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ポケットメモ#47 幸せの大根おろし

■今日のポケットメモ
大根おろし器 愛情 逆なで

***

ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ。

「愛情度、37てーーーん」
電子音の音声が響く。

まったく。
大きなお世話だっつうの!

***

ワーママの夕食準備の時間は、戦場だ。

今日も定時に帰れなくて、残業1時間。
これでも、午後は「話しかけないで」オーラ全開にして、すごいスピードで書類を作成する。

「ただいま!」
帰宅の挨拶もそこそこに、リビングへ。
鞄はとりあえず、隅に置いておこう。

エプロンを着けながら、冷蔵庫のドアを開ける。

やっぱり、今日はサンマを食べたいんだよね。
解凍、バッチリだ。
冷凍物とはいえ、サンマには大根おろしでしょ。

***

子ども達のおなかは、待ったなしだ。

「ちょっと、これ食べて待ってて」
・・・なんてやろうものなら、満足のいくまでお菓子を食べ続ける。

当然、食事は入らない。
それは、避けたい。

「もう、すぐ出来るから!
あとは、大根をするだけ」

すごい勢いで、大根をすりおろす。

***

「愛情度、37てーーーん」

最近の大根おろし器。
おろす手を止めると、点数をつけて愛情を判定する。

これがウケているらしく、ノーマルのただすりおろすだけの大根おろし器が見つからない。

***

電子音の大きな声が点数を告げる。

ぶちっ。
何かが切れた。

もう我慢出来ない。
こんな大根おろし器、壊してやる!

大根おろし器をつかんで、手を振り上げる。

その瞬間。
「ママ、おなか空いたぁ」と息子が後ろからドーンと軽くぶつかってくる。

***

理性発動。
振り上げた右手をゆっくりおろす。

大きく深呼吸。
顔の筋肉をユックリ動かして。

ギギギー。
まるで、機械仕掛けの人形のように、振り返る。

「ごめん、あと少しだから」
にっこり笑って、答える。

「じゃあ、ボクが手伝ってあげるよ」
残っていた大根を持って、大根をすり始める。

鼻歌を歌いながら。
ゆっくり、ゆっくり。

***

「愛情度、97てーーーん」
電子音が鳴り響いた。

今度の不燃ゴミの日に。
絶対この大根おろし器を処分しよう。

固く誓った。

<Fin.>


コチラは、ちょっと違うテイストで。


#ポケットメモ #日常 #物語 #ショートショート #つくってみた #ワーママ #なんのはなしですか

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