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ラルフ・ラングニック(Ralf Rangnick)がレッドブル・グループに植え付けたプレッシング戦術の起源


ラルフ・ラングニック

Ralf Dietrich Rangnick
オーストリア代表監督
生年月日:1958年 6月29日
出身:バックナング, ドイツ


ラルフ・ラングニックに影響を与えた2人の戦術家

ゲーゲンプレス」を筆頭とするドイツ的ゾーンプレス戦術の生みの親として知られるラルフ・ラングニックは、その戦術を生みだすに当たり、2人の人物の影響を大きく受けた。ソヴィエト連邦の名将ヴァレリー・ロバノフスキー(Valeriy Lobanovskyi)とドイツの奇才ヘルムート・グロース(Helmut Groß)である。


ヴァレリー・ロバノフスキーという人物

ヴァレリー・ロバノフスキーは、バロンドール受賞者であるオレグ・ブロヒンイゴーリ・ベラノフを輩出した黄金時代のディナモ・キーウで監督を務めたことで知られる、ウクライナ人史上最高のサッカー指導者だ。

なかでも彼を最高のサッカー指導者の1人といわしめた戦術が、ゾーンプレス。かつてレネ・マリッチが戦術ブログ「spielverlagerung」で、1975年のUEFAスーパーカップFCバイエルン・ミュンヘン対ディナモ・キーウを、「マンマーク vs ゾーンプレス」的な構図で分析した記事があるが、その試合でキーウは欧州王者バイエルンを2戦合計3-0で圧倒している。

驚くべき事実は、ロバノフスキー監督率いるディナモ・キーウが、恐らく1983年頃、当時選手兼監督だったラングニックが率いたヴィクトリア・バックナングと対戦したことがあったという事実だろう。25歳だったラングニックが当時、中盤でプレーしていたこの試合で、キエフはアマチュアチームを圧倒。ラングニックは相手の選手の方が多いのではないかと考え、選手の数を数え直したのは有名な話だ。


ヘルムート・グロースとの出会い

ロバノフスキーのサッカーに強烈な影響を受けたラングニックは、バーデン=ビュルテンベルク州のコーチングコースでヘルムート・グロースと出会うことになる。ガイスリンゲン出身のグロースの影響を強く受けたラングニックは、グロースの戦術である「ballorientierte raumdeckung(ボール重視のゾーンプレッシング)」に傾倒することになる。

相手選手のスペースとパスコース、時間を制限し、ボールを奪い取ってしまう守備戦術である。ラングニックは、グロースがVfBシュトゥットガルトの育成を統括する立場になった際にリザーブチームの監督に就任。グロースの戦術をチームに落とし込む役割を担うことになる。その後、ウルム1846TSG 1899 ホッフェンハイムRBライプツィヒなどを躍進に導いた。


「ラングニック戦術」に適合できる選手

RBライプツィヒを率いた2018/19シーズン、ラングニックは4バックと3バックを使い分けてみせた。しかし実際には、ラングニックは4バックの信奉者だろう。1998年12月19日にドイツのテレビ番組で、ゾーンプレスを紹介する際に使った「4-1-3-2」、あるいは2016/17シーズンのRBライプツィヒで多用された「4-2-2-2」が、より明確にラングニックの表すフォーメーションであることに間違いない。

ではラングニックの戦術により適応できる選手は、どのような特徴の持ち主か。ラングニックの戦術コンセプトで求められるのは、90分間走り続けることが出来るスタミナ、カウンターの際にすぐにトップスピードに至ることのできるスプリント能力、狭い局面での1対1でも当たり負けしない体感と足元の技術力の3点だろう。そのうえでワイドを1人でカバーできる攻撃的なサイドバック、後方から正確な縦パスを送ることができるセンターバック、攻守両面に能力を発揮できるトップ下などが該当することになる。

とくに重要な役割となるのは、中盤の中央でプレーする選手たちだろう。相手のパスコースを制限しながら、奪ったボールをすぐ、適切に展開することが求められるためだ。ラングニック本人が説くように、彼の戦術の肝はできる限り高い位置で、アグレッシブさをもってボールを奪うこと。それを体現できる選手が、彼のお眼鏡にかなうだろう。


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