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私のヘッドホン経歴を振り返る part.2

経歴:まとめ

  • ヘッドホン

    • 2003年:Pioneer SE-380

    • 2004年:オーディオ・テクニカ ATH-W1000

    • 2005年:Victor HP-DX1000

    • 2005年:SONY MDR-SA5000

    • 2009年:DENON AH-D7000

    • 2022年:MDR-Z1R

    • 2025年:HD800S

    • 2025年:DCA E3

  • DAC/AMP

    • 2005年:Roland UA-25

    • 2005年:オーディオ・テクニカ AT-HA2002

    • 2013年:Pioneer N-50

    • 2024年:Sabaj A20d

    • 2025年:Luxman P-750u mk2

    • 2025年:SMSL D400EX

太字にしているヘッドホンやアンプに関して振り返っていきます

前回の振り返り

2004年にATH-W1000に運命的な出会いをし、2005年の夏にたまたま購入したHP-DX1000、その音に惚れ込んで17年ずっと寄り添った…みたいな話でした。ちょうど2018年から在宅勤務を開始して、ヘッドホンを使い始めた、今日はそこからのストーリーです。

流石にボロボロになってきた…

長いこと寄り添ったHP-DX1000だが、2022年には交換用のイヤパッドすら手に入らない、そんなタイミングがとうとう訪れた。イヤパッドは表面の合皮は全て剥げ落ち、汗の匂いが染み付いていた。AH-D7000も同様で、耳に劣化したイヤパッドが引っ付く始末。

流石に、新しいヘッドホンを買おう、そう思って色々調べだした。在宅勤務で地元の田舎におり、なかなか視聴出来る環境がなく、とにかくインターネットで調べ回る毎日。調べれば調べるほどに、私がヘッドホンから離れていた10年以上の間に、業界は物凄い勢いで変わっていた。

イヤホンは新興中華メーカーがシェアを大きく伸ばし、平面駆動型のヘッドホンに様々なメーカーが参入していき、最高級機=平面駆動、そんな時代になっていた。ハイエンドヘッドホンは10万円前後だった時代から、今や20万、30万、50万みたいな時代になって居たのであった。

本当に木である必要は?

ATH-W1000にはじまり、HP-DX1000にAH-D7000など、木のヘッドホンに愛着を持っていたので、最初はFOSTEXのTH900mk2を買おうかとしたのだが…知らないうちに、世間には木のヘッドホンが溢れかえっており、高級密閉機=木みたいなのがいつの間にか定着してしまっていた。そういうのに対して、反骨精神というか…安易に木に流れるのは嫌だなと思ってしまったのがMDR-Z1Rとの出会いのきっかけだっただろう。

HP-DX1000は本当に木の良さを活かした機種だなと思った。でもAH-D7000は木であることの必然性をあまり感じなかった。何故みんな木を使うのか。安易に木の温かみとか、優しさとか、減衰とか、ブラックボックスにしていない?と、そう思った。そもそも開放型でも木を使っている物も多く、ハウジングをオープンにするなら木なんて飾りだろ、と。しかも、不要振動を嫌って黒檀のような硬い木を使うならなおさら木である必要性を感じなかった。

ちゃんと科学されていた設計に腹落ち

さて、そうやって色々調べていると、SONYのサイトにたどり着く。ハイエンドのMDR-Z1Rの商品説明を見た時に、その理屈にひどく納得した。音響をシミュレーションして設計したレゾナンスフリーハウジング、フィボナッチパターングリル、70mmの巨大な振動板にマグネシウムドーム。その全てがちゃんと音楽を楽しむための意味を持っていた。15年以上前に「聴こえない音にこだわった」結果、とてつもなく冷たかったMDR-SA5000と比べると、その説明は素直に腑に落ちた。

他のハイエンド機と比べ、遥かに納得できる説明に、正直コレだと思った。一応ネットで評判をみても、密閉型としては評価も高く信頼出来ると判断した。そこで、視聴もせずにポチッと中古ではあるが購入をした。

15年前のハイエンドがラジカセの音に!

さて、届いて初めてMDR-Z1Rを付けたときの感想は、純粋にすごかった。
まず、音を鳴らす前から驚きがあった。レゾナンスフリーと言うだけあって、耳にかぶせた瞬間、コーノイズが本当にしなかったのだ。物凄い静寂に包まれ、音を鳴らす前から「嘘だろ!?」って驚いた。

そして、音楽を流して更に驚いた。今までにない濃密な音が両耳に流れ込んできた。HP-DX1000やAH-D7000と交互に聴いたが、その差は明確だった。劣化もあったのかもしれないが、過去の愛機2機の音が安いラジカセから鳴っているような、カサカサした薄っぺらい音に聴こえてしまった。自分が初めて梅田のヨドバシカメラでATH-W1000を聴いたときの感動、3000円や1万円のヘッドホンとは段違いだと思った、そのままの感覚を10〜15年前のハイエンド達相手にやってきたのだ。

