AI・多様性時代を生き抜く飲食店経営-その1
薄利多売を脱し「特定の誰かの最適」になる新構造とは
その採用条件、お客様にも避けられてます。
人手不足について、飲食店経営者の悩みはますます深刻になっています。
「求人を出しても応募が来ない。」
「採用してもすぐ辞めてしまう。」
「結局、自分が現場に立ち続けるしかない。」
こうした悩みは、今や個々の店舗だけの問題ではなく、飲食業界全体が抱える共通の課題となっています。
しかし、本当に問題なのは「人がいないこと」なのでしょうか。
少し視点を変えてみましょう。違った景色が見えてきます。
髪色やピアスを理由に応募を断る。
学生には土日は必ず出勤してほしい。
子育て中でも急な休みは困る。
もちろん、それぞれに理由はあります。
店舗運営を考えれば、一定のルールは必要ですので。
しかし一方で、働く人の価値観は近年大きく変化しました。
仕事は人生のすべてではなく、人生を豊かにする選択肢の一つ。
自分らしく働けることや、ライフスタイルとの両立、成長を実感できる環境を重視する人が増えています。
つまり、以前は当たり前だった職場のルールや価値観が、今では「この職場では働けない理由」になっていることも少なくありません。
人手不足なのは、「働きたい」と思わせてないから。
これは、実は外国人スタッフの採用でも同じです。
言葉や文化、宗教、食生活の違いを理解しようとする姿勢がある職場では、多様な人材が安心して力を発揮できます。
逆に、「日本ではこうだから」という価値観だけで運営してしまうと、優秀な人材ほど離れていきます。
多様性への理解とは、特別な配慮をすることではありません。異なる価値観を持つ人が、それぞれ能力を発揮できる環境をつくることです。(まさに経営者の仕事ですね)
そして、そのような職場には自然と人が集まり、定着率も高まります。
現に、「フードダイバーシティ対応を始めてから、若い人の応募が増えた」という証言はいくつもあります。理由は様々ありますが、若い人にとって魅力的な職場として捉えられているのでしょう。
スタッフへの接し方はお客様への接遇にも表れる
もう一つ見落とされがちなことがあります。
それは、スタッフへの接し方は、そのままお客様への接し方にも表れるということです。
多様なスタッフが尊重される職場では、お客様一人ひとりの違いにも自然と目が向きます。
外国人のお客様、ヴィーガンのお客様、ムスリム対応を必要とするお客様、アレルギーを持つお客様。
「違うこと」を特別扱いするのではなく、「違うことが当たり前」という空気が、お店全体に生まれていきます。
その結果として、お客様は「この店なら安心できる」と感じます。
接客マニュアルだけでは生み出せない、温かい雰囲気や居心地の良さは、こうした組織文化から生まれるものです。
これからの飲食店経営では、採用と接客は別々のテーマではありません。どちらも、「人の多様性をどう受け止めるか」という一つの経営課題なのです。
人手不足だから採用を考える。
その発想から一歩進み、「選ばれる職場とは何か」を考える。
そこからようやく、人手不足は解消へ向かうのではないでしょうか。
