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道の駅の、静かな棚へ

   家の続きのようなもの

県境を越えて車で釣りに行くとき、決まって立ち寄る道の駅がある。
いつも賑わっていて、ここを通過点ではなく、ひとつの目的地として訪れる人も多いのだと思う。

広い公園があり、その向こうに海がひらけている。
直売所には、海を眺めながら味わいたくなるようなお弁当やお刺身、この土地ならではの品々が並ぶ。

これまでは、その「食」を目当てにしていた。
けれどここ数回、足は自然と別の棚へ向かうようになった。

地元の人の名前が添えられた手芸品や焼き物、福祉施設で作られたものが並ぶ、少し奥まった一角。賑わいからほんの少し離れたその場所は、静かだ。

けれど、気づくと引き寄せられるように立っている。

前に訪れたとき、絵唐津のような趣のある器が、当たり前のように並んでいた。
その光景が、どこかに残っていたのだと思う。


今回も棚の前に立つと、時間の流れが少し変わる。
家族は一瞬私の姿を見失い、すぐに「あそこだ」と察したらしい。


並んでいるのは、どれも気負いのないものばかりだ。値段もどれも、驚くほどささやかだ。

けれど、その感覚は軽くない。

はじめて見るのに、家の続きのように感じるもの。理由にならない引っかかりが残るもの。

夢中で手を伸ばしていく感じは、どこか、
砂浜で拾い集めているときのあの熱に似ている。



買い物を終えると、子どもは公園へ駆けていった。

帽子で蝶を追いかけている。
しばらくして、ひとつ捕まえたらしい。

「それ、どうするの?」

少しだけ緊張して尋ねると、
子どもはあっさりと答えた。

「近くの木に、もう一匹いるから」

そう言って、蝶をそっと放した。
境目のないやさしさに、ふと触れた気がした。



車に戻り、包みを取り出す。

手に取ったのは、チューリップのブローチ。
袋に貼られた作り手の名前に目を留め、気持ちを弾ませながら袋を開ける。

何につけるかも決めずに選んだものだった。
長く使っているポーチにそっと添えてみると、
驚くほど自然におさまる。

新しく迎えたはずなのに、
はじめからそこにあったような顔をしている。

なんとなく使ってたポーチが好きになった
近頃、息子は道の駅でお手玉を選ぶ。
小豆の感触が、それぞれ少しずつ違うらしい。
本棚に居場所が決まった梟
いつもは通り過ぎていた有田焼。その日は、
長崎の空気にひかれるように手に取っていた。



手元に残っていくものについては、こちらにも書いています。

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