミノフェン量と、推奨用量との比較。
実務(問 106-269)
アセトアミノフェンの安全性に関するデータ。
(乳児への影響、WHOや各国のガイドライン)授乳中の薬剤服用に関する薬剤師の適切な対応。
1. アセトアミノフェンの薬物動態と乳汁移行
アセトアミノフェンは、
経口投与後に速やかに吸収され、
最高血漿中濃度(Cmax)が9.0 µg/mLに達し、
血漿から乳汁への移行は速やかに平衡に達し、乳汁/血漿濃度比が
0.91~1.4と高い。
これにより、乳汁中の濃度は最大で
9.0 µg/mL × 1.4 = 12.6 µg/mLと推定される。
乳児は1回の授乳で200 mLの母乳を摂取するため、最大摂取量は
12.6 µg/mL × 200 mL = 2520 µg = 2.52 mg となる。
2. 乳児における推奨用量との比較
アセトアミノフェンの小児用量は10~15 mg/kgであり、
体重9 kgの乳児に対する最低用量は90 mg(9 kg × 10 mg/kg)である。
乳児が母乳を通じて摂取する最大量 2.52 mg は、最低用量の
約2.8%(= 2.52 mg / 90 mg × 100) に相当する。
したがって、問 106-268 の正答は 「2.8」 となる。
3. 授乳継続の可否と適切な薬剤師の対応
アセトアミノフェンの乳児における副作用は極めて少なく、WHOや米国小児科学会(AAP)も「授乳中に安全に使用可能」と分類している。
また、アセトアミノフェンは代謝の大部分が肝臓でグルクロン酸抱合と硫酸抱合を経て排泄されるため、未熟な乳児でも蓄積のリスクが低い。
このため、「母乳中の移行量は少量であり、服薬中でも授乳可能」 という説明が最も適切であり、問 106-269 の正答は 「4」 となる。
結論
問 106-268(薬剤)では、乳児が摂取するアセトアミノフェン量は最低推奨用量の約2.8%であり、臨床的に問題ないことを計算で示した。
問 106-269(実務)では、エビデンスに基づき授乳を継続できることを示し、患者への適切な説明を導いた。
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
問 106-268(薬剤)
乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量が、乳児の最低用量の何%に達するか
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
選択肢 1: 2.8
論点: 乳汁中濃度と摂取量の計算。
アプローチ:
最大血漿中濃度(Cmax)= 9.0 µg/mL
最大乳汁濃度 = 9.0 × 1.4 = 12.6 µg/mL
乳児の摂取量 = 12.6 µg/mL × 200 mL = 2.52 mg
乳児の最低推奨用量(9 kg × 10 mg/kg)= 90 mg
%計算: (2.52 mg / 90 mg) × 100 = 2.8% → 正答
問 106-269(実務)
薬剤師の患者への説明として最も適切なもの
各選択肢の論点および解法へのアプローチ方法
選択肢 1: 母乳中への薬物移行量が多いので、処方の中止を医師に連絡する必要がある。
論点: 母乳中への移行量が多い。
アプローチ:
乳汁/血漿比は高いが、摂取量は相対的に低い(最低用量の2.8%)。
処方の中止を医師に連絡する必要はない。
よって、この選択肢は、誤り。
選択肢 2: 母乳中への薬物の移行量は少量ですが、授乳は中止してください。
論点: 少量であるにもかかわらず授乳を中止する必要があるか。
アプローチ:
WHO・AAPはアセトアミノフェンを「授乳中に安全に使用可能」と分類。
授乳中止の必要はない。
よって、この選択肢は、誤り。
選択肢 3: 母乳と粉ミルクで育児に大きな違いはないので、授乳を中止するのが無難です。
論点: 粉ミルクとの比較で授乳中止を勧めるべきか。
アプローチ:
母乳と粉ミルクの違いは医学的に大きい(免疫成分や栄養)。
アセトアミノフェンは授乳中も安全。
よって、この選択肢は、誤り。
選択肢 4: 母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能です。
論点: 乳汁移行量の評価と、授乳継続の可否。
アプローチ:
乳児の摂取量は 最低用量の2.8%と極少量。
WHO・AAPガイドラインに基づき安全と判断可能。
よって、この選択肢は、正答。
選択肢 5: ロキソプロフェン錠に変更すれば、母乳中に薬物が移行しないので安全です。
論点: 代替薬としてロキソプロフェンを推奨すべきか。
アプローチ:
ロキソプロフェンは乳汁に移行する。
乳汁中濃度は血液中濃度に比較し投与後4時間で4.3倍、投与後6時間で3.9倍(ラット、14C-ロキソプロフェンナトリウム水和物)アセトアミノフェンのほうがエビデンス的に安全。
よって、この選択肢は、誤り。
結論
問 106-268: 2.8% が正しく、選択肢「1」が正答。
問 106-269: 授乳継続が可能であることを伝える「4」が正答。
引用文献
本問題の解法に使用したエビデンスおよび参考文献を以下に示す。
1. アセトアミノフェンの薬物動態と乳汁移行
Hale TW, Rowe HE. Medications and Mothers’ Milk. Springer Publishing Company; 2023.