でも、MDR-Z1Rは実は好きになれなかった

まぁ、凄いベタ褒めして、実際MDR-Z1Rを購入してからは、HP-DX1000を使うことは無く、この機種だけをずっと使い続けているのだが、買った当初は実はすこし買ったことを後悔した。

理由は、中音域が後ろに下がって、ゼンハイザーのHD650を聴いた時に様な、やや曇った感じがしたからだ。調べると、周波数特性はVシェープで、かまぼこが好きだった私からすると、中音域が不満だったのだ。ピアノ・トリオを聴くとピアノが一番後ろにいて、女性ボーカルがバンドの後ろから歌っている、そんな感じが拭えなかった。

空気の振動や、密閉特有の音の密度、それでいて圧倒的に広い音場、立体感、音像定位、必要十分なトランジェント、基本的に私の好みどまんなかであった。が、肝心の周波数特性が好みから外れており、どこか歯の奥に何かが挟まった様な、そんな感覚をずっと感じていた。

中華DACと旭化成マテリアルの最新DAC

私がヘッドホンから離れている間、最も劇的に変化した分野の一つはDACだろう。まだUSB接続できる再生用のDACなんてあまりない時代だったのが、いつの間にか市場にはオーディオ用のDACが溢れかえり、さらにそれらの殆どは中華製、深センのメーカーが作っている、そんな時代になっていた。

5〜15万円くらいで、いろいろな機種がある中で、そのDACチップに国産の旭化成マテリアルのAKチップが多く使われることを知った。そして、その最新チップであるAK4499EXであることを知る。そして、何故かその最新チップを搭載したモデルを中華系メーカーが安価に作っている、そんな市場にいつの間にかなっていた。

せっかく良いヘッドホンを買ったのに、それを鳴らすDACが15年前のオーディオプレイヤーなのはどうなのか、というのでSabaj A20d 2023年バージョンを購入を決める。決してハイエンドではないが、最新チップから必要最小限の回路で、AT-HA2002に繋いだら良い音になるだろうと、そう考えた。

因みに、PioneerのN-50は、DACとしては当時非常に音質が良いと話題だったネットワークオーディオプレイヤーだ。MacOSのアップデートに際して、UA-25が使えなくなったタイミングで、2013年ごろに購入した。

肝心なその音は…正直違いは劇的には分からなかった。でもなんとなく音がクリアで、見通しが良くなった、そんな印象を受けた。しかし、その性能の半分程度しか使えていなかった事をその時は知る由もなく…

イコライザとAIと

さて、どこか奥歯に何かが挟まった様な状態で音楽を聴いていたのだが、MDR-Z1Rをとことん好きになるきっかけと、イノベーションが2024年末〜2025年の冬に起きた。AIが一気に賢くなったのだ。その結果、ヘッドホンに関する質問に明確に答えてくれるようになった。AIのアドバイスの元、愛用するPC(Linux Ubuntu)のEasy Effectsでイコライザをかけてみたのだ…すると、奥に引っ込んでいた中音域が何歩も前に出てきて一気に見通しの良い音になった。

コレは凄い!凄い!と思っていたが、よくよく聴くとMDR-Z1Rの弱点もまた強調されるようになる。それが3.3kHz、6.8kHz、10.1kHzあたりに有るピーク、及びその中間にあるディップである。巨大な振動板を使う副作用で、可聴域にまで分割振動=鳴りやすい周波数帯と鳴りづらい周波数帯が出来てしまっているのだ。具体的にどんな音かというと、ボーカルがやや掠れたような、ちょっとシャカシャカしているようなそんな音が出てきてしまう事にも気がついた。

イコライザなんて邪道じゃないか?という声もあるだろうが、AIと議論するうちに、TWSなどイコライザで歪んだ周波数特性を無理やりハーマン最適に持っていっている様な機種も多いと知り、世の中もその音を受け入れて「高音質」と言っているようだ。自分の中で何かが吹っ切れていった、そんな感覚があった。

ハーマンカーブを基準に大胆な外科手術

ネット上を調べると、MDR-Z1Rをハーマンカーブに無理やり矯正するイコライザの設定が落ちていた。イコライザをかけてみたのだが、ボーカルの掠れが消えているのがわかった。おぉ!?と思ったが、その一方で、その特徴の圧倒的な低音もスポイルされているのもかなり気になった。

そこから、イコライザと私の戦いがはじまった。低音を元に戻したり盛ったりしては、ラウドネスを一定にしてABテストして…を繰り返し…3、4ヶ月は色々いじっていただろうか。純粋に音楽を楽しむというよりは、どうやったら心地よい音が鳴るかをひたすら繰り返し、AIと議論をしては、フィルタを当てたり外したりを山ほど繰り返した。


