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#61(雑記23)電子ピアノでの練習 / 新たな気付き2点、購入時にも役立つかと

タイトル写真は、富士山頂に日の入りの太陽が重なったところですが、電球が乗っかったような写真になってしまいました。ダイアモンド富士を撮るには、やはりフィルターを使わないとだめですね。今回の成果は残念ながら、この「ボブルハット富士」と、前回・前々回の記事で紹介した「アフロ富士」、「富士山頂大爆発」に終わりました。よろしければ、これら記事もご覧下さい。

なお、期待されていた方もいるかも知れないので、お詫びとして次の写真を掲載致します。日没直後に遠目に撮ってみたのですが、山の暗いシルエットの上に広がる空は、赤みのあるオレンジ色から暗い青へとグラデーションがかかっています。


さて、私は諸事情により、家では電子ピアノで練習していますが、ストピを弾きたい派なので、アコースティックが弾けなければ意味がありません。果たして、電子ピアノでの練習は可能なのか。これに関して、以前の記事(雑記16)で、次のようなことを書きました。
 
◆アコースティックを時々、レンタルスタジオなどで弾いて、どういう弾き方をすればどういう音色になるのか、それをある程度、体にしみ込ませる必要がある。
◆そのうえで、電子ピアノで練習する際は、「こういう弾き方をすればこういう音が鳴るはず」というイメージを持って、練習する必要がある。
◆さらに、その弾き方をまたアコースティックで試して、イメージ通りなのかを確認・修正し、その感覚を覚えた上で、また電子ピアノで練習するということを、何度も繰り返す必要がある。
◆このように、何度もフィードバックを繰り返さないと、電子ピアノでの練習は成り立たないのではないか。
 
今回、演奏動画添削レッスンを受けるにあたり、スタジオに行って録画したのですが、前回のレッスン用動画をスタジオで撮ってから1か月が経過し、その間、電子ピアノでしか練習していませんでした。それでも先生からは、そこそこ上達しているといった評価を頂いたので、電子ピアノでも練習は可能なのではないかという気持ちが少し高まりました。
 
ただこれは、今の私の技術レベルだから言える話なのだと思います。技術がどんどん上がっていけば、電子ピアノでは話にならないのだろうと思います。しかし、私は既に66歳で、しかもピアノを始めて2年ですから、生きているうちにそういう領域に達するとは到底思えません。私の場合、今後も電子ピアノで支障ないと思います。
 
日頃、電子ピアノで練習し、久し振りにグランドピアノを弾くと、当然ですが、慣れるまでに時間がかかります。そして今回、新たな気付きが2点ありましたので、ベテランの方には当たり前のことだとは思うのですが、それを書こうと思います。
 
一つは、低音域と高音域で、押すのに必要な力や音の大きさが違うということです。電子ピアノでは、どの鍵盤も、ほぼ同じだけの力で押せばよいのですが、グランドピアノの場合、同じ音量を出すには、低音域のほうが、力が必要であると感じました。今回の演奏動画を先生に見て頂いたところ、低音が小さいという指摘を頂いたのですが、ひょっとすると、私の演奏がそうなるのは、低音域では電子ピアノよりも力が必要であることを、分かっていなかったからではないかと思いました。
 
先生からもそういう説明があり、ネットでも調べてみたのですが、低音域の弦は太くて重いので、振動させるにはより多くのエネルギーが必要とのことです。だとすると、電子ピアノで練習する際には、低音域のキーは高音域よりも強めに押したほうがよいことになります。今回、電子ピアノと同じ調子で弾いたところ、自分自身でも確かに低音域の音が小さいと感じました。次回、スタジオに行ったときには、もう一度このことをよく確認したいと思っています。
 
私の持っているヤマハP-225は、ネットで調べたところ、「GHC(グレードハンマーコンパクト)鍵盤」というものが採用されており、低音部では重く、高音部では軽くなるようにタッチ感を段階的に変化させているとのこと。しかし、私はそれをほとんど感じなかったので、実際に重りを載せて沈む量を測定してみました。その結果、一番右の鍵盤に対し、一番左の鍵盤では、8~9%ほど重い(同じ重りを載せたときに、沈む量が少ない)ことが分かりました。なお、グランドピアノでは、こういう方法でキーの重さ(タッチ感)を測定することは不適切ですのでご注意下さい。理由は、以下に記載します。
 