アセトアミノフェンは乳汁/血漿比が0.91~1.4であり、授乳中の使用が安全であると報告。
Bertolini A, Ferrari A, Ottani A, Guerzoni S, Tacchi R, Leone S. Paracetamol: New vistas of an old drug. CNS Drug Reviews. 2006;12(3-4):250-275.
アセトアミノフェンの薬物動態と乳児への影響について解説。
2. 乳児の薬物摂取量と推奨用量
American Academy of Pediatrics (AAP). The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics. Pediatrics. 2013;132(3):e796-e809.
アセトアミノフェンは「授乳中に使用可能な薬剤」として分類。
World Health Organization (WHO). Breastfeeding and Maternal Medication: Recommendations for Drugs in the Eleventh WHO Model List of Essential Medicines. Geneva: WHO; 2002.
アセトアミノフェンは母乳中への移行が少なく、乳児に対して安全に使用できると記載。
3. 実務的対応と授乳の安全性
Ito S. Drug Therapy and Breastfeeding. Obstet Gynecol Clin North Am. 2015;42(1):103-119.
授乳中の薬剤使用に関する実務対応を概説し、アセトアミノフェンが安全であることを確認。
薬剤添付文書: 「カロナール錠 200mg」(アセトアミノフェン) 第一三共株式会社.
成人の最高血漿中濃度や薬物動態データを取得。
結論
薬剤学的評価に基づき、乳児のアセトアミノフェン摂取量は最低用量の2.8%と極少量である。
WHOおよびAAPのガイドラインに基づき、授乳中に使用可能な薬剤であることが確認された。
適切な薬剤師の対応として「母乳中の移行量は少量であり、服薬中でも授乳可能」と説明するのが妥当。
以上で、論点整理を終わります。
理解できたでしょうか?
大丈夫です。
完全攻略を目指せ!
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学実践問題【複合問題】からアセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形で GPT4o & Copilot 、Gemini 2、または Grok 2 が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
生成AIの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
Here we go.
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問268-269
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-268-269
Q. 38歳女性。腰痛のため近医を受診したところ以下の薬剤を処方され、1歳0ヶ月の幼児(体重9kg)を伴って薬局を訪れた。
(処方)
アセトアミノフェン錠|200mg|1回|2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
幼児は、1回の授乳で200mL程度の母乳を飲むことがあるとのこと。母乳による育児の継続を強く望んでいるが、薬の服用後に母乳中に薬が移行して子どもに影響することに不安を持っているとのことであった。アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91~1.4とされている。また、アセトアミノフェン錠の添付文書から薬物動態及び用法・用量に関する以下の情報を得た。
【薬物動態】
成人にアセトアミノフェン400mgを経口単回投与後の最高血漿中濃度は9.0µg/mLであり、投与12時間後には血漿中からほぼ完全に消失していた。
【用法・用量】
通常、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを経口投与する。
薬剤
問 106-268|薬剤
Q. 患者が指示どおりに服用した場合、乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量は、保育する幼児における最低用量に対し、最大で何%に達する可能性があるか。最も近い値を1つ選べ。なお、アセトアミノフェンの血漿から乳汁への分布は速やかに平衡状態に達するものとする。
■選択肢
1. 2.8
2. 9.0
3. 25
