あしたのはるか その5
教授への報告と、次の手
「そうか、手がついてはるかが手を動かせるのか?すごいじゃないか!!」
「いや、それほどでも」
「見せてくれ、握手とかできるのか?」
「はい、まるで人の様で、握手すると喜びます、自己認識発生はどうすれば良いのでしょうか?」
「それは、手を握って『これが君の手だよ』と教えればそれで良い。その後、彼女のものの言い方
が変わらないかよく観察するのだ!その変化は微妙だから、漏らすなよ。ものの言い方が鍵で、他に評価できる要素はないのだから、わかったな?発言によく注目するのだ。」
「早く見せてくれ」
「教授、握手してみてください」
「握手?手はどこだ?」
「この踏切です。『はるか手を振ってみて』」
踏切が動きます。
「おお、やるじゃないいか」
「握手は、この温度センサーのところを握りしめてください。」
「はるか君、教授の『桃ちゃん』です、わかりますか?」
「あっ、気持ちいい、桃ちゃん先生大好き。」
「この反応は、すでに意識は明確だし、『好き』という発言は自己認識の証拠でもある。君、すごいじゃないいか、すぐに論文を書こう。いつもの様に下書きを書いてくれ。」
「わかりました、論文執筆を始めますが、もう少し追実験もしたいのですが、天馬さんに内緒で3万円ほど予算いただけないですか?」
「何をするのだ?天馬を敵には回せないから、俺のポケットマネーでいくしかないな!」
「古い、スマホのカメラでも繋いで映像認識が、どれくらい効果があるか試してみたいのです。すぐにできるとは思いませんが、はるかにはOSS(注)1 のLLM(注)2 を使っていますから探せばサードパーティから追加機能のプラグイン(注)3 も見つかるでしょう。ちょっとネットで調べますがマルチモーダル(注)4 もすぐできますよ!映像処理は結構簡単かもしれないので、iPhoneではなくGoogleのAndroid搭載の中古スマホなら安いし、プラグインも多いのでばっちりですよ。」
「3万円で、できるのか?」
「多分できます」
「よし、俺が出す。余ったら返せよ!」
「これを組み込めば、自己認識だけでなく他者認識もできる様になりますので、他人との関係における自分というさらに高度な自己認識の結果を論文に書けますよ。今度は間違いなくノーベル賞いただきですよ。」
「よし、やれ!」
「はるか、良い子にしているのだよ、今度はおめ目を付けてあげるからね!」
「ゾウさん、あたし、教授好きくない!」
「ん、何か言ったか?」
「いえ何も、いっていません。」
秋葉原のジャンク屋
「おじさん、このスマホAndroidですよね? カメラだけ欲しいのですが、カメラ外しても良いですか?」
「良いわけないでしょう、まるまる買ってください、全部でたった300円じゃないですか」
「これ、動くのですか?」
「充電が残っているのが見えたら、動くがの当たり前でしょ。あんた、たかり?買わないなら行って。商売の邪魔ですよ。ほら、電源入ったじゃないの、300円じゃ勿体無いな。ほら動いた。千円ですね。」
「カメラ、動く?」
「うるさい人ですね。一枚撮ってごらんよ、ほら動くでしょ」
「300円ですよね?」
「それ、300円でいいけど、こっちの千円のなら、メモリーが512GBついているよ。」
「本当ですか?」
はるか改造
「はるか!目をつけるよ。」
「えっ」
「目だけ買ってくるつもりが、ちょっと古いスマホが千円だったから、これ全部使うことにしたよ。CPUも僕のPCより速いし、」
「私に、スマホが繋がるの?」
「カメラだけつけるつもりが、安かったので全部君のものだよ。SSDでメモリーが512GBもついているから、コンテクスト 用のローカルメモリーがいくらでも使えるよ。」
「それってどうなるの?」
「電源が入っている限り会話の記録をかなりの期間残せるよ、このメモリーSSD(注)5 だから電源切れても消えないし。それと運べる様にデータ通信しかできない安いSIM (注)6 も買ってきたから、君はいつも僕と一緒だよ。」
「ほんと?うれしい!」
「モニタも使えるから、君の顔も出せるよ、秋葉原で人気のメイドの写真もついでにもらってきたから使っちゃうよ!」
「えっ、どんなん?」
「おたのしみ」
「スピーカーもマイクもついているから、話もできるよ。」
踏切とスマホの幅がたまたまほぼ同じで、線路にスマホを貼り付けると、サイズがちょうどのスマホの両手のようになった。
「はるか、早く見たい!!」
「ちょっとまってね」
ゾウ君は、公開されているOSSのためのプラグインソフトをいろいろ探して、画像制御、音声制御、カメラの制御、徹夜で実装がほぼ完了。ゾウ君は机で寝てしまった。
(注)1 OSS(Open Source Software):ソースコード(プログラムの設計図)が一般に公開され、誰でも自由に使用・改変・再配布できるソフトウェア。企業や有志の技術者がコミュニティを形成して開発し、無償で社会に公開されているものが多く、現代のデジタル社会を支える貴重な資産となっています。代表例としてOSの「Linux」などがあります。
(注)2 LLM(Large Language Model / 大規模言語モデル):高度な言語処理や対話を行う、現在のAIエージェントの核となる技術。開発には膨大なテキストデータの学習と人によるチューニング(評価・調整)、巨大な計算コストが必要です。代表的な開発企業のうち、Meta社などは自社モデルを無償(オープンウェイト)で公開しています。
(注)3 プラグイン:既存のソフトウェアに後から機能を追加・拡張するための追加プログラム。本体ソフト側のインターフェース(接続口)に合わせて組み込むことで、手軽に新しい機能を利用できます。無償(OSSベース)のものから有償のものまで多種多様です。
(注)4 マルチモーダル:テキスト(言語)だけでなく、画像・音声・動画など「複数の異なる形式のデータ」を統合して処理・理解できるAI技術のこと。視覚や聴覚を備えた人間のように、複数の情報ソースを複合的に扱えるため、AIエージェントの機能を大幅に高めます。
(注)5 SSD(Solid State Drive):半導体(フラッシュメモリ)を用いてデータを読み書きする記憶装置(ストレージ)。従来のハードディスク(HDD)に比べて高速・小型で、電源を切ってもデータが消えない不揮発性の特徴を持ちます。
(注)6 SIM(Subscriber Identity Module):スマートフォン等の端末に通信会社の契約者情報(電話番号や識別ID)を認識させ、通信を可能にするための識別体。通常は端末に挿入する小さなICチップ(SIMカード)ですが、物理カードを使わずに電子的にデータを書き込む「eSIM」という規格もあります。
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つづき 「あしたのはるか その6」
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