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14 訪問リハビリの日常【自分の人生を生きる】

「訪問リハビリの日常」は、私の体験をもとにしたフィクションです。登場人物は架空の人物であり、実際の出来事とは異なります。 


 今回は90代のお母様と同居されている60代の息子様のお話です。

 息子様は定年退職後、一人暮らしだったお母様と一緒に暮らすことを決めました。お母様は90代と言っても体はお元気、外も一人でスタスタと歩けます。しかし、認知症があり、少しの時間お話しする程度ならば問題ないのですが、見当識障害と言って日にちが分からなかったり、ご飯を食べたことを忘れてしまったり、何年もリハビリを行なっているにも関わらず自分がリハビリを行なっていることも覚えられないなど、生活するにはかなり不便な状況です。家事も自分では行えず、食事を食べたり、お風呂に入ったり、歯を磨いたりなど、日常生活のことも息子様の促しがなければ行えません。そんなお母様を息子様はいつも献身的に介護されていました。息子様は、「もう90歳だし、本人が最後まで自宅で暮らしたいと言っているから、好きにさせてあげたい。」と前向きに考え、同居生活をスタートされていました。お母様は一度デイサービスの体験をされましたが、「デイサービスには行きたくない。」と言われ、その後は息子様がずっと自宅で介護をしていました。

 訪問リハビリは、今の機能が維持できるようにと言うことと、認知機能がこれ以上悪くならないようにとの思いで、身体機能と認知機能に対してのリハビリを行なっています。

 しかし、お母様の認知症も少しずつ進行していきました。「誰か来ても玄関は開けてはダメだよ。」と言われても、息子様がスーパーに買い物に行った数十分の間に、家の呼び鈴が鳴ると玄関に出てしまい、保険の契約をしてしまったり、息子様が家事をやっている隙に家の散歩に出かけてしまい、帰れなくなり警察に保護されてしまったりと、息子様が困ってしまうことが多くなってきました。お母様はまだ「自分はしっかりしている。」と思っており、なんでも自分で行おうとしてしまうのです。

 息子様の疲れが見えてきた頃、ケアマネージャーから再度何度かデイサービスの利用を勧められましたが、息子様は「本人が行きたくないと言っているし、なるべく自分がみてあげたい。」と、家での介護を続けていました。しかし、1年、2年と時間が経つにつれ、息子様の気持ちにも変化が出てきました。

「自分の好きなことができない」「認知症のお母さんといつも喧嘩ばかりしてしまう」といったストレスが重なり、介護や家事の負担もかかり、一人で外出することも全く出来きず、どんどん精神的に追い詰められていきました。

 そんな中、息子様は一大決心をしました。もともとやりたかったことがある息子様。ある資格を取るために学校に入学する決心したのです。それに伴い、お母様のデイサービスやショートステイの利用を決め、自分のやりたいことをやる時間を確保することにしたのです。お母様が、きちんと理解して納得しているのかは不明ですが、「仕方ないね」と受け入れてくれたようです。

 介護はいつまで続くかは分かりません。そのため、介護する側がいつの間にか追い詰められてしまい、苦しんでしまうことがあります。介護をするにも、自分の心に余裕があってこそ、相手の気持ちに寄り添った介護ができるのです。息子様の選択を私は応援したいですし、とても嬉しい気持ちになりました。

 介護には、やってあげたいことと、実際にやれることとのバランスが必要です。介護される側も、する側も納得できる生活を支援するためには、介護保険などの制度をしっかり理解することが重要です。

 リハビリは週に1〜2回程度ですが、その時間を利用して、利用者様やご家族様の気持ちをしっかり聞くことが出来ます。ご本人だけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添いながら、ケアマネージャーや他の職種と協力して最適なサービスを提案できるようになりたいと思います。

 利用者様もご家族様も、自分らしい人生を送れるような支援を提供できたらと願っています。

この話は実際の体験をもとに、創作したものです。そのため、登場人物は架空の人で、内容もフィクションです。

【一言メモ】
認知症にも色々と種類があります。4大認知症というのは、①アルツハイマー型認知症、②レビー小体型認知症、③脳血管性認知症、④前頭側頭型認知症のことを指します。


丹沢病院ウェブサイトから引用


日本で一番多いのは、アルツハイマー型認知症で認知症の半分以上の割合を占めており、次に多いのが脳血管性認知症で約20%を占めています。

みんなの介護ウェブサイトより引用


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春野 さとみ【子育て×ワーママ×訪リハ】 よろしければサポートをお願いします!いただいたサポートはエンディングノート事業の活動費として使わせていただきます!