ネット上のハーマン最適を遺伝アルゴリズムを使って作ったEQ設定に対して、低音の質感と、中音域の厚み、高音域の空気感を付与した特注設定

音楽を楽しむというよりは、本当にMDR-Z1Rと対話するような日々をずっと過ごしていた。それはそれで楽しい時間だったと思った。

バランス接続という誘惑とAIの囁き


直近のMDR-Z1Rの構成

RCA接続で満足していたのだが、MDR-Z1Rの性能を100%活かすにはバランス接続にすべきだという様な声はネット上に非常に多かった。一応Sabaj A20d 2023でもバランス接続は出来るのだが、AT-HA2002でアンバランスで聴いている方が低音の締りがあり、ずっとアンバランスだったのだ。そこで、ふとAIにその事を相談したら、悪魔の囁きをしてくる。「バランス接続のアンプに変えることで、2段階くらい音場が広がり、立体感も増す」と。

その誘惑に、私は徐々に蝕まれていった。夜な夜なAIに、様々な機種の情報を入れ込んでは「この機種はどう?」とか「AT-HA2002と比較してどう?」とか「音はどの程度良くなる?」とか、そんな事を議論していた。

最新の中華系のDAC/AMP、例えばToppingのDX9や、FiiOのK9やK17、国産ピュアアンプのTEACのUD-507やHA-507。いろいろな製品を調べさせ、その音質や特徴、どの様な変化が有るのかを分かる範囲で聴いたり…田舎に住んでいてなかなか視聴出来ない中で、将来どんなシステムにしようか、考えるのは意外と楽しかった。

東京旅行でまた恋に落ちる

さて、AIが割とおすすめしてきたヘッドホンアンプに、Luxman P-750u mk2があった。バランス接続できて、私の音の趣味にもピッタリだというのだ。でもそんなに変わるものだろうか?本当にそんなに違うのか?ヘッドホンアンプひとつで音が劇的に変わる印象は、正直あまりなかった。

そんな折、妻の姉妹が東京で結婚式を執り行うこととなり、お呼ばれをしたのだった。結婚式が終わると、丸の内のホテルから、小学4年生になった息子を連れて夜の秋葉原に出陣。ガンダム好きの息子に「ガンプラ買ってあげるからお父さんに付き合って」と、ガンプラ専門店につれていくついでに、アキバのヨドバシカメラへと足を運んだ。

さて、その4階だったと思う、ヘッドホンコーナーには、物凄い数のヘッドホンが並んでおり、その膨大な売り場から、P-750u mk2を発見。丁度同じ音源がゼンハイザーのHDV820とP-750u mk2の2つに繋がっていた。ついていたヘッドホンはHD600。その2つを聴き比べると…同じヘッドホンとは思えない、明らかに上質な音がP-750u mk2から流れてきた。そこでまた私は一瞬で恋に落ちてしまったのだ。

同じヘッドホンにもかかわらず、P-750u mk2では濃密で上質で小さな音がどこまでも聴こえる。HDV820も悪いアンプではないのだが、比較すると、音がザラザラしたような、曇った音に聞こえてしまった。それこそ20年前に梅田のヨドバシカメラで感じた高級機と大衆機の差を感じた。小学生の息子にどっちが良いとブラインドテストさせても、P-750u mk2の圧勝だと明確に答えた。それくらい有意な差がそこにはあった。

バランス接続でシステムが完成した

東京旅行が終わった後、その恋に落ちたことを妻に話た。そして、カメラやあまり使わないものを手当り次第売る、この夏購入予定だったPCを買わないということを条件に、P-750u mk2を買う許可を取り付けた。そこからは、物凄い勢いだった。


フルバランスになった後のMDR-Z1R。ケーブルも一応SONYのKinberケーブルを利用

P-750u mk2が届き、RCA接続で既存システムに繋いでみると…今まで聴こえなかった微小な音が手に取るように聴こえてきたのだ。音場も肩のあたりから、脇の下まで広がった印象を受け、アンプでコレほど違うものなのかと感動をした。

が、それは始まりに過ぎなかった…。バランスケーブルを購入し、Sabaj A20d 2023verからの接続をバランスに替えた瞬間…今まで聴いていた音は何だったのかというくらい音が激変した。音場は脇の下から腰まで広がり、音はどこまでも立体的で一つ一つが分離されている。RCA接続していた時から、音の曇りが3枚くらい取れた、そんな感覚だった。

よくよく調べると、Sabaj A20d側のRCA信号への変換に何かしらボトルネックのようだった。そう、Sabaj A20dとAK4499EXのポテンシャルは、バランス音源をダイレクトに出力することで開放され、それを余すこと無くP-750u mk2が増幅した結果、MDR-Z1Rは今までにないクオリティの音を奏でだした。

AK4499EX、P-750u mk2、MDR-Z1R、そしてZ1Rの弱点を補正するEasy Effectsによって、私のヘッドホンシステムは完成に至ったのだった。


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