波紋を立てる人と、待ち続ける人 ー セレンディピティが起きる人がしていること
あなたは今、何かに燻(くすぶ)ってますか?
このままでいいとは思っていない。
でも、何から始めればいいかわからない。
そんな宙ぶらりんの状態が、もう少し続いている。
その感覚・・・正直に言います。
時間は、あなたの味方ではありません。
種をまいた人には、遅効的に果実が実る。
でも
種をまかなかった人には、何も起きない。
身も蓋もない話に聞こえるかもしれないけど、僕はそう思っています。
1年間いろいろな文献を読み漁り、言語化してきたことで気づいたことがある。それは、セレンディピティは、待っているだけ人のところには来ないということ。そして"波紋"を立て続けた人の周りに、気づいたら起きている。
だから読んでくれたあなたに問いたい。
あなたは今日、どんな"波紋"を立てましたか?
「引き寄せの法則」じゃない
「願い事は叶う。ただし、自分が思っていたのとは違うかたちで。」
僕がリスペクトしている、しいたけさんが、以前の投稿でこんなことを言ってたんですね。その解説の中で、このように付け加えていました。
願いを叶えるためのヒント
具体的にイメージする:「引き寄せの法則」では、イメージしたものが現実化するとされる。
一見すると「引き寄せの法則」の話に聞こえる。でも僕はこれを読んだとき、これはセレンディピティの話だと思いました。「思っていたのとは違う形で」という時点で、もうそれは引き寄せではない。むしろプランドハップンスタンス/計画的偶発性の話に近い。
しいたけさん自身は、そう定義していないかもしれないけど、違う言葉で語っているだけで、でも同じ現象のことを言ってる。
世の中には、たいした準備も努力もせずに「思えば叶う」と信じている人がいます。口に出し続ければ引き寄せられる、イメージし続ければ現実になる、そう言い切る人たちが、一定数いる。
ただ、一点だけ言わせてほしい。
「口に出していれば叶う」は、嘘です。
準備をしていないのに、偶然が意味を持つほど、現実は都合よくできていません。パスツールはこう言いました。「幸運は準備された心にのみ宿る」と。
先日、ファーストリテイリングの柳井正氏も、新入社員509名に向かって、こう言い放っていたという。「自分は優秀で何でもできると思うな。自分はまだ半人前で何もできないと思え」、「結果に偶然はない」と。
セレンディピティは、スピリチュアルな話ではありません。
何度もこのnoteで解説していますが、「引き寄せ」との違いはシンプルです。
引き寄せは「思い描いたものが手に入ること」。
セレンディピティは「思いもしないものが手に入ること」。
どちらも、準備した人にしか起きない。ただ、手に入るものが違う。
では、その「準備」とは何でしょうか?
種をまいた人だけに、果実が実る
ある人が、Xでこんなことを言っていました。
朝起きて「今日も楽しみだな」と思える人と、「また憂鬱な一日が始まる」と思う人がいる。
この違いはどこから生まれるのか。答えは単純で、数週間前、数ヶ月前、あるいは数年前に「未来に向けた種まき」を大量に行っていたかどうかだ。
身も蓋もない話だけど、僕はこれ、正しいと思っています。
種をまいた人には、遅効的に果実が実る
久しぶりに連絡が来る
仕事の話が舞い込む
面白い人を紹介される
それは偶然のように見えて、過去の自分が仕込んだものが、時間差で返ってきているだけなんですよね。
だから、ここで一つ問いたいんです。
あなたは今、何かの種をまいていますか?
