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実践ゼミ#3:食事療法は“引き算”ではなく“配置”〜世界比較で見えた、シンプル化〜

📗 実践ゼミ#3 / 「できた!を増やす実践スタジオ」
前回 → #2「夜の2時間で朝が変わる」


みなさん、糖尿病の食事療法って、情報が多すぎて逆に動けなくなる瞬間ありませんか。「糖質、脂質、カロリー、○○が良い、△△は毒…」食事療法の世界は今日も騒がしい。

でも、ここでいったん地図を広げます。

世界のガイドライン(日本/米国/欧州/アジア)を並べると、“やること”は結局3つに収束します。

どこの国も、最終的に見ているゴールは “HbA1c・体重・心血管リスク”です。

では食事療法をシンプルにとらえていきましょう!!

1. 食事の設計思想の違い:日本は「型」、米欧は「個別化」

→ 結論:「正しい方法が1つある」のではなく、「続けられる方法を選ぶ」のが正義です。

まず日本と海外との比較をしてみると…

⇨日本(JDS):続けられる“型”を作る
・標準体重と活動量からエネルギーを決め、PFCの目安も提示して、ブレにくい運用を重視

⇨米国(ADA)・欧州(EASD):結果で評価、方法は“選べる”
・「理想のPFC比率は1つではない」=あなたの生活に合わせて設計
・地中海食、DASH、植物中心など、複数の食パターンを容認しつつ、加工食品・飽和脂肪酸・糖の多い飲料などは抑える方向


ざっくりとしたイメージで表現すると…

  • 日本:決まった路線バス(乗れば目的地に着く)

  • 米欧:乗り合いタクシー(目的地は同じ、ルートは選べる)

どっちが偉いでも正しいでもなく、「食事療法を継続できることが正義」です。

2. 「共通する普遍ルール」と「人によって変える可変ルール」

→ 結論:変えない方がいいことと、アレンジした方がいいことを分けると、迷いが減ります。

皆さんもお気づきのように、万人に良いルールなんてものはありません。

何度もしつこいですが…自分に合ったルールを設計していくのが何より大事になります。

ただ変えないほうがいいところ(普遍ルール)、アレンジしたほうがいいところ(可変ルール)を次に示します。

⭐︎普遍ルール(世界共通で外しにくい)

  • 体重(エネルギー収支)を整える:必要なら減量、痩せすぎなら栄養を足す

  • 糖質は「量」だけでなく「質」:精製・砂糖多いものを減らし、食物繊維を増やす

  • 脂質は“量より質”:飽和脂肪酸・加工肉寄りを減らし、魚や植物油などへ寄せる

  • たんぱく質で筋肉を守る:血糖だけ追うと筋肉が落ちて長期的に不利

  • 塩分も血管の敵:血圧が合併症の加速装置になる

⭐︎可変ルール(自身に合わせて調整)

  • 糖質をどこまで減らすか(続く範囲で)

  • 食事回数・タイミング(薬、生活リズムで最適化)

  • たんぱく質量(腎機能、年齢、運動量で変わる)

  • “勝ち筋”となる食パターン(和食寄り、地中海寄り、外食多めなど)


当たり前のように感じるかと思いますが、それぞれを全て整えるには知識と経験、そして何より“実践”が必要になります。


3. PFCは「正解」ではなく“実施できる範囲”を保つ

→ 結論:PFC比率に「唯一の正解」はない。自分の生活に合った配分を探すことが目標です。

日本の目安としては、C:炭水化物 50〜60%、P:たんぱく質は20%まで、F:脂質は残り(脂質が増えるなら脂肪酸の質に注意)という考え方が示されています。

一方で米国は「万人に理想比率はない」と明言しています。

つまり結論:「PFCバランスは“正解探し”ではなく、あなたが続けられて結果が出るレンジを探すもの」


まずは超実用の3パターン


4. ビタミン・ミネラルは「サプリ枠」ではなく「不足を作らない」ことが大事!

サプリで取ればいいの?使い方によっては全然いいです!!

でもそれに依存してしまうのは問題ですが、特に問題となるのはサプリの定義かも。

サプリは「足りないものを補充する」ということであり、「サプリを飲むことで身体が健康になる」ために使うわけではないのです。

ここで大事なことをまとめるライン。

・ サプリが“血糖を劇的に改善”するという話は、宣伝が先行しがち

・でも、食事が単調になれば欠乏は起きうる(=体調・運動・睡眠・肌・回復が落ちて、結果として血糖管理もしんどくなる)


なので戦略はシンプルです。

  • サプリを中心に戦うのではなく、食卓の多様性で回収する!

  • 食事摂取基準2025の考え方(各栄養素の基準値)を“食品で満たす”方向に使う


*「不足を作りやすい人」はこんな人!

  • ダイエットで主食も主菜も削りがち

  • 外食・コンビニ中心で、野菜/海藻/きのこが少ない

  • 好物を中心に同じメニューを延々ループしている

  • 高齢で食が細い(量がそもそも入らない)

⇨ 当てはまるほど、食事の“色を増やす”が最優先です。(詳細は後ほど)


5. では今日から楽しく回すための実践 「7日間チャレンジ」

7日で「食事が整う」ミニ設計

Step1:目的を1つだけ選ぶ

あなたの目的はどれ? “1つだけ”選んでください。

 A:体重を落としたい(腹囲も気になる)

 B:食後高血糖を抑えたい(食後の眠気、CGMで上がる、健診で食後が高い)

 C:筋肉を落としたくない(痩せ・フレイル、運動、高齢)

 D:腎・血管を守りたい(腎機能/血圧/脂質が気になる、合併症が心配)


⭐︎目的別「最初の一手」

A 体重:間食の“色”を変える(甘い→たんぱく+食物繊維へ)

