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異邦人/カミュ、窪田啓作(訳)

カミュの処女作
「異邦人」を拝読しました📖´-
(2025,11,19 読了)



11/24㈪に開催された福岡読書会「本とワイン」の課題本。



4年振りの再読です。

前に拝読したときはコロナ禍のただ中で、「異邦人」の不条理な世界が現実と重なり、息苦しささえ覚えました。
今回の再読では、以前よりもムルソーに深く共鳴できたように思います。特に、17〜20歳頃の私が抱えていた孤独と、ムルソーの孤独が重なり合うようで、胸の奥がそっとざわめきました。

初読時の衝撃は時間を経ても薄れることなく、今回も読後に長く尾を引きました。
読み終えると頭の中で「異邦人」が渦を巻き、ほかの本へ視線を向ける気力さえ奪われてしまうほどでした。

“不条理文学”の象徴といわれる本作ですが、カミュが描いたのは単なる不条理ではない──再読してその思いを強くしました。
これは悲劇ではなく、むしろ「生きるための背中押し」なのだと。希望の書。
10代後半の、好き放題しては絶望し、いつ死んでもいいと考えていた幼い私に読ませたいと思う一方で、当時の私ならきっと何も受け取れなかったのでしょう。

今の私は素敵な仲間に囲まれ幸せだと思う反面、才能のなさを思い知らされる日もあります。
文才もない、料理が上手いわけでもない、一人で生き抜く術も、やりたいことを実現する力も財力もない──そんな現実の孤独を、今の私は確かに抱えています。

けれどムルソーは、その孤独さえも恐れず、苦しみにも沈まず、ただ正直に生きている。
その真っすぐさに、どこか憧れを抱いてしまう自分がいます。
今日聴いていたポッドキャストで、エッセイストのジェーン・スーさんがこう語っていました。

誰もが正しいことだけでは生きていけない

OVER THE SUN より



この言葉と、「異邦人」が不思議と呼応した気がしたのです。

再びこの作品に出会ったのは、荒れていた若い私を、そして今の私自身をも、そっと受け入れ、解放するためだったのだと思います。そして特に取り柄もない私を快く迎え入れてくれる素敵なお仲間たちにも改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
ムルソーのような強さは持てなくても、少しは自分を肯定してもいい。そんな柔らかな勇気が、胸の奥に灯りました。

一切が果たされ、私がより孤独でないことを感じるために、この私に残された望みとは、私の処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて、私を迎えることだけだった。


最後、ムルソーは不思議な幸福感に包まれます。孤独から解放されるのです。
このラストの一文は何度読んでも胸を打ち、思わず「うーむ」(チップス先生風に)と唸ってしまいます。

カミュがこの作品を書いてから83年。
世界は今もなお不条理に満ち、平和に見える場所でも無秩序や矛盾は増しているように感じます。
価値観を尊重する時代だと言われても、私たちは結局、“常識”というフィルター越しに世界を見てしまう──私自身も含めて。

だからこそ、「異邦人」は今も読むべき一冊なのだと思います。
そして私の大好きな一冊に「異邦人/カミュ」が今回新たに加わったのでした。




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