世界遺産[準1級満点までの道編]
7月13日(日)に第60回世界遺産検定が実施され、私は準1級を受検しました。先日その結果が通知されましたが、何とか満点を取ることができました。
そこで、私が準1級満点に向けて、どんなことをどんな感じで勉強してきたのかをお伝えすることで、もしかしたら参考にしていただける部分が少しでもあるのではないかと思い、今回は「準1級満点までの道」ということで取り上げさせていただくこととしました。
ということで、この後、私が行った勉強方法を紹介してまいりますが、人それぞれ自分にあったやり方というのがありますので、それを試行錯誤しながら見つけていくことが一番重要なことではないかと思っています。ただ、その試行錯誤の過程で今回ご紹介する内容の中で、少しでも参考にできる部分があれば、取り入れていただければ良いかと思います(といっても特別なことを行った訳ではありません・・・)。
なお、今回準1級の勉強について書いていきますが、方法については1級を含め、他の級を受ける場合でも、レベル感の違いはあれ、それほど変わりませんので、参考にしていただける部分があるのではないかと思います。
それでは、始めます。
(1)目標設定
まずは目標設定です。目標をどこに持ってくるかによってその後の方針が全然違ってきます。
感覚的には、合格(60点)に必要な勉強レベルを1とすると、90点取るためには2、96~98点を取るためには3、100点を取るためには5、くらいの違いがあるような気がしています(数字はあくまでも感覚的なもので、定量化したものではありません)。
私の場合、たまたま運のよいことに4級、3級、2級と満点を取ることができましたので(受検した順番は2級→1級→マイスター→4級→3級です)、今回準1級を受けるにあたり、どうせなら満点を目指そうと思いました。
⇒ここで強調しておきますが、満点を目指すということではありますが、満点をとることを目的とするわけではありません。満点を目指して勉強していくなかで、世界遺産に関する知識を増やして定着させていくとともに、それ以外の有形無形の財産が得られるのではないかと考えました。
満点を目指すということは、すなわち上述した「5」レベルの勉強が必要になるということです。
(2)過去問分析
勉強を開始するにあたって、何をどれくらいやらなければならないかを検討するには、まずは過去問を分析する必要があります。
準1級については、勉強開始時点で昨年7月と12月の2回しか実施されていませんが、3月に発売された過去問題集をもとに分析を行いました。その結果として、わかったことは以下のとおりです。
・「基礎知識」と「日本の遺産」については、普通に細字部分から出題されていること
・「世界の遺産」についても、細字部分から出るケースが少なくないこと
・「その他(時事問題など)」は、1級ほどではないけれども、結構幅広く出題されていて、昨年7月の試験についてはその前年の世界遺産委員会の内容も出題されていること
・「地図問題」については、各遺産の紹介部分に地図が掲載されているものが出題されていること
・準1級テキストの売りである「テーマ」については、直接問われるというよりは、遺産がどのテーマに関連して掲載されているかを意識すると解きやすくなるケースがあるように思われること
こうした分析をもとに、勉強の方向性を決めることになります。
(3)基本方針の決定
合格点や80点を目指すというのであれば、「世界の遺産」の細字部分や「地図」を無視したり、「テーマ」を意識せずに勉強してもよいと思うのですが、満点を目指すとなるとそうした部分も含めてカバーできるような勉強法を取らなければなりません。
そこで、以下のような基本方針に則って勉強を行うこととしました。
・「世界の遺産」を含めて細字部分がでるのであれば、テキストを隅から隅まで意識して通読することがかかせないため、これをメインとすること
・とはいえ、読むだけではなかなか記憶に定着しないので、それと並行して暗記用の資料を作成して、インプットに努めること
・その暗記用資料の作成にあたっては、「テーマ」について意識した内容を盛り込むこと
・時事問題などの「その他」部分への対応として、幅広く情報を収集して定期的に内容をチェックすること
・地図問題については、テキストの各遺産紹介ページに地図が掲載されている遺産の場所をしっかりと覚えること
こうした方針に基づいて、具体的にどんな勉強をどの程度行うかを決めました。
(4)具体的な勉強内容検討
①テキスト
まず、テキストの通読ですが、通勤時間(結構長い)を利用して往復で40ページ強程度読めるとすれば、休日も同じペースで読むとして、10日で1回転できます。
