ラルフ・ハーゼンヒュットル監督率いるVfLヴォルフスブルク FOKUS Bundesliga!!! #36
VfLヴォルフスブルクの勝利

12月4日、フォルクスワーゲン・アレーナで行われたDFBポカールのベスト16の一戦で、VfLヴォルフスブルクがTSG1899ホッフェンハイムを退けた。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督率いるチームが、3得点無失点で完勝した形だった。
2022/23シーズンにはウニオン・ベルリン、2023/24シーズンにはボルシア・メンヘングラードバッハにベスト16で敗れたヴォルフスブルクの面々は、5シーズンぶりとなる準々決勝への進出を喜んだ。さらに準決勝に進出すれば、優勝した2014/15シーズン以来のこととなる。
クリスチャン・イルツァー監督率いるホッフェンハイムが同試合で記録した枠内シュート数は0本。しかしスカッドをみれば、ホッフェンハイムがヴォルフスブルクに大きく劣ったわけではない。では何故このような結果となったのか。本テキストでは同試合におけるハーゼンヒュットル監督率いるヴォルフスブルクの戦術を考察する。
リドル・バクーがもたらす戦術的柔軟性

ホッフェンハイムと対戦するにあたり、ハーゼンヒュットル監督は可変式のフォーメーションを採用した。それを可能にしたのはリドル・バクー。FSVマインツ05のユース出身で、豊富な運動量と多様なポジションでプレーできるポリヴァレント性を備えた彼の存在が、チームの戦術に幅をもたらした。まずは守備時の布陣について考える。

前半のホッフェンハイムは、ヴォルフスブルクに対して非常に攻勢をかけた。SBのアレクサンダー・プラスとヴァレンティン・ジャンドレイが高い位置を取り、前線4選手に加えてアントン・シュタッハが最前線に進出する場面さえあった。そんなホッフェンハイムに対して、ヴォルフスブルクはバクーを右SBにする5バックで対応した。
進出してくるサイドバックは、ヨアヒム・メーレとバクーがケアし、中央では対人戦に長じるデニス・ヴァブロが相手の攻撃を止めた。ボールを奪った後は、GKまで戻してポゼッションを確立するか、アレクサンダー・アーノルトが前線の快速FW2人目掛けてロブパスを送るカウンターの2つの選択肢が用意されていた。
ホッフェンハイムは何度か相手を崩し、とくにメーレとコンスタンティノス・クリエラキスの間のスペースにシュタッハが侵入する動きはヴォルフスブルクを危機的状況に陥れたが、得点を上げることができなかった。

反対にヴォルフスブルクが相手コートで攻撃を仕掛ける場面では、バクーは右のハーフスペースに進出した。チアゴ・トマスとキリアン・フィッシャーが大外に開く5トップのような布陣を形成するヴォルフスブルクに対し、ホッフェンハイムは4バックで対応した。
必然的に大外のポジションに綻びができ、ホッフェンハイムは徐々に崩されるようになる。とくにメーレは、ホッフェンハイムのFWーMF間の位置で何度もチャンスを創出した。ネガティブ・トランジション時には、内側へのコースを切るような動きで相手をサイドに追い出すような動きを見せるのが特徴だ。
チアゴ・トマス & モハメド・アムーラ

今夏の移籍市場におけるヴォルフスブルクの動きは見事という他ない。マクサンス・ラクロワを失ったディフェンスラインには、PAOKからクリアラキス、コペンハーゲンからヴァブロを獲得し、中盤にはヘルタBSCからパル・ダルダイの3人の息子の末っ子であるベンス・ダルダイを獲得した。
ただ今夏に加入した選手のなかで最も輝きを放っているのは、モハメド・アムーラだろう。快速を活かして左右を問わずに仕掛けを見せ、クロスからチャンスにつなげることができる。ハーゼンヒュットル監督率いるチームの攻撃の中心となっている。
この試合においても、アムラとトマスの2トップは重要な役割を果たした。トマスは、とくにサイドに流れる動きで相手を混乱に陥れる。またネガティブ・トランジション時には精力的に走り、相手をサイドへ追い込んだ。
またヴォルフスブルクは、トマスに替えてヨナス・ヴィントを投入できる選手層の厚さもある。細かく動き回るトマスに対し、強固な肉体と足元の技術を併せ持つヴィントは中央の位置で起点となることができるため、タイプの違うアタッカーにホッフェンハイムのDF陣は手を焼いた。
今季のVfLヴォルフスブルクの展望

選手の能力や監督が採用した戦術だけでいえば、3-0というヴォルフスブルクの圧勝で試合が終わることはなかっただろう。では何が明暗を分けたか。
1つは選手層の差だろう。ヴォルフスブルクが58分に行った3人の選手交代は、試合を決定づけるものだった。反対に、ホッフェンハイムは選手を休ませるための選手交代しか行えていない。どちらがより勝つために試合に臨んでいるかは、明らかだった。
もう一つ挙げるならば、前半の攻勢をかけた時間帯にホッフェンハイムが得点できなかったことも明暗を分けた。独力でチャンスをつくったトム・ビショフのシュートシーンは素晴らしかったが、枠には飛ばなかった。
開幕戦こそヴァンサン・コンパニ監督率いるFCバイエルン・ミュンヘンに敗れたヴォルフスブルクだったが、以降は第13節まで6勝3分3敗で、5位の高位置に付けている。既に言及したように、マルセル・シェーファーSDの補強計画も見事なうえ、チームとしても完成度を高めつつある。
選手の能力を考えれば、チャンピオンズリーグ圏内でのシーズン終了やDFBポカールでさらに先のステージへと進める可能性は高い。何より今季のヴォルフスブルクは、ヨーロッパのコンペティションがない。選手の体力をマネジメントしながら戦えることを考えても、ハーゼンヒュットルのチームへの期待は高まっている。
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