【この駅が好き】西船橋とサバラン
西船橋駅の中のフロプレステージュで買って帰ったサバラン。
上京して半年くらい経った頃、お母さんが
1週間ほど地元から遊びに来てくれた。
九州で生まれ育った私は当時、付き合っていた彼氏が転勤になり関東へ着いていくことにした。23歳、初めての上京だった。彼氏の職場から少し家賃が出るとの事で、西船橋駅から徒歩20分ほどの大きな坂道を登った所、丘の上の築48年の今にも崩れそうなアパートで同棲することになった。
お風呂は3丁目の夕日に出てきそうな水色のタイル張り。1階が大家のおばあちゃんの自宅になっている俗に言う、オンボロアパートだった。
私たちの他に住人は2組だけ。オンボロとはいえ丘の上にあって日当たりや風通しもよくてベランダもお気に入りだった。ただ、夜は怖かった。西船橋駅前の飲み屋街を抜けた先、踏切を渡るとうってかわって一気に人通りが少なくなる。隣には寂れた歩道橋があり、夜は真っ暗闇でちょっぴり怖く少し寂しい場所ではあった。いつも帰り道はうしろを何回も確認しながら小走りで帰っていた。
そんな中、彼が1ヶ月出張に行くことになり、流石に1人で寝るのが怖くなってしまった私は
母に緊急招令をかけたのだった。
母を品川駅まで迎えに行き、一緒に西船橋駅まで帰る。西船橋駅はそこまで大きくはないけれどペリエ西船橋が直結しており、割とお店がたくさんある。KALDIや本屋さんなども入っていたので私はここぞとばかりにいつもの日常の話を交えながら母に紹介して回った。ポップアップのお菓子屋さんなんかが来ることもあったし、3階の本屋も入り組んだ先にあってあのこじんまりした感じ、新しいようで古い雰囲気があるお店も入っていて、なんだか好きだった。
駅ナカにあるフロプレステージュは千葉に来て初めて見たので何回も買いに行った。彼が出張に行く前の日もチーズタルトのホールを買い、出張頑張ってね とメッセージプレートに書いてもらったのを覚えている。
正直3日前もたべたけどなー、と思ったりしたが、母はサバランが好きだったので電話でサバランが売ってあるんだ、食べようと自ら持ちかけていた手前、買って帰ることにした。サバランってなかなかケーキ屋さんで見ない気がする。レアキャラなのだ。
ひとしきり二人で駅内を見て回ったあと、駅前のスーパーにも寄り毎日帰りにここに寄って買い物をしているんだとまた同じような話をし、(母は心做しかもういいやろ…というような顔をし始めていた気もする)
帰り道のマックで朝ごはん用の三角チョコパイを買った。
西船橋駅前の飲み屋街を仕事がどうだとか彼とは仲良くやってるのかとかああだこうだと話しながら歩く。磯丸水産に家系ラーメン。よくわからない安いお洋服のお店。両側に店があり夜でも駅前はワイワイと騒がしい。
西船橋駅は昔ながらのお店と新しいお店が混同していて そこがまた好きだった。
通りを抜け、線路を渡り静まり返った道を母と星を見ながら歩いた。
千葉の夜空は星が見えないと思っていたけど割と見えるんだな、と毎日空を見上げながら思っていた。なんならUFOも見た。(この話はまた違う時に話したい)
昔からある古いとんかつやさんの横を抜け、お寺を通り大きな坂道を歩く。
「あんたよくこんなところで生活しとるねー笑」
と、母は部屋に入るなりお化け屋敷でも見たような感想をニヤリ。とした顔で言った。
「失礼やん!大家のおばあちゃんも大好きだし、割と気に入っとるんよ!」と言い返す。
サバランに刺さったお酒が入ったスポイトをぎゅ、ぎゅ、っと注入しながらふたりでサバランを食べる。
母をちらりと見ると実家から持ってきていたひつじ柄のパジャマを着て自宅かのように珈琲を入れ、すわってもくもくと食べていた。あまり満面の笑みで笑わない母だが、サバランを食べた時はに〜っと笑っていて やっぱりサバラン美味しいね、と満足そうだった。
私はなんだかその時不思議と無性に涙がでそうになってしまって、泣かないように一生懸命フォークでクリームをつついていた。
私、結婚するんだよ、と心の中で思っていた。
母とこんなに離れて生活したのは初めてで
遠くでも私、やれてるんだよ、となんだか
誇らしいような、でも自分がたくさん日常を母に見せたくなっていて、ああ自分寂しいんだなって
大きなスーツケースを持って九州から一人で来てくれたこととか嬉しくて、やっぱり、ちょっとだけ涙が出た。
今でもあの時のサバランが蘇る。
これが私が西船橋駅が大好きな理由です。
企画、参加したいな参加したいなと思いつつも
なかなか今まで出来てなかったけど、
#この駅がすき 見た瞬間にもう参加するしかないと思った。
初めての企画参加は絶対これがいいと思った。
とはいえ、私は鉄道に詳しい訳でも電車に詳しい訳でもない。何故こんなに心を惹かれたかというと駅 には思い出が詰まりすぎているな、と思ったから。初出勤の緊張した思い出も大切な人と待ち合わせした思い出も、家族と離れた土地で寂しかった思い出も初めて友達が出来てドキドキしながら喜んで帰った思い出も、どんな日も全部1日の始まりと終わりは駅の風景が背景になっている。
ありそうでなかった「駅起点」 素敵でした。
私は人生の岐路になった時代の思い出がたまたま西船橋駅だったけれど、その後は蘇我にも住んでいて、
他のどの駅にも思い出はあって 約10年程経つ今でも思い出す。風景、お店。そこで出会った人達。全部が重なり合って ドラマがあって、人生の大切な思い出になって 思い出しながらまた今を生きている。
1度、懐かしくなって旦那と千葉へ思い出の地巡りへ行った。その日は蘇我駅の居酒屋に行く予定だったので西船橋駅ではただただホームで写真を撮っただけだったけど、次は西船橋駅で降りたい。
大家さんのおばあちゃんとも沢山の思い出がある。駅前の南風堂珈琲店の話も。また書きたいな。
最後に空が綺麗でずっと今も持ってる写真