細かい話ですが、この準1級の勉強開始日が3級のCBT受検日の2月23日(日)(準1級の勉強を早期に開始するために、第59回検定のCBT受検可能な初日に受検しました)で、10日で1回転できるとすると、7月13日(日)から逆算して、14回転できることになります。これくらい読めば、細かい部分は別にして、問題と選択肢を見たときに、何となく検討がつく程度に記憶に定着できるのではないかと思い、このペースで行うこととしました。
写真も記憶の定着には有効だと思い、意識して遺産と写真を結びつけるようにしようと考えました。ちなみに写真を見てどの建物かを答えさせる問題が出たことがありますが、設問の文章を読めばわかる問題でしたので、今回写真について意識するのはこれくらいで十分と考えました。
なお、勉強開始時点(2月23日)では過去問題集は発売されておらず(3月18日発売)、(2)の過去問分析はまだ行えていなかったのですが、それを待っているとスタートが遅くなるので、とりあえず、世界の遺産の細字部分も含めて対応が必要となることを想定して、テキストの通読だけは見切り発車で開始することとしました。
②暗記用資料
次に暗記用資料ですが、「基礎知識」「日本の遺産」「世界の遺産」に分けて、合計3種類作成しました。
まず、「基礎知識」についてですが、大まかな内容については、過去の1級やマイスターの勉強を通じて何となく把握できているのではないかと思っていましたので、細かい年号、日付、数字や、組織・条約の正式名称などをピックアップして整理し、それを定期的に眺めることとしました。
次に「日本の遺産」ですが、こちらも「基礎知識」と同様に、主だった部分については何とかなりそうな感じがしたのですが、一方でどの構成資産なのか(「北口本宮冨士浅間神社」なのか「富士山本宮浅間大社」なのかなど)、どの時代区分なのか(『北海道・北東北の縄文遺跡群』の「定住の開始」「発展」「成熟」や、『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の「始まり」「形成」「維持・拡大」「変容・終わり」など)、どんな動植物が生息・生育しているか(オオワシ、イヌワシ、クマゲラ、ルリカケスなどの生息地や、カシ、シイ、ブナ、ミズナラの生育の有無など)、出来事の流れ(『古都奈良の文化財』や『広島平和記念碑(原爆ドーム)』に出てくる年号など)、登録基準、といったあたりがあいまいだったので、その辺を中心に各遺産で整理して取りまとめたうえで、こちらも定期的に眺めることとしました。
また、暫定リスト記載の遺産についても、(なぜか)3級のテキストに詳しく記述されているので、それをもとに上記と同様にまとめることとしました。
そして「世界の遺産」ですが、これが一番難関で、テキストの通読で足りない部分をどれだけ補足するかを考えた結果、とりあえず、遺産名・国名・赤字・黒太字・該当テーマに関係する部分を一覧にして、それをひたすら暗記することとしました。
ここでいう「該当テーマに関係する部分」というのは、「登録基準」という項目に記載されている遺産であれば、どの登録基準なのか、「歴史的な出来事」に記載されている遺産であれば、どの出来事に関係しているのか、などがわかる程度に記載するというものです。
やり方としては、まず、赤字・黒太字・該当テーマに関係する部分を見て、遺産名・国名がスムーズに言えるようにした後に、今度は逆に遺産名・国名を見て、赤字・黒太字・該当テーマに関係する部分が言えるようになるというのを試験当日までに行うことを目標にしました。
ただ、5月23日~25日のいずれかの日に日本遺産検定の2級を受ける予定にしていて、それまでは、テキストの通読を除いてそちらを主体にすることとしましたので、とりあえず、暗記するのはそれ以降で、それまでに資料を作成することとしました。
③時事問題対策
いわゆる「時事問題」については、世界遺産アカデミーの世界遺産ニュースや研究員ブログを中心に時事問題として出そうなトピックスを、用意したファイルに都度入力していき、それを適宜眺めることとしました。期間としては、過去半年間くらいに重点を置けばよいと思ったのですが、カバーするのは前回の世界遺産委員会の前あたりからが適当だと思い、そのあたりから確認することとしました(すなわち過去1年くらい)。
研究員ブログについては、内容によっては1年にこだわらず、出る可能性がありそうなものであれば、もっと前にさかのぼって確認することとしました(2023年7月の「世界遺産の事前評価制度って何?」など)。
