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ルビー色の夏、魔女から受け継いだもの

ルビー色の夏がやってきたー
魔女から受け継いだ梅しごと


昨日、ちょうど食べ頃の完熟梅を見かけた。

今年の1回目の梅しごとは、梅味噌とスパイス梅サワーだった。


ふっくらと色づいて、
今にも甘い香りがこぼれそうな完熟梅。

「これは梅干しにしよう」
そう思って連れて帰ってきた。

袋を開けた瞬間、広がる甘い香り。
桃や杏を思わせるような芳しい香りに包まれていると、梅はやはり果物なのだなと思う。

しばらく台所に置いているだけで、部屋中がその香りで満たされる。

それだけで幸せな気持ちになる。


ところが、いざ梅干しを漬けようとしたら塩が足りなかった。
なんとも間の抜けた話だけれど、そんなこともある。

梅干し作りは翌日に持ち越して
明日からのお楽しみにしよう。

梅酢が上がって、
赤しそに染まり、
土用干しを経て、
一年の台所を支えてくれる梅干しになる。

その始まりの時間もまた、
梅しごとの楽しみだ。

季節の手しごとが重なる台所
家で梅しごとに没頭する時間
なんだか少しだけ豊かだ。

さて、この完熟梅で今できることはないだろうか。

そう思って作ったのが梅塩麹だ。

実は初めての挑戦だ。
長く発酵や保存食を楽しんできたけれど、梅塩麹は作ったことがなかった。

台所仕事というのは不思議で、慣れた頃にまた新しい楽しみが見つかる。

ホットクックで作るので、夜に仕込んでおけば、次の朝にはもうできあがる。
今日、その梅塩麹をいただいてみた。

塩麹のやさしい旨味の中に、梅の爽やかな酸味と香りが重なる。

思っていた以上のおいしさだ。

夜は、たっぷりの野菜と豚肉の重ね煮に少量の水とビーフンを加え、少量の塩だけで味を整えたシンプルな一皿。

そこに梅塩麹を添えた。

さらにトマトに青紫蘇を刻み、梅塩麹をのせる。

自家製ヨーグルトには紫蘇ジュースをかける。

梅や紫蘇の風味が加わるだけで、いつものごはんが少し違って感じられる。

蒸し暑い季節でも箸が進む味だった。


冷奴にかけてもいい。
蒸し野菜にも合いそう。
オリーブオイルと合わせれば、ドレッシングにもなる。

そんなことを考えながら味わう時間もまた楽しい。


先日、梅をいただいた方にも、おすそ分けしようと思う。

こうして季節の恵みを分かち合えるのも、手仕事の嬉しさの一つだ。

そして昨夜は、久しぶりに紫蘇ジュースも作った。

鍋いっぱいの赤紫蘇を煮出し、最後にりんご酢を加えると、深い赤紫色がぱっと鮮やかな紅色へと変わる。


その瞬間は何度見ても心が躍る。

出来上がった紫蘇ジュースは、まるでルビーのような美しい色をしている。

光に透かすときらきらと美しく輝き、見ているだけで嬉しくなる。


夏になると、母がよく紫蘇ジュースを作ってくれた。

大きなガラスのポットに入ったルビー色の紫蘇ジュースが冷蔵庫にあるだけで、なんだか安心した。

暑い外から帰ってきて飲む一杯。

グラスの中で鳴る氷の音。
ルビー色の甘酸っぱい味。

今思えば、あれはただの飲み物ではなく、夏の思い出そのものだったのかもしれない。

私が子育てをしていた頃も、夏になると母が紫蘇ジュースを作ってくれていた。

子どもたちも、母の作る紫蘇ジュースを楽しみにしていた。

冷蔵庫を開けてはコップに注ぎ、
水で薄めて飲む。

学校から帰ってからも。
お風呂上がりにも。

そんな光景が当たり前のようにあった。

ルビー色の紫蘇ジュースを手にした子どもたちの笑顔まで、今でも思い出せる。

だからだろうか。

子どもたちが家を離れてから、私も紫蘇ジュースを作るようになった。

最初は、ただ飲みたかっただけだったのかもしれない。

けれど作りながら気づく。

私が懐かしいと思っていたのは、紫蘇ジュースの味だけではなかったのだと。

母が作ってくれたこと。

子どもたちが嬉しそうに飲んでいたこと。

家族が同じ夏を過ごしていたこと。

そんな時間ごと、私は思い出していたのだった。

母から私へ。

私から子どもたちへ。

レシピを教えたわけでもない。
特別に話をしたわけでもない。

けれど、季節になると作るものや、食卓に並ぶ味は、言葉以上に多くのものを手渡しているのかもしれない。

梅塩麹と紫蘇ジュース。