4. 90
5. 250
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-268-269【薬理、薬剤/実務】論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量|matsunoya
実務
問 106-269|実務
Q. 薬剤師の患者への説明として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 母乳中への薬物の移行量が多いので、処方の中止を医師に連絡する必要があります。
2. 母乳中への薬物の移行量は少量ですが、授乳は中止してください。
3. 母乳と粉ミルクで育児に大きな違いはないので、授乳を中止するのが無難です。
4. 母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能です。
5. ロキソプロフェン錠に変更すれば、母乳中に薬物が移行しないので安全です。
Here:
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-268-269【薬理、薬剤/実務】論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量|matsunoya
■■GPT4o
■問 106-268|薬剤
■論点|
この問題の論点は、乳汁移行 / 血漿中濃度比 / 乳児摂取量 / 用量比較 を特定することです。
■解説1|
1. 2.8(選択肢1)[正しい]
以下の手順で、乳汁200mLあたりのアセトアミノフェン量を算出し、乳児の最低用量に対する割合を求める。
最高血漿中濃度の計算
成人が 400mg 経口投与した際の最高血漿中濃度(Cmax)は 9.0µg/mL。
乳汁/血漿中薬物濃度比(M/P比)は 0.91~1.4。
よって、乳汁中の薬物濃度(Cmilk)は 9.0 × 1.4 = 12.6µg/mL(最大値)。
乳汁200mLあたりのアセトアミノフェン量の計算
乳汁中の薬物濃度 12.6µg/mL × 200mL = 2520µg = 2.52mg。
乳児の最低用量との比較
乳児の体重:9kg
幼児の最低投与量:10mg/kg × 9kg = 90mg。
乳児の摂取量 2.52mg は、最低用量 90mg の 2.8%。
以上より、最も近い値は 選択肢1(2.8%) となる。
■解説2|
乳汁移行のメカニズム
乳汁への薬物移行は、血漿中濃度、M/P比、pKa(酸解離定数)、脂溶性、タンパク結合率によって決定される。
アセトアミノフェンのM/P比は 0.91~1.4 であり、血漿から乳汁への移行が比較的高い薬剤に分類される。
しかし、薬物の総投与量が少なく、血漿中での半減期が短いため、乳児の曝露量は限定的 である。
薬物動態の影響
アセトアミノフェンは経口摂取後 速やかに吸収 され、最高血漿中濃度に到達後、12時間以内にほぼ消失 する。
乳児の摂取量が母体の摂取量に対して極めて少ない ため、治療量を大幅に下回る。
乳児への影響評価
一般的に、小児におけるアセトアミノフェンの安全域は広く、推奨用量範囲内では副作用が少ない。
2.8% という数値は極めて低く、乳児への有害影響をもたらす可能性はほぼない。
■結論|
乳児が母乳を通じて摂取するアセトアミノフェンの量は非常に少なく、安全性に問題はない。
よって、正解は 選択肢1(2.8%) である。
■問 106-269|実務
■論点|
この問題の論点は、母乳移行 / 母乳育児の安全性 / 乳児の曝露リスク / 薬剤師の適切な指導 を特定することです。
■解説1|
母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能です。(選択肢4)[正しい]
アセトアミノフェンの母乳移行量の評価
前問(106-268)の計算結果より、乳児のアセトアミノフェン摂取量は 2.8% と極めて少ない。
一般的に、小児へのアセトアミノフェンの推奨用量は 10~15mg/kg であり、乳児の摂取量はその 1/30 以下 にとどまる。
したがって、母乳育児中でも安全に使用可能。
アセトアミノフェンの安全性
アセトアミノフェンは、WHOやAAP(米国小児科学会)でも授乳中の使用が許容される薬剤とされている。
半減期が短く、乳児への長期的な影響はほぼない。
授乳を継続することで、母乳のメリットを享受できるため、授乳を中止する必要はない。
薬剤師の適切な指導
母親が不安を抱えているため、科学的根拠に基づき安心感を与える説明が必要。
「アセトアミノフェンは安全性が高く、乳汁移行量も微量のため、授乳を続けて問題ありません」と説明するのが適切。
■解説2|
母乳育児の意義と影響
母乳は、乳児の免疫機能向上や消化吸収の促進に寄与し、母子の絆を深める重要な役割を果たす。
母乳育児を中止することで、母親の心理的ストレスや乳児の栄養状態への影響が懸念される。
