遺書ネクスト きのころネクスト
「夜分にすまんな。」
顔色の悪い男が声をかけてきた。
「あぁ、あなたが死神…さん?どうもこんばんは、初めまして。」
「ん?あぁそうか、遺書の奴か。ん?ってことは望みは一個叶えたからもういいのか、いやまてこの場合はどうなるんだ?」
「いやでも私はあなたに会うのは初めてですよ?」
「そりゃそうだ、そうだよな、えーっと」
死神は悪い顔色をさらに悪くしてブツブツ言っている。意外といい奴なのか。やっぱりドーラが好きな奴に悪い奴はいないのかもしれない。
「遺書を届けてくれてありがとう。おかげでいい1日を過ごせたよ」
「そうかそうか、そりゃ良かった。じゃあもう願いは叶えたってことでいいかな」
「あ、願いはもういいんだけど、ちょっと死神さんに伝えたいというか、教えたいことがあるんだ」
口調に力が入ってくる。死ぬ前に伝えないと。
「ラピュタが好きなんでしょ?」
「…お、おぅ」
「他のジブリアニメは観た?」
「もののけ姫と、ポニョと、トトロと、ナウシカは観た」
「紅の豚は?」
「観てない」
「観なきゃ!パンダコパンダは?」
「観てない」
「観なきゃ!!三鷹の森ジブリ美術館は行ったことある?」
「ない」
「行かなきゃ!!!死神、小学生に化けれる?小学生ならネコバスに乗れるよ」
「ネコバスに…乗れる…?」
死神の顔色が、心なしか良くなってきた。
「三鷹の森ジブリ美術館のチケット、自分で取れそう?」
「チ、チケット?」
死神の顔色がまた悪くなった。わかりやすい奴だ。
「日時指定のチケットがいるよ。あ、でも小学生だけじゃ入館難しいか。…ついて行ってあげようか?」
「…!!いやしかし。駄菓子菓子」
「死神さんも色々毎日大変でしょ、たまにはこういうご褒美もアリじゃない?私も最後に巨神兵を見に行きたいし。どう?チケット取ってあげるから一緒に行かない?」
死神は眼を泳がせながら呟く。
「巨神兵を…見に行く…?」
「間違えた。ロボット兵、ほらあの、シータにお花をあげたロボットがいたでしょ、あれよあれ」
「…あぁ、あれか、屋上にあるってやつ」
「そう!なんだ死神、詳しいじゃない。じゃあ今からチケット取りに行こうか」
「え、えぇえ?」
「ほらほらボサっとしない、一緒にローソンに行くよ!」
どうやら楽しい夜に、なりそうだ。
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