前回の世界遺産委員会の結果として、新規登録遺産や危機遺産、遺産数などがどうなったかについては、世界遺産検定HPに「2024年新情報」としてまとめられていたので、それを確認することとしました。
④地図問題対策
地図問題は上述したように、準1級の過去2回の問題が、各遺産の紹介ページに地図が掲載されているものであったので、地図が載っている遺産のリストを作って、あわせてテキスト冒頭にある各地域の地図の該当部分に赤丸をつけて、リストを見ながら、地図の該当場所を見て覚えることとしました。各遺産の横にある地図でみるよりも、冒頭の地図でみることにより、同じ国内での場所の違いも明確にできると考えました。
(5)実際の進捗状況
(4)に基づいて勉強を開始しましたが、数ヵ月を経て、どのような状態で本番を迎えることになったでしょうか。
テキストについては、当初の予定通り、14回転しました。それでも細かいところを完全に覚えているわけではなく、これ以上読んでもあまり変わらないなという感じでした。ただ、問題を読んだときに、その文章がテキストに載っているか否かくらいは何となくわかるのではないかという感触はありました。写真は似たような写真があって、区別がつきにくい写真も多いので、写真を見て何の遺産に関連する写真かを即答できるほどにはなりませんでしたが、記憶の定着の補助的なものと考えていたので、これくらいで十分だと思いました。
暗記用資料ですが、「基礎知識」「日本の遺産」に関するものについては、当初の予定どおりに覚えることができたような気がしました。
一方で、「世界の遺産」については、上述したように日本遺産検定2級が終わってから着手し始めたため、実質1ヵ月半くらいしかなく、当初の予定通り進めることができませんでした。具体的には、「赤字・黒太字・該当テーマに関係する部分を見て、遺産名・国名がスムーズに言えるようにする」という部分に関しても、完全にはマスターできず、最終段階でも、700遺産分を1周するといくつか覚えていないものがあり、それが毎回違う遺産という状況でした。そうしたこともあり、「遺産名・国名を見て、赤字・黒太字・該当テーマに関係する部分が言えるようになる」という部分については、全く実施することができませんでした。この辺が不安材料ではありました。
「時事問題対策」と「地図問題対策」については、ほぼ想定どおりの準備ができ、余程ひねくれた問題でなければ何とかなるのではないかと思っていました(甘かったです)。
このような状態で本番に臨むことになりました。
(6)検定本番
試験開始からしばらくして、前2回の過去問に比べて、何となく解きにくい問題が並んでいるような気がしました。
当初の想定だと、退出可能となる開始30分後くらいにはひと通り解き終わって、しっかり見直しを行って、退出できなくなる終了10分前(開始50分後)までには退出するくらいで考えていました。
ところがそれぞれ10分くらい後ずれして、結局、試験終了時間まで教室に滞在することとなりました。
2つまで絞った後にどちらか悩んだり、結果的に消去法で最後まで残ったものを選んだり、というのが6~7問程度あったので、試験終了直後は、満点という目標達成は厳しいかなという印象を持ちました。
具体的な問題を提示して説明するのは控えますが、この6~7問についてどこで悩んでどう考えて最終的にどう解答したのかというのを整理すると、以下の通りになります。
①ある自然遺産に関する説明で正しくないものを答えさせる問題がありました。この遺産はトランスバウンダリー・サイトの遺産なのですが、その遺産保有国にこの国やあの国が含まれるか、保有国数は何ヵ国かを判断させる選択肢と、認められている登録基準を判断させる選択肢があり、この両者で若干迷ってしまいました。
この遺産の保有国は一応チェックしていて、選択肢に出てきた国の中で入っていない国があると感じたことから、こちらが正しくない選択肢だとは思ったのですが、登録基準の方は記憶があいまいで確信がもてなかったため、何度も頭の中で前者の選択肢の「この国とこの国は入っていなかったよな」というのを確信がもてるまで反芻したうえで、こちらを正しくないと判断しました。
②時事問題的な世界の遺産の問題なのですが、選択肢の4つの聖堂のうち、ある世界遺産に含まれないものを答えさせる問題で、直感的にある聖堂が答えだとは思ったのですが、これも確信がもてなかったため、これで本当によいのか悩んでしまいました。
テキストの該当遺産部分に残りの3つが書いてあったかどうかを何とか思い出そうとしたところ、おそらく3つとも書いてあったような気がしたため、最初に答えだと思った解答でいくこととしました。
