見出し画像

竹内涼真の陽キャ系サイコパスキャラがハマりすぎて沼になりそう【じゃあ、あんたが作ってみろよ】

 火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ」に出演する竹内涼真が、陽キャ系の化石男子(価値観をアップデートしていない)勝男を巧みに演じ切っている。

 勝男は、爽やかで長身。見た目は最高にかっこいい。その見た目の美しさが、本作を見るとエグみへの伏線とも感じられる。そんな作品が、これまであっただろうか。

 勝男は、彼女の鮎美、合コンで出会う女子たち、そして職場の同僚たちに対して、失礼なことをニコニコと爽やか笑顔を振り撒きながら吐露していく。

 かつて、瀧波 ユカリさんと犬山紙子さん著書「女は笑顔で殴り合う」という本があった。内容は、私の方が立場が上であることを態度や言葉で示すマウンティング女子の実態に迫ったものだ。ドラマを見終えた瞬間、その本のタイトルをふと思い出した。

 こちらのドラマは、誰も殴り合ってはいない。ただ、にこにこと爽やかな顔をした1人のイケメンが

「延々と笑顔で、何も悪びることなく殴り続けている(本人にそのつもりはないし、絶妙な匙加減でこれがまた憎めないんだけども)」

といったストーリー。たとえば、鮎美が手の込んだ手料理を振る舞った時も、

「強いていうなら、オカズが茶色すぎるかな」

と一蹴。もちろん、そんな台詞を吐く男と彼女が上手くいくはずもなく。案の定振られてしまう。なのに勝男ときたら

「世界よ、俺が鮎美と付き合っている間に変わってしまったのか?」

と、振られたことを世界のせいにしてしまう。いや、交際中に時代の流れをアップデートしていなかったことと、彼女の心の揺れに気づいていなかったから振られたんだけども。

 その後、彼女に振られたのちに、合コンで出会った女性たちには、アイコンタクトで

(料理を取り分けるのは、女の仕事だよね?)

と伝えようとする勝男。戸惑う女性陣。そして、そんな女性たちの思いに気づかないというか、思いを汲む素振りも見られない勝男。

 最初は女性たちも、ハンサムな勝男を見るなり「モテそうですよね〜」と瞳を輝かせていたのに、勝男の失礼な発言や態度に少しずつ冷めていく。

 合コンの終盤では、参加メンバーたちが連絡先の交換で盛り上がっている中に入れず、地団駄を踏む勝男の姿が。そんな状態になってもなお、

「はいはい」

という感じで、

(女子、俺と連絡先を交換したいんでしょ?)

と言わんばかりに、携帯をやや雑に差し出す勝男。ところが、女子たちは勝男に目も向けてくれない。やがて、テーブルに携帯をポイっと置きつつも、少し苛立った様子から

(連絡先、勝手に交換してもいいんだぜ?)

という思いを最後まで諦めていない勝男の様子が伝わった。

 それにしても、1秒たりとも勝男を演じることにおいて、竹内涼真が一切の躊躇をしていない。以前より爽やか男子というイメージが決してあった訳ではないが、むしろ「爽やか」をちゃんと武器にしつつ、憎めない化石男を細かい部分まできちんと演じ切っていた。

 そこに、彼の俳優としての凄みを改めて感じた。

 勝男は人生で躓いたことのない人間ならではの無垢さがある。

 俺のことは、みんな好き。
 そこにいるだけで、女子はみんな俺に惚れてしまうはずだ。
 俺の考え方も、出会う人はみんな肯定してしまうだろう。

——なぜなら、俺はパーフェクトだから。

 そのキャラクターを、この令和の時代に全身全力で演じ切れるのは、竹内涼真さんしかいないんじゃないだろうか。

 なぜそう思ったのか。それは、私が数年前にみたあるバラエティー番組で彼が歌を歌っていた時のこと。

 彼は声がいい。顔もいい。そして、歌が抜群に上手かった。伸びやかな歌声を、彼は自信満々に披露していた。そして私は、その美しく伸びやかな声に魅せられた。

 そう、平成がまだ終わりかけのあの時代に。

 その頃には、すでに謙虚とか。控えめそうな男性や、女子の母性本能をくすぐるような「育てたくなる系男子」が人気の時代だったように思う。

 彼はただ、自信満々に。そしてサービス精神旺盛に歌を披露していた。

 真面目に歌を歌っているだけなのに。なぜか中盤から、抱きしめてトゥナイトを歌っている田原俊彦、「ああ、だから今夜だけは〜」と歌っていた、あの頃の吉田栄作。そしてゲッチューと囁いてウインクする木村拓哉のキメ顔が脳裏をよぎる。

