水色の向こう【みんなのことば帖2】
ぽつりと冷たい雨が落ちる。
ふいに息子の顔が、水色で隠れた。
「ぼく、レインコートがあるから。」
長靴が水たまりを踏む音が止まる。差し出された柄の位置は、思ったより高い。受け取ると一瞬遅れて、向こうでフードの影が揺れた。
ついこの間まで、水たまりを跳ねて困らせていたのに。
息子の好きな色の向こうで、もう一度、ぱしゃんと音が戻る。
私の傘は、しまったままで。
指先に残る温度が、雨音の中で遠くなる。
※以下の企画に参加させていただきました。
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