#2-7 森を抜けて|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第7話 森を抜けて
ミミとは、いろいろなことを話した。
まだ小さくあどけない子どもだが、カンが鋭く、賢く、何でもできた。
森で一人、生活ができるのも納得だ。
ミミは感情をいっさい隠さずにぶつけてくる。素直でまっすぐで──そのわかりやすさに、タトは誠実さと安心を感じた。
森で出会った小さな魔獣鼠などに、ミミは躊躇なく飛びかかる。その姿が、まるで子どもの猛獣が必死に狩りをしているようで、タトには妙にかわいらしく映った。
ミミと出会ってから、森は更に深くなったが、不思議と魔動物に遭遇しなくなった。
「走れば3日」というのは、たぶんミミのスピードだろう。タトの足では7日歩き、さらにその翌日。
ついに目的の街――
フェリサリアが見えた。
目に飛び込んできた建造物に、タトは大きく息を吐いた。
胸から熱いものがこみ上げた。
崩れそうになる膝に、ぐっと力を込める。
ここからが、──本番だ。
*
フェリサリアでまず目を引いたのは、街を侵食する木々が一切なかったことだ。
ルミナリーでは石畳を割って木の根が張り出していたが、ここでは違う。
森は、まるで街の輪郭に沿って成長を止めているかのようだった。
しかし、人影はまばらだ。
「……ねえ、ミミは森で待ってるよ。タト、用事が終わったら──帰る?」
「うん。もちろんだよ。夕方には戻るよ」
そう答えると、タトはミミの頭を優しく撫でた。ミミは目を細めると、軽やかに森の奥へ駆けていった。
(さあ、まずは教会を目指そう)
タトは、ルルベリーのジュースを一口飲むと、街へ向かって歩き出した。
(つづく)
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