 別に彼は何も可笑しなことはしていない。なのに、不思議と違和感を覚えたのはなぜだろう。

 ただ、一生懸命真面目に

「歌っている俺を、観てほしい」

という姿勢で、堂々と歌っていただけ。たったそれだけなのに、なんだか時代の真逆をいっているようにも感じてしまって。……と同時に、彼はこの時代に今の女性たちから応援されるのだろうかと心配になった。その時から、私は何故か彼のことが気になり続けているんだけども。

きっと素直でまっすぐなんだろうなぁ。

 そう感じたと同時に、司会の方がちょっとどう対応したらいいのか躊躇しているようにも感じられて。その瞬間、私の中の

「竹内涼真=おもしれー男」

が脳内にインプットされていく。その時の違和感が、ドラマの中では見事にハマっていた。

 それを感じた途端、この役は彼の代表作になるかもしれないと確信した。

 ドラマは、冒頭のプロポーズシーンからもう面白い。

 プロポーズするはずなのに、勝男の目の奥がすでに薄っすら笑っている。

 指輪を渡すシーンといえば、男性が照れくさそうに。そして、ほんの少し申し訳なさそうに

「ぼ……僕の指輪を受け取ってもらえませんか……」

という雰囲気で、頬をほんのり紅潮させるというシーンが思い浮かぶ。

 それが、勝男の場合ときたら、一点の迷いもない。むしろ、ちょっと彼女の鮎美(夏帆)の前で、すでに勝ち誇った表情を浮かべている。その目からは

「最高のシチュエーションで、君のために指輪を渡せるように。俺は、動画で何度も予習(ドラマの中で、実際に何度も予習しているシーンがあって、それも笑えるんだけど)してきたぜ!!

こんなに最高にカッコよくて素敵なパーフェクトボーイな俺が、君のために……。どうだい?もちろん指輪、受け取ってくれるよね??(ドヤァァァ)」

という思いがひしひしと伝わってくる。

 それも、特別言葉でその想いを投げかけている訳ではなく、瞳の演技だけでこなしていたので、

「竹内涼真の細やかな演技力、スゲェ……」

って、思わず画面越しに唸ってしまった。

 プロポーズの時点であまりに自信満々すぎるのも面白いし、そこからあっさり鮎美に「んー、無理」と振られてしまうのも、おかしすぎて笑ってしまった。

 その後、勝男は周りからの

「彼女の気持ちを知るなら、実際に筑前煮作ってみたらどうですか」

とアドバイスを受けて、本当に筑前煮を作り始める。勝男、それにしてもすんげぇ素直だ。真面目に作って、調味料が足りなくて「先に言ってくれ!」って、時には誰に怒ってるのかわからないんだけど、とりあえずブチ切れたりとかしてみて。

 けれども、勝男が「もう料理を作らない!(作れないから)」と決意して、包丁をぐるぐる巻きにして「キケン」って書くシーンからは、モノを捨てる時の配慮とかも感じられたりして。ちゃんと

「本当は悪い人じゃなくて、真面目」

という勝男のキャラクターがひしひしと伝わってきて、なんだか愛しくなってくる。

 そして少しずつ、元カノの鮎美への愛を再確認していくんだろうなぁ。

 ドラマでは、勝男の時代錯誤なセリフにヤキモキするシーンはありつつも、周りのアドバイスへ素直に耳を傾け、すぐに行動へ移す姿をなんだか微笑ましく見守りたくなったりもする。この絶妙な

「腹立つけど憎めない」

という勝男を、丁寧に演じているようにも見えて。でも、もしかして素なのだろうかと感じるほど、その演技が自然で。

 勝男の行く末が気になると共に、演じる竹内涼真の魅力へずぶすぶと首っ丈になることが間違いないと確信した。

 第一話は、最後のシーンで別れた元カノの鮎美がピンク色の髪色で登場する。そんな彼女をみるなり、勝男は

(鮎美は、清楚だった。俺に尽くしてくれた。なのに……)

と、呆然とする。

 ここから、ドラマはどう展開していくのか。鮎美との別れを経て変わりたいと誓った勝男は、本当に変わることができるのか。今後の勝男の行く末を見守りたいと思う。

【完】

⭐︎ドラマや映画の、感想他記事はこちら


⭐︎本業の、ドラマ感想記事はこちら

いいなと思ったら応援しよう!