見出し画像

「ケアマネジャーって何をする人?」——3つの資格を持つ私が、"学校の担任の先生"で説明してみた

「ケアマネジャーって、一体何をしてくれる人なんですか?」

介護が始まったばかりの方から、よく聞かれます。

たしかに、わかりにくいんです。「計画を作る人」と言われても、何の計画かわからない。「調整をする人」と言われても、何を調整しているのかわからない。

ところが、ある一言で説明したとき、多くの方が「あ、そういうことか」という顔をされます。

ケアマネジャーは「学校の担任の先生」と同じです。

少し詳しく説明させてください。


担任の先生が何をしているか、思い出してほしい

学校に「担任の先生」がいますよね。

担任の先生は、算数も体育も音楽も、全部を教えているわけではありません。でも「うちのクラスの田中くんは算数が苦手で、最近お父さんが入院して少し元気がない」という情報を、誰よりもよく知っています。

そして算数の先生に「田中くん、最近集中が続かないので少し声をかけてあげてください」と伝え、保護者に「最近こんな様子です」と連絡し、スクールカウンセラーに「一度話を聞いてもらえますか」と橋渡しをする。

クラスという「場」全体を見渡して、必要なところに必要な人をつなぐ。それが担任の先生の仕事です。

ケアマネジャーは、まったく同じことをしています。

担任の仕事① 「クラスの状況を把握する」=アセスメント

新学期が始まると、担任の先生はまずクラス全員のことを知ろうとしますよね。家族構成、得意なこと、苦手なこと、家庭環境——。

ケアマネジャーも、最初に「今どんな状態か」を詳しく確認します。これをアセスメントといいます。

✅ 体の状態(どこが不自由か、何ができるか)
✅ 気持ちや意欲(本人が望んでいること)
✅ 家族の状況(誰が介護できるか、どれくらい関われるか)
✅ 自宅の環境(段差はあるか、お風呂は使えるか)
✅ 今まで使っていたサービスや医療機関

ここで集めた情報をもとに、「この人には何が必要か」を考えます。

担任の先生が、まずクラスの子どもたちのことを知ることから始めるのと、まったく同じです。

担任の仕事② 「各教科の先生と連絡を取る」=サービスの調整

担任の先生は、いろんな教科の先生と情報を共有しますよね。「田中くんは最近疲れているので、体育は軽めにお願いします」とか。

ケアマネジャーも、関わるすべての専門職・サービスと連絡を取ります。

訪問看護・ホームヘルパー・デイサービス・訪問リハビリ・主治医——これらが「各教科の先生」です。それぞれに「今週の状態はこうです」「次の面談まで注意して見てほしいことがあります」と情報を共有しながら、チーム全体がバラバラにならないように調整しています。

