海外輸出労働力の質の向上

日本へ働きに行くベトナム人労働者

技能実習生(2027年以降育成就労制度)

記事では、冒頭で「ベトナム人労働者の質は技術面・資格面・倫理面でも向上している」と述べられています。
正直なところ、同意半分、異論半分です。
技能実習生は多くの場合、18~35歳の幅に収まることが多いですが、実習実施者の面接時期によっては、高校を卒業したばかりの17歳(同年中に18歳)や18歳が候補者として入ることが多く、こうした候補者は社会人経験どころかアルバイト経験すらない場合も極々普通にあります。
〈備考〉
技能実習制度の建前として、母国で同系職種に従事しており、帰国後は復職し、母国の発展に寄与しましょ~ということになっているので、「どうして社会人経験のない17~18歳が日本へ行けるんだ⁇」という疑問については、そういう方法があるとしか言えませんので、察してください(笑)

それでいて、”向上していると言われても…”が異論の部分です。

一方、同意の部分としては、特に建設や溶接等、手に職系の職種に顕著ですが、ベトナムでも同系職種・作業に従事していた希望者も少なくなく、配属後も割とスムーズに仕事を始められる例が少なくない点、或いは、観光系専門学校や短大を卒業して、宿泊施設での実習を選択する場合もあり、知識として既にある程度持っている点は強みと言えるでしょう。
但し、短大・四大卒業生が技能実習生の採用面接に参加することは稀で、自社の面接にいたら、「おー(・.・)」ぐらいで、運が良ければ程度です。

正直、入国後に0から日本式を教えることが圧倒的に多いので、技術面での質の向上があるかと言われれば、”否”と感じることが多いです。

特定技能

ベトナムの場合、現状は元技能実習生が圧倒的大多数である為、実習時代の職種・作業がマッチしている場合、即戦力と言える場合も少なくないように感じます。日本語能力も最低でも3年は日本で働き生活してきた為、実習→特定技能の間が短ければ最初の段階からある程度のコミュニケーションは取れるでしょう。
特に、自社の技能実習生がそのまま特定技能に移行、継続した場合の即戦力っぷりは言うまでもありません。
一方、ベトナムではまだまだ極僅かながら、他国では増加している現地試験合格からのN4持ってのお初入国組の方の場合、技能実習生の入国時点と大差なく、技能実習生のような入国後法定講習もない為、生活面での知識で言えば、何なら技能実習生より疎い場合すらあるので、海外からお初入国組の特定技能を招聘する場合はその辺りの注意と配慮が必要になるでしょう。

イマドキの若者感

大変、爺臭い言い方ですが、コロナ禍以降、仕事に対する意識等を含めて「イマドキの若者」が増えた印象を非常に強く持っています。
中国からベトナムへの移行が始まった2010年代初頭は、「日本で稼ぐんだ!!」と目をギラギラさせたハングリー精神の塊のような人材を多く見てきました。
ただ、最近は程々に稼いで、日本を楽しみたいというプライベートも大事、今風に言えばワークライフバランスを重要視する層が明らかに増えており、目立つようになっています。
こうした人材に対して、受入企業がこれまで通り、「残業をたくさんさせればいいんでしょ⁇」という意識でいると、「仕事がしんどいから帰ります」という途中帰国に繋がったり、より悪い場合は失踪という結果に至ってしまう可能性が高まりますので、受入側も意識のアップデートが必要でしょう。
こうした技能実習生側の意識の変化に対して、残業LOVEだった大昔の意識と比較し、「質が落ちた」と評する方もいるでしょうが、そんなことはありません。

質が落ちたと感じるのは何故か⁇(技能実習・特定技能)

原因①:待遇が低い

現在の円安、海外就労先の選択肢の増加等の影響から、相対的に日本の待遇はお世辞にも高い、魅力的とは言えない状況です。
基本給170,000円/月の企業にはその待遇にしか応募できないような人材(学歴・年齢等)が募集人数に対してギリギリの数しか集まらず、消去法で選ばざるえない場合も至極普通に起こります。
一方、基本給230,000円/月の企業には希望者が自ら積極的に応募し、3倍程度の候補者の中から、受入企業が自社のモノサシを持ち、能動的に「選ぶ」ことが可能な場合が当然多くなります。
個人的には、「ベトナム人の質が下がった」と騒いでいるのは前者の受入企業のみだと考えています。

原因②:送出機関の教育能力不足

原因①の待遇を高く設定したにも関わらず、誰がどう見ても質が下がったと言える人材が来た場合、採用後約半年間の送出機関での教育期間中の日本語教育以外の面の教育能力が低い可能性が挙げられます。
日本で平穏無事に働く為に知っておくべき知識・法律・マナー等の意識・道徳教育が不十分な場合に起こりえます。
この場合は、送出機関の変更やその送出機関と付き合っている監理団体自体の変更を検討する必要があるでしょう。
ただ、受入企業からいい監理団体・いい送出機関の選択は至難の業ですが(笑)

インドネシア・ミャンマー人技能実習生の増加に押されまくりのベトナムですが、減少中とは言え、中国のように全体に占める割合が10%を切ることはないと見ています。今年も来年もある程度まとまった人数の技能実習生・特定技能外国人が入国していきますが、受入企業の中で、今後も長くベトナム人労働者の採用を進めていきたい場合、受入側の意識改革は非常に重要になります。

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