FCリーフェリング(オーストリア・ブンデスリーガ2部)を紹介!FOKUSBundesliga!!! #27
前書き

皆さんはFCリーフェリングというクラブをご存じですか?本テキストでは「FCリーフェリングとはどのようなクラブなのか?」を紹介するとともに、ドイツ・ブンデスリーガのクラブとの関わりなどについて紹介します。
1. FCリーフェリングってどんなクラブ?

FCリーフェリング(FC Liefering)は、オーストリアのザルツブルク州に位置するアニフという村近郊に本拠地を置くサッカークラブです。1947年5月20日に創設されたUSKアニフを前身とするこのクラブは2012年、当時3部に所属した際に1部のレッドブル・ザルツブルクと契約を締結。クラブ名を「FCリーフェリング」と改名し、ザルツブルクのユース選手を積極的に起用する、事実上のリザーブチームとなりました。
1-1. ザルツブルクがアニフと契約した理由
既にリザーブチームを有したザルツブルクがこのような手続きを踏んだのは、2010/11シーズンにリーグのルールが改正され、リザーブチームが2部に所属できなくなった影響でした。優れたユース選手が2部でプレーすることを重視したザルツブルクは、USKアニフを事実上買収し、「2部でプレーできるリザーブチーム」を作り上げました。
1-2. 2部への昇格とリーグでの成功
2012/13シーズンには、ペーター・ツァイドラー監督のもとでレギオナルリーガ西部(3部)優勝。昇格プレーオフも制し、FCリーフェリングは2部への昇格を果たします。ザルツブルクとは、提携ではなく、あくまでスポンサーの関係だとして、リーグからのプロクラブのライセンスも取得(ただしオーストリアカップは出場できない)。マティアス・ヤイスレが監督を務めた2020/21シーズンには2部で3度目となる2位に輝くなど、優れた実績を残しています。
2. レッドブル・ザルツブルクとの関係

「近年のオーストリアを代表するサッカークラブはどこか?」と聞かれて、多くの人が連想するのは、レッドブル・ザルツブルクでしょう。2005年のレッドブル社による前身クラブの買収、2012年のラルフ・ラングニックSD就任という2つの転機をきっかけに、プレースタイルの確立と選手育成の実績を残したザルツブルクは、欧州で飛躍的に知名度を上げました。
2-1. FCリーフェリングとレッドブル・ザルツブルク
世界有数の飲料メーカーが投じる資金、優秀な経営者の抜擢、フランスやアフリカでのスカウト網など、ザルツブルクの発展を支えた要素は数多く知られますが、「FCリーフェリング」の存在もその1つです。同年代では比類ないタレントの持ち主が集まるザルツブルクユースの選手たちにとって、トップチームと同様の戦術で、オーストリア2部でプレーする経験は成長という点はもちろん、昇格を目指す意味でも非常に貴重でした。
2-2. 2部でプレーするメリット
最大のメリットは、プロレベルのスピードやフィジカルを早い段階で経験できる点です。ユース年代屈指のタレントでも、いきなりプロの精鋭が集まる1部レベルに定着できるケースは稀で、開花するはずだった才能を潰すことにつながりかねません。
それに対して、2部のリザーブチームであれば、高いレベルの環境で定期的な出場機会を得られます。FCリーフェリングでプレーしたザヴェル・シュラーガーは、プロレベルのフィジカルを体験できたことが、2016/17シーズンのUEFAユースリーグ優勝の要因の1つだったと語っています。
現RBライプツィヒ監督のマルコ・ローゼのもと、FCバルセロナやSLベンフィカといった育成の名門との対決を制し、UEFAユースリーグで優勝した18歳以下のザルツブルク。シュラーガ―はプロレベルのプレーを経験したことで、他クラブのユースのエリートに対しても、優位にプレーできたと語っています。
3. FCリーフェリングとドイツ・ブンデスリーガ