授乳を不必要に中止することは、母乳の分泌低下につながり、育児方針に悪影響を及ぼす可能性がある。
薬剤の授乳中使用に関するガイドライン
「母乳とくすりハンドブック」や「LactMed(米国国立医学図書館)」によると、アセトアミノフェンは「授乳中に使用可能」とされている。
乳児における有害事象の報告は極めて少なく、推奨用量内では安全性が確立されている。
そのため、薬剤服用中でも授乳を継続することができる。
■結論|
アセトアミノフェンは授乳中に使用可能な薬剤であり、服用後も授乳を続けて問題ない。
母乳中への移行量が微量であり、乳児への影響が極めて少ないため、不必要に授乳を中止する必要はない。
したがって、正解は選択肢4 である。
■補足|
母乳中への薬物の移行量が多いので、処方の中止を医師に連絡する必要があります。(選択肢1)[誤り]
アセトアミノフェンの母乳移行量は 2.8% と少なく、乳児への影響は無視できるレベル。
医師への連絡は不要であり、この選択肢は誤り。
母乳中への薬物の移行量は少量ですが、授乳は中止してください。(選択肢2)[誤り]
乳汁移行量が少量であることは正しいが、その量は臨床的に問題とならないレベル。
授乳の中止は不要であるため、この選択肢は誤り。
母乳と粉ミルクで育児に大きな違いはないので、授乳を中止するのが無難です。(選択肢3)[誤り]
母乳と粉ミルクには栄養的な違いがあり、母乳育児のメリットが大きい。
不必要に授乳を中止することは推奨されないため、誤り。
ロキソプロフェン錠に変更すれば、母乳中に薬物が移行しないので安全です。(選択肢5)[誤り]
ロキソプロフェンは母乳中に移行する。
乳汁中濃度は血液中濃度に比較し投与後4時間で4.3倍、投与後6時間で3.9倍(ラット、14C-ロキソプロフェンナトリウム水和物)アセトアミノフェンのほうがエビデンス的に安全。
よって、「ロキソプロフェンに変更すれば安全」という表現は誤り。
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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第106回薬剤師国家試験|薬学実践問題 /
問268-269
一般問題(薬学実践問題)
【薬理、薬剤/実務】
■複合問題|問 106-268-269
Q. 38歳女性。腰痛のため近医を受診したところ以下の薬剤を処方され、1歳0ヶ月の幼児(体重9kg)を伴って薬局を訪れた。
(処方)
アセトアミノフェン錠|200mg|1回|2錠(1日4錠)|
1日2回 朝夕食後 7日分|
幼児は、1回の授乳で200mL程度の母乳を飲むことがあるとのこと。母乳による育児の継続を強く望んでいるが、薬の服用後に母乳中に薬が移行して子どもに影響することに不安を持っているとのことであった。アセトアミノフェンの乳汁/血漿中薬物濃度比は0.91~1.4とされている。また、アセトアミノフェン錠の添付文書から薬物動態及び用法・用量に関する以下の情報を得た。
【薬物動態】
成人にアセトアミノフェン400mgを経口単回投与後の最高血漿中濃度は9.0µg/mLであり、投与12時間後には血漿中からほぼ完全に消失していた。
【用法・用量】
通常、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを経口投与する。
薬剤
問 106-268|薬剤
Q. 患者が指示どおりに服用した場合、乳汁200mLあたりに含まれるアセトアミノフェン量は、保育する幼児における最低用量に対し、最大で何%に達する可能性があるか。最も近い値を1つ選べ。なお、アセトアミノフェンの血漿から乳汁への分布は速やかに平衡状態に達するものとする。
■選択肢
1. 2.8
2. 9.0
3. 25
4. 90
5. 250
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問 106-268-269【薬理、薬剤/実務】論点:アセトアミノフェン / 乳汁移行 / 血漿中濃度 / 乳児曝露量 / 授乳 / 安全性評価 / 用法用量|matsunoya
実務
問 106-269|実務
Q. 薬剤師の患者への説明として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
■選択肢
1. 母乳中への薬物の移行量が多いので、処方の中止を医師に連絡する必要があります。
2. 母乳中への薬物の移行量は少量ですが、授乳は中止してください。
3. 母乳と粉ミルクで育児に大きな違いはないので、授乳を中止するのが無難です。
4. 母乳中への薬物の移行量は少量であり、薬剤服用中でも授乳可能です。
5. ロキソプロフェン錠に変更すれば、母乳中に薬物が移行しないので安全です。
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