I'm Back Roll、今度こそ期待して良いのか?
「I'm Back」というフィルムカメラにイメージセンサーを仕込むことでデジタルカメラ化するデジタルバックをご存知でしょうか(クラウドファウンディングを中心に展開されている、アレです↓)。

最新「I'm Back Roll」が今年(2026年)リリースされるようで、テザー広告によると、従来のような外付けユニットを必要としないパトローネ型になる(!?)と言われており、期待が高まります。

反面、かれこれ10年続くI'm Backシリーズは、悉くカメラ愛好家を裏切り続けたプロダクトでもあったので両手をあげて喜べない一面もあります。
そこで、過去10年に発売されてきたI'm Backシリーズを振り返ってみました。

I'm Back (2016〜2018)
ブラジルのカメラ愛好家・Samuel Mello Medeiros氏が2016年からクラウドファウンディングKick Starterで出資を募り進めた試作プロジェクト。

カメラの裏蓋を外し換装する「デジタルバック」であり、それ故に対応機種も限定されていました。
イメージセンサーは1,640万画素の1/2.3型センサー(詳細不明)を採用されています(途中、仕様が何度も変更されており、最初期モデルは800万画素だったそうです)。
最大の特徴(であり欠点)が、カメラのフィルム面に「すりガラス状スクリーン」を配置し、レンズ像をそこに投影した上で、小型イメージセンサーでそれを撮影する、という「スクリーン再撮影方式」を採用している点。
これにより、1/2.3型という小さなセンサーですが、レンズ焦点距離が持つ元の画角に近い感覚で撮影できるようですね(反面、スクリーン再撮影方式ではどうしてもコントラストとシャープネスの両方を大きく欠いた写真になってしまう)。

また、上記画像のように、デジタルバックの背面が大きく飛び出しており、ファインダーを覗いて撮影することができません(プロモーション映像の中で彼らはあたかもファインダーを覗いて撮るような仕草をしますが、明らかにミスリードを誘っている)。

結局、上記写真にあるように、iPhoneに接続してライブビューとして撮影するしかなく、撮影体験は大きく損なわれている感が否めません(デジタルバック自体にも背面に2.4インチ小型液晶画面が付いておりライブビューも可能)。
尚、この大きなユニットの中には、制御用の小型PCとして「Raspberry Pi 3 Model B」が内蔵されているそうです。
撮影時はカメラ側のシャッターをバルブにしておく必要があり、あくまでフィルムカメラの「ガワだけ使った」感が否めません。
I'm Back 35 (2020年)
2020年に製品化されたのが「I'm Back 35」。基本的にはクラファンを通じて販売されており、仕様は(試作色の強かった)「I'm Back」から少し進歩します。
まず、デジタルバックに傾斜が付けられ、カメラのファインダーを覗き込めるようになりました。

採用されている1,640万画素の1/2.3型センサーは、パナソニック製「MN34120」または「MN34112」と言われています。
従来と異なり、カメラ本体のシャッターと擬似的に連動するようになります。”擬似的”というのは、I'm Back 35自体は撮影スタンバイ状態で常にセンサーから画像を読み出しし(=真っ暗)、カメラ本体側のシャッターが切られた瞬間の差し込む光を受光して映像にする、という荒技。
そのため、シャッター速度が速すぎたり遅すぎたりしても上手く映らない(&レビューの多くは「どのシャッター速度でもうまく行かない」との評も)といった課題があるようですね。
ネット上での評判も見ましたが、総じて「使い物にならない」という感じでしょうか。
I'm Back MF (2019年)
前述「I'm Back 35」のミドルフォーマット(MF)対応版。いわゆるハッセルブラッドやマミヤといった中判カメラ用。I'm Back 35発売より少し早い、2019年末にリリースされていたようです。

基本的に「I'm Back 35」と仕様が同じで、センサーも同じ1/2.3型で、1,640万画素のパナソニック製「MN34112」と判明しています。
I'm Back Film (2023年)
従来はデジタルバックとしてカメラの裏蓋を外す必要がありましたが、この「I'm Back Film」からはその必要がなく、パトローネの形状をしたイメージセンサーをカメラに装着する形となります。

これだけで済めば革新的なのですが、残念なことにこのイメージセンサーから伸びるフレキシブルケーブルを裏蓋の隙間からユニットに接続する必要があります。

つまり、結局は↓こういう形になってしまいます。

初代モデルから比較すれば、随分とスマートになったものの、カメラとのアンバランス感は否めません。
最も大きな進歩は上記画像でもわかるように、イメージセンサーが直接フィルム面に配置された点。従来の「スクリーン再撮影方式」から直接イメージセンサーで撮影するようになった事で画質が大きく進化します。
搭載されるイメージセンサーはソニー製IMX269(4/3型、2,000万画素CMOSセンサー)。ここで新たな課題が生じます。従来のスクリーン再撮影方式では、レンズの画角がほぼ保たれますが、4/3型を直接配置することで画角は2倍になってしまいました(!)。
それだけクロップされてしまうのに、当然ながらファインダー内にはクロップ枠が付くわけではありませんから、さぞかし撮りにくいようですね。
余談ですが、この頃から日系ブラジル人2世でスイス在住の起業家Filippo Nishino氏が参加しているようです。
I'm Back Roll (2026年予定)
そして最新モデルとなる「I'm Back Roll」が今年(2026年)にリリース予定となっています。

I'm Back Rollでは、APS-Cセンサーを搭載した点が大きな特徴。細かな仕様は現時点(2026年3月時点)で公表されておらず不明。
ですが、以下のテザー広告によると↓

We removed everything.Only one thing remains.The sensor.
(和訳)
我々は全てを取り去った。残っているのはただ1つ。センサー。
遂に、パトローネ状の装置を装着するだけで済むことが示唆されています。
外部モジュール削減、内蔵バッテリー、内蔵ストレージ、無線操作(Bluetooth)。これは期待できそうですね。
疑問点:シャッター連動は?
一番の疑問点は、カメラ本体のメカニカルシャッターとI'm Back Rollがどのように連動するのか?という点です。
従来、I'm Backシリーズは、カメラとの情報交換がない為、シャッター信号を受け取れずにいました。
その為、I'm Back側は常にセンサーが動いていて、「暗い」 → 「明るい」に変わったタイミングを捉えて「シャッターが開いた“っぽい”」と判断、逆に「明るい」 → 「暗い」に変わったタイミングで「シャッターが閉じた“っぽい”」と判断する荒技でした。
故に、露光時間は推定(どころかデタラメ)であり、同期は不完全かつ再現性の無い、要するにネット上の評判がそうであるように「使い物にならない」カメラだった訳です。
この課題を最新I'm Back Rollがどう解決したのか(それとも未解決のままなのか)が最も気になりますね。
※私なりの案を下記に記載しています
期待せず続報を待つ
これまで何度も裏切られてきた感の拭えないI'm Backシリーズですが、最新I'm Back Rollの続報を期待せず待ちたいと考えます。
それにしても、ロマンがありますね、I'm Backプロジェクトは。〔了〕