3-1. FCリーフェリングでプレーした選手たち
同じくレッドブル・グループのクラブであるRBライプツィヒを筆頭に、現在、ドイツ・ブンデスリーガでは、FCリーフェリングに在籍経験がある選手が数多くプレーしています。なかでも注目したい選手5選を紹介します。
シュテファン・ライナー
Stefan Lainer
現所属クラブ:ボルシア・メンへングラートバッハ
生年月日:1997年 5月27日 身長:175cm
在籍シーズン:2012-2014
父レオポルドも、レッドブル・ザルツブルクの前身であるアウストリア・ザルツブルクのレジェンドであるシュテファン。彼はクラブが改名した最初期にプレーした選手の1人です。マルコ・ローゼ監督が率いたザルツブルクやボルシア・メンヘングラードバッハで、右サイドバックの主力として活躍したことで知れらます。
コンラート・ライマー
Konrad Laimer
現所属クラブ:FCバイエルン・ミュンヘン
生年月日:1997年 5月27日 身長:180cm
在籍シーズン:2013-2016
オーストリア代表では豊富な運動量とフィジカルを武器に、ラルフ・ラングニック現代表監督の戦術を体現する優秀なセントラル・ミッドフィルダーであるライマー。ザルツブルクですぐに頭角を現したため、FCリーフェリングでプレーしたのはわずか19試合ですが、レッドブル・グループが育成に携わった選手の筆頭として知られます。
カリム・アデイェミ
Karim Adeyemi
現所属クラブ:ボルシア・ドルトムント
生年月日:2002年 1月18日 身長:180cm
在籍シーズン:2018-2020
アデイェミは2019年と2021年の2度、金のフリッツ・ヴァルター・メダルを授与された、2002年生まれのドイツ人最高のタレントの持ち主です。トップスピードに乗りながら、相手の守備ラインを切り裂くプレースタイルはアデイェミの代名詞ですが、FCリーフェリングでもそのスタイルに磨きをかけて15ゴールを挙げるなど、攻撃力で猛威を振るいました。
アレクサンダー・プラス
Alexander Prass
現所属クラブ:TSGホッフェンハイム
生年月日:2001年 5月26日 身長:180cm
在籍シーズン:2018-2021
今夏にホッフェンハイムに加入したプラスも、FCリーフェリングでプレーした経験のある選手です。左サイドバックである彼は、二クラス・ザイヴァルトやジュニオール・アダムなどと同時期にプレーし、59試合に出場して12ゴールを挙げました。その後はシュトゥルム・グラーツへ移籍して主力に定着したことで、今夏、ブンデスリーガ参戦を果たしました。
ベンヤミン・シェシュコ
Benjamin Šeško
現所属クラブ:RBライプツィヒ
生年月日:2003年 5月31日 身長:194cm
在籍シーズン:2019-2021
RBライプツィヒには当然、FCリーフェリング在籍経験者が数多くプレーしていますが、FCリーフェリングで最も素晴らしい成績を残した選手は恐らくシェシュコです。2020/21シーズンのFCリーフェリングは、マティアス・ヤイスレ監督のもと2位でリーグ戦を終えましたが、21ゴールを挙げてリーグ得点王に輝いたのはこのスロベニア人選手でした。
ブンデスリーガ以外でも、FCリーフェリング在籍経験者が活躍しています。イングランド・プレミアリーグでプレーするドミニク・ショボスライやパトソン・ダカ、ファン・ヒチャンなどはその筆頭です。
3-2. FCリーフェリングを指揮した名将たち
FCリーフェリングが輩出するのは、選手だけではありません。最後にFCリーフェリングを指揮した歴代の監督一覧を紹介します。
2012-2012 オリヴァー・グラスナー(暫定監督)
2012-2015 ペーター・ツァイドラー
2015-2017 トーマス・レッシュ
2017-2019 ゲルハルト・ストルバー
2019-2019 ヤヌシュ・ゴーラ
2019-2021 ボ・スヴェンソン
2021-2021 マティアス・ヤイスレ
2021-2022 レネ・アウフハウザー
2022-2023 ファビオ・インゴリッチュ
2023-2024 オヌル・シネル
2024- ダニエル・バイヒラー
参考文献:
カラン・テージワーニ (著), 結城康平 (訳)『エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略』カンゼン社
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