③あるお城に関する説明として正しいものを答えさせる問題で、さらっと読んだところで2つ残って、片方は武将と天守閣の層数の組み合わせがそうだっけというのと、片方は年号とA→Bに取り換えられた素材がそれでよかったっけ、というので悩んでしまいました。
何度も選択肢を読み返したところ、前者の武将と天守閣の層数の組み合わせに何となく違和感を感じたことから、後者が正しいものとして解答することとしました。
④ある鉄道に関する問題で、どことどこを結んでいるかというのと、その鉄道の説明との正しい組み合わせを答えさせる問題で、後者の説明部分はわかったのですが、前者で悩んでしまいました。テキストに載っていたはずなのですが、ほとんど記憶に残っていませんでした(後でみるとしっかり明記されていました)。
「○-△」か「□-×」のどちらかということで、「○」が他の遺産の地図に出てきて少し離れているような気がしたのと、この鉄道は名前に「縦」が入っていて、「○-△」は横(東西)で「□-×」は縦(南北)のような気がしたので、確信は持てませんでしたが、「□-×」の方に決めました。
⑤ある橋を設計した人物を答えさせる問題で、素直にある有名人(あくまで世界遺産界隈でということですが…)が答えであると考えればよかったのですが、その有名人は他にも赤字で出てくるので、本当にこの遺産で良かったっけと考えてしまいました。
確か3つの遺産で赤字で登場して、他の2つを思い出せたので、この遺産とあわせてこの有名人が登場するのはこの3つの遺産だよなとは思ったのですが、今度はこの遺産が最後の1つで良かったっけと迷い始めてしまいました。
他の選択肢のなかで、それっぽい(と思ってしまった)人物がいて、そちらが赤字で登場する遺産がどうしても思い出せなくて、もしかしたらそっちかもということでそちらを解答にしようと思ったのですが、でも素直に考えれば、この有名人で問題ないよなと思い返して、最終的にはそれを解答として選ぶこととしました。
⑥ある種類の遺産の説明として正しくないものを答えさせる問題で、ある選択肢の「○年に1回」という頻度があやしいなというのと、別の選択肢でこんな文章あったっけというのがあって、これも悩んだのですが、再度読み返して、後者の文章については、そういえばこんな文章もあったよなと思い出したのと、前者は確信は持てませんでしたが、何となく違和感があったので、こちらが正しくないものとして解答することとしました。
⑦地図問題ですが、テキストに載っていない遺産の地図が出ました。それだけでも衝撃的だったのですが、同一国内に4つの地点がプロットしてあって、国が分かるだけでは答えられないという問題でした。
こうなったら、自分が持っている一般常識の知識をフル回転させて答えるしかありません。まず、この遺産がどこにあるかというのは、たしかどこかで○○地区というのを見たり聞いたりしたことがあるなということで、今度はその地区が地図上でどこなのかということについては、ニュースで出てくる地図でこの辺だったよなという記憶を頼りに確信は持てないものの、とりあえずそれで解答することとしました(この問題の裏返しですが、「○○地区にある遺産はどれ」ということで、昨年12月の1級の問題に出ているのを後で知りました)。
以上、悩んだ問題の代表的なものをあげましたが、試験が終了した瞬間は、このように自信を持つことのできない問題が何問かあったので、かなりへこんでいました。
ただ、振り返っても仕方がないので、次の日の朝には、今回の結果いかんにかかわらず次回の検定で受けようと思っていた1級リスタの勉強の計画をどうしようかと考えたりして、気を紛らわしていました。
そんななかで、解答が公表され、それをもとに自己採点を行ったところ、上記の?であった問題を含めて、全て正解していることがわかりました。上記で太字表記したように、結構「直感」頼りの部分があったので、正直なところ、良くても数問は間違っているだろうという予想だったのですが、すべていい方に転んで、こんなに運がよいこともあるのだなと感じました。
(7)問題分析
①今回の分析
感想の前に、まず問題の分析を行いたいと思います。
1級については、まっちゃけるんさんがnoteで書かれていて、テキストの赤字、黒太字、細字のどこから出題されているかを分析されています。
今回その分類の基準を揃えた方が、1級と準1級の比較もできてよいかと思い、ご本人に基準を確認し、ご了承を得たうえで、同様の分析を行うこととしました。
1級については、200点満点中、その他(時事問題など)の20点分を除いて、
基礎知識
赤字:11点、黒太字:23点、細字:16点
日本の遺産
赤字:20点、黒太字:8点、細字:12点
世界の遺産
赤字:57点、黒太字:18点、細字:15点