B 食後高血糖:主食の横に“緑/白/黒”を足す(野菜・きのこ・海藻)

C 筋肉:毎食に“たんぱく1品”を固定(卵/納豆/豆腐/魚/肉少量)

D 腎・血管:脂質は“質”を変える(揚げ物頻度↓、魚/大豆/オリーブ系↑)

※腎機能が落ちている方は、たんぱく量は主治医の指示が優先です。


Step2:7日間チャレンジ「食卓に1色追加」

大事なルールは1つ ⇨ 毎食じゃなくてOK。「1日1回で合格」です。


【 追加する“色”はこの4つから選ぶ!これすごい大切な技術です! 】

  緑:葉物(サラダ、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー)

  白:きのこ(しめじ、えのき、しいたけ)、豆腐

  黒:海藻(わかめ、もずく、ひじき)

  赤:魚・肉・卵(主にたんぱくの色)


もっと簡単にする「固定メニュー(最強)」

 * 味噌汁に:わかめ+きのこ(黒+白)

 * 小鉢に:冷奴 or 納豆(白)

 * 追加一品:サラダ or カット野菜(緑)

 * コンビニなら:海藻サラダ/もずく/ゆで卵/サラダチキン/豆腐バー


逆に控えたいのは…皆さんも好きですよね。私は多分大好きです…

  茶:揚げ物・加工肉(唐揚げ、コロッケ、天ぷら、ハンバーガー)


Step3:記録(できる範囲でOK)

記録は“研究”じゃなくて“自分の攻略メモ”

毎日つけなくてもOK。「できた日だけで十分」です。


〜記録する項目〜

 1. 朝の体重

 2. 食後の眠気(0〜3で) 0:なし/1:少し/2:強い/3:動けない

 3. (測れる人だけ)食後血糖

 タイミングは「食べ始めから1〜2時間」のどこかで統一


*記録フォーマット(手帳に適当で構わないので記載)

* Day1( / ):体重__kg|眠気__(0-3)|食後血糖__mg/dL(測れたら)

⇨「あすけん」(アプリ)を利用するのも便利です。私も使ってます。


Step4:8日目の「ふり返り」チェック(10分)

当てはまるものにチェック

 □ 食後の眠気が軽くなった日があった

 □ 間食が減った/欲しくなくなった

 □ 便通が良くなった

 □ 食後血糖(測れた日)が落ち着いた

 □ 続けやすい“1色”が見つかった


#ふり返り結論

 ・ 私の目的:A/B/C/D(どれ)

  ・続けられそうな1色:緑/白/黒/赤(どれ)

  ・一番ラクだったやり方:____(例:味噌汁にわかめ+きのこ)


Step5:次回診察/栄養指導に持っていく「設計メモ」

次の3点だけ共有できれば、治療が一段ラクになります。

1. 目的(A/B/C/D)

2. 7日でできたこと(何色をどう足したか)

3. 変化(眠気・体重・食後血糖のどれが動いたか)

⇨翌週からの食事療法と1週間のスケジュールを調整するテクニックが増していくはずです!!それでもミスる日や週もありますが、自分を責めないで!

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最後に…なぜ“筋肉を落とさない食事”が血糖管理に効くのか

糖尿病の食事療法は、つい「糖質を減らせば勝ち」という単純なゲームに見えがちです。けれど現実は、もっと生物学っぽい話になります。

筋肉は、血糖(ブドウ糖)を取り込んで使う最大の“器”です。食後、血液に増えた糖を筋肉が受け取って燃やしてくれるほど、血糖は穏やかになります。逆に、食事量を急に減らしたり、糖質を極端に抜いてエネルギー不足が続くと、身体は不足分を補うために筋肉を分解しやすくなります。

このとき起こるのは「体重が減った」という成功体験の一方で、血糖の受け皿(筋肉)が小さくなるという静かな不利益です。

結果として、

  • 食後高血糖が出やすい

  • ちょっとした間食や外食で血糖が跳ねやすい

  • リバウンドしやすい(=食事の許容量が減る)

という“血糖が不安定になる体質”に近づきます。

だから糖尿病の食事で大事なのは、血糖だけを見て「削る」ことではなく、筋肉を守って「受け皿を維持しながら整える」こと。ここが腑に落ちると、食事療法が急に“長期戦として合理的”になります。


まとめ

糖尿病の食事療法で、見落とされがちなのが「筋肉を落とさない」という視点です。

筋肉は見た目の問題ではなく、血糖を受け止めてくれる最大の器。ここが小さくなると、同じ食事でも血糖が上がりやすくなり、少しのズレで乱れやすい身体になります。

だから、今日からの合言葉はこれです。

「減らす前に、守る。」

具体的には、

  • 毎食、主菜(たんぱく質源)を必ず置く

  • 朝は最優先でたんぱく質を足す

  • 糖質を敵にしない。主食を“量で扱う”

この3つだけで、筋肉が落ちにくい食事の土台ができます。

血糖管理は、短距離走ではなく長距離走です。数字を一瞬だけ良くするより、“安定して走れる体”を作った方が勝ちやすい。筋肉を守る食事は、そのための最短ルートのひとつです。

👣 今日の一歩:次の食事で「普遍ルール」を1つだけ意識してみてください。おすすめは「野菜を先に食べる」。


🔬 もっと深掘り → 研究室#1「PFCと微量栄養素の最適化戦略」
🔬 世界比較の詳細 → 研究室#2「国際比較でわかる食事療法のシンプル化」
📗 次の実践ゼミ → #4「GLP-1の魅力と課題」
📗 ダイエットシリーズ入口 → #4-7まとめ「あなたに合ったダイエットはどれ?」
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※この記事は一般的な情報提供です。食事の具体的な調整は主治医・管理栄養士とご相談ください。


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