ポケットメモ#29 他人の夏みかんのこと
◾️今日のポケットメモ
夏みかん 気になる 収穫
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実家には夏みかんの木が一本ある。
「食べて美味しかった夏みかんなの。
種を庭に蒔いたら、芽が出たのよね。」
と母は言う。
実家は住宅地にある。
長年住んでいるから、ご近所さんは顔見知りばかりだ。
よく成る年には、ご近所さんに配る。
なぜか道路からよく見える場所によく成るので、ご近所さんは心待ちにしているかもしれない。
庭に出ていると、知らない方から声がかかることもある。
「よく成ってますね」
他の方に差し上げる余裕はない。
お正月が終わってしばらくすると、みんな収穫して、いつもの方々に配る。
無くなってしまえば「いつ取るのかしら」と気を揉むこともないだろう。
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今年、ウォーキングする事を新年の目標にして歩き始めた。
自宅の近所を歩く。
飽きやすいので、コースはいくつか作ってその日の気分で歩いている。
そのコースの中に、夏みかんが成っているお宅がある。
2階のベランダより少し高い。
ベランダから手を伸ばせば夏みかんは取れそうだ。
2月。
実家の夏みかんは収穫が済んだけど。
ここのお宅は、取るのが遅いのね。
3月。
こんなに成っているのに、一向に減らない。
食べないのかしら。
3月下旬。
夏みかんが一個、側溝に落ちている!
もったいない。
4月上旬。
そのお宅のご主人が、庭の花の植え替えをしていた。
チューリップが綺麗。
花はお好きなのね。
4月中旬のある日。
「今日、夏みかんのお宅の前を通ったの。
『ご自由にお持ちください』って書いた箱に夏みかんが入っていたよ」
娘から報告があった。
でも、貰うのは恥ずかしくて、遠くから見ただけだと言う。
とうとう取ったのか。
…やれやれ。
それにしても、どんな味なんだろう。
甘いのか。
酸っぱいのか。
食べてみたかったな。
数日後。
そのお宅の前を通った。
木の上の方、ベランダ近く。
まだ夏みかんがいくつも残っているではないか。
…てっきり、全部収穫したんだと思っていた。
また、ご自由にの箱、出るかしら。
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それから、時々そのお宅の前を通るが、一向に変化はない。
こんなに夏みかんが気になるのは、私だけだろうか。
いや、実家の前を通る人も、きっと同じ気持ちに違いない。
いつまでも木に成らせておくのは、目の毒だ。
早く収穫してくれないかなあ。
こんな話もあります。
