猫も人間も 闘いながらもしあわせ時間
そしてお隣さんとの闘いが始まりました。始まりまでは↓こちら
我が家はお隣さんちの前を通らないとゴミ捨てに行けない。
モフモフくんとハチワレくんは、猫なので裏道もまわり道もよく知ってるが、アパートごはんに行ったり、遊びに行くときは、お隣さんちの前を通るのが正道だ。
フェンス越しに私の姿が目に留まるたびに、「ちょっと!おたくね!おたくんちの猫!ちゃんと家ん中で飼ってよ!」と始まります。
おたくんちの猫はちゃんと家ん中にいます。モフモフくんとハチワレくんは、地域猫さんですから、家ん中にはいません。庭にはいますけど。
家の中に入れてやればいいのに、と思う方もいると思う。
でも、家猫サバトラくんは15歳を過ぎた高齢猫で赤ちゃんのときに猫風邪で死にかけて、その時、動物病院で他のねこちゃんよりウィルス感染しやすいので気をつけてあげてくださいねと言われていたし、サバトラちゃんも推定13歳で高齢猫だ。環境の変化は大きな負担になる。
そして、モフモフくんもハチワレくんもサバトラくんも男の子どおしで、まさかの出来事がおきたりしたら、だれもしあわせにならない。そんな簡単に、はい、どうぞというわけにはいかない。
「うちのねこはウチにいますけど」と返す私に「外でエサやるとね、うちの庭にうんちされて困るのよ!みなさん困ってるんだから」。
そのみなさんがいわくつきと教えてくれたんですけどね。
こちらもモフモフくんとハチワレくんとアパートごはんに来るコたちのためにも負けるわけにいかない。
「地域猫のこたちにエサを与えても、法的に何ら問題はない、地域猫たちが早く死ぬようにエサを与えないのは虐待だし、そもそも猫は他にもいるし、猫がゼロなんてあり得ないし、そんなに猫一匹イヤなら、猫一匹いないような山奥にでも越したらいいんじゃないですか!たかだか猫ぐらいで」と応戦する。
「まったく常識がないんだから!」
「常識なくて結構だわ!」
怒鳴れば思うとおりになると思っているので、こちらも怒鳴り返すから、住宅街に怒鳴りあう声が響く。
人様の敷地内にある物を叩き割って、人の家や生き物に石投げつけておいて、常識が聞いて笑える。
そんな人からみたらたしかに非常識でしょうよ。非常識結構、むしろ、そんな人から常識があるなんて言われたくもない。
モフモフくんとハチワレくんも、お隣さんが雨戸を開ける音、閉める音を聞いて、庭にいるかいないか気配を伺って往来する。お隣さん前のこの通路は、膝上くらいまでがブロック塀で、その上はフェンスになっている。ブロック塀の高さはちょうど猫が歩く背の高さくらいだ。通るときはお隣さんから死角になるように、ブロック塀に添って通っていた。それでも、見つかると大きな音をたてたり、石や洗濯バサミを投げられたりしていた。
大きな音で追い払うくらいは仕方がないと思っているが、道路に飛び出したときに車が来ないかとヒャッとする。
お隣さんちの前のこの通路は、我が家の私有地で、道路からは我が家で行き止まりになる。車も人も通らないので、お隣さんが彼らに石や洗濯バサミを投げつけると、それまでなかった石や洗濯バサミが転がっているのですぐにわかる。
晴れた日にお尻や尻尾を濡らして帰ってくることもあった。
「お水かけなくてもいいのにね。ひどいね」と声をかける。猫は濡れたところを一生懸命ペロペロと毛繕いしていた。
モフモフくんとハチワレくんも、猫なりにお隣さんと闘いながら、ここで朝を迎え、私たちが起きてシャッターが開くのとごはんを待ち、どこかへウロウロ出かけても、夕方ごはんに帰ってきて、夜はくつろいだ。
私は家猫サバトラくんと一緒に、窓の向こうの彼らに「ボク、サバトラくん、よろしくね」と声をかけた。彼らは、いつかこの中に入ってやるとでも言いたげにサバトラくんを見ていたが、シャーシャー、ウーウーすることはなかった。
寝る直前にシャッターを下ろし「明日ね、おやすみね」と声をかけると一日が終わった。
外出から帰ると庭でモフモフくんとハチワレくんが出迎えてくれる。彼らにただいました後、家に入ると玄関ではサバトラくんが待ち構えていた。
ハチワレくんとのゴミ出しも楽しかったし、休みの日には庭をいじっていると、ハチワレくんはいつも近くで見ていて、その姿は可愛かった。
きっとこういう時間をしあわせ時間と呼ぶのだろう。とってもステキな場所に引っ越してきたと思っていたが、残念なことに、そのしあわせ時間は思うほど長くは続かなかった。しあわせ時間は突然崩壊する。この時間も例外ではなかった。
画像©たかはしみき
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