これをサービス担当者会議といって、関わる人が一堂に会して情報を合わせる場が定期的に設けられています。クラス会議のようなものです。

担任の仕事③ 「保護者と連絡を取る」=家族との定期連絡

担任の先生は、保護者と定期的に連絡を取りますよね。連絡帳や、学期ごとの保護者面談。

ケアマネジャーも、月に1回以上は本人・家族と会って状態を確認します。これをモニタリングといいます。

「最近、夜中に目が覚めることが増えました」「デイサービスで転びそうになったと聞きました」——そういった変化をキャッチして、必要があれば計画を見直します。

担任の先生に「うちの子、最近こんな様子で…」と話すように、ケアマネジャーにも気になることは気軽に話してください。それを受け取るのがケアマネジャーの仕事です。

担任の仕事④ 「学習計画を立てる」=ケアプランの作成

担任の先生が「今学期はここまで学習を進める」という計画を立てるように、ケアマネジャーはケアプランという計画書を作ります。

✅ どんなサービスを、週に何回使うか
✅ 何を目標にするか(「一人で外出できるようになる」など)
✅ それぞれのサービスがどう関わるか

このケアプランは介護保険を使うために必要な書類であり、かつ「この人の在宅生活をどう支えるか」の設計図でもあります。

作った後も、状態が変わるたびに見直します。担任の先生が学期ごとに計画を更新するのと同じです。

ケアマネジャーに相談していいこと

学校で何かあれば、まず担任の先生に連絡するように。介護で何かあれば、まずケアマネジャーに相談してください。

「こんなこと聞いていいのかな」と思うようなことでも、ほぼ全部OKです。

✅ 「夜中の介護がきつくて限界かもしれない」
✅ 「病院から退院と言われたけど、何をすればいい?」
✅ 「施設に入ることを考え始めた」
✅ 「他の家族と介護のことで揉めている」
✅ 「お金のことが心配で、どこに相談すればいい?」
✅ 「サービスを増やしたいけど、費用はどうなる?」

ケアマネジャーは「介護保険サービスの調整」だけをする人ではありません。介護全体のことを一緒に考える、一番近くにいる専門家です。

担任の先生がいるから、クラスが回る

一人の先生がすべての教科を教えることはできません。でも担任がいるから、クラス全体がバラバラにならずにまとまっています。

在宅介護も同じです。訪問看護・ヘルパー・リハビリ・医療——それぞれの専門家がいます。でもケアマネジャーがいるから、それらが「チーム」として機能します。

「何をしてくれる人かわからない」と感じたまま関係を続けるのはもったいない。担任の先生に話しかけるように、ケアマネジャーに声をかけてみてください。

その「担任の先生」には、どうやってなるのか

ケアマネジャーの正式名称は介護支援専門員といいます。国家資格ではなく、都道府県が認定する資格です。

なるためには、まず受験資格が必要です。看護師・介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・医師・薬剤師など、保健・医療・福祉の現場で通算5年以上・900日以上の実務経験を積んでいること。つまり、すでに現場で働いている専門職が、さらに上の資格として目指すものです。

受験資格を満たしたら、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験(いわゆるケアマネ試験)を受けます。全60問のマークシート式ですが、合格率は近年10〜20%前後と、決して易しくはありません。介護保険制度や医療・福祉の幅広い知識が問われます。

試験に合格したあとも、87時間以上の実務研修を修了して初めて登録が完了します。さらに、資格は5年ごとの更新が必要で、更新研修を受け続けながら資格を維持していきます。

現場経験を積んできた専門職が、次のステップとして目指す資格——それがケアマネジャーです。

これからのケアマネジャー——現場が変わる時代に

ケアマネジャーという仕事は、今まさに変わり目を迎えています。

まず、需要は確実に増えます。 日本の高齢者人口は今後も増え続け、在宅介護を支える仕組みへの期待はますます大きくなっています。ケアマネジャー1人が担当できる件数には上限(原則35件)があるため、人材の不足が現場の課題にもなっています。

ICT化・デジタル化も進んでいます。 これまで紙で作成していたケアプランの電子化が進み、情報の共有や記録の効率が変わりつつあります。テクノロジーを使いながら、「人と向き合う時間」をより多く確保できる環境に近づいています。

キャリアの幅も広がっています。 ケアマネジャーとして経験を積むと、さらに上位の主任介護支援専門員という資格があります。地域のケアマネジャーを指導・支援する立場になり、地域全体のケアの質を底上げする役割を担います。また、独立して居宅介護支援事業所を立ち上げることも選択肢のひとつです。

専門職として働きながら「次のステップを考えたい」と思っている方にとって、ケアマネジャーはそのひとつの答えになり得ます。

🌱 今日も一歩前へ

「人は一人では何もできないが、チームになれば何でもできる。」——ヘレン・ケラー(Helen Keller)

あなたのケアマネジャーに、最後に声をかけたのはいつですか?

#ケアマネジャー #介護支援専門員 #在宅介護 #介護 #介護のはじめ方 #家族介護 #理学療法士 #社会福祉士 #介護保険 #ケアプラン

いいなと思ったら応援しよう!