という結果になったということで、赤字と黒字を完全カバーしても137点で、合格ライン(7割)の140点にわずかに届かないということでした。
これにその他部分の残り20点中何点か取って合格ラインを越えることができるという感じです。
それでは、準1級ではどうだったでしょうか。準1級は満点が100点で、その他(時事問題など)が10点なので、1級の結果をちょうど半分にして比較していただければ良いと思うのですが、結果は以下の通りになりました。
基礎知識
赤字:1点、黒太字:1点、細字:13点
日本の遺産
赤字:6点、黒太字:11点、細字:8点
世界の遺産
赤字:29点、黒太字:10点、細字:11点
ということで、赤字と黒字を完全カバーしても58点で、合格ライン(6割)の60点にわずかに届かないという結果となりました。
これにその他部分の残り10点中何点か取って合格ラインを越えることができるということで、1級と同様の結果となっています。
すなわちこれだけ見ると、今回準1級が難しく感じたのも、当然だなと思いました。
それで、ここでやめておけばよかったのですが、準1級の過去の2回の試験ではどうだったのかを調べてみたくなりました。
すると・・・
②過去問の分析
過去2回の問題を今回と同様の基準でみるとどうなったでしょうか。平均点と、合格ラインである60点以上の認定率をみると、第1回から第3回にかけて、66.6点・67.7%→64.3点・57.9%→50.6点・28.2%と推移していて、1回目よりも2回目がやや難化して、今回は大幅に難化しています。そこで、そうした結果に沿うような結果がでると思ったのですが、結果は以下の通りになりました。
準1級第1回(2024年7月)
基礎知識
赤字:4点、黒太字:3点、細字:8点
日本の遺産
赤字:8点、黒太字:9点、細字:8点
世界の遺産
赤字:30点、黒太字:2点、細字:18点
準1級第2回(2024年12月)
基礎知識
赤字:2点、黒太字:7点、細字:6点
日本の遺産
赤字:7点、黒太字:9点、細字:9点
世界の遺産
赤字:35点、黒太字:5点、細字:10点
ということで、赤字と黒太字を完全カバーしたとすると第1回は56点、第2回は65点となりました。なんと1番易しかったと思われる第1回が、赤字と黒太字でカバーできる点数が最も低いという想定外の結果となりました。
これはどういうことなのでしょうか。
③分析結果の分析
準1級の第1回と第2回(検定の回数でいうと、第56回と第58回)については、「世界遺産検定公式問題集1・準1・2級 2025年版」([監修・発行]NPO法人世界遺産アカデミー、[著作者]世界遺産検定事務局、[発売]マイナビ出版)で各種データが公表されているので、それをもとに分析を行ってみました。
まず、問題形式の違いを見てみました。問題形式別に平均正答率を出して、正答率の高いものから順に並べてみました(この平均正答率は各問題の正答率を各カテゴリーの問題数で単純に割ったもので、配点を考慮した加重平均ではありません)。
第1回
●正答率70%以上
「~このような○○を何というか」1問
「~次の文中の語句で、正しいものはどれか」1問
●正答率60%以上70%未満
「~次の文中の空欄に当てはまる語句として、正しいものはどれか」11問
「語句の組み合わせとして、正しいものはどれか」 4問
「~として、正しいものはどれか」 36問
「~として、正しくないものはどれか」 7問
第2回
●正答率70%以上
「~次の文中の語句で、正しくないものはどれか」 2問
●正答率60%以上70%未満
「~○○に△△ないものはどれか」 2問
「~として、正しいものはどれか 」38問
「~次の文中の空欄に当てはまる語句として、正しいものはどれか」 2問
「~として、正しくないものはどれか」 6問
「~次の文中の語句で、正しいものはどれか」 1問
●正答率60%未満
「語句の組み合わせとして、正しいものはどれか」 9問
第1回と第2回でこの出題形式の違いによって正答率が高いあるいは低いという明らかな傾向は見受けられないような気がしました。今回の第3回については、詳細を記載するのは控えますが、第1回、第2回と出題形式は大きく変わっておらず、これが難化の原因ではなさそうです。
次に、出題分野の違いを見てみました。出題分野ごとに平均正答率の高い分野から順に並べてみました。
第1回
●正答率70%以上
「登録基準」、「世界遺産委員会」、「世界遺産条約」、「2024年のパリオリンピック」、「特徴的な建築物を含む世界遺産」
●正答率60%以上70%未満
「歴史上の人物に関連する世界遺産」、「無形文化遺産に関連する世界遺産」、「奈良文書」、「星や天文学に関連する世界遺産」、「課題に直面している世界遺産」