ネットで調べたところ、グランドピアノの場合に低音域ほどキーが重くなるのは、低音域ほどハンマーが大きい(重い)からなのですが、それは直接の理由ではありません。ハンマーが重い分、鍵盤側にも鉛の重りが仕込んであり、シーソーの原理により、適切な力で押せるようにバランスが取ってあるとのことです。
 
しかしながら、ここで注意が必要なのは、これは鍵盤を非常にゆっくりと、静かに押す場合にバランスするのであって、普通に弾く場合、鍵盤は急激に動くので、動力学の原理が働きます。つまり、質量のある物体を動かそうとすると(加速度を与えようとすると)、質量が大きいほど力が必要になります。従って、たとえカウンターウェイトが仕込んであっても、やはり低音域ほど力が必要になります。
 
この必要とされる力は、与える加速度(弾くときの力)によって変わってきます(強く弾くほど、より大きな抵抗力を感じる)。グランドピアノであれば、そういう物理現象が自ずと生じるのですが、電子ピアノでこれを再現するには、ハンマーアクションを組み込まないと無理だと思います。バネ方式の電子ピアノの場合、単にバネを強くすればよいのではありません。バネのみで、加速度に応じてバネ定数が変化するような機構を作ることは不可能です。
 
また、バネ方式の電子ピアノでは、静かにキーを押し下げる場合、押し下げるほど抵抗力が増しますが、グランドピアノの場合は、基本的に抵抗力は変わりません(もちろん、動的に与える加速度を変化させれば、それに応じて抵抗力は変化します)。さらには、グランドピアノではエスケープメント(ハンマーが弦に当たる直前で解放されること)が起こり、このとき独特のクリック感が生じます。その感触を疑似的に再現している電子ピアノもあるようです。
 
以上のとおり、グランドピアノのタッチ感は、複雑な物理現象によって生じており、これを忠実に電子ピアノで再現するには、ハンマーアクションを組み込む以外に方法はないと思います。私の持っているピアノの場合、不足があるわけですが、それをちゃんと頭で理解して練習する必要があると思いました。なお、実際にキーに重りを載せて測定したところ、下まで押し込むには80グラム程度必要だったので、重さとしては問題なさそうです。購入される場合、少なくともキーが軽い機種は避けたほうがよいと思います。
 
次に、もう一つの気付きは、電子ピアノよりも、ほんのわずかですが、音が鳴る反応が遅いように感じました。これまでもそうだったのかも知れませんが、明確にこういう感触を持ったのは、今回が初めてです。
 
ネットにて調べたところ、グランドピアノはハンマーアクションの動作に、ほんのわずかながら、時間がかかるので、電子ピアノよりも反応が遅いと感じる場合があるとのこと。なお、これに関しては、私の持っているヤマハのP-225の場合はどうなのか、ネットでは説明を見付けることができませんでした。
 
いずれにしても、今回、グランドピアノを弾いた際、音が鳴るタイミングがわずかに遅く、ちょっとした違和感を持ちました。逆に、グランドピアノに慣れている人の場合、電子ピアノは反応が早いと感じる場合もあるのだろうと思います。ピアノの先生にこのことをお聞きしたところ、過去に電子ピアノを弾かれたことがあり、最初はかなり戸惑ったとのことでした。また、アコースティックは個体差も大きく、さらには温度・湿度によっても変わってくるので、プロであっても即座に対応するのは難しいとのことでした。
 
以上のことは、電子ピアノを購入される際の参考になるのではないでしょうか。また、練習する際も、このような違いがあることを頭に入れておく必要がありそうです。なお、電子ピアノを購入する際の注意点を説明されている動画は色々とあるのですが、こういうことを説明されているものは、あまりないのではないかと思います。
 
販売店の方の説明でも、本物に近いタッチ感とか、感覚的な説明が多いように思います。逆に、いきなり難しい説明をされても、客が理解できないとも思います。私もピアノを始めて2年が経過し、やっと分かったことなのですが、なぜ分かったのかと言えば、グランドピアノの弾き心地というものが、多少は分かり始めたからです。また、ピアノの先生にお聞きしたことで問題が明確化しました。独学の素人というのはその程度のものだと思います。見るべきところが全く見えていなかったと思います。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

※ 私は練習する際、鍵盤をどのように加速するかということにも注意を払っているのですが、次の記事をお読み頂ければ理由をお分かり頂けるかと思います。