種の中身は何でもいい。人との縁でも、インプットの幅でも、越境した経験でも。ただ、種をまくためには「何かに向かっている感覚」がどうしても必要で。目的地がないまま種をまき続けることは、思いのほか難しいんです。
これが次の話に繋がってきます。
ゴールと対話し続ける
前回の記事で、ゴールの話に触れました。
セレンディピティが起きるためには、「主語を自分に置くこと」が前提になる、という話です。ゴールがあるから"才気"が発動し、認識のフィルターが書き換えられる。
気になる方は、ぜひ一緒に読むと理解が深まると思います。
ただ今回は、そのゴールの"持ち方"について、少しだけ補足させてください。よく「具体的なゴールを決めて逆算しろ」「バックキャスティングだ」と言われます。でも、不確実性が高い時代において、それがうまく機能しない場面も増えている。
経営学に"エフェクチュエーション"という考え方があります。コーゼーション、つまり「ゴールを先に決めて逆算する」アプローチとは逆に、「今自分が持っているアセットから、できることを積み上げてゴールを構築していく」ボトムアップの発想です。
不確実性が高い時代に、例えば5年後のゴールを精緻に描いて逆算することには、どうしても限界がある。というか無理がある。だから、この2つ(コーゼーション/エフェクチュエーション)を行き来し続けることが大事だと僕は思っています。バックキャストしながらも、今のアセットも見る。
その上で、ゴールが変わっても焦る必要はないし、ゴールを更新し続けることを、最初から大前提にしておけばいい。
だから僕は、ゴールを「到達すべき終点」ではなく、「今の自分の感度を上げる装置」として捉えています。
何かを目指しているとき、人は自然と世界の見え方が変わる。普段なら見逃していた情報に反応したり、関係なさそうな出来事を結びつけたりするようになる。
フレミングがペニシリンを発見したのも、3MがPost-itを生み出したのも、最初から狙っていたわけじゃない。でも、別のゴールに向かって真剣に動いていたから、才気が発動して、偶然に反応できる状態にあった。
ゴールがあるから、感度の総量が上がる。ゴールに縛られるのではなく、ゴールに照らされながら動く。そしてゴールは、動きながら更新し続ける。
それだけの話なんですけど、これができている人は思いのほか少ない気がしています。
波紋は、あなただけのものじゃない
そういえば、これまでお話ししてこなかったんですが、セレンディピティのサイクルを、もし視覚的に捉えるのなら、僕は"波紋"のイメージで捉えています。
水面に石(水滴)を落とすと、そこから波紋が広がる。その波紋が別の波紋とぶつかったとき、新しい波が生まれる。落とす場所も、落とし方も、その人次第です。

ただ、ここで気づいてほしいことがあって。
波紋を立てているのは、あなただけじゃないんですよね。
『SONDER』という言葉があります。
すれ違う見知らぬ人にも、自分と同じくらい複雑で豊かな人生がある、という気づきを表した言葉です。
すごく当たり前のような気づきなんです。わかっては、いる。どうして僕たちはセレンディピティを語るときに、このことを忘れてしまうんだろうと、思ったんですよね。どこか盲点だったりするんです。
あなたの周りにいる人たちも、それぞれのゴールを持ち、それぞれの種をまき、それぞれの波紋を立てながら動いている。その波紋が、あなたの波紋とぶつかったとき、新しい何かが生まれる。
つまり、セレンディピティの確率を上げるためには、「自分が偶然を拾う力」だけじゃなくて、「誰かの波紋に引っかかりやすい動きをし続けること」も同じくらい大切なんです。
自分から波紋を立てること。そして、他者の波紋にも開かれていること。この両方が揃ったとき、世界の見え方は少し変わります。
サイクルを回し続ける
ここまで読んできて、気づいた方もいるかもしれません。
セレンディピティって、狙って起こすものじゃないんですよね。
波紋を落とし続ける
ゴールと対話し続ける
そして、他者の波紋にも触れ続ける
・・・そんなサイクルを回していたら、ある日気づいたら、点と点が繋がっている。あとから振り返って、僕らはそれを「セレンディピティ」と呼んでいるだけなんです。
僕はこのサイクルを、"螺旋"のイメージで描きたくなる誘惑に何度もかられました。上に登っていくイメージ。成長していく感覚。でも、それは、あえてやめました。サイクルを回している最中、必ずしも、上に向かっている実感があるとは限らないからです。
僕がこのセレンディピティを語る際に一番避けたいポイントは、結果論にもかかわらず、あたかも最初から狙っていたかのように認識してしまうこと(事後合理化)なんです。
うまくいかない時期もある。ゴールが見えなくなる時期もある。種をまいているのに、何も芽が出ない気がする時期もある。それでもサイクルを回し続けた人の周りに、後からセレンディピティと呼ばれるような何かが起きている。
柳井さんが言った「結果に偶然はない」は、そういう意味だと思っています。偶然に見える結果の裏に、サイクルを回し続けた時間がある。
だから、今日から全部を変える必要はないんです。ただ一つだけ。
波紋を、立ててみてください。
その一滴が、どこに届くかは、あなたにもわからない。
さいごに
最後に、一つだけ問いを置いておきます。
あなたのこれまでの人生の中で
誰かの波紋に引っかかった瞬間はありませんでしたか?
あの時の出会い
偶然手に取った本
なんとなく参加したイベント
深く考えずに返信したメッセージ
その時は意味がわからなかったけど、後から振り返ると「あれがあったから今がある」と思える何か。
もしそれがあるなら、
あなたはすでにサイクルの中にいるかもしれません。
そしてその波紋を起こした誰かは、あなたのことを狙っていたわけじゃない。ただ、自分の波紋を立て続けていただけです。
そして・・・
あなたも、誰かにとっての"その人"に、なれるかもしれない。
同じように、僕が読者のあなたにとっての"その人"かもしれないし、
読者のあなたが、僕にとっての"その人"になる可能性だってある。
セレンディピティは、ただ待っていた人のところには来ません。波紋を立て続けた人の周りに、気づいたら起きている。
さあ、今日、何か一つ。水面に水滴を落としてみてください。
No.077.
波紋を立てる人と、待ち続ける人
ー セレンディピティが起きる人がしていること
Fin.
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