●正答率60%未満
「暫定リスト」、「映画の舞台や題材となった世界遺産」
第2回
●正答率70%以上
「文化財」、「文学にまつわる世界遺産」、「世界遺産条約」
●正答率60%以上70%未満
「産業や経済活動にまつわる世界遺産」、「世界遺産に関連する憲章」、「世界遺産委員会」、「危機遺産」
●正答率60%未満
「自然災害等にまつわる世界遺産」、「生態系にまつわる世界遺産」、「宗教や信仰にまつわる世界遺産」、「特徴的な建造物のある町が登録されている世界遺産」
世界遺産条約や世界遺産委員会などの基礎知識を中心としたものと、各テーマに関するものがありますが、やや前者の平均正答率の方が高いかなという感じがします。一方で、後者については、テーマの性質によって多少ばらつきが見られるような気がします。今回の第3回についても、これまでとは異なるいくつかのテーマが設定されましたが、もしかしたら、対策が手薄なあるいは苦手とする方が多いテーマが出題された可能性があるということかもしれません(現時点では設問ごとの正答率がわかりませんので、推測にすぎません)。
少しまわり道をしましたが、単純に赤字・黒太字・細字の平均正答率をみると次のようになりました。
第1回
赤字:67.7%
黒太字:73.6%
細字:63.7%
第2回
赤字:64.2%
黒太字:63.5%
細字:63.3%
普通に考えると、正答率は赤字>黒太字>細字という感じで明確に差がでるような気がするのですが、第1回は赤字と黒太字は正答率が逆転していますし、第2回は順番はその通りですが、ほとんど差がない結果となっています。
これはどういうことかというと、準1級のテキストでは、例えば「基礎知識」であれば、ページ数も少なく、細字であってもある程度対応できるのに対し、「世界の遺産」については、覚えなければならない遺産数が多く、赤字であっても対応が難しいということなのかなと思います。
例えば、赤字であっても、「バードギール」「聖タデウス修道院」「ルイス・ドメネク・イ・モンタネル」などは答えるのが難しいと思いますし、細字であっても、「萩原徹」(1級では黒太字ですが、準1級では細字です)「1972年」などを答えるのはそれほど難しくないと思われます。
結局のところ、赤字の中でも答えるのが難しい問題が多いか少ないか、細字の中でも答えるのが易しい問題が多いか少ないか、によって全体の難易度が変わってくるということなのではないかと推測します。
そういう意味では、今回は、全体的に赤字や細字の両者とも、より難度の高いワードが出題された結果として、難易度が上がったということなのではないかと思われます。
一方で、第1回はすでに1級やマイスターを取得している方々が大挙して受検したために認定率が高くなり、第2回、第3回とそうした方々の割合が減ってきて、純粋に2級合格後に1級への橋渡しとして準1級を受検する方々の割合が増えてきている結果として、認定率が下がってきているという要素もあるのかもしれません。
(8)これまでを振り返っての感想
①勉強方法について
まずは、今回行ってきた勉強方法がどうだったのかについて振り返っておきたいと思います。
テキストの通読については、今回14回転したのですが、特に細字の部分について、暗記とまではいかなくても、何となくこの辺にこんなことが書いてあったなと感じることがあり、それが解答にも結び付いた部分があったので、有効であったと思います。ただ、どの部分も満遍なく読んでいたつもりが、ある部分はしっかり読み込んでいる一方で、(上述した鉄道に関連する遺産のように、)ある部分は何となくさらっと読んでしまっているというように、ばらつきがあったような気がしますので、そのあたりのばらつきをなくす必要があるかなと感じました。
テキストの写真については、過去問の傾向から、テキストの文章を把握していれば解けると思って、それほど重要視していませんでした。今回は特に問題とはなりませんでしたが、特に説明もなく、「○○(建物名)は4つの写真のうちどれか」といった直接的な問題が出ないとも限りませんので(4級ではよく出ます)、満点を目指すのであれば、もう少ししっかり見ておかなければならなかったなと感じています。
