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50年の窓 第24章

第24章 火星へ、第1陣

2038年6月
ケントはサムの了解を取り、スペースXのマスクを訪問し、火星移住1便への志願を申し出、その場で了承される。

マスクは、ケントに、移住者としての特に次の2点を期待しており、出発前までに、具体的になにを企画できるか提案して欲しいと、早速オーダーが出た。
「ケント君の専門は応用心理学ですよね。火星への移住は当初50名、勿論君を含めてそれなりに優秀な人材を集めているが、限定された狭い空間で50名の素晴らしい科学者が各自のエゴで研究活動などを続けてもらう反面、水とか空気とか環境の保守にも従事してもらわねばならない訳ですが、『何が課題になって何を考慮しておかなければならないか』という課題があります。

例えば、将来の陣容を考えると、移住者は可能な限り性別を半々が守れる様にしていきたいし、そこで家庭を築いてゆく者も入れば、多分争いごともあると思う。
勿論、そう言った想定可能な課題に対して既に研究と対策の検討もしてきているが、向こうにゆけば、君にその分野の研究と日常の管理もお願いすることになると思う。

君へのお願いは、君の研究課題としてもらってもいいし、初期移住者50名の心をよく見て管理して欲しい。
また、その課題に限らずダイレクトに僕宛に2ヶ月に1度レポートを出してもらいたい。」

「また、プライベートな話で恐縮ですが、サムからΩプロジェクトの中心で頑張っているカレンのことも少し聞いていますが、仮に今のΩプロが成功裡に終わったら彼女がこの火星移住計画に参加する可能性があると思いますか?

君もそうだが、彼女の様に底しれないガッツのある方こそ私は参加して欲しいと思う。私もいつか行く。そう言った人を集めた、新しい人類の進化木の新しい枝を作ることが、僕の最大の夢でもある。」
「そういうご提案は、自分としては心から嬉しく思います。しかし、今の彼女にそれを問いかけることはできません。それは夢です。」

「Ωプロジェクトの状況は今後も完全に把握してゆくつもりですので、転機があればご報告申し上げます。」

2038年8月
スペースXの火星移住群第1陣50人が火星に出発した。
ケントは、マスクの言葉も気にはなったが、カレンへのメールなどの連絡手段を全て破棄しカレンとの関係も含めて身仕舞いをし、地球との縁を切って出発した。先のことが分からない以上、全力でDウイルスと戦っているカレンに対するささやかな優しさであった。
ケントはもう地球へ帰ることはない。

この時、米国でのDウイルス感染率は95%、亜種は12歳以下の子供で人口の約12%。
第2陣は2040年10月に予定されている。地球と火星の公転の位置から、2年2ヶ月毎の接点になる。仮にΩプロジェクトWG04のDウイルス閉じ込め、すなわち感染者が感染源にならないための措置ができなければ、第2陣の出発には移住者選択には疑問が残る。

<次記事等へのリンク>
第25章 WG01、Gウイルス完成
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