どちらも季節の手仕事。

台所で過ごすこうした時間は、食べ物を作っているだけではなく、家族の記憶や季節の記憶を静かにつないでいるような気がしている。

今年もまた、冷蔵庫にはルビー色の紫蘇ジュースが並ぶ。

その色を見るたびに、母のことを思い出し、子どもたちとの夏を思い出す。

梅の香りが部屋に漂い、
紫蘇ジュースはルビー色に輝く。

今年もまた、
ルビー色の夏がやってきた。




レシピ

【紫蘇ジュース】


■材料

・赤しそ 140g
・水 800cc
・りんご酢 100cc
・砂糖 300g
・青じそ 4枚

■作り方

①赤紫蘇と青紫蘇はよく洗う。

②鍋に水を入れて沸騰させ、赤紫蘇と青紫蘇を加える。
  弱めの中火で15分ほど煮出す。

③火を止め、紫蘇をしっかり押して水分を出しながらこす。

④こした液を鍋に戻し、砂糖を加えて弱火で溶かす。

⑤砂糖が溶けたら火を止め、りんご酢を加える。

⑥粗熱が取れたら保存容器に移し、冷蔵庫で保存する。

■飲み方

水や炭酸水で4〜5倍に薄めて。
氷を浮かべると夏らしい爽やかな一杯になります。

■台所養生メモ

赤紫蘇は、薬膳では気の巡りを整え、胃腸の働きを助けるとされる食材です。
梅雨から夏にかけての重だるさや食欲不振が気になる時にもおすすめです。

ベランダで育てている青紫蘇を少し加えました。
より爽やかな香りが楽しめます。

【塩梅麹】


■材料
・梅  400g(500g)
・米麹 160g(200g)
・塩  64g(80g)
・水  1.4カップ(1と3/4カップ)

■作り方

① 梅はやさしく洗い、キッチンペーパーなどで水気をふき、ヘタを取る。

② 梅、米麹、塩、水をすべて混ぜる。

③ ジッパー付き保存袋に入れ、全体がなじむようによくもみ混ぜる。

④ ホットクックの鍋に袋を入れ、袋が浮かないように深皿で重しにする。

⑤ 55℃で12時間保温する。

⑥ 梅がやわらかくなったら取り出す。

⑦ 清潔な保存容器に移して完成。

■保存
冷蔵庫で保存し、清潔なスプーンを使用してください。

■おすすめの使い方
・きゅうりや大根の和物
・冷ややっこ
・蒸し鶏のソース
・焼き魚に添えて
・オリーブオイルを合わせてドレッシングに
・そうめんのつけだれに少量加えて

■薬膳的な視点
梅は「生津(せいしん)」といって体に潤いを与え、暑さで消耗した体をいたわる食材とされています。
麹のやさしい甘みと発酵の力が加わることで、夏の食欲が落ちやすい時期にも使いやすい万能調味料になります。

*少し固めだったので、お好みで水を少量増やしてもいいと思います。
ホットクックを使うと、1日で作れて便利です。
梅は今の時期に冷凍しておくと、いつでもいろんな梅しごとができますよ。

【重ね煮ビーフン】


たっぷりの野菜の甘みと旨みを引き出した、やさしい味わいの重ね煮ビーフンです。
調味料は塩だけなのに、野菜と豚肉の旨みが重なり、満足感のある一品になります。

■材料(3人分程度)

・キャベツ 5枚
・玉ねぎ 1個
・人参 5cm
・しめじ 1パック
・ターサイ 1.5株
・豚肉 200g
・ビーフン 2玉
・塩 適量

■作り方

① 野菜はそれぞれ食べやすい大きさに切る。

② 鍋に少量の塩を振る。

③ 次の順に重ねる。
・玉ねぎ
・しめじ
・ターサイ
・キャベツ
・にんじん

④ 一番上に少量の塩を振る。

⑤ 蓋をし沸騰したら弱火で15分ほど重ね煮する。

⑥ 残り10分ほどになったら、豚肉とビーフンを加えて再び蓋をし、一緒に蒸し煮する。

⑦ 野菜から出た水分でビーフンがやわらかくなったら、全体をよく混ぜ合わせる。

⑧ 味を見て、必要であれば塩で調える。

■薬膳的なポイント

・キャベツは胃腸をいたわり、消化を助ける。
・玉ねぎは気の巡りを整える。
・人参は胃腸を補い、元気を養う。
・きのこ類は余分な湿を取り除く働きが期待される。
・豚肉は体に潤いを与い、疲労回復にも役立つ。

梅雨時や季節の変わり目など、胃腸が重たく食欲が落ちたと感じる時にも食べやすい一皿です。
梅塩麹を添えると、さっぱりといただけます。
たっぷりの野菜の旨みが染み込んだビーフンは、忙しい日のごはんにもおすすめです。



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