次に暗記用資料ですが、「世界の遺産」に関する資料の活用について、上述したとおり、当初予定の半分弱しかクリアできず、残りの半分強を消化していればもう少し容易に感じた問題もあったと思いますし、この勉強レベルでは対応できないような問題が出た可能性もあったと考えると、完全なスケジュールミスで、それが今回最大の反省点です。また、作成した資料の内容についても、今回は、文化・自然・複合遺産等の別や、文化的景観・危機遺産・負の遺産に当てはまる遺産については、「該当テーマに関係する部分」として資料内に記載したもの以外は完全にスルーしてしまっていたので、これもここから出ていたらアウトでした。細かい登録基準なども問われていた可能性もあると考えれば、それらも含めて、資料に取り込んで、しっかり見ておくべきだったと思っています。
地図問題対策ですが、今回の地図問題は時事問題との融合的な問題でしたので、全くの想定外でした。テキストの各遺産の紹介ページに地図が掲載されている217件のどれかが出れば何とかなると思っていたのですが、全くの的外れでした。
それ以外の時事問題は、何とか対応できる準備はできていたのではないかと思いますが、いずれにしても、普段から世界の動向に関してしっかりニュースを見て、どこで何が起こっているのかを常にウオッチしていく必要があるということを痛感させられました。
このように、試験を終わった後の感想としては、計画段階から実施段階までを通じて、今回行ったようなレベルの勉強では全然足りなかったというのが率直な気持ちです。
とはいえ、これ以上やるのは結構きついですし、考えだしたらきりがありませんので、これくらいにとどめて、運よく満点がとれればいいなくらいの感じで気楽に取り組むのがいいのではないかとも思っています。
上述した通り、勉強方法については、人それぞれあったやり方があると思いますので、ここでご紹介した方法が万人に有効だとは思わないのですが、まず目標設定をしてそれに基づいて何をやらなければならないかを把握し、その準備を行って、それを実践していく(できれば状況に応じて軌道修正しながら)というのは、有効なプロセスではないかと思います。
それから、ご覧いただいた通り、私が行ってきた勉強方法は、非常にオーソドックスで、特別変わったことをやっている訳ではないということがお分かりいただけるかと思います。結局は当たり前のことを当たり前にやるということが合格への近道ではないかという気がしています。
なお、過去問については、2回分しかないということで、最初の分析段階でかなり読み込んでしまって、答えを覚えてしまったため、形式等を再確認するために、直前にさらっと見直した程度でした。同じあるいは類似の問題が出るケースもありますので、過去問をしっかり見ておくことは有効であると思われます。
②有益だったこと
私は今年の1月1日から世界遺産に関連する内容でnoteを書き始めて、いつの間にか30数本も書いていました。
毎回のテーマはばらばらで、必ずしもテキストの内容に沿ったものばかりではないのですが、毎回記事を書くにあたってそれなりにいろいろ調べたり、どうやったらうまくまとめられるのかを考えたりしていて、それがいつの間にか自分の中に蓄積されていたようです。
今回の試験でも、はっきりと記憶には残っていないけれども、何となくnoteの執筆作業をしている中で、こんな内容があったよなといったことが浮かんできて、それで解答に確信が持てたというケースが何問かありました。
それが今回の収穫で、引き続き書いていこうというモチベーションにもつながりましたし、その結果として、ご覧いただいている方のお役に立てる情報が少しでも提供できるのであれば、さらにうれしいことだなと感じています。
③もっともっと有益だったこと
今回の結果を振り返ったときに、それなりに勉強をしたとは思っているのですが、それよりも何よりも最終的に満点を取りきる原動力となったのは、世界遺産界隈でお世話になっている方々の存在だと思っています。
勉強会の場を提供していただいている方々やその場で意見交換をさせていただいている方々、音声や映像やブログなどでいろいろな情報を提供していただいている方々、私が発信したものに対して貴重なご意見を頂戴している方々、各種イベントや会合などで交流をさせていただいている方々、私が勝手に目標とさせていただいている方々などなど。
このような方々との交流やちょっとした会話が、自分の中に吸収されて、こうした試験結果にもつながっているのだと強く感じています。
この場をお借りして感謝申し上げたいと思います。これからも精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それからほぼほぼ何も言わずに好きなことをさせてくれている家族にも感謝しないとですね。
今回は以上です。世界遺産検定準1級の体験記的なお話をさせていただきましたが、少しでも参考にできる部分があったのであれば幸甚です。
次回は、世界遺産に関連して出てくる「公園・庭園」について取り上げる予定にしています。
