定年後の仕事探し、「やりがい」より先に考えたい大切なこと
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
定年を迎えたあとも、仕事を続けたいと考える人が増えています。
収入を得たい、社会とのつながりを持ちたい、これまでの経験を生かしたい。働く理由は人によってさまざまです。
一方で、仕事を探してもなかなか決まらなかったり、再就職できても「思っていた仕事と違った」と短期間で辞めてしまったりすることがあります。
シニアの就職支援を専門とするキャリアコンサルタントは、定年後の仕事探しでは「やりがい」だけでなく、無理なく続けられることが大切だと指摘しています。
仕事探しに成功する人は可能性を狭めない
定年後の仕事探しに成功しやすいのは、理想と現実のバランスを考えながら、自分の可能性を広げていける人です。
これまで経験してきた業界や職種だけに限定せず、別の仕事にも目を向けます。最初から完璧な条件を求めるのではなく、情報を集めながら、できることを一つずつ試していきます。
視野を広く持ち、軽いフットワークで行動し、前向きに仕事を探し続けることが、満足できる仕事との出会いにつながります。
反対に、仕事内容や待遇にこだわりすぎると、応募できる求人が少なくなります。自分から可能性を狭めてしまい、仕事探しが長期化することもあります。
現役時代と同じ立場を求めすぎない
長年働いてきた人ほど、豊富な経験や知識を持っています。
しかし、定年後の再就職では、現役時代と同じ肩書や待遇が用意されるとは限りません。第一線で指示を出す役割よりも、経験を生かして若い世代や現場を支える役割を求められることがあります。
記事では、この役割を若旦那を支える「番頭さん」に例えています。
プライドを捨てる必要はありません。ただし、「自分はこの立場でなければ働けない」と考えるのではなく、受け入れられる範囲で柔軟に仕事を選ぶ姿勢が必要です。
過去の肩書ではなく、今の職場で何ができるかを考えることが、新しい働き方への第一歩になります。
就職を自己実現だけの場にしない
定年後は、「今度こそ本当にやりたかった仕事をしたい」と思う人もいるでしょう。その気持ちは大切です。
しかし、やりがいだけを優先して仕事を選ぶと、企業が求める人材との間にずれが生じる可能性があります。
採用する側が知りたいのは、その人を雇うことで職場にどのようなメリットがあるのかということです。
自分の希望だけでなく、次のような視点を持つ必要があります。
現場でどのような役割を果たせるか
自分の経験を誰のために生かせるか
周囲と協力して働けるか
安定して勤務を続けられるか
採用されることをゴールにするのではなく、その職場で長く貢献できるかを考えることで、仕事選びの精度が高まります。
給与だけで仕事を判断しない
定年後の再就職では、現役時代より収入が下がるケースが多くなります。
記事によると、60代以上は正社員でも年収400万円以下の人が半数を占め、継続雇用でも現役時代の6~7割程度の収入になる人が多いとされています。
もちろん、生活のために必要な収入を確保することは重要です。しかし、給与額だけで仕事を決めると、勤務時間や体力面で無理をすることになりかねません。
年金の受給額、毎月必要な生活費、働く目的、健康状態、自由に使いたい時間などを含めて、総合的に考える必要があります。
一つの仕事でフルタイム勤務をするだけが選択肢ではありません。勤務日数を減らしたり、複数の小さな仕事を組み合わせたりする方法もあります。
「やりがい」より大切なのは続けられること
定年後の仕事選びで最も大切なのは、心身に無理なく続けられるかどうかです。
記事では、企業がシニア採用で重視する項目の第1位は「体力」だと紹介されています。企業は特別な経歴だけでなく、安定して出勤し、長く働ける人を求めています。
現役時代と同じ感覚で無理を重ねると、体調を崩してしまうかもしれません。年齢を重ねると、体調を崩したあとの回復にも時間がかかります。
仕事に大きなやりがいを求める前に、次のような条件を確認することが大切です。
通勤に無理がないか
勤務時間や日数が体力に合っているか
仕事内容が身体的な負担にならないか
職場の人間関係や雰囲気になじめそうか
趣味や家族との時間を確保できるか
「頑張れば何とかなる」ではなく、「これなら無理なく続けられる」と思える仕事を選ぶことが、長く働くためのコツです。
「こんなはずではなかった」を防ぐ
再就職後に早期退職する原因の一つが、仕事に対する事前調査の不足です。
求人票の条件だけを見て応募するのではなく、実際の仕事内容や勤務時間、職場の雰囲気などをできるだけ確認しましょう。
面接は、企業から選ばれるだけの場所ではありません。自分が無理なく働ける職場かどうかを確認する機会でもあります。
分からないことを曖昧なままにせず、勤務日数、残業、休憩、業務内容、体力的な負担などを具体的に質問することが大切です。
小さな仕事を組み合わせる選択肢
一つの勤務先だけにこだわらず、複数の「小さな仕事」を組み合わせる方法も紹介されています。
仕事を分散すれば、一つの仕事が減ったときの収入面のリスクを抑えられます。複数の職場や地域と関わることで、社会との接点を増やせることもメリットです。
また、65歳以上の人には、複数の仕事を掛け持ちし、勤務時間などの条件を満たすことで雇用保険に加入できる「マルチジョブホルダー制度」もあります。
働き方を一つの形に固定せず、自分の体力や暮らしに合わせて組み立てる発想が必要です。
定年後の仕事は人生を支えるものでいい
定年後の仕事には、現役時代とは違う価値があります。
高い役職に就くことや収入を増やすことだけが、働く意味ではありません。規則正しい生活を送ること、人と会話すること、誰かの役に立つことも、仕事から得られる大切なものです。
やりがいのある仕事を探すことは間違いではありません。
ただし、その仕事によって健康を損なったり、生活に余裕がなくなったりしては、長く働き続けることが難しくなります。
「やりがいがあるか」だけではなく、「気持ちよく続けられるか」という視点を持つこと。それが、定年後の仕事探しを成功させるための大切な条件なのではないでしょうか。
記事の詳細は、Yahoo!ニュース「定年後の仕事探しに成功する人の共通点は?」をご覧ください。
※本記事は、2026年8月5日に「婦人公論.jp」から配信された記事をもとに、その要点を紹介したものです。元記事は、キャリアコンサルタントの西村栄子さんとファイナンシャル・プランナーの國富真さんが監修した『定年後の働き方で知りたいことが全部のってる本』の内容を一部再編集しています。
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