特別捜査官ショコラVS白銀の怪盗|迫るバレンタイン消滅|AIイラスト|ショートショート
バレンタイン限定のストーリーになっています。
🍫前編はこちら
今年は少しだけ、
妙な噂が流れていた。
“バレンタインを奪う怪盗が現れるらしい。”
誰かの冗談かもしれない。
SNSのいたずらかもしれない。
甘党警察の専用回線に、
一枚の画像が届く。
赤い薔薇。
その奥に映る、バレンタイン色の通り。
そして短い一文。
「捕まえられる?」


奪われたのは、チョコレートではない
怪盗が現れてから、街で起きたのは盗難ではなかった。
ショーケースは無事。
売上も落ちていない。
だが
SNSには、別の“消失”があった。
「やっぱり渡すのやめた。」
「重いって思われたら嫌だし。」
「なんで私からなの?」
静かに広がる波紋…
甘党警察本部。
モニターに並ぶ投稿。
ショコラは低くつぶやく。
「盗まれているのは、限定チョコじゃない。」
部下が、息を呑む。
「……勇気、ですか。」
一方、カフェの窓際。
白銀は微笑む。
「奪ってないよ。」
指先で薔薇を回す。
「ほんのひとしずく “言葉”を置いただけ。」

ざわつくSNS
タイムラインは、甘さと苛立ちで満ちていく。
◆ 守りたい者たち
「せっかく勇気出したのに。」
「限定チョコはこの時だけの“特別”なんだよ。」
「想いを市場にするなって言うけど、選ぶのは本人でしょ?」
「手づくりした時間まで否定しないで。」
「バレンタインなくすって、それで救われるの?」
◆ 奪いたい者たち
「なんで女性ばっかりぷるぷるしてるの?」
「“イベント”って圧力じゃない?」
「勇気を美談にしてるのは誰?」
「相手がいなきゃ、バレンタインなんてただの消費。」
「選択肢は、ほかにあるんじゃないの?」
対立は、拡散する。
甘さと疑問が、同じ速さで広がっていく。
だが白銀は、満足していなかった。
「足りない。」
本当に揺らしたいのは
街でも、世論でもない。
一人だけ。

夜。
屋上。
街は赤く、光っている。
ショコラは一人で立っていた。
「出てきなさい。」
風が吹く。
その気配は、すぐ後ろにあった。
「招待に応じてくれて嬉しいよ。」
白銀が姿を現す。
距離は数メートル。

「どうして奪うの。」
ショコラの声は低い。
白銀は仮面に指をかけた。
ゆっくりと、外す。
銀の髪が揺れる。
その下にあるのは
女性の顔。
「どうして守るの?」
視線は逸らさない。
「毎年、震えるのは女性の方が多い。
男性は“待つ側”でしょ?
こんなに苦しいなら
いっそ、なくせばいい。」

ショコラの帽子が風に煽られ、落ちる。
長い髪がほどける。
いや。
現れたのは、短く整えられた男性の輪郭。
「俺は。」
一人称が変わる。
「渡そうとしてる気持ちを、壊したくないだけだ。」

白銀はわずかに目を見開く。
「……やっぱり、あなただった。」
「悪いか。」
沈黙。
街のざわめきが、遠くなる。
白銀は小さく笑った。
「お互い、チョコレートの魔法が溶けたみたい。」
「あぁ。限定品は、溶けやすい。」
一歩、ショコラが近づく。
「奪うんじゃない。変えろ。」
「……は?」
「イベントを壊すな。形を変えろ。限定品食えなくなるぞ。」
「…それは困るわ。」

その瞬間、街のスクリーンが切り替わる。
甘党警察、公式アカウント。
今年は、想いを渡す側も、受け取る側も、自由。
風が止まる。
白銀は息を吐いた。
「あなたって、いつも…ずるい。」
「奪うより、難しいだろ?」
しばらく、二人は並んで街を見下ろす。
下では、誰かが差し出し、
誰かが受け取り、
誰かが、ぷるぷる震えながらも
その一歩をそっと踏み出している。
白銀が、静かに言う。
「今年は、奪わない。」
「来年は?」
「考える。」
ショコラが、ほんのわずかに笑う。
「その時は、また捕まえに行く。」
白銀も笑う。
「捕まえてみて。」

距離はまだ、埋まらない。
今年のバレンタインは、奪われなかった。
揺らされ、問い直され、
ほんの少しだけ、形を変えた。
甘さは、弱さじゃない。
バレンタインは終わる。
だが。
守る者と、揺らす者の物語は、まだ終わらない。

バレンタインイベント限定のストーリーいかがだったでしょうか?
予想どおりだった方もいらっしゃたのではないかな~と思います!
少しでも楽しい、面白いと思ってもらえたら嬉しいです✨
バレンタインも含めイベントもどんどん変化しています。
大切なことはそのとき感じた自分の気持ち
もっと自由に、もっと楽しんでいきたいですねヾ(≧▽≦)ノ
おまけ



過去に白銀の怪盗はクリスマスを奪っています笑

