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よわよわ作家とつよつよ編集さん 6

6 編集さんの半分は優しさでできています


 少し時間が戻ります。

 一回目の改稿では以下のことをやりました。

 ①冒頭にエピソードを足す。
 ②ハピエンにする。(とりあえずは、恋愛面で両想いエンドにする)主人公の独白で「こうなりましたー」みたいな感じで終える。

 ……という、(比較的簡単な)改稿でした。

 それを提出して約一ヶ月後、米田さんとの二回目の打ち合わせが入ります。

米田さん「みつきさん、一回目の改稿、お疲れ様でした。今作を熟読し、気になる点や改稿点がありましたので、ワードにてコメントを入れさせていただきました」

 はーい! と元気よくメールの添付を開く私です。
 ワード形式で、ところどころにコメントが入力され、返ってきたMY原稿がありました。
 ちょっと某ゼミの赤ペン先生みたいですね。
 こちらのコメント、誤字脱字、おかしな表現のところはもちろんですが、なんと担当さんご自身の感想(誉め言葉)まで入れてくれてるのですよ。

 たとえば。
『ここの表現、いいですね!』とか、『このシーン、何度読んでも笑えます』とか。
 気をよくした私が、「誉めてくださって嬉しかったです」と、お礼を言ったところ、「修正部分ばかりのコメントだと作者さんが落ちこんじゃうので……」と米田さんが正直に話してくれました。
 なるほど。メンタルケアの飴と鞭だったようです。優しい気持ちを感じるので、ありがたく受け取ります。

米田さん「初稿の時よりも恋愛エピソードが増えたり、後半のドキドキ感のあるエピソードがあったりと、良くなっていたと思います! (略)それで、今回、直してもらいたい部分なのですが……」

みつき「……はい。(ごくり)」

米田さん「まず、①冒頭をもう少し追加しましょう。②それから第一回目の改稿で書いていただいた終盤の主人公の独白を、ダイジェストではなくきちんと描写しましょう。③あとは、物語後半部分の展開の見直しですね。具体的に言いますと、ここでサブキャラの子の動きが制限されちゃうのがいけないんですよ。なので、このあたりから……(フェードアウト)」


みつき「…………!?!?!? (=゚ω゚)」


 さ、さらっと言われた……?
 なんか、RPGゲームでたとえると、昨日まで城周辺のスライム狩ってたのに、今日になってドラゴンを倒してこいと言われた気分です。

 えっと。
 それ、私が直すんですか?
 特に③とか、展開を変えるって、わりと大掛かりなことになりませんか?

2Pみつき「他に誰がやるのよ。担当さんがやるわけないでしょ」

 ですよねぇ……。

 えーと。米田さんからの台詞から察するに。
 一回目の改稿で私がやったこと(冒頭の付け足しと終盤の主人公の独白)が、ぜんぜんダメでしたーってことなんですね。
 おそらく(自分はがんばったつもりでも)改稿になってなかったのだと思うのです。
 それを米田さんがあえてスルーして、あらためて改稿案を言ってくださった、と。(さらに誉めてくれるケアも忘れていない)

 何かの記事で読んだ覚えがあるんですが、担当さんに言われたとおりに直してくるようじゃ、作家としてはダメダメなんですよね……? 
「担当さんが驚くようなプラスアルファの改稿ができてこそ作家だー」とか、なんとか書かれていたような気がします。
 ただ、今回の場合はまったくの逆で、担当さんが言ってたことすら私はできていないので……。

2Pみつき「いわゆる、ぽんこつ?」

1Pみつき「……!」

2Pみつき「あるいは、ハズレ?」

1Pみつき「……」

 反論できません。
 脳内にいるもう一人の自分の言ってる通りです。

2Pみつき「あのさぁ。他のどんな作家さんでもさ、言われたことぐらいはきちんと手直しできるのが普通でしょうよ。面白くなるかどうかは別としてもさ。それができないってことは、みつきの能力の低さに加えてそもそもの意識が低いんだよ。改稿を甘く見てるんだね」

1Pみつき「別に手を抜いたわけじゃ――」

2Pみつき「改稿、早々に終わらせて提出してたよね? それで結果がこれじゃあねー。担当さんも出版社さんも気の毒だねー。奇跡的に無事に本が出ても、読者さんから感想もレビューもなかったりしてね。売上も最下位席をあたためながら、一年後には戦力外通告だねっ」

1Pみつき「ふあ……あああっ!!(大泣)」

 このとき私が思ったこと。
 それは――本が無事に出るかどうかの心配でもなく、読者さんからの反応がないことでもなく、もちろん売り上げのことでもなく。
「このままだと担当さんに見放される?」という焦りでした。

 米田さんに、ガッカリはさせたくない。
 せっかく作品を選んでくれたのだし、なんとか期待に応えたい。

 もちろん、米田さんは責任感の強い担当さんですから、最後までは付き合ってくださるかもしれません。
 でも「もうダメだな」って思われたら、次はないわけです。
(たぶんこの辺は、作家業じゃなくても、どの仕事でもそうだと思います……)

米田さん「文章の細かい部分の改稿は物語の内容がしっかり固まってから、改めて校正にいきますので、今回の改稿は物語そのものをより面白くなるよう磨いていくことに集中していただければと思います。では、今回はこのへんで……」

 早々にがけっぷち感が出てきました。



>7へ続きます

(ここまで読んでくださった読者様、本当にありがとうございます。スキやフォローも励みになっております。感謝です!<m(__)m>)


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