#2-8 扉の向こう|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第8話 扉の向こう
友情の塔が立つ街「フェリサリア」の造りは、「ルミナリー」とよく似ていた。
教会もすぐに見つかったが、塔の上部は例のごとく崩れ落ちていた。
高さは十五メートルほどだろうか。
タトは建物を見上げて深呼吸し、ゆっくりと扉を押し開けた。
重く軋む音が、辺りにひっそりと響いた。
見慣れた造りの奥へと進む。
タトは導かれるように奥まで来ると、膝をついて祈りを捧げた。
手がわずかに震え、目の奥が熱くなった。
旅立つ前には想像もできなかった場所に、いま、辿り着いた。
タトは、今まで街の皆に感謝の言葉を伝えてきただろうか、と思いを巡らせた。
当たり前だと思っていたことが、こんなにも支えられていた。それによって無事にここまで来られたのだと、身に沁みて感じていた。
今までで一番、心からの感謝の祈りを捧げた。
「……こんな時間に、誰なのです?」
教会の奥から張り詰めた女性の声が響いた。
顔を上げると、きちんとした佇まいの若い女性だった。
この教会の守り人だろうか。
「ルミナリーから旅をしてきました。タトと申します」
彼女の瞳が一瞬大きく見開かれ、呼吸がわずかに乱れた。
「ルミナリー……って、別の街、ということかしら? あなた、あの森を……?どうやって……」
「はい、なんとか。」
彼女は静かに息を吐き、声を震わせないように努めながら静かに問いかけた。
「…怪我は、ないですか?」
「はい、大丈夫です」
わずかに俯き、目を細めてしばらく沈黙をした。
やがて彼女はゆっくりと言った。
「……よく、よくぞ来てくれました。話を聞かせてくださる? ああ、でもまずは、ゆっくり休んでくださいな」
その言葉に、タトの両肩の力が抜ける。
腹の奥がじんわりと温かくなった。安堵で顔がほころぶと、
タトは促されるまま、教会の奥へと足を踏み入れた。
(つづく)
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくれてありがとう♡