話をさえぎられても、紳士な態度

仕事の介護施設で、基本、土曜日は
わたしが大好きな関西出身のFさんという
おじいちゃんが来る日だ。
以前は彼のお昼の食介は
わたしがよくやっていた。
そのときにいっぱいお話をしていた。
彼が入院し戻ってきてからは
決まって、もう1人のスタッフが
何故かお昼より少し早い時間に
彼の食介を始められている。

先週は昼食後、新しく入所した利用者様の
お風呂の世話をした後、わたしは
少し時間が空いたのでFさんのところに
お話をしに行った。

Fさんは入院前よりも更に言ってることが
聞き取りにくくなっている。
聞き直しても彼は何度も言ってくれるので
わたしは言ってることが分かるまで
聞き直してお話しをしていた。
今回はリチャード・モアの話。
いったい誰、リチャードって?に対し
彼が仕事で仲良くなったアメリカ人と判明。
Fさんは認知症で、実際リチャードと
いう人が存在しているかは分からないが。
けっこうFさんは以前から海外での話を
わたしにしてくる。
高校のときに学校を休んで
オーストラリアで過ごした話。
奥さんと海外に新婚旅行で行ったこと
(ど忘れでどこに行ったのか
思い出せないのだが、ちょっと
ロマンチックな場所)など。

わたしがFさんの言うことを
聞き取ろうとしていると
彼のお昼の食介を
最近しているスタッフが急に来て
かなり卑猥な下ネタをFさんに言って
お話に加わってきた。
少しエロいFさんがそういう話で
のってくると思ったのだろうか?
他のスタッフもよくFさんに
下ネタ系、お色気系のお話をしてくる。

下ネタ路線はわたしは特に話そうとは
思わないので、Fさんとともに
黙って聞いてた。
が、そのスタッフが去った後Fさんは
わたしに言った。
(何度も聞き直す必要はあったのだが)
勝手に割り込んでくるんだもん。
でも無視するわけにいかない、と。
同感だね、とわたしは伝え、
Fさんは思いやりあるからね、
と言っておいた。
認知症である彼だが、このように
思って聞いていたようだ。
こんなふうに彼が思っていなくても、
わたしにとっては
どうかなぁ、って思う内容の話だった。

その日、14:00に仕事を終え、
利用者様にバイバイを言い
Fさんにもバイバイといつものように
ハイファイブをしたら
彼は手を出してわたしに握手を求める。
握手すると、そのままわたしの手を
口に持って行き、手の甲に口づけされた。
ん〜、この程度の行動なら許されるかな?
害がないかな?ととりあえず判断する。
ちょっと予期せぬ、しかも
チャーミングな行動だったので。

いつも気まずく感じる、セクハラをしてくる
Mさんというおじいちゃんがいるが、
わたしは彼への身体へのタッチは
必要ないときは極力しないようにしている。
一度手を握られたときに
とってもイヤな思いをしたので。
だから握手などしない。
このおじいちゃんは何かをすることで
セクハラ行動をうながすことだと
感じるからである。

楽しく気持ち良く仕事をするのが
わたしのポリシーだ。

話が少しそれたが、わたしが今まで生きてて
手の甲に口づけされたのは2回ある。
今回のFさんと、アメリカに住んでたとき
隣のアパートの階段のところに座って
一緒にお話していた黒人のおじいちゃん。
彼に、You are a lovely Madam Butterfly
あなたはステキなマダムバタフライ
と言って手の甲に口づけされたことが
1度ある。
きっとわたしがアジア人だから
出た言葉だろう。
後にマダムバタフライは悲劇の話と知る。
このときもそうだが、手の甲の口づけは
わたしはイヤな気持ちにはならなかった。

Fさんの行動でふと思い出した出来事だ。

いいなと